本日は3話の投稿です。
「ッシャア!」
180cm台の筋骨隆々な巨漢がリングの上で跳びドロップキックを放つ。
それを胸板で受け止めた190cm台のベビーフェイスな巨漢がリングの上で倒れると、ドロップキックを放った巨漢がコーナーポストを登る。
「フッ!」
コーナーポストを登った巨漢は鋭い呼気と共に高く跳び上がるとリングに倒れるベビーフェイスにエルボードロップをくらわせる。
そしてそのままフォールをするとレフェリーにより3カウントが数えられたのだった。
◆
「デビュー戦惜しかったぞ三浦!」
「いい試合っぷりだった!次も応援するからなぁ!」
お客さんの声を身に浴びながら疲労を現す様に息を荒らげてリングから去っていく。
そして控え室に入ると『演技』を止めた。
「良意(よしおき)、お疲れさん」
「あっ、猪狩さん。お疲れ様です」
俺が所属するプロレス団体の社長である猪狩完至(いがり かんじ)さんに軽く頭を下げる。
「で、どうだったよ?」
「主語が無いと何を聞かれてるかわかりませんよ」
「おいおい、そこは察しろよ」
13歳の時に猪狩さんにスカウトされてプロレスの道に入って早3年、多少の軽口を叩けるくらいには猪狩さんとの交遊がある。
とはいっても大喰らいな俺に腹一杯食わせてくれる猪狩さんには頭が上がらないと言っても過言じゃない。まぁ、これから猪狩さんを儲けさせて恩返しをしていくつもりではあるんだがな。
「193cm120kg……デビューしたての16のガキとは思えんサイズだな」
「あっ、高校の身体測定で測ったら伸びてたんで195cmです。体重も増えてました」
「くくくっ、結構結構。で、どうだったよ?」
相変わらず主語無く問い掛けてくるが、その問いにはキチッと答える。
「ぶっちゃけ拍子抜けですね。あんなもんなんですか?」
「ハハハハハッ!」
無礼千万な答えを返すと猪狩さんは大笑いした。
「すまんが今時の連中はあんなもんだ。俺や斗羽さんが若い頃はもっと本物のプロレスラーがいたんだがな」
「そうですか、それは残念ですね。」
さっきの試合はかなり気苦労した。プロレスの基本の形である手四つを組んだ時に、相手の握力が弱すぎて危うく握り砕きそうになったからなぁ。
もしこれから先もあんな気苦労をするなら俺はストレスで頭部の長い友を失う事になるかもしれない。……猪狩さんに恩返しが終わったら引退しようかな。
「おっと良意、シャワーを浴びて着替えろ。出掛けるぞ」
「出掛けるってどこに?」
「御老公が飯を奢ってくださるとさ」
あの格闘好きな爺様か。まさかまた俺を地下の試合に出すつもりか?まぁ、報酬がいいから構わないけどさ。
生まれ変わってから16年。日本人の父と母の間に生まれた俺こと三浦 良意(みうら よしおき)は、前世では見る専門だった格闘と武術の世界にドップリと浸かっている。
そういえば少し前に親父がうちの家系は元々は戦国武将の家系だったと言ってたんだが……本当かねぇ?
◆
side:猪狩完至
良意との話が聞きたい?いいぜ。
俺が良意の奴を見つけたのは偶然だった。
プロレスを始める前の俺は陸上競技で砲丸投げをやってたんだが、その時の伝でとんでもない中坊がいると聞いて話半分のつもりで足を運んだのさ。
そこで一目見てわかったぜ。モノが違うってな。
齢13で180cmを越える身長。各種陸上競技の中学記録どころか高校記録すら塗り替えちまう身体能力。そしてそんな身体能力を苦もなく使いこなしちまう身体操作能力。
気が付けば俺は自己紹介もそこそこに良意を飯に誘っていたんだ。
そして近くのファミレスで良意の食いっぷりを見て俺は震える程の歓喜ってのを味わった。
どんだけデカイ身体を持ってたって食えなけりゃ強くなれねぇ。そして食うってのもまた才能なんだ。
良意は強くなる為の才能をこれでもかと持ってやがった。嫉妬するのも馬鹿らしくなるぐれぇデケェ才能をな。
あいつをプロレスに誘った時になんて言ったと思う?『腹一杯飯を食えますか?』だ。笑えるだろ?強くなるとかあいつにはどうでもいいことなのさ。あいつは生まれながらに強者ってことを無意識に自覚してんだろうな。
あん?全盛期の俺とどっちが強いかって?
ん~……わかってねぇ、お前さんわかってねぇよ。
あいつはどっちが強いかって比べる様な存在じゃねぇのさ。
まぁ強いて言うなら……あいつと同様に生まれながらの強者なら、あいつと強さ比べを出来るだろうな。
現時点での原作主人公は11歳の設定なので、オリ主は5歳年上ですね。
それとオリ主のキャラコンセプトというかキャラ性能的なものは『女々しくも鍛えちゃった花山薫』といった感じですね。
次の投稿は9:00の予定です。