「よう、先に邪魔してるぜ」
永周さんの案内で師父の屋敷にたどり着いたのはいいんだけど、何故か独歩さんがいた。しかもボロボロになって。
「楽しめましたか?」
「まぁな。理解出来てねぇとこも多いが、俺の空手を成長させるには十分に堪能したぜ」
独歩さんとそんな会話をしていると、頬に絆創膏を貼った以外は無事そうな師父がふらりと現れる。というか独歩さん、師父にダメージを与えられたのか……凄いな。
「待ってたぞ、良意」
「はい、お待たせしました師父」
「うむ」
師父に刃牙君達を紹介すると興味を向けるが、特に刃牙君に興味があるらしい。もしかしたら独歩さんみたいに勇次郎さんを知ってる感じかな?
「そっちの若いの達にも興味はあるが……」
パンパンと師父が手を叩くとこれでもかと大量の料理が次々と運び込まれてくる。
「先ずは腹を満たすといい。お代わりは幾らでもあるでな。好きなだけ食え」
一早く椅子に座ると俺に続いて刃牙君達も席に座り食事が始まる。
師父が用意する料理は医食同源に基づいた薬膳料理なんだけど、そのおかげなのかこうして食を進める毎に腹の内側から癒されているように感じる。そして旨いから更に食が進むんだよね。
「食休みが済んだら適当に外に出てくるといい。烈、その時は若いの達の相手をせい」
「はっ!」
食事が終わると師父は不意に立ち上がってそう言う。永周さんはそれに拱手をして応じる。
「良意、お前は倉庫に用意してある岩を持ってくるように」
「いいですけど、あれをやるんですか?」
「うむ、若いの達に見せてやるといい」
その言い様だと師父がやるんじゃなくて俺がやるのか。まぁ、いいけどね。
適当なタイミングで倉庫に向かうと何故か独歩さんがついてきた。
「克巳君達の手合わせを見なくていいんですか?」
「見なくても結果はわかるからなぁ」
「まぁ、だいたい予想通りになるでしょうね」
アメリカ滞在で刃牙君と克巳もレベルアップしたけど、それでも永周さんに勝ち目が出る領域には達していない。Jr.は結構いい勝負をするだろうけど、経験の差で負けるだろうなぁ。
「それで、どうでした?」
「おいおい、主語をつけろよ」
いつもこうやって問い掛けてくるのはそっちでしょうに。
「まぁ、そうだな……俺もまだまだ強くなれるって実感出来たぜ」
そう言いながら独歩さんは右手で変わった拳の形をとった。それが独歩さんが見つけた自分だけの拳の形なのかな?
「それはよかったです」
「おう、というわけで今度組手をやろうや」
「どういうわけかはわかりませんが、組手の件は了解しました」
倉庫に辿り着くと待っていた使用人の人に開けてもらい中に入る。
そして……。
「よっと」
倉庫中央に鎮座していた岩を担ぎ上げた。
「……呆れる程の怪力だな」
「プロレスラーですから」
「……そういうことにしとくわ」
ため息を吐きながらつるりと頭を撫でる独歩さんを尻目に、俺は岩を担ぎ上げたまま外に向かうのだった。
さて、刃牙君達はどうなってるかな?
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。