「擂台賽?そういえば中国に来た初日に何か言ってたね」
「擂台賽は中国拳法界で4年に一度行われる祭り……まぁ、中国拳法家最強決定トーナメントって言ったらわかりやすいかな?」
中国に来て5日が経ったが、今日は来週行われる擂台賽について刃牙君達に話していた。
「それでその擂台賽には海王であるか、もしくは海王かそれに比する中国拳法界の人物から推薦を受けないと出られないんだ。そしてここには推薦が出来る人物が師父、永周さん、俺の3人がいる」
「……つまり一人溢れるってぇわけか」
独歩さんの言葉に頷く。
「それで勝手ですけど実は推薦する内の2人はもう決まっているんです。師父は独歩さんを、俺はJr.を推薦します」
「烈さんは?」
「まだ決めていない。そこで刃牙君と克巳君に提案だ。今から6時間後に二人で試合をしてもらう。ルールは目突き以外は何でもあり。勝利報酬は擂台賽の出場権……やるかい?」
俺の問い掛けに二人は力強く頷くとそれぞれ部屋から出ていった。
「ヨシオキ、二人の試合のルールの意図は何だ?」
「答えは簡単、刃牙君に勝ち目を出すためだよ」
Jr.の問い掛けにそう答える。
「一般的な格闘技のルールだと今の刃牙君に勝ち目は無い。けど目突き以外の制限を取っ払えば少しだけど勝ち目が出る」
「後は刃牙がその少しの勝ち目を掴み取るか、あるいは克巳がしっかりと刃牙の勝ち目を摘み取って勝つかってとこだな」
独歩さんの言葉に頷く。
「しかし、わずか13の少年が克巳君に勝ち目があるというのが衝撃だな。私が13の頃だったならば無理だろう」
「それを認めることが出来るのが永周さんの強みですよ」
「そうなれたのは良意、君のおかげだ。数年前までの私は思い返せば傲慢甚だしい男だった……穴があれば入りたいと思うぐらいだ」
永周さんの言う通りに昔の永周さんはちょっと……いや、かなりの自信家だったなぁ。
師父に言われて当時の永周さんの鼻っ柱をへし折ったんだけど、それからの永周さんの変化と成長は驚く程だ。人ってこんなに変われるものなんだと今でも感心するよ。
「それで良意……どう見る?」
師父の問い掛けに少し考える。
「まぁ、刃牙君は見せ場を作れると思いますよ。そこから勝ちまで行けるかはちょっとわからないですけど」
「ふむ、まぁ楽しみにしておくか」
◆
side:範馬刃牙
(克巳さんとの試合か……正直に言えば勝ち目はほとんど無いと思う。でも三浦さんが提案してくれたルールのおかげで少しだけ勝ち目が出てきた)
シャドーをしながらイメージするのは克巳さんの空手。独歩さんの空手が重厚で多彩だとすると、克巳さんのそれは力強くて軽快って感じだ。
(鍵になるのは金的……でもそれは克巳さんもわかってる)
金的を本命にしても多分当たらない。ならそれを囮にして下に意識を向けさせてハイキック……って感じかな?
「うしっ、だいたいの方針は決まった。残り5時間、しっかり準備するか」
◆
side:愚地克巳
(目突き以外有りってことは金的有りってことか……厄介だな)
金的に威力はそれほど必要ない。まぐれでもなんでも当たっちまえばほぼ勝ちが決まる。
とはいえ下に意識を割き過ぎれば顔を狙われてKOってのもありえる。……なんとも厄介なルールだぜ。
(けど、それでも勝ちきれなきゃ親父や三浦さんの領域には辿り着けない)
四百年の空手の歴史に新たな一歩なんて嘯いちまったからな。目突きはないとはいえ、実戦に近いこのルールは避けては通れない道だ。
「お互いにしんどい道を選んじまったな。けど、譲らねぇぜ」
試合まで5時間、準備の時間は十分にある。
刃牙……全力で勝ちに行かせてもらうぜ。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。