プロレスこそが最強の格闘技?   作:ネコガミ

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第27話『中国旅行とプロレスラー その6』

 試合に敗れた刃牙君は目を覚ますと悔しさを大声と一緒に吐き出した。その後はいつも通りの刃牙君に……とはいかないのも仕方ないか。トレーニングに熱が入り過ぎているけど、それは俺達周囲の人達が適度なところで止めればいい。

 

 さて、そんなこんなでやって来た擂台賽。組み合わせが発表されると俺、克巳君、Jr.、永周さん、独歩さんは準決勝か準々決勝までぶつからない様になっていた。たぶん師父が口出しをしたんだろうなぁ……。まぁいいけどね。

 

 克巳君、Jr.、永周さん、独歩さんは無事に1回戦を突破した。特に克巳君とJr.も永周さんと独歩さん同様にダメージらしいダメージを受けずに勝ったのは成長した証と言えるだろうね。

 

 この結果を受けて中国拳法界のお偉いさんが師父にクレームをつけてたんだけど、師父はそのお偉いさんの顎をデコピンで弾いて気絶させて黙らせていた。相変わらず自由人だなぁと苦笑いをするしかない。

 

 それはともかく4人に続いて俺もやるかなと試合に出たはいいんだけど……。

 

「さぁ、存分に叩いてきたまえ」

 

 え~っと……これはどうしたものかねぇ?

 

 俺の対戦相手になったのは楊海王(よう かいおう)で、中国拳法の一つの金剛拳の使い手なんだけど……。

 

「どうした?遠慮せずに叩いてきたまえ」

 

 本当にどうしたものかねぇ?

 

 馬歩をして待ち構える楊海王を見ながら頬を掻く。

 

 プロレスの試合でも速攻で終わるものもある。けどあれはセメントだったり、相手がこっちを舐めていてわからせる必要があったりする場合だ。

 

 対して楊海王のこれは自分の流派のそれ……金剛体を試すべくこちらの攻撃を敢えて待っている感じなんだよなぁ。どうしよう?

 

 ……うん、とりあえず猪狩さんに倣ってビンタでもしてみるか。

 

 

 

 

 先程の試合の三浦海王のビンタ?ハハッ、あんなビンタは初めての体験でしたよ。日本の力士の張り手でもあそこまでの威力があるかどうか……。

 

 私の修めている流派金剛拳は金剛体……つまり五体を金剛の如く強靭にすることを旨とする流派なんですが、まさかビンタ一発で脳震盪を起こすとは……。

 

 しかも馬歩でしっかりと待ち構えていたのに、ぶっこ抜かれて横回転してしまいましたからね。三浦海王の膂力は中国拳法史上でもズバ抜けていると思います。

 

 正直に言えばあのまま目を閉じてもおかしくなかったですが、私も金剛拳を修めた海王としての意地がありました。だから立ち上がれたのでしょうね。

 

 そして返しの崩拳で水月を突きましたが……いや、驚きました。拳を通して伝わった感触とイメージが、金剛拳が目指す金剛体の到達点そのものだったのです。

 

 それを理解したからこそ、私はあの場で涙を流したのです。伝承でしかわからぬ未だ見ぬ理想の金剛体を知ることが出来たのですから。

 

 だからといってあの場で弟子入り懇願はどうかと?ハッハッハッ!我等武術家は強くなるためなら恥の一つや二つ、笑ってかきますよ。

 

 もっとも、私はあれを恥だとは思っていません。それに師父に破門を言い渡されたのも後悔していません。

 

 何故なら私は己が武の目指す頂きを知ることが出来たのですから……。

 

 ではここら辺で失礼します。三浦海王に弟子入りを認めて貰わねばなりませんので。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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