プロレスこそが最強の格闘技?   作:ネコガミ

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第28話『中国旅行とプロレスラー その7』

 何故か楊海王が俺の押し掛け弟子になってしまった。師父は『弟子にしたらよい』としか言わないし、猪狩さんに電話で聞いてみたら『お前も付き人を持ってもいいだろ』と言って各種手続きを進めとくってさ。

 

 俺が教えられるのなんて師父から教わった中国拳法と、猪狩さんから教わったプロレスぐらいだぞ?2人はそれでいいって言うし、楊海王もそれが知りたいって言うし……まぁ、それでいいならいいかと開き直るしかないか。

 

 そんなわけで俺の身の回りの世話を始めた楊海王もとい楊さん。年上の楊さんに身の回りの世話をされると違和感が凄いけど、曲がりなりにも俺は師だから慣れないといけないんだろうなぁ。

 

 それはともかく、擂台賽は準々決勝まで進んだ。俺と独歩さんと永周さんは既に勝ち上がり準決勝に駒を進めているけど、準々決勝の残る最後の試合で克巳君とJr.がぶつかる。

 

「良意、どちらが勝つと思う?」

「真っ当にやったら確実にJr.ですね。けど克巳君が刃牙君との試合を忘れてなければ十に一つは勝ち目があります」

「つまり克巳の奴が甘さを消せるかってことだな」

 

 永周さんの問い掛けにそう答えると独歩さんが言葉を追加する。

 

「試合をするとしたら永周さんはどっちとやりたいですか?」

「克巳君と独歩氏には申し訳ないが、私はボクシングの方が興味深い」

「まぁ、たかが100年の研鑽であそこまで技術を高められちゃあな……ってとこか?」

 

 独歩さんの言葉に永周さんは頷く。

 

「そう、たった100年だ。拳打にのみ集中したとはいえ、たった100年であの領域にまで昇り詰めたボクシング……武術家、拳法家としては称賛せざるを得まい」

「それには同意だわな」

 

 そんな会話をしていると克巳君とJr.の試合が始まった。開始と同時に克巳君が前蹴りで金的を狙うが、Jr.は半身になりながら回避と同時にジャブでカウンターを放つ。

 

 辛うじて手を間に入れてジャブのダメージを軽減した克巳君は一転前羽の構えで守勢に転じる。

 

「はぁ……あぁまで意識を金的に向けてちゃ奇襲がバレバレじゃねぇか」

「逆に金的を意識させる意図かもしれませんよ?」

「だから甘いんだよ。金的で決めるぐらいの覚悟はしろってんだ。負けるぐらいなら勝ち方を選ぶ必要はねぇ。勝ち方を選べるのは強ぇ奴だけだ」

 

 独歩さんらしい言葉だ。けど俺は克巳君の戦い方も嫌いじゃない。克巳君は間違いなく空手家だけど、その戦い方に少しプロレス的な要素を感じるからだ。

 

「全く、誰に影響されたのやら」

「すみません」

「いいさ、良意を克巳にけしかけたのはオイラだからな」

 

 

 

 

side:愚地独歩

 

 

 やれやれだな。息子の成長は嬉しいが、勝ち負けに対しての意識が薄くなってるのはちといただけねぇ。若ぇんだからもっとガツガツと勝ちを狙えばいいものを。

 

 けど悪くねぇ変化でもあるんだよなぁ……。俺好みじゃねぇけどよ。

 

 Jr.のワンツーを両手で捌くと克巳が下段蹴りでカウンターを狙うが、Jr.にステップで避けられる。

 

(かぁ……そうじゃねぇよ。ワンツーを捌いた反動で突きを打てるだろうが。)

 

 受けと攻撃を両立するのが武道であり武術だ。それで言えば克巳の空手はまだまだってとこだが、ちょいと前と比べりゃ断然良くなってもいるんだよなぁ。

 

(成長著しいからこそ感じるこのもどかしさ……贅沢なんだろうが、悩ましいねぇ……)

 

 試合が終わってみれば、結局克巳の攻撃は相打ちで中段突きを一発決めただけ。まぁ、それでも今は十分か。

 

(ったく、負けたってのに満足そうな面して寝てやがる。世話の焼ける息子だぜ)

 

 大の字に寝てる克巳を抱え上げると治療室に運ぶ。

 

「さて、次は俺の番だな。準決勝の相手は烈海王……中国拳法の雄との試合を楽しむとするかねぇ♪」




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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