さて擂台賽の準決勝の1つ、永周さんと独歩さんの試合だ。本当は俺とJr.の試合が先だったんだけど、Jr.が克巳君にいいのを一発貰ってたから試合の後回しをお願いすると永周さんが……。
『私は一向に構わん』
と言って永周さん達の試合が先になったんだよね。
「三浦さんはどっちが勝つと思う?」
「独歩さんかな」
2人にそれほど実力差は無い。けど経験には大きな差がある。
永周さんはその経験差を埋めるセンスを持っていると思うけど、独歩さんにはそれ以上の強かさがある。だから今の永周さんが勝つのは難しいだろうね。
それに……独歩さんには師父の頬に傷をつけるほどの打撃がある。おそらくはあの特殊な形の拳での一撃なんだろうけど……あれでどんな風に師父の消力を打ち破ったのかは想像がつかないな。
とまぁそんな感じのことを刃牙君に話すと、刃牙君が独歩さんの特殊な形の拳がどんなものかを聞いてきたので見せてあげる。
「変な形だなぁ」
「そうだね。少なくとも俺には合わないよ」
「こうだろ?……うわっ、変なところが力んでパンチに全然キレが出ない」
刃牙君があの拳の形で軽くシャドーをしてみるけど、普段の刃牙君のパンチのキレと比べると雲泥の差だ。
「けど独歩さんにはその形が合う。人体の不思議なところだね」
「うん、そうだね。あっ、始まった」
刃牙君の言う通りに独歩さんと永周さんの試合が始まったのだった。
◆
side:烈海王
愚地独歩。日本の武道である空手を修める拳雄。
虎殺しを始めとした数々の噂は我が中国拳法界にまで伝わっていたが、この目で見た独歩氏の実力はそれらの噂が嘘ではない、あるいは過小評価であったと証明するものだった。
「どうした、来ないのかい?」
両手を大きく上下に広げる攻撃的な構え。受けに自信があるからこその構えか、あるいは独歩氏の好みによるものかはわからないが、私を警戒させるだけの圧を放つ程に堂に入ったものだ。
「仕方ねぇ、それじゃ俺から行くとするか」
不意に構えを解いた独歩氏がズカズカと歩いて近付いてくる。反射的に足刀で膝を狙うがそこに彼の足は無かった。
足刀を空振ったその刹那、顔をカバーしていた腕に衝撃が走る。辛うじて目にした光景は、独歩氏が跳び足刀をしていたものだった。
「おっ?やるねぇ」
なんでもないことだった様な様子の独歩氏。だが彼の放った跳び足刀はそんな生易しいものじゃない。少なくとも私には彼の跳び足刀の起こりが読めなかったのだ。
彼の武に対する警戒度を引き上げるが、果たしてどれほど対応出来るか……。
そんなことを思いつつ、私は自身が笑っていることに気付いた。以前の私では試合中に笑うなど考えられないだろう。
だが私は良意と出会って変わった。そしておそらく独歩氏も良意と出会って変わったのだろう。
「……良意との真剣勝負の場は譲れない」
「へっ、その言葉はそっくり返すぜ」
不敵に笑い合う私達の姿は見ている者達にどう映っているのだろうか?
まぁそれを気にしても始まるまい。今やるべきは巡り会えたこの好敵手に勝ち良意の前に立つ。それだけだ。
「改めて、中国拳法の烈海王」
「空手の愚地独歩だ」
「「行くぞ(ぜ)!」」
互いに踏み込むと私達は同時に拳を放つのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。