プロレスこそが最強の格闘技?   作:ネコガミ

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本日は1話の投稿です。


第4話『超実戦柔術家とプロレスラー』

 地下闘技場での試合まで残り2時間半程、俺は今飯を食ってエネルギーの補給をしていた。

 

 おじやを始めとした消化に良い物を腹にタップリ詰め込むと横になって休憩。そして試合まで残り1時間程となったところでスパッツタイプの試合用パンツに着替えてアップ開始。しっかりと身体を暖める。

 

「三浦選手、準備をお願いします!」

 

 スタッフさんに呼ばれて入場口に移動。さてさて、誰が相手なのかな?

 

 実況の選手紹介によるとどうやら相手は本部以蔵という人で超実戦柔術家との事。柔術家ねぇ……ブラジルの柔術とどう違うんだろ?

 

 まぁ、受けてみればわかるか。

 

 試合場に入り先ずはパフォーマンス。こういうファンサービスはプロレスラーとして当たり前だからな。

 

 太鼓が鳴って試合開始。おっといきなり金的か。流石は超実戦柔術家といったところかな?

 

 けど残念。武者修行で中国に行った時に師父から金的対策を教わっているんだよね。

 

 腹筋を操作して睾丸を引き上げるとそのまま金的を受ける。するとダメージの無い俺を見た本部さんは驚いた。

 

「その年でコツカケを使いよるかぁ……」

 

 水月、鼻下に喉等の正中線にある急所に次々と打撃を仕掛けてくるがそれらも全部受けていく。おっと、目突きだけは勘弁ね。

 

 う~ん……ここまで打撃を受けてみて思ったけど、これまでに戦った打撃系格闘技の選手と比べて本部さんの打撃は軽いなぁ。もしかして打撃は不得手で関節技とかの方が得意なのかな?

 

 というわけで本部さんに見せ場をあげるために右腕を差し出す。すると……。

 

「馬鹿がっ!」

 

 そう言いながら仕掛けてきた本部さんの脇固めをわざと受け、そのまま倒されて地面に腹這いになる。

 

 さて、ここからは俺の見せ場だ。

 

 空いている左手を地面につくと、そのまま片腕で倒立をする。もちろん本部さんも一緒に持ち上げてな。

 

 そして悠々と脇固めから逃れた俺は極められていた右腕をクルクルと回す。

 

 一見すると腕の調子を確かめているかの様に見えるだろうが、プロレスファンならわかる次の行動へのパフォーマンスだ。気付いてくれよ、本部さん。

 

 腕をクルクルと回しながらゆっくりと近付いていき、間合いに入ったら踏み込みラリアットをぶちこむ。うん、ちゃんとガードしてくれた。よかったよかった。

 

 ラリアットをガードした本部さんだがクルクルと縦に1回転半回って地面に落ちる。気絶はしてないみたいだがどうやら脳震盪をおこしたみたいで、フラフラと立ち上がってくる。

 

 後ろから近付き腹に手を回しクラッチ。そして……。

 

「ジャーマンスープレックス、いきます」

 

 そう小声で呟くと本部さんの身体をぶっこ抜いてブリッジ。ジャーマンスープレックスを決めた。

 

 うん、流石は柔術家。ちゃんと受け身を取ってくれたな。でも気絶しちゃったみたいだからここまで。

 

 ブリッジの状態から腹筋を使って起き上がる。そして観客の方に向き直ると……。

 

「いくぞーーーッ!」

 

 恩人である猪狩さんの勝利パフォーマンスを決めて会場を盛り上げたのだった。

 

 そういえば腕を取られた時に本部さんの手にタコがあるのを感じたんだけど……もしかして武器術が一番得意だったのかな?

 

 

 

 

side:本部以蔵

 

 

 あん?三浦との試合の事が聞きたい?あそこでの試合は表沙汰に出来んのに、おたくも酔狂な事だな。じゃあ、コーヒーの一杯でも奢ってくれや。

 

 そうだな……先ずは最初の金的だな。あれを決めた瞬間に驚いた。古い武術家ならいざ知らず、今時の奴でコツカケを出来るなんざぁ思いもしなかったからな。

 

 その後はあれだ、各所の急所への打撃。あれをやってる時に俺の頭には、ぶっといタイヤを巻き付けた樹齢ウン百年の大樹が浮かび上がってたぜ。

 

 こりゃ打撃じゃ話にならんと思ってた時に腕を差し出されりゃ、そりゃ『馬鹿がっ!』とも言っちまうだろ?実際に地面に倒して完璧に決めてたんだ。勝負あった。見栄を張って馬鹿を見たなと思ったさ。

 

 そしたらあいつは俺を乗っけたまま片手で逆立ちをしやがった。あんなことされちゃあどうにもならん。正直絞め落とすのも無理だと感じたぜ。

 

 それで三浦の奴が腕をクルクル回し始めやがっただろ?まぁ、俺もそれなりにプロレスを知ってるからな。嘘だろと思ったさ。けど、嘘じゃなかったんだよなぁ……。

 

 まるで衝突事故さ。車どころかトラックにでもぶつかられたんじゃねぇかと思ったぜ。

 

 その後は正直に言って頭がクラクラしてて勝負にもなりゃしない状態だった。けど、立ち上がっちまうんだよなぁ~……。武術家や格闘家ってのは因果なもんさ。

 

 最後、後ろから組みつかれただろ?あん時に三浦は『ジャーマンスープレックス、いきます』って言いやがったんだぜ?そん時に思ったんだ。あぁ、こいつは間違いなくプロレスラーだわってな。

 

 そっからは気絶しちまって覚えてねぇ。まぁ、こうしてコルセット巻いて全治1ヵ月のムチウチ程度で済んだんだ。過去の俺によく稽古を積んだと誉めてやりてぇところだな。

 

 まぁ、三浦との試合の話はこんなところか。それじゃコーヒーごっそさん。間違っても記事にすんなよ?徳川翁に目をつけられちまうからな。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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