「さぁ、終わりだ。明日までに格惑星間における平和維持のレポートを纏めておく様に」
「アイン教官、アイン教官は戦闘訓練には参加しないのでしょうか」
一人の若いレッド族がアインと呼ばれたシルバー族に問いかける。
「…私に戦闘力を求めるな。私は……宇宙化学技術局志望なのだからな」
そう言って教壇を離れようとするアインに向かい、スペシウム光線が放たれた。何てことのない威力だが……先はどの言葉に怒りを覚えていたアインは光線を放った生徒に向かいスペシウム光線を放った。その威力は生徒から放たれたスペシウム光線を消し飛ばし、その生徒を吹き飛ばした。
壁に打ち付けられ、痛みにあえぐ姿にアインは言葉を告げる。
「…私に攻撃したか、光の戦士としては未熟者が騒いだか」
アインに恐怖する若き見習い戦士達、そして一人の戦士が破壊された教室に入ってくる。
「何事かと来てみれば…アイン君か」
「すみません。光線を撃たれたもので、つい反射してしまいました」
「……アイン、君はソレほどまでの力を持ちながら何故、ここで教師などしている?」
「…貴方も私を認めようとしないのか」
同僚の言葉に飽き飽きとしたアインはそのまま飛び立つ。彼はもう話すつもりなど無かった。
「あっ!アイン先輩!」
「タロウ、何を言っている。アイン先輩がこの時間から」
「……悪いな、寝かせてもらっていたよ」
アインの目の前にはレッド族の若き戦士とブルー族の若き科学者が居た。
「タロウ、トレギア、私は……もう、この国も星も嫌になってきたよ」
「そんな!先輩はどうするつもりで」
「そうです、アイン先輩程優秀な科学者はヒカリ主任以外にはいません」
褒めてくれる後輩二人に感謝を述べながらも、彼はその意志を変えることは無かった。帰り際、アインはトレギアに一言言いタロウと二人きりになる。
「…タロウ、大隊長に伝えてくれ。明日、プラズマスパークを頂きに参上するとな」
「アイン先輩!!」
アインはタロウにそれだけ告げると、一人で飛行し闇へと消えた。
「タロウ、アイン先輩はどうしたんだ?」
「トレギア、直ぐに父さんのところへ行こう」
「大隊長?そんなにまずいニュースが?!」
翌日、プラズマスパークタワーには厳戒態勢が敷かれていた。一人のウルトラ族の反乱、普段なら必要がないものであるが、そうせざる負えない程の実力者であった。
「…大隊長、お約束通りプラズマスパークをいただきに参りました」
「アイン、本気なのか」
「……もう、この国にいる理由は無いのです。さぁ…行くぞ、ウルトラマンケン!!」
八つ裂き光輪を両手に出現させると、それでケンの肉体に斬りかかるアイン。それをケンは弾き、言ってのける。
「止めろ、私には効かない」
「ええ…そうでしょうとも」
アインはケンに勝てると微塵も考えていない。
「例えば……銀十字が襲われでもしたら」
「ギャァァァォ」
「ゼッ…トン」ピポポポポポポポ
「やれ!ウルトラ族を滅ぼせ!」
「アイン!何を」
「…マグマ星人による光の国の攻撃部隊ですよ。良いんですか?民間人が」
「大隊長!」
「…アイン、お前もベリアルと同じ道に進むのか」
「ベリアル、さぁ…ただ…あの人は憧れですよ」
ケンは攻めてきたマグマ星人達を倒すために進む。それ姿を尻目に、アインはプラズマスパークtタワーを登った。時折現れる警備隊員を気絶させ、遂にプラズマスパークに手が触れるとした瞬間、その男は現れた。
「止めろ、アイン」
「ここで、貴方が来るとは」
「アイン、止めなさい。その選択がどれ程の悲劇に繋がるか」
「…父さん、私は貴方を越えたかった」
「越えられる、お前なら」
「…不可能なんだよ。ウルトラマン、アンタは英雄だ。英雄の子供も英雄?そんなことは知らない。俺は…もう疲れたのさ」
そう言いながら、アインはプラズマスパークに手を伸ばす。すると、暖かい光が彼を包み込み、その姿が変化した。まるで、太陽の様に暖かな光だが、不思議とその暖かさをウルトラマンは感じ取れなかった。それ以上に、冷たい吹雪に晒された光という暖かくそして、冷たい光だった。
「アイン、その姿は」
アインの見た目はウルトラマンに瓜二つの見た目から変わり、白銀に輝き、心臓の様にカラータイマーが胸の中心に輝き続ける。体のラインもまるで血管の様に体中に駆け巡り、赤い光を放っている。
「…最後の手向けだ」
「アイン!」
ウルトラマンの叫びはアインには届かなかった。
アインは圧倒的な力でマグマ星人による光の国襲撃部隊を殲滅した。誰も見たことのないウルトラマン、しかしケンとゾフィーだけはアインだと瞬時に理解した。
「…アイン、プラズマスパークに選ばれたのか」
「違う、力の欠片を与えれた。俺は…もう、この国の戦士じゃない」
「何故だ、何故そこまでお前は」
「アイン?大隊長!アインってどういうことですか!」
一人のウルトラウーマンがアインの名を呼びながら現れる。その顔には、ただただ驚愕の表情が浮かんでいる。
「…アリア、俺の邪魔になる女」
「待って…アイン何を」
アリアと呼んだウルトラウーマンにスペシウム光線を放つ。爆発し、地面にヒビをつけながら転がるアリア。全員が、アインに対して拳を構える。
「…邪魔だ」
ウルトラ戦士達がなすすべなく倒される。しかし、ケンとゾフィーは自分達を超えたアインに何度も戦いを挑む。八つ裂き光輪を撃たれれば、それぞれがウルトラバリアーで防ぎ、各々の必殺光線であるファザー光線とM87光線を放つ。
しかし、アインはそれらを生身で受けて尚、平然としていた。二人のカラータイマーが赤く点滅し、危険信号を伝える。
「…ベリアルの再来だ」
「アイン」
ゾフィーが苦言を延べる中、ケンはアインがまだ本気を出していない事を理解した。
「ヘェア!」
「ぐお」
背中に激しい痛みがおこり、アインは振り向く。そこには怪獣退治の専門家であり、アインの実父であるウルトラマンが拳を構えていた。
「…もう、私はお前を息子だとは思わない」
「その言葉、感謝するよ。父さん」
ウルトラマンがパンチを行うと、それに返す様に、アインはキックを行う。激しい衝撃波を起こしながら二人の戦いがヒートアップしていく。
「ハァ!」
「ならば!」
八つ裂き光輪を八つ裂き光輪で相殺する。そして、瞬時にウルトラマンは八つ裂き光輪を出現させ、今度はノコギリの様に回転させ、近接戦を行う。
「…くっ……経験が違い過ぎる」
「私は…アインお前よりも5000年以上も戦ってきたのだ。舐めるな!」
「舐めてないさ!尊敬さえしている!だがな…俺がアンタになることはできないんだよ!」
アインは幼少期を思い出す、父が死んだと聞かされたときの事、父と練習したスペシウム光線、父に教えられた技の数々。
「はぁ!」
腕を十字に組んで、アインは全てに別れを告げた。ウルトラマンも同じだった。二人の必殺光線であるスペシウム光線はぶつかり合い、スパークを起こす。その地点から爆発が起こり、アインとウルトラマンは倒れ込んだ。しかし、アインのカラータイマーは点滅していない。
「勝て……くそ…」
アインは勝利した喜びよりも、虚しさに襲われた。そして、応援で現れたウルトラ戦士達の中に沈む。飢えを乾かす様に、虚しさをた埋める様に。
アインが光の国を去った翌日、銀十字軍は過去最大であったエンペラ星人との戦争時にも等しい怪我人を治療していた。違いがあるとすれば、全員が気絶させられたのみで、大きな怪我、それこそ復帰不可能な怪我は無かった為だ。
「…アインはまだ此方に戻せる」
「ゾフィー、無理だ。アインは既に闇に落ちた、ベリアルと同じだ」
「違います!」
「「…タロウ、トレギア」」
「大隊長、言わせていただきます。アイン先輩は戦うことが嫌いでした。何故、貴方方はあの人の戦闘面だけを見たのですか!アイン先輩は科学者として、教師としてです。ウルトラマンさん、アイン先輩は教鞭をとる貴方に憧れて座学教官となったのです!」
「アイン先輩はベリアルとは違います!ベリアルの様な冷酷さよりも、優しさと真に平和を願っています、それは変わらないはずです」
「…静まるのだ」
討論を続けるウルトラ戦士たちの前に、神にも等しい存在が現れる。ウルトラマンキング、ウルトラ族において知らないものはいない。ベリアルをいともたやすく封印した存在だ。
「…アインは光と闇その混ざりあった混沌の中にある。待つのだ、アインは…プラズマスパークに選ばれているのだから」
キングの言葉は戦士達に重くのしかかる。そして…時はすぎ一人のウルトラ戦士が地球へと派遣された。その名はメビウス、無限の名を持つ戦士と1を冠するウルトラマンの邂逅は近い。
ウルトラマンアイン 年齢1万3千歳
ウルトラマンを父親に待つウルトラ族。戦いを嫌う優しい人であったが、幼少期に父ウルトラマンに才能を見出され、望まぬ戦闘訓練を受けた。今回、大半のウルトラ族が自身を戦闘の面でしか評価してくれない事に苛立ちを感じていた。そして、教え子に光線を撃たれ、ついに怒りが爆発し、プラズマスパークを狙い、プラズマスパークに選ばれた。
必殺技はスペシウム光線