「アイン、お前という奴は」
「マックス、俺は何もしてないからな」
「はぁ…」
俺はアリアと宇宙を旅している時、何故かマックスに捕まった。
隣ではアリアとゼノンが頭を抱えており、嫌な視線を俺に向けている。
「エルフェン星の事だ、星自体から感謝状が来ているぞ」
「あぁ、あの星特有の奇病を調査した時だな。18年程研究して提出したんだが、どうなった?」
「完治まではいかなくとも大半の星民が救われたと。その後の研究で特効薬も発見されたとな」
「良かったじゃないか」
俺は本来は科学者や教師と言った存在なのだ、だから久しぶりに実力を発揮できて嬉しかった。
「……お前を式典に呼びたいと」
「だから速いお前ら二人か!」
俺とアリアは好き勝手に宇宙を渡り歩いている、エルフェン星の1件はアリアが偶然苦しでいる少年を助けたのが始まりだった。
元銀十字軍所属のアリアと科学者である俺の知識を使えば、惑星1つの風土病の試薬なら簡単に作れた。
あの試薬から特効薬が作られたのなら良い傾向だ、与えるだけでなく改良し自分たちの力にする。
それが必要な事だからだ。
「興味ない」
「だろうな、しかし必要な事だ」
「マックス、俺は宇宙警備隊の所属では」
「だが光の国の所属だ。お前はベリアルの様に追放された訳では無い」
「それは……そうだが…………」
俺自身、光の国2負い目がある。侵略宇宙人をけしかけたこと、宇宙警備隊のメンバーを傷つけたこと。大きいのはこの2つであり、それが自分の心を締めている。
「キングが執り成してくれなければ、俺はベリアルと同じだったか?」
「プラズマスパークに選ばれた者が何を言う」
「選ばれたんじゃない、認めさせたんだ。認めさせ、力の欠片を受け取った。それが思いの外、俺と馴染んだ。そして、より強くしたに過ぎない」
「ねぇ、アイン。一度エルフェン星に寄るぐらいなら」
「……違う、エルフェン星に行くのは良い。だが、その前に必ず行くべき場所がある。そこが嫌だ」
「それは…式典なのだからマントは必須だろう。諦めろ」
俺は諦め、光の国へと帰還した。
マックス、ゼノン、アリアと共に戻ると出迎えたのは顔見知りであるメビウスだった。
「アイン、帰ってきたんだね」
「……まぁな」
「ウルトラマンキングからお話があるって」
俺はウルトラマンキングと聞いて焦りが出た。
どうしても緊張してしまう、それほどにウルトラマンキングの名は大きいのだ。メビウスに案内された先ではウルトラ兄弟達がマントを身に纏い、まるで式典のように佇んでいる。
「来たか、ウルトラマンアイン」
「キング、何用でしょうか」
かつて父であるウルトラマンから学んだ礼式でキングと対面する。緊張と焦りが見え隠れし、平常心を保とうとするが、どうしてもうまくいかない。
「ケン、ゾフィー」
「アイン、お前の行動に対する感謝状が300以上の星から届けられている。科学者だけでなく、医者としての知識も多くあるようだな」
「はい」
ウルトラの父の言葉が終わるとゾフィーが続ける。
「それだけでない、お前は数多の侵略宇宙人。怪獣を倒し、星星を守ったな。これはアリアからの報告でも聞いているぞ」
俺は式典中にも関わらず、即座にアリアの方を向いてしまった。
ゴメンと謝る仕草に少しイラッとしたが、しょうがないと割り切る。
「医療技術の発展及び怪獣、侵略宇宙人の討伐。そして大量の感謝状にどうすれば良いか、俺とケンで考えた結果。キングからもお許しが出た」
「……アイン、お前にスターマークを授ける」
ゾフィーの様にスターマークが付けられていく。初だった、自分の全てが認められたのは。 力だけの自分は、自分自身が嫌いだった。でも、今回は科学者としての自分と、ウルトラマンとしての自分が、両方認められたんだ。力だけじゃない!俺の全てが認められた。
「アイン、私はお前を誇りに思うぞ」
「………当たり前だ、俺は貴方の……ウルトラマンの息子だ。実力はもとより、知性も他に劣ることはない」
「なに格好つけてるの?素直にお父さんに褒められて嬉しいって言えば良いのに」
「……」
スターマークが静かな輝きを見せる。そして、体内のプラズマスパークエネルギーが同調するかのように肉体がさらなる進化を遂げた。元々筋肉質だった自分の体は父親であるウルトラマンの様にマッシブに変化し、シルバーと赤い肉体の合間には金色のラインが入る。
「……昔は憎かったこの身体も、こうして……認められたと思うと、貴方と母さんの子で良かった。本当にそう思えます」
「……ありがとう、アイン」
光の国から旅立つ時、俺と関係があったウルトラ族達が見送りに来てくれた。ウルトラマン、タロウ、メビウス、ヒカリ局長、何故かトレギアは居ないが反逆者に絆等と笑いが込み上げてくるが、それ以上に嬉しかった。
「アイン、君はこれから」
「宇宙を回るさ、父親譲りの実力と!ヒカリ局長に憧れ、父に教わったこの知識、これは……何人にも劣らない」
「アイン、私は今は警備隊所属だ。局長ではない」
「……先輩、宇宙には彼奴が、トレギアがいるはずです。見つけたら……」
「家出か?私と同じだな。まぁ、見つければ連れてくる、私の大切な後輩さ」
「アイン」
「…父さん」
「アリアと幸せに生きろ、母さんもきっとそう望んでいる」
「……あぁ、守るさ。いい加減にエンゲージリングも贈りたい」
「それって………地球の文化よね?」
「嫌か?」
「……そんなことは無いけれど」
俺はそう言いながらアリアの手を掴んで宙に浮く。
「行こうぜ、警備隊でもできない事をしに」
「えぇ、旦那様?」
俺とアリアはマッハを越えて、光の国から旅立った。
だが、俺の目的地は地球だった。
「何故、地球に来たの?」
「…ずっと気になっていた事がある。あと、久々に生徒の顔が見たくなった」
「…へぇ、やっぱり先生が天職なのね。それで気になっていた事って?」
「エンペラ星人には暗黒の鎧という物があった。もし、ソレが地球にと思ってな」
「心配性ね」
そう言いながらもアリアは隣に立ってくれる。見慣れた校舎、地球では2年しか経っていなかった。どうやら何処かでワームホールか、それとも…いや、時間の超越について考えるのはよそう。
(皆は今小学4年生だろうか)
「あっ!アイン先生だ!」
一人の少女がそう言いながら近付いてくる。それだけじゃない、見慣れた顔の少年少女が未だにアインを先生と呼んで来てくれる。
「アイン先生!おかえりなさい!」
「あぁ、ただいま。アユミちゃん」
「あのウルトラマンのおねーさんも居る!」
「し〜!駄目よ、ソレは秘密なんだから」
「「は~い」」
放課後、下校時間に来たのが良かったのだろうか。
子ども達と久し振りの団欒を行えた事に感謝する。
暇も無かった。
「ギャーーーオ!」
「ゴモラ!父さんを苦しませた怪獣か、アリア。子供達を頼む」
「一応言うわ。…負けるんじゃ無いわよ」
「当たり前だ!」
ベータペンシルを掲げ、俺は再び地球の大地を踏みしめた。
「シュワッチ!」
「ウルトラマンが出現!」
「なんだって!」
「あのウルトラマンは……ウルトラマンアインと思われます!」
「シェア」
ゴモラに対し、俺は父さんと同じようにファイティングポーズを取る。奴の尻尾は強力だ。事前に撃破しなくては。
「ギャーース」
「ウェア?!」
だが、ゴモラの反対側。つまり、俺の背にレッドキングまで出現する。背中に巨岩が当てられ、痛みにふらつくが建て直す。2対1、だがこの程度の逆境など慣れている。エンペラ星人はもっと怖かった。ゴモラとレッドキングが同時に突進してくる、なら簡単だ。上に飛べばいい。ジャンプし、2体の頭上からキックを与える。俺は慣れている、怪獣程度に負けるほど弱くない。
「ヘェア!」
両手に八つ裂き光輪を出現させ回転させる。レッドキングがビルの破片を飛ばしてくるが、ソレを手にした八つ裂き光輪で破壊する。土煙の中からゴモラの尻尾が飛んでくる。
だが、予想できていた。俺はスライディングしながらゴモラの尻尾を切断する。地面に落ちた尻尾はバタバタとカナチョロのように動き、更には攻撃までしてくる。だが、俺は知っていた。
そのまま八つ裂き光輪で垂直に二枚切りにする。
怪獣への容赦など要らない。
「ヘェア」
スペシウム光線を放ち、戸惑っていたゴモラを撃つ。
レッドキングは爆散するゴモラを見て覚えたのか逃げようとするが、俺が逃がすわけがない。
「ギャお…ろ」
スペシウムブレード、メビウスやヒカリ主任をリスペクトした技だ。レッドキングの胴体を貫き、そのまま横薙ぎに切り裂く。
「シェア!」
苦しむ素振りを見せた瞬間、スペシウム光線でその肉体を破壊した。
「……シュワッチ」
俺はアリアと生徒達と共にフェニックスネストに向かった。
「だめたよ、民間人は」
「…私はM78星雲から来たウルトラマンだ。通してもらいたい」
「そんな嘘」
ドン
警備員の前でウルトラマンアインの姿になれば、腰を抜かしGUYSのメンバーを呼びに行く。
その隙に変身を解いて人間態になる。
「先生、ウルトラマンなのは秘密じゃないの?」
「良いんだよ、それよりも……」
「あっ!ガイズのおじちゃん」
「おじちゃんじゃない!って…アンタ、ありがとうな。ゴモラとレッドキング」
「…まさか、かつて同化した人間が隊長までなっていたとはな。ヒカリ主任も鼻が高いだろう」
「…ウルトラマンにそう言われると悪い気はしないな。そう言えばなんで地球に来たんだ?」
「なに、嫌な予感がしてな。それよりも見たか、俺のスターマークを!やっとだ、ヒカリ主任とゾフィー隊長の様に認められた!力だけじゃない、俺の知識と技術が」
「スターマークが何か分からないけど、勲章みたいなもんか。おめでとな、アイン」
「あの、貴方はウルトラマンアインなんてすよね?!」
「なんだ、見覚えのない隊員だな?君とは会ったことは」
「…俺の実家がディノゾールとメビウスとの戦闘の場にあったんです。あの時、貴方が直してくれたから、父さんと母さんは住む場所を失わずに済みました。だから……あの、ありがとうございます!」
「「ありがとうございます!!」」
他の隊員達も一斉に感謝を伝えてくる。
こう、面と向かって言われるのは気分が良い物だ。
「…以外だな、メビウスを攻撃した事を咎められると思ったが」
「貴方は俺達の生活も考えてくれた、あの時、皆ウルトラマンが帰って来て!怪獣を倒してはしゃいでた。その後の生活なんて考えてなかった。でも!貴方は助けてくたんです。俺達の生活を、日常を守ってくれたんです。それに、メビウスの地球での先生なんでしょう?」
「先生……か、確かに彼奴にラーメンやら食事、一般常識は教えたが………う~む」
「ミライが話してたぜ、世話になった友人だって」
「メビウスが……そうか、彼は今ウルトラ兄弟の一員だ。君達のことも忘れていない。地球での一時はメビウスの心を成長させただろう」
つい、年甲斐にも無い言葉を言ってしまう。
「それで、なんで来たんだ」
「あぁ……懸念を一つでも無くしたくてな」
アインは静かに語り始めた。