ロズワード聖に転生した件 作:tanaka
ペガパンクに作らせた二つの機械を持参し、海軍船で巨人の王国エルバフへ向かう。
護衛として付いて来た将官は海軍本部少将゛仏のセンゴク゛と海軍本部中将゛黒腕のゼファー゛、さらに、海軍本部大将白鯨。
行軍中、三人は終始ピリピリとしていた。
何故かって?
そりゃ、巨人族相手に天竜人(バカ)がバカなことしないか心配だからだよ。
巨人族は誇り高き戦士の一族。生まれたばかりの子供から死ぬ間際の老人に至るまで命を惜しむような奴はいない。下手な行動をすればエルバフにいる全ての巨人が敵になる。相手が天竜人だったとしても、例外ではないかもしれない。
まあ、俺はそんなバカなことしないけどね。
★
エルバフに着いた。
当然の事ながら歓迎はされなかったが、いきなり襲われると言うことはなく、つつがなく、みなし子売りのカルメルと交渉を終わらせ、リンリンを購入した。
しかし、終わったからと、すぐにリンリンを連れて帰るってわけにはいかない。
機械が機能するかどうかをテストしなければならないからな!
流石に、聖地で暴れさせるわけにはいかないので、暫くはーーーー具体的には、リンリンが食い煩いを発症するまでは、エルバフに滞在する。
リンリンの食い煩いを機械で止められなければエルバフが半壊することになるんだが、致し方ない犠牲だろう。
我ながら本当にゲスである。でも、改めるつもりはない。これが俺という人間だ。
★
リンリンの暴走を待つまでの半カ月の間。
俺もただ徒に時間を浪費してたわけではない。
高い金を払ってマザー・カルメルに協力してもらい、リンリンの好感度をせっせと上げていた。前世で乙女ゲームを嗜んでいた俺にとっては容易いことだ。まあ、お菓子を貢いでいただけだけど………。ちなみに、関係ない話だが流れでリンリンと仲の良い羊の家の子供達や巨人族の少女ゲルズとも仲良くなった。
最初はリンリンを含め、俺の奇特な服と物々しい護衛に皆警戒していたが、今では近づくとわあ!と歓声を上げて寄ってくるようになった。
「あ!ロズワード様だ!お菓子頂戴ー!」
「僕もー!」「私もー!」
「はいはい。焦らなくてもお菓子は逃げないよ。」
机の上に今朝専属料理人に作らせたお菓子を広げる。
お菓子に夢中になる子供達をニコニコと眺めていると、聖母のような優しい笑みを浮かべたカルメルが俺の隣にやってきた。
「すっかり馴染んでるねえ。まるでサンタクロースだ」
カルメルとは、タメグチを聞く仲になった。敬語ってのはどうも苦手だ。
「サンタクロースは辞めてくれ。無償の慈悲を掛けてるわけでもない」
「見返りはリンリンの忠誠かい?」
「ああ、アンタだって分かってるはずだ。子供の頃に植え付けた感情ってものは中々に消えないものさ。俺は今リンリンにそれを植え付けてる最中なんだよ。お菓子なんて手段の一つに過ぎない」
「アンタ、ろくな死に方しないよ」
「アンタ程じゃないさ」
「そうかもね。だが、地獄の沙汰も金次第って言うだろ?だから、私は金を集めるのさ」
ロズワードとカルメルは周りに聞こえない様にゲスな会話を重ねる。
慈愛と慈悲に溢れた顔は崩さずに。
どこまでも冷たい言葉を吐く。
彼等の本心に気付くものはいない。
「ところで、ロズワード聖。あの悪魔の実誰に食べさせるんだい?」
「当然、リンリンだ。だが、悪魔の実は酷く不味い。どう食べさせようか困ってるところだ」
「゛私と同じ゛特殊な能力者になれるって言ったら喜んで食べるだろうけどね。」
「俺もそう考えていたんだが、………リンリンも浮かばれないな」
「心にも無いことを。で、いつ食べさせるんだい?報酬があるなら協力は惜しまないよ」
「今はいい。機械の有効性を担保するまでは食べさせるつもりはないからな」
「そうかい。まあ、私の力が必要になったら何時でも呼んでくれ。受けるかどうかは金次第だけどね」
そして、数日後、原作通り、リンリンは食い煩いを起こしたが、機械は正常に作動し、騒ぎになることはなかった。
こうして俺はリンリンを手に入れ、聖地に戻るのだった。