ダンジョンを脱した後、自分たちは地響きを調査しにきたという部隊に救助されることとなった。
事と次第の内容が内容だった為に一連の状況報告を行うべく、団長と共にライン侯へと謁見の場を持たれ、その際に一通りの説明がなされた。
それは、今回の騒動に合わせて、東西公爵の嫡男に対して暗殺がなされるという計画があったという事だった。
その計画を阻止するために、首謀者を炙りだそうという作戦が練られ、今回の戦争ともいえる騒動を作り上げていたとの事だった。
そして、本陣において事件が起きた際、首謀者と思われる人物たちがまるで解っていたかの様に一斉に連行される形となり、一部の貴族は軽いモノでお家取り潰しに、関わった平民に関しても軽い物では労働奴隷としての罰を受ける形となっていた。
それ以上の説明はなかったが、罪が重い者はたぶんこの世からサヨナラという内容をチラホラとにおわせてくれていたので、そういう事だと思われる。
「泳がせていた甲斐があったというものだ」
「しかり、しかり」
とは、ライン侯の言。
どうやら、ここまでライン侯の作戦であったみたいであり、両陣営の不穏分子をあぶりだす為に一芝居をうつ事にしたらしく、お互いの大将が雁首そろえる場も、作り出したということらしい。
また、そういった場をつくるにあたり、情報を集めるべく草を放ち、また逆に情報を使って操ってもいたそうだ。
あと、ついでの公爵のご子息に、痛いお灸をすえるという目的もあったそうで、剣才さんがその役目という形だったそうだ。
それにしても、剣才さん、本気で殺しに来てたんじゃないんですかね・・・
「殺すつもりでやらんと、お灸にはならんじゃろ。邪魔者は
と豪快に笑ってらっしゃったのは剣才さん談。
聞いちゃいけない事を聞いてしまった気分です・・・。
にしても、そういった情報が一切こちらには流れて来ていない状況はどうなんだと思ったが、知られてしまって下手な芝居を打たれるよりは、という事らしかった。
その内容に関しては、納得はしたくないが、理解はした。
なにせ、"天災"さんにそんな腹芸ができるかと問われれば、"天災"を知っている人物はみな「無理」と口をそろえて答えるだろうし。
もしも、"天災"さんに腹芸が"出来る"か"出来ない"かの賭けが起きたとしたら、もちろん自分も"出来ない"方に賭ける、全財産を。
「まぁ、お前の防御魔法に関しては、色々と融通が利きやすかったからな。あと"天災"がいれば
と、団長からお言葉をいただいた。
そんなさわやかな笑顔で言われても、こちらとしては死ぬんじゃないかと必死だったんですよ!
もう、あんな体験はコリゴリである・・・
そうして、この大きく回りを巻き込んでいた戦は、この暗殺未遂事件によって一応の結果を残して幕を閉じる形にはなった。
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あれから、傭兵団の拠点へと戻った際に、自分は休暇願をすぐに出した。
報酬と慰労を兼ねてという事で、前回の騒動を盾に長期休暇という自分なりの理論武装を持参して提出しにいってみたのだが「ああ、いいぞ」と、あっさりと受諾された事に拍子抜けをした。
ただ、この慰労のためという休暇願というのは建前で、実は次の職場を探す旅というものを慣行するためである。
これ以上この傭兵団に居続けたら、体がいくらあっても足りない、足りなさすぎる、もういやだ!常識を返してほしい!自分に安寧があってもいいじゃないか!!
そう、こうなれば未知なる食材を使った屋台など・・・そうだ、新たに交易がはじまったという東へ向かうに限る!!そうだ!東へいこう!
そう決意を固めて、意気揚々と大門から出た途端、
「飯屋!おそかったな!いくぞ!」
自分に対してふりかかってきた声で、先ほどの決心が一気に霧散していった。
そうして、ゆっくりと声のする方を向いてみると、案の定そこには"天災"さんがいて、
「天災・・・さん?なんで、あなたがいるんですか?それに、ナニしれっとついてこようとしてるんですか?」
うん?何でいるんですかね?
しかも旅支度とおぼしき手荷物まで持参している格好で・・・。
「休みもらった!」
「ああ、そうなのね・・・」
・・・って、いやいやいやいや、何で休みもらったからといって自分を待ってたの?ねぇ、なんで?!
そんな困惑をしていた最中に
「そうじゃそうじゃ、待っとったんじゃぞ?はよせんか!」
まるで追撃してくるかの様に、こんどは背後から声がしてくる
「えっ?なんで、剣才さんまでいるんですか!?」
「はっ?ワシがおったらいかんのか?」
と、その剣才さんの眼光による威圧が放たれ、すこしビビったりしたけれども、その背中にしょっている旅荷物を持っていたりする姿をみれば、嫌な予感的に何かが胃のアタリでキリキリし始めてくるのを感じてしまってくる。
「け、剣才さんも、ほ、本当に来るんですか!?」
「あ?こんな面白そうな
「いやいやいや、面白そうだからでこられなくて結構ですよ!?ほんとに!!っていうか、"てんさい"さんついてくる気満々なの!?」
やばい、本格的に痛くなってきた・・・そんな自分のことをよそに、剣才さんは今度は天災さんへと向き直り
「どうじゃ大娘、次の宿場街まで先にどちらが付くか勝負せんか?」
「めんどい」
「なら、晩飯に肉おごったるわい(飯屋がな)」
「のった!!」
「ちょっとまって!最後の方小さい声で自分が入ってるんですけど!?」
というか、人の話きいて?ねぇ、聞いて?
「あと、大娘はワシに勝ったんじゃ、飯屋を抱えるハンデがあってもよいじゃろ?」
「わかった!!」
"天災"さんの快い返答と共に、自分の身体が急にフワッと浮いたかたと思うと、わきの下にかかえこまれる格好の位置にいたり・・・
「ってぇ、へぇっ!?」
「しゅっぱーつ!」
「おおー!」
「おおー!じゃないよぉぉ、って、はやっはや・・・た・・・たす・・・たすけ・・・だれか助けてぇぇぇ」
澄んだ青空の下、入街する為に並んでいる人たちの視線を浴びながら、大柄な女性に担がれた人と老人が、砂煙をあげながら、
「だから、ひぃがぁしぃだぁぁぁってぇぇぇぇ!!ひがしぃ!!!!」
過去に別の場所にあげていた物を、もってきたものです。
当時は、連載している別作のネタを考えているときに思いつき、勢いだけで書いておりました。
なお、この物語はこれで一旦終わります。
楽しんでいただけたのならば、これ幸いにと存じます。
ただ、彼らの活躍(?)が今後ふたたび出てくるかは・・・わかりません。
しかし、二人の"てんさい"(【歩く"天災"】と【剣の"天才"】)の相方となった(されてしまった?)主人公にとっては、非常識な未来しか残されていないのかも……しれません。