自分の相方は"てんさい"と呼ばれています。   作:zaq2

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巻込まれるは波乱事

 "天災"さんが、わざわざ"敵"と称した。

 

 

 まぁ、"天災"さんにしてみれば、直感で感じた事をそのまま口にしただけだとは思うけれど……

 

 それでも、そう事を言うという事は、つまるところ"天災"さんの常識に当てはめれば「強い相手」という意味に他ならないという事になる。

 

 それに、「強い相手」と"天災"さんに認識された相手といえば、"天災"さんが一言も「敵」とすら認識しなかったドラゴン種に対し、その首を一刀の元に胴から切り落とすという、とても信じられない光景を見せつけられてしまえば、その行為を行った人物に対して"天災"さんがそう感じるのも納得もしてしまう。

 

 

 

 ドラゴン種すらも単騎で倒す者……

 

 

 

 そんな者がこの世界に存在するとは耳にはしていたが、まさか目の前でその行為を繰り広げた人物が、それに当てはまるとは思えなかった。

 

 なにせ、こちらに歩いてくる人物からは、初老を通り越して完全な白髪老人といってもいいぐらいの見た目で、身体つきも老人のソレに近く、うちの用兵団の筋骨隆々でイカツイ奴らとは真逆の、やせ細ったいまにも倒れそうなというぐらい、貧相ないでたちだったからだ。

 

 

 そのような恰好にもかかわらず、その白く長く伸びた鬚と長い眉毛の下からは、何物をも見透かす様な鋭い眼光をこちらに向け続けており、そのするどい眼差しは、こちらをその場から動けなくさせる程に・・・

 そんな中、動く物体が視界に入る。

 

 "天災"さんだった

 

 自分たちは、相手の威圧ともいう代物から逃れないくらいに束縛されているの対し、"天災"さんといえば束縛なんて物が一切ないという感じで、いつもの得物である大剣を()()()()()()()、ただ手に携えたまま、まるで自分たちへの壁にでもなるかの様にその人物の前へと歩みでていた。

 

 

「そんな嬢ちゃんが相手とはな、ワシも耄碌扱いされたもんだ」

 

 

 見た目老齢、どこにでもいそうなそれ相応の年を重ねたともいえる見た目にも関わらず、その発せられた言の葉にはしっかりとした芯となる重みがあり、さらなる殺気とも思われる雰囲気をさらに強く醸し出していた。

 

 そんな人物が、こちらを睨みをつけているというのは、見えなくても雰囲気ではっきりと認識できる状態であり、こちらは動こうにも動けない……自身の視線もその雰囲気を発する方向から外す事すら許されない。

 

 余所見する余裕がない。

 

 そういう感覚としての危険を発し続けざる得ないといえる状態だった。

 

 

 対峙している人物は、一体どれほどの人なのか……

 そう、自分の知識を探しているのだが、これだけの事を行う思い当たる人物が出てこない。

 

 今迄、天災さんと一緒に行動する時間が多かったためなのか、そういった危機的状況というのは……そういえば、あまり無かった気がする……?

 

 今迄の事柄を手繰りよせては見る物の、なかなかに思考がまとまらない状況に陥りつつあった時、

 

 

「お、おい、あの方は剣才様じゃないか……」

「あ、ああ、間違いない……剣聖様だ……」

 

 

 と、偉い二人が何か震える声で、お互いがお互いその存在を確認しあっていた。

 

 剣才?剣聖?そういえば聞いたことはあることはある。

 

 けれどそれなら、生きていたらもう隠居するレベル以上の年齢ではなかったのでは?と覚えている知識を手繰りよせたたが、年齢はこの際すておいたとしても、ただ、その人物に剣を扱わせれば、誰も相手にならないとかいう存在だとか何とかいう話があったりし……

 

 

 いやいやまてまて、その実力云々の話は置いておくとして、一番引っかかる点は、なぜそういう人物がこのダンジョンに来ているのか?だ。

 

 

 単純に考えてみれば、救出に来たという線。

 一番可能性が高いのはその線だろう。

 

 だが、その相手が醸し出す雰囲気は()()()()()()という事を如実に語っており、二人ともその点は理解はしたのか、脂汗を流し始めていた。

 

 

 つまり、先ほど考えた線と真逆の内容、助けでなければ……消しに来たという。

 

 ダンジョン内部において、遺体はすぐに魔物たちによってきれいになくなってしまう。

 そういうダンジョンの使い方があるというのも、仕事柄知ってはいる。

 知ってはいるが……現状では納得したくはない。

 

 

 そう自分が考えていた一方で、視界に入っている"天災"さんはというと・・・

 

 

 その殺気といえる雰囲気を出し続けてる相手に向かって、()()()歩きだしていた。

 

 

 普通に、トコトコと相手に歩いて行っているんですか!?と思えば、その相手を手に持った得物を片手でゆっくりと横降りすると、そのぶつけた相手を壁方向へと吹き飛ばし……

 

 

「えっ?」

「はぁ?」

「へっ?」

 

 

 初撃ともいえる一撃が、あまりにもゆっくりと相手の胴体へとあたり、そのまま、まるで「よいしょ」という感じで横に吹き飛ばしている"天災"さんの行動に、三者三様に変な声が漏れざるを得なかった。

 

 

 相手は"剣聖"とも呼ばれている相手。

 

 

 そんな剣の腕では大陸一や今世一とも言える相手に、まるで剣を習い始めたといえる児戯以下にしか見えない速度の剣が、相手の胴体にあたり吹き飛ばしているという、信じられない光景が目の前で起きたのだから。

 

 そんな"天災"さんが行った行為によって、驚き以上に何が起こったのか、何をしたのか、と、いろいろな感情が出たことで、少しは状況を見まわせる格好にはなれた。

 

 が、それでも"天災"さんがトコトコと歩いて行く行動に視線がとられ、こんどもゆっくりと上から下へとその大剣を振り下ろされようと・・・いや、ふりおろすというか、重力に引かれるのを阻止しながら徐々に下げているという感じというか……それぐらゆっくりという感じで あんなゆっくりなのが当たる訳が……

 

 そんな中、剣才といわれている人物は、え?気付いていない?まるで気づかれていない様にしか見えなかった。

 

 なにしろ、天災さんの得物が当たるぎりぎりまで、相手は何もしていないのだから。

 それはまるで、"当たる事を受け入れた"みたいな……?

 

 

 しかし、当たるという間際、天災さんが振り下ろしてきた大剣を自身の剣で、まるで咄嗟という言葉が当てはまる動作で受け流して距離をとっていた。

 

 ギリギリの間で受け流す事に成功したみたいだが、その免れた"天災"さんの一撃はゆっくりと床に当たったと思えば、大きな衝撃音と空気の振動と共に石床にぶつかっては床を凹ませていた。

 

 

 あ、ダンジョンの石床って凹む物なんだ……粉砕になるわけでもなく……

 

 

 いやいやいや、普通は無いな。うん、無いな……

 

 

 そんな状況を見せられた後、お互いが一定の距離に離れては、また同じようにトコトコと歩いて行っては、ゆっくりと得物を振り下ろし、再びギリギリで躱しては、凹みを作り上げていた。

 

 そんな、何が起きているのかさっぱりわからない状況が続いたと思えば一転、今度は剣才と呼ばれる人が、天災さんへと切りかかっていった。

 

 先ほどとは打って変わり、ようやく剣と剣が打ち合うという、素人目からも想定できる内容が繰り広げはじめ、一合、二合と剣檄が交わっていた。

 

 うん、これが普通の戦いだと……思う……うん、たぶん。

 

 

 

 天災さんも、剣才とよばれている人物の剣激を先ほどまでのゆっくりした動作ではなく、ちゃんと得物を振り回して対応している、ただ、どこからどう見ても剣術という風には到底見えない。

 

 剣術とかの知識がない自分の率直な意見を言わせてもらえるなえば、ただただ得物をブンブンと振り回しているという風にしか見えないのはなぜだろうか……

 

 そういえば、今までこんな光景見たことなかったかな。

 

 たいてい最初の一撃でおわってたし……

 

 

 そんな、一応は常識的な、に見える受け対応をする様にもなっているみたいだが、相手の剣が天災さんの得物を受けるたびに、見るからに変な風に曲がっていったりする。

 

 というか、相手の剣が縦方向に曲がるって……どうなってるの?

 

 そんな理解しがたい状況が続いている最中にも関わらず、剣戟を繰り返す二人の会話が聞こえてくる。

 

 

 

「なんじゃ!?おぬし!一体なにモンじゃ!?」

「天才!」

「はぁ?」

「天才!!」

「どこがじゃ!!そんなものは出鱈目というモノじゃ!!」

「じゃぁ、デタラメの天才!」

「はぁ?!お主は馬鹿か?」

「馬鹿じゃない!天才!」

 

 

 その掛け合いみたいな話し声の内容で、何かもうどうでもよい雰囲気になってくる。

 たぶん"天災"さんは意味わかってないと思うな……うん……

 

 そして、かたやその一方では

 

 

「すげぇ……」

「剣才様を相手に負けてねぇ……」

 

 

 先ほどの"天災"さんと剣才さん?剣聖さん?とのやり取りで緊張がほぐれたのか、二人ともようやく平静を保てれる状況には回復してもらったみたいだが・・・

 

 というか、さっきから衝撃音と空気の振動ばかりで、どういう状況になってるのか自分ではだんだん目でおいきれてません。

 

 ただただ、当たりの石床や石壁に凹みが増えていっているという……

 

 うーん……このまま天災さんが暴走しちゃったら巻き添えになる可能性が否定できない。

 

 というか、そういう未来しか見えない。

 そんな未来予測が建てられる警鐘という危険信号から回避するには・・・

 

 

「とりあえず、彼女にここは任せておくとして……私たちは邪魔にならないように、出口通路の方に少しづつ移動しておきませんか……ね?」

 

 

 そう説明したら、二人は二人で顔を見合わせてから、まったく同じ動作で首を縦に振ってくれた。

 

 よかった、理解をしてくれて

 

 

 

 

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