ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない   作:37級建築士

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投稿が滞ってきた。直前のスタンドバトルやらベルの活躍で体力使いすぎましたのが原因です、トニオさんの料理で回復したい、そんな願望




Disc.10~夜を超えて

 

 

 

 長い、長い夜は終わりを迎えた。日は昇り、全てはとうに過去のこと

 

 村に立ち入った近くの街の衛兵たち、この一帯を占める小国の兵士と、そしてオラリオの冒険者までもがぞろぞろと並び、とある小規模な村に足を運んだ。

 

 そこには、すでに人の生きた痕跡もなく。ただ、焼け焦げた村の中を徘徊し、一応の調査のみを済まし彼らは去った

 

 その地に起きた異常、それは謎のまま終わり、彼らは不完全燃焼のまま帰路につく。知る由もない、知れるはずがない

 

 あの一夜のことを知る二人は、すでにこの地を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

 

 

 

「開けるわよ、いいかしら?」

 

 

 ノックを二度、返事はない。しかし、そのまま気にせず扉は開けられた

 

 部屋を開けて、そこにいたのはベッドで安静に眠るベルの姿

 

 

「……」

 

 起こしてはいけない。そう思い、徐倫は静かに部屋の扉を閉じた

 

「……本当にボロい部屋、シーツも穴だらけだしベッドはギシギシ、神の慈悲にしてもこれはクレームものだわ」

 

「…………」

 

「よく寝てるわ、ほんと……仕方ないものね」

 

 納得してしまう。あれだけのことがあって、まだ24時間も過ぎていない。その事実に徐倫もまたどこか受け入れきれていない

 もとより、徐倫はなぜこの知らない世界に現れたのかも知らず、また記憶の多くが欠落した状態

 

 むしろ、今の今までよく正気を保てていられたものだ。そう、内心で思い、また俯いて目を閉じため息をはいた

 

 ひとまず、ここで滞在している間、というよりベルが目覚めるまで徐倫は動けない。

 もとより行く宛もない身であったが、今はもう新たな問題に直面してしまい、選ぶ道も変わった

 

 スタンド使いの存在、そして昨夜のこと、このままでは終われない。終わらしてはいけない

 

 決断は必要、だが

 

 

「……ベル、あなたはどうするのかしら」

 

 

 傷つき、深く眠りについたベルの顔、そっと伸ばした手で髪を鋤くように撫でる。

 

 年は14、背もまだ延びきっていない、声変わりも不十分。あどけなさは抜けきらず、その上もとよりそういう外見の部類故、可愛らしいがまず思い浮かぶ少年の容姿

 

 触れて、眺めて、心が震えるのはなぜか

 

 遠い忘却のどこか、自分は以前にもこういった幼さに廻り合い、そして思いを寄せていた頃があったのか

 

 そう、徐倫はなんとなく思い、静かにベルに触れていた

 

 

「まだ、起きないわね」

 

 

 

 少し火照った肌。軽く熱もあるのだろうベルにできること、それを徐倫はしてやることに決めた

 

 起きた時、何か腹に入れるものでもあればなおよし。しかし、それを買うお金は手元にあらず

 

 

 

 それもそのはず、しかたのないこと

 

 今、徐倫とベルがいるのこのボロ部屋、ここはベルの村より少し離れた場所にある交易街の中にある寂れた教会、その慈善目的で建てられた無料の部屋

 

 着の身着のまま、財産なんてものは当然ない二人はどうにかここに駆け込み、そして最低限の施しを受けている状態。だが、与えられるのは雨風をしのぐ場所と朝の食事だけ

 

 

「……お金、稼ぐあてでもないかしら。身分不確か、履歴書に書くものも何もない。良い仕事なんてあるのかしら」

 

 

 ふと、そんな事をボヤいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が開かない。体は重く、何もする気が起きない。

 ひどい金縛りに合っている。そうして身動きはできないことをいいことに、あの日の記憶はずっと奥底でのさばってくれるのだ。あぁ、本当に恨めしい

 

 突然、何もかもが突然で、その上最後はなんとも締りの悪い結末。皆の仇のスタンド使いの男を捉えて、その悪行の理由でも聞き出せれば何か変わっていたのか

 

 全部、不完全燃焼のままで気持ちが悪い

 

 

 

 

 

………………。

 

 

 

 

 

 あの日、あの瞬間、徐倫お姉さんの腕を、そして敵スタンド使いの男を植物に変えた未知のナニカ、それは言葉を紡ぐ口もないのに、優しく僕らにコンタクトを取ってきた

 

 反応に遅れ、未だ状況が飲み込み切れていないのに、そいつは一方的に語り続けたのだった

 

 

 

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 

 

 

 

『……恐レナイデイイ』

 

 

 

 言葉が聞こえた。見た目の異様さとは反して、その声は清く澄み切っていた

 

 

 

『運命ハ決マッタ……祝福ヲ持ツ、君タチハ、近ヅイタ、ネハン、二』

 

 

 

 

「……ッ!!」

 

 

 徐倫お姉さんは身構えた。突然のテレパシー、とっさにスタンドの攻撃を予測する。だが、幾度警戒してもソレは何もしない

 

 ただ、静かに二人を見て、そして手を釈迦のように合わせているだけ

 

 

「……敵意は、ない?」

 

 困惑を隠せないでいる。すると、ソレはおもむろに合わせた手をほどく。その瞬間、男の手には何も起こらなかったけど、でもその瞬間に徐倫お姉さんの腕は元の腕に戻っていた。瞬きの瞬間、一瞬で挿げ替えられたように、その手には何も異常は無かった

 

 異常は無い。それはもう、何もかもが無かったかのように

 

 

 

「!」

 

 

「傷が、治っている……なにを、したッ」

 

 

 

 血だらけで、焼け焦げた跡も何もかも全部なくなっていた。徐倫さんの体に傷はない

 

 困惑して、またそいつを見た。敵意は無いのか、しかし理解しようにも異様な点はぬぐえない。距離を取ったまま、近づかずに静観する

 

 そいつは、僕らから顔を背け、何をするかと思えばおもむろに地面に落ちているなにかを拾った。拾ったものは、二枚の円盤

 

 僕が懐に収めていたものと同じ、その二枚を手にし、それはその掴んだ手の中へ溶け込むように飲み込まれていった。

 

 

 

「な、お前……そのディスクをどうするつもりだ!」

 

 

「……ッ」

 

 真っ先に反応したのは徐倫お姉さんだった。まるで、あのディスクなるものが何か知っているような物言い

 

 

 

 

……こいつはなんだ、いったい何なんだ?

 

 

 

 気味の悪い見た目、謎のスタンドは徐倫お姉さんを見ている。

 

 

 

 

『……ニル、ヴァーナ』

 

 

「!?」

 

 

 またも声を発した。ニルヴァーナ、そう名乗ったスタンドらしきそれは、徐倫とベルに続けて話す

 

 

『運命、君タチハ私ノ名前ヲ……知ル…………ソウ決マッテイル。ダカラ伝エタ……』

 

 

「何を言っている、お前は」

 

 

 

『今、理解ハ要ラナイ……器達ヨ、今ハタダ名ヲ示スダケ、運命二従イ、私ハ名ヲ告ゲル』

 

 

 

「運命、まるで全部見通しているみたいないいぶりね……それが、お前の能力なのかッ」

 

 

 

『……答エル運命ニ、アラズ』

 

 

 

「——ッ!?」

 

 

 

 憤り、徐倫お姉さんのこめかみにしわがいく。今にも殴り掛からんほどに戦意を向けるも、その一歩は踏み出せない。

 

 不確かなスタンド、という事はわかる。とくに、攻撃した瞬間に腕が蓮華、ロータスの花や蔓に変わったのは不可解だ

 

 何もできない。僕たちはこのまま静観することしかできない

 

 それも、あのスタンドの言う運命なのだろうか

 

 

 

『……運命ハ、君タチノ勝利ニ変ワッタ。ダケド、コノディスクハ渡セナイ、渡スベキデハナイ。運命ハ、モット先ノ果テニアル。得タイノナラ、君モ試練ヲ越エナクテハナラナイ。ダガ、今見エル運命ハ、試練ヲ受ケルコトハナイト示シテイル』

 

 

 

『ワタシハ去ル、君タチハ生キ残リ、最後ニワタシノ名ヲシル……コレガ、タッタ今ワレラガ立ツ世界ノ運命デアル』

 

 

 

 

『運命ヲ越エタ、祝福サレルベキ器達ヨ……私ハ、願ウ者、涅槃ヘノ道へ至ランコト、私ハ願ッテイル』

 

 

 

『道ヲ示ス、ソレガ私ノ祝福…………私ノ名ハ、ニルヴァーナ、ニルヴァーナ・ロータス……涅槃ノ彼方デ、君達ヲ待ツ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うなされていたみたいね、どうよ……起きれるなら水を飲みなさい」

 

「…………」

 

 

 目が覚める。眩しい燭台の明かりが視界に刺激を感じた。嗅覚は、焦げた風味をが鼻を付く料理と思しい匂いを受け取っている

 

 目が覚めている。眠気の感覚が全部吹き飛んで、すんなりと体は起床の負担に耐えている。

 

 よく眠れた。布団からだ身を出して、床のスリッパに足を通す。

 

 

「あら、もう歩けるのね」

 

「……はい」

 

「そう、やっぱり傷は無い……あいつ、本当に治したのか」

 

「……」

 

「ニルヴァーナロータス、そう名乗ったわね……覚えているかしら? もう、三日前のことだけど」

 

 三日前、その言葉に目が見開いた

 

「……長く寝てたみたいですね」

 

「いや、時折起きてたわよ。でもほとんど夢遊病ね……トイレの世話まではせずに済んだわ」

 

「…………」

 

 世話、その言葉から色々と推測される

 

 べたつかない肌、着替えもこまめに変えているのか。本当に、色々とお世話になっているみたいだ

 

 

「……すみません」

 

 

「いいわ、病人の看病も仕事の内よ」

 

 

「医者?」

 

 

「全然違うわ。縫うのはできるけど……私の場合は、そう、作業ね」

 

 

 遠い、どこか遠くを見る目

 

 

「……ベル、私はね、記憶が無い。でも覚えているのは、刑務所の壁、悔しい想い、そして……ディスクとスタンド」

 

「!」

 

「これからのこと、決めるためにも話すことは多いわ……ご飯を食べたら、少し話をしましょう」

 

「……はい」

 

 素直にうなずく、話をするというのならそれは願ってもない

 

 いまだ見えない先のこと、夢の中でもその不安はずっと拭えなかった。

 

 

 

……そうだ、決めないといけないんだ

 

 

 

 仇を取ったから、無事生き残ったから、それで終わりじゃない。もう、僕に帰る故郷も、僕を待つ皆もいないのだから 

 

 

 

 

>> to be continued




次回も会話パート、徐倫とベルの関係をより深めていきます。

DM方面で徐倫×エンポリオ以外認めない意見があったので、一応ここで釈明

1.エンポリオはアイリーンとすでに仲良くしてるし、今作で登場するのはあくまでIFの徐倫、だからセーフ

2.アナスイがいるやんけとも言われそうですが、まあいたいけな少年を可愛がるおねショタはノーカン、横取り恋愛アンチにはならないはず

と、そんな持論を述べております。好意的な解釈をしてもらえれば幸い、それでも無理であれば申し訳ない



本作で大事にしている要素、ベルが徐倫という魅力あって頼りがいもあるお姉さんと共に物語を進めること、これが大前提にあります。お姉さん×少年の尊いシーンを見せながら且つ、熱いジョジョバトルも書きたい、そんな本作でございます


長々と喋ってしまいました。次回の投稿は明日中には
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