ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない 作:37級建築士
Disc.12~初めてのオラリオ
オラリオに到着、予定した日程よりも数週間は遅れてしまったけどどうにかたどり着いた。荷馬車に頼らず、寄り道もしていたから当然と言えば当然だろう
夢に見た目的地、いつかはこの地に足を運ぶと思っていた。けど、それが一人じゃないとは予想できようか
僕は一人じゃない。失って、けど今は二人。本当に頼もしい人が傍にいる
血も繋がっていない、ただの他人。だけど、心のどこかで姉弟のような、言葉にはしないけどそんな思いを僕は感じている。空条徐倫お姉さんのことを、僕は信じている
二人で共に進んだ道、たどり着いた先で僕たちは何を見るのか、心が躍る。本当に、待ち遠しい瞬間だ
〇
一面に広がる草原、刈り取られて踏み鳴らされた人の道を僕たちは歩いた。途方もなく大きい城壁に囲まれた街、天を突くバベルの塔は見事としか言いようがない。
「……あの塔、今にも倒れそうね」
「有名ですよ。バベルの塔」
「なるほど、じゃあ倒れるの確定ね」
「……なんで?」
たわいもないやり取り、山と森を抜けてようやくついた目的地。早く宿でも見つけて足を休めたいと思う一方で、この未知に溢れかえった都会の町並みで観光気分に没頭したい気持ちが共存している。とにかく浮ついているのだ、徐倫お姉さんに首根っこを掴まれなければ今にも走り去って、結果迷子になっていたことだろう。
「……列、結構長いわね」
「そうですね。あれ、これ分かれてます?」
見ると、男女になって列が二分されている。最後尾に着くやオラリオの人と思われる衛兵らしき人の誘導に従い、気づけば徐倫さんと僕は離れてしまった。
「ベル、出てすぐ横で待ちなさいよ。迷子になっても探さないからね」
「はい!」
元気よく返事、すると周りから微笑ましそうに見る視線が、くすくすとした笑い声が。
「……坊主、あれお前さんの姉か?」
話しかけられた。屈強な見た目で、冒険者のようにも見えたけど背中に背負うモノは大鎚、村の金細工職人が持っていたものと似ていたから鍛冶師だと理解した
「はい、そんな感じの関係です」
「へえ、気の強そうな姉さんだ。けど別嬪さんだな」
「はは、そうですね……徐倫お姉さん、確かに綺麗で、かっこよくて」
……ちょっと、暴れないでくださいッ
「はあ! 今見たでしょ、この女がアタシのバッグまさぐったのぉよぉ……ちょ、衛兵さん!!アタシじゃなくてこっち、そこの女を……って、どこ触ってんだオラァッ!??」
……問題発生、確保!確保!
「……坊主」
「いえその、悪い人じゃないです……ですけど、その……失礼!」
列を飛び出し、暴れるお姉さんの元へ駆けつける。取り押さえる衛兵たち、そして徐倫お姉さんが指摘していたガラの悪い女性二人、ほくそ笑んでさらに怒りを焚きつける
「ちょ、徐倫お姉さん!落ち着いて、皆さんも手を離してください……その人、僕の姉さんなんです!!」
割って入り、必死になって止めに入る。さすがの徐倫お姉さんも僕が間に入れば拳は出せないのか、ようやく落ち着きを見せてくれた
「ベル、あんた」
「駄目です、問題を起こしたら余計立場が悪くなります……すみません、すみませんッ」
とにかく謝罪、亡き祖父がことあるごとに起こしてきた女性問題での謝罪姿から学んだ腰の低い謝罪。せっかくきたオラリオなのに、いきなり牢獄に放り込まれるなんてことは避けたい。
「……ベル」
「怒りはわかります。でも、徐倫お姉さんが掴まるなんてもっと嫌だ。おねがいです、今はどうにか」
「…………そう、そうね」
「は、わかってくれましたか」
「ええ、そうね……わかったわ、問題は起こさない。衛兵さん、もういいかしら、大人しくするわ。この子に誓って」
「……ッ」
ポンっと頭に手を置いて、そう徐倫お姉さんは告げてくれた。周りを囲む人たちは皆矛を収めたことを受け取り、口頭で注意。そして、ちゃんとこちらの意見を聞いてくれていたのだろう。衛兵の数名がからんできた女性二人に口頭で、けど意に介さずといった感じだ。むしろ、ちらちらとこっちを見て内心舌を出しているようだ。
「……」
見ている、徐倫お姉さんもそんなあいつらを見ている
「その、どうかなにとぞ穏便に」
「……ベル」
……ぎゅむ
「!?」
真っ暗になる視界、何をされたかはすぐ理解できた。抱き寄せられているのだ。振り向かされて、その豊かな胸に僕の顔が飲み込まれた
いったいなぜ、まさかストレス発散のはけ口か、そんな事を思っていたら
「……ボソ(ストーンフリー)」
「!」
口にした。その言葉は引き金だ。
口にしてすぐ、今度は悲鳴が起こった。僕には見えないけど、それは
……おい、なんだなんだ!
……うっひょ!あの女二人ヤバいだろ!ストリッパーがサービスでショーをしてやがる!!
……し、静まれ!! おい、そこの二人、今すぐいかがわしい行為を止めなさい!!
「…………ッ」
つんざく悲鳴は二人分、あの女冒険者二人、軽装で露出の多い出で立ちだったとはいえ、その身に着けたチューブトップやらプロテクターやらがきっと不自然に脱げてしまって、そして、あられもない姿を晒しているのだろう。
そんなことはありえるだろうか、いやあり得てしまう。そう、普通の人には見えない、不思議な糸で結び目でも解いてしまえば、きっと
……痴女め、オラリオの風紀を乱させてたまるか! 確保!!
「不思議ね、熱くて脱ぎたくなったのかしら。トップレスだなんて大胆ねオラリオの冒険者は」
「む、むぐぐ」
「あぁ、忘れてたわ……はい、もういいわよ」
拘束が解かれる。足りない酸素を補うために大きく細かく息を繰り返した
「あの、穏便に……って」
「穏便よ。誰も傷ついていないどころか皆ハッピー、これで問題はなし」
「……おねえ、さん」
「なによ、ちゃんと子供には見せないようにしたから。けど使い込んでたわねあの色、相当ビッチみたいだし案外恥ずかしがってなかったかも」
「そ、そういうことじゃなく……も、もうほんとに、あなたって人はぁああああッ!!!?!?」
〇
一難去って、一難をなすりつけて、そして今に至る。はれて入城を果たしたオラリオ、僕と徐倫お姉さんは今冒険者ギルドに立ち寄った後
そう、これから僕たちはファミリアを見つけるのだ。冒険者になるためには何を置いても先に契約、恩恵だ、ステータスだ。冒険者は神様の下で力を授かり始めてダンジョンに赴く、そうしないとまず始まらないとアドバイザーのお姉さんからは言われた。
「……リスト、これがおすすめの場所」
「なにそれ」
「エイナさんから貰いました。冒険者志望のハードルが低いファミリア一覧、地図も貰ったのでどんどん行きましょう」
「……ねえ、宿はどうすんのよ」
「後にします。紹介された場所はだいたい寄宿舎付きです。手付金がもったいないですよ」
「ふぅん、でもあんたのその言い分、そのリストのファミリアで合格できた場合でしょ。いけるの、あんた面接経験は?」
「面接?」
「……まあ、ベルに任せるわ。ええ、これもあなたの言う所の夢なんでしょ」
「はい、そうです夢ですよ。ずっと、ここに来ることを夢に見てきました。次はファミリアを見つけるだけ、いっぱいあるんですからきっとどこか見つかります!」
前向きに、確かに僕の見た目は頼りない細身の姿。けど、この旅の期間で何もしていなかったわけじゃない。徐倫お姉さんと一緒に、ずっと歩んできたんだ。
辛いこともあったけど、それでも前に進んだ。僕は、きっと成長しているはずだ
きっとうまくいく、そう信じられる理由はある
「さ、見つけましょう!僕たちのファミリアを」
~ 5時間後 ~
「……夕方ね」
「うぅ、ぐすん」
「……宿、取りましょうか」
「はい、うぅ……悲しい」
悲しきかな、全部うまくいくだなんて威勢よくしていたけど、結果は
「……リスト、全部×だったわね」
「い、言わないでください」
崩れ落ちる自信、夕日が降りかかって暖かいはずなのに心は冷え切っている。辛い
公園のベンチで座り呆けて、歩き続けの疲れが来て根が生えてしまった。あと一軒、最後の望み
「とりあえず、ハグでもしよっか?」
「……はい」
甘んじて、その優しい抱擁を受け入れる。泣きたくなるけど、涙だけはこらえてみせる。まだ、まだチャンスはある
最後の望み、そう。フリーの入団希望を提示しているファミリアの中で最も規模の大きい、つまりは大手
ロキファミリア、そのホームへと足を運ぶのだ。うん、優しくされて元気が出た、僕はまだ負けていない。
>> to be continued
今回はここまで、原作ではオラリオ来てから約一ヶ月で始まりですがもう少し下準備が続きます。
ロキファミリアで門前払いは定番、この辺りはダンまち二次のテンプレなので安心した展開、さあどこでジョジョテイストをぶち込もうか。