ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない   作:37級建築士

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深夜投稿、日常生活が偏るのは良くないと知りながらも夜型になってしまうジレンマ。


Disc.13~面接

 

 

 渡されたファミリアのリスト、そこに書いてあることごとくで門前払いを受けてしまった。一瞬、アドバイザーのお姉さん、エイナ・チュールさんを疑いもしたけどどうにもこれは仕方のないことのようだった。

 

 6件目の訪問で、率直に事実を言われてしまった。冒険者業は経歴を問わない誰でも始められる仕事であるが、決して経歴を軽んじたりしないという事実があることを。その上、ある程度の印象だけで不採用をバッサリ下してしまうのもこの業界では珍しくなくむしろ常識だって。

 

 言われて、当然異論はある。でも、考えてみればそれも当然のことだ。冒険者業は命がけ、ならば人選びは慎重になるし、さらに育成の期間やコストばかりかかって結果並みの冒険者では商売あがったり。それに、むやみやたらに雇って、それで負傷者やそれこそ死人を増やしては今後の応募に支障が出る。

 

 選ぶ側にも権利はある、慎重になるのは当たり前だということだった。

 これらのことは6件目のファミリアの門番さんから言われた言葉のうけおいである。納得せざるを得ない、なにせ見た目も背も普通の体つき、そしてなにより年若い

 否定される理由は重々承知、自覚はあるのだから

 

 これがまだ徐倫お姉さんだけだったら問題なかったかもしれないけど、でもお姉さんは僕と一緒以外は論外だと言ってくれたし、何より僕も望ましくない

 

 一緒に行くと決めた、だから同じファミリアに入ると決めた

 

 望みは薄くとも、情けなくとも

 

 

 

「……」

 

 

「ベル、面接はとにかく印象よ……自身を持って堂々としていなさい」

 

 

「はい!」

 

 

 背中を押されて、そして門徒を叩いた。裏口らしき場所の木製の扉、ノックをするとしばらくして

 

 

 

「……あの、入団願いに来ました。ベル・クラネルと申します」

 

 

 

 姿を現したのは、控えめに言って愛想の悪い面相の犬人、男性だ。喋る僕の言葉も半ばから面倒そうに視線をそらしている。耳は長く起てているが、どこか受け流しているように見えてしまう

 

 

「あの! 入団試験を希望します!」

 

 

「……金」

 

 

「え、あぁはい」

 

 

 言われるまま、僕は懐から麻袋を取り出した。

 

 

「えっと、費用が掛かるのですね。いくらで……って、あの!」

 

 

「割とあるな。まあいい」

 

 

「……ッ」

 

 

 金額はいくらか、そもそも試験料なんてあったか、そんな問いかけもするよりも前に男は僕の袋を見て、そして少しばかり笑った。でも、そのほほえみは良いモノじゃないと悟った

 

 

「ちょっとあんた、賄賂ならそれでいいけど……どうするの、私達の入団試験は許してくれるの?」

 

 

 耐えかねて、先に投げかけたのは徐倫お姉さん。

 

 犬人の男は、その言葉を受けてもまだやる気のない様子。ただけだるそうに欠伸をして、そしていきなり

 

 

「うるせえぞ、おまえらこそわかってんのか」

 

 

「!」

 

 

「ここはな、ロキファミリアなんだ。都市最大の派閥、オラリオ最強の冒険者たちが集う場所なんだ。そこに入りたいって奴は吐いて捨てる程いる。なら、当然必要だよな、フィルターの役目がこの俺門番の仕事だ」

 

 

「……で、でも……せめて試験を」

 

 

「あ? 無理だろ、言われてそのまま金の袋を魅せるような奴なんて負け犬根性の染みついた奴だ」

 

 

「!?」

 

 

 言うに事欠いてそれかと、さすがの僕も異を唱えたくなった。だって、そうされてしまえばこっちには跳ね除けることはできない。決定権を握られている相手に言われてしまえば、それは無理のない事

 

 せめて、その是非を問おうとしたが、懐にまだ収まっている段階でこの人はぶんどってきた。この段階ですでに理解は至った。僕は最後の最後でとんでもない外れを引いてしまった

 

 取られた額は4千バリスも無い金額、だけどこれは金額の問題じゃない。許せない、訂正したい、けれど

 

「何ふざけたこと言ってんだ!犬は手前の方だろうがぁあッ!!?」

 

 

 肩に置いた手、僕を後ろにやって徐倫お姉さんが前に出る。食って掛かって、男に対し詰め寄っていく

 

 

「や、やめてくださいお姉さん……乗っちゃ、だめだ」

 

 

「!」

 

 

「もう、行きましょう……ここ以外を、当たるべきです」

 

 

 憤る徐倫お姉さんを諫めて、僕は強引にその場を去ろうとする。これ以上、取り合って問題がこじれても厄介だ

 

 なんとなくだけど、理解できた。きっと、あの男はこの手の行為に慣れているのだろう。ならば、まともに取り合っても損をするだけ、そんな男がいるファミリアにどうして入るべき理由があるか

 

「……ふん」

 

 

 

 硬く、門が閉まる音が響く。こいつは迷惑料だって、閉じた門の向こうからそんな言葉が聞こえた気がするけど、今更確かめるのも億劫だ。関わるだけ無駄、負け惜しみに聞こえるけど実際そうだ。

 正しいのはこちら、むしろこちらから蹴ったと思わないと

 

 

 

「ベル、いいのあんた?」

 

 

「……いいです、違うファミリアを選びましょう」

 

 

 日はまだ落ちきっていない。諦めにはまだ一刻と少しはある。

 

 まだあきらめてはいない。リストに頼れなくても、入団募集を掲げているファミリアを探すぐらい、どうにかなるはずだ

 

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 

 

「……ねえ、もう日が暮れたけど」

 

 

「うぅ……でも」

 

 

「ベルはがんばったわ。でも、今日は諦めなさい……お疲れ様」

 

 

 肩を叩き慰めるお姉さん、日の暮れた住宅街の小道で僕はトボトボと歩いている。歩幅は隣がずっと早いのに、今場僕に合わせてくれている。情けない

 

「やっぱり、難しいのかな。ぼく、こんな見た目ですし」

 

 

 思い起こせば落胆顔ばかり、対応してくれたファミリアは大抵見た目から入っている様子だった。14歳、背丈だって平均も無い、言われても仕方ないけどせめてもう少しは図ってほしい

 

 ここに来る道中、オラリオにたどり着く旅路の中で何もしてなかったわけじゃない。僕なりに考えてできることを増やしてから挑んだつもりだったけど、けれどそんなことよりも何よりも先にまずは、身長か

 

 

「もっと、身長が欲しい」

 

 

「……」

 

 

 かける言葉は、無かった。お姉さんは無言で、そっと僕の頭を撫でてくれている。

 

 

「……すみません」

 

 

「謝るのは違うわ、そこは否定させてもらう……ベル、あなたはよくやってる。あの負け犬男にも載せられなかったし、あなたの方が大人っぽいわ」

 

 

「それは、徐倫お姉さんが短きぃいいいたたたたたッ」

 

 

 痛い、撫でる頭の上の手がいきなりグーになってそのまま地面を掘削するようにツイスト。うん、いたい、というかお腹が痛くなってくる

 

 

「べ~る~」

 

 

「ひぅ、ごめめめめんんさざい」

 

 

「あーら故障しちゃって……はぁ、いい加減疲れたわね。弟を苛めるだけでも一苦労だわ」

 

 

「いじめ、自覚合ったんだ」

 

 

 弄られるくやしさ、すっかり距離感が縮まったのはいいけど時折このようにイジワルもする徐倫お姉さんだった

 

 

「……宿、そろそろ行きましょう。適当に夕飯でも買って、シャワーも浴びたいわ」

 

 

「そ、そうですね」

 

 

「ベル、食べたいものはあかしら?」

 

 

「……食べたい」

 

 

 考える、すぐに答えを出したいけど如何せん頭がぐりぐり攻撃でまだしびれたままだ。痛む頭で、今は撫でられてちょっと和らいでいるけど、でもまだジンジンと痛む自分の頭で考えてみて

 

 

…………んッ?

 

 

 

「すん、すんすん……これ」

 

 

 

 思いだす、ファミリア訪問行脚中に立ち寄った屋台のお店、芋の揚げ料理でたしか、ジャガ丸くんとかいう名前の

 

 

「いいにおい、あの匂い……今日は、そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

…………はっは、はっは……ぁ、あぁ

 

 

 

 

 

 

「じゃがいも……お腹に溜まって香ばしい、そんな芋料理が」

 

 

 いいなぁ、と

 

 

 言葉の最後は言いきられる前に、先に

 

 

 

 

 

 

「だれかたすけてぇえええええッ!!!??」

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 突然の大声、振り向くとその方向からいきなりの突撃。受け止めた気もするようなしないような、ぶつかって目を覚ましたら病院のベッドの上という事は無い、無傷の僕はその場で受け止めた女性に

 

 

 

「あ、あなたは」

 

 

 

「どうか、どうかなにとぞお守りくださいというか助けてほんと助けて!!!」

 

 

 

「え、ええぇ」

 

 

 

「ぼくピンチなんだ、君男の子だろ、どうか助けておくれよ!これでも僕女神なんだぞ!!」

 

 

「え、ええぇ??」

 

 いきなりの救援要請、しかしこの女性胸部のパーツが異様に大きい事やら、いやそんなことよりも女神と言ったのか?

 

 黒髪にツインテールがなんとも元気いっぱいで天真爛漫な感じ。いったい、どんなトラブルに

 

 

 

「ベル!?」

 

 

 

「へ、お姉さん」

 

 

 と、そこに解釈が終わる前にもかかわらずまたも火は投じられた。誰かさんを抱えた僕を引き離し、そして離れた場所まで突き飛ばした。すると、二人は

 

 

 

「ど、どこに!?」

 

 

 

 消えた。たじろいで、雍也う顔を拝める段階でいきなり姿を変えた、いや消したのか

 

 

 

 何かが起きている。そう、考えていると、いきなり

 

 

 

 

…………グーグー

 

 

 

 

 

「————————ッ!?」

 

 

 

 

…………グーグー、グーグードールズ

 

 

 

 

「な、これは」

 

 

 

 何もないと思った、けど声は確かに聞こえている。場所を探って、そして今いるこの裏路地の通路の、ちょうど軒の塀の上に何かがいる。

 

 それはくすんだ黄色で、そして不気味な人形のようなデザインで、そしてなにより生物のような呼吸と、目線と、そして舌なめずりをしていた。子供が遊ぶ人形のような大きさ、けれどその指先には確かな血痕がある

 

 

 

……グーグードールズ

 

 

「ま、まさか……こ、これはッ」

 

 

 

 知っている。すでに経験しているからこそ身構えて、そして切り替えた

 

 

 

 

「……スタンド、なのか?でも、なんでいきなり、どうして!!」

 

 

 

>> to be continued

 




今回はここまで、次回初めての原作スタンド戦、これを乗り越えてベルは無事就職を果たせるのかどうか、お楽しみに

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