ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない   作:37級建築士

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ランキング乗ってました。嬉しさで天に上ります、位置を体で感じたらオーバーヘブンしますが悪しからず




Disc.15~姉を手に入れた兎の進歩

 

 

 

 バベルの塔、その最上階で女神は微笑んでいた。地上でうごめく哀れな民草に向ける寵愛の笑顔、はたから見ればそうとも見える出で立ちと振る舞いであったが、実際は違った

 

 見ているのは一点、視覚の映像ではなくより高次の、魂という概念を直に覗き見ることで広大な世界の一点を垣間見ていた

 

 女神フレイヤ、美の神としてこのオラリオの頂点に居座る彼女は楽しんでいた。見る先にあるのは三人と一神、危機を見て憂うこともなく、また救いを差し伸べる指示もしない

 

 ただ、面白い輝きを見て口角を吊り上げていた。

 

 今日、このオラリオに足を運んだ面白い存在、隣に立つ女もまた異質な存在であったが関心はあっても好意には至らない

 

 フレイヤが見ていたのは少年、ベル・クラネルの輝きだけ。未だ覚醒に至らない青い果実、その果実が身を熟したときどのような色を得るか、非常に楽しみで仕方ない

 

 

……知らないかしら、涅槃へ至る道

 

 

「……監視しなくちゃ、オッタル」

 

 

 語り掛ける。女神は己の眷属に淡々と命令だけを告げる。

 

 

「命令は監視ですか、それとも……施しなのですか」

 

 

「……いいえ、それには及ばない。手を貸すこと、力を与えることはしない、当分はね」

 

 

 楽し気にオッタルへと振り向く。ここ数日、いやここ数年といってもいい。こんなにも心躍る少女のごとき楽し気な女神を、オッタルは見たことは無かったと感じ取る。嫉妬は無い、ただそうだと理解して、そして一抹の憐みを名も知らぬ相手に送った

 

 

「スタンド使いは惹かれ合う、そうでしょうオッタル。なら、もうあの子の覚醒も近い……なのに、手を貸すなんて無粋なことは絶対あり得ない。あなた達みたいに、ディスクで覚醒させることもあの涅槃の伝道師に乞い縋りつくことはない。あの子はきっと、いいえ必ず達成するわ。そう、最高の日は来る……だから、今は見守りましょう」

 

 

「……御身の心の赴くままに」

 

 

「ええ、でも監視はお願い……アレの接触は望ましくないわ。行きなさい、オッタル」

 

 

「…………はッ」

 

 

 

 女神は気まぐれに、だが女神の意はなによりも優先される絶対の原則。眷属の指示を終えてフレイヤはまた窓辺に戻り、傍のロッキンチェアーに腰掛ける。

 

 特等席で、彼の成長を見届ける。火照る肌の熱を感じながら、女神は官能的な吐息を漏らすのだった。

 

 月を見て劣情を抱くことはしない。ただ、月の兎を見て気が高まってしまう程度は、あり得てしまうだろう

 

 指先に熱が灯る。

 

 

「……ぁ、くぅ……ッ」

 

 

 女神の寵愛を知らずに、ベル・クラネルは意気揚々と戦いの舞台に立つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グー……グーグーッ!!』

 

 

「!」

 

 

 飛び掛かるスタンド本体、広げた五指からは鋭利な爪が刃の様に伸びている。俊敏な動きをして、身軽で小さい体躯故に三次元的な戦いを得意としているのか

 

 ここは狭い路地裏、壁をけり家屋の間につられた選択紐も足場として、少しでも目を離せば一気にこいつは僕の背後に回って傷をつけるだろう

 

 そうなれば後はもう戦いにすらならない。人形サイズにされてしまえばその時点でゲームエンド

 

 かたや、こっちはスタンドも使えない、ただ見えるだけのヒューマン

 

 

……さあ、どうするか

 

 

 構えるナイフ、物理的な接触が起こる故に防御はできる。今もそう、爪の斬撃は触れそうな刹那にナイフでいなしている

 

 けど、それだけだ。このままでは一方的に体力を奪われてしまう。一手ミスすれば

 

 

 

 

 

「ははははッ!! いい、良いぞスタンド、俺のグーグードールズはすごいぞ!!」

 

 

 

 

「!」

 

 

 正面、バックステップで距離を置く。スタンドの大振りの爪攻撃を避けて、そしてさらに距離を取る。追撃の手を止めないスタンド、けど一瞬のスキを突いて蹴り、間合いが生まれたすきに横を抜ける

 

 

……近づいて、本体を

 

 

 

「駄目じゃないか! 坊主の相手は俺じゃあないだろうがよぉおッ!?」」

 

  

 

「……やっぱり、やらせないか」

 

 

 二歩、いやあと一歩で詰まる間合い、けど敵はすんでの対応は早い。振り返りナイフでまた攻撃をしのぐ、これでは千日手だ

 

 

「あはははッ!!?? いい、坊主はいいなぁあ!いいぞ、滾るぞ! 楽しみだ、坊主を人形にして家に連れ帰るのが楽しみで仕方ないッ!! なあ、いいだろう、もうショーはここまでだ!! 我慢できない俺の心を理解してくれ!! 俺の心を裏切るなぁあああッ!!?!?!」

 

 

「……好き勝手、言って」

 

 

「愛しているんだぁああああッ!!!!ひとめぼれなんだぁああッ!!?!?!?」

 

 

「ひッ!?」

 

 

 えぐみ、激しく動いているからとかじゃなく体が拒否反応を起こしたがゆえにえぐみを舌に感じた。胃液が喉奥までせり上がって危険を訴え続けている。こいつはやばい、色んな意味でヤバい

 

 

「……僕、今日絶対寝られない。一人でトイレも行けない、全部この男のせいだ」

 

 

「はぁ、はぁ……好きぃ」

 

 

 

「倒す、絶対に倒す……そして、今日は絶対徐倫お姉さんと一緒に寝るんだッ!!恥ずかしくて断ってたけど今日だけは、今日だけは絶対そうしてやるッ」

 

 

 お前という存在の記憶を上書きしてやる、そう心に決めてベルは秘策を構える

 

 近づいた瞬間、スタンドの反撃に合い失敗に終わった、かに見えた。きっとあの変態もそう思っているに違いないけど、実際は違う

 

 

 

『グー、グーーッ…………キシャシャァアアアアッ!!?!?!?』

 

 

 

「————」

 

 

 

 構えを取る。飛び掛かるスタンドの爪攻撃、迫りくる瞬間飛びのくステップワークは止めた

 

 

 

……ここだ、ここで決める

 

 

 

 迫る攻撃、勝負の分かれ目の刹那、相も変わらず変態的な怒号を飛ばす敵本体。迷いは無く、ただ冷静に

 

 僕は手に持った護身用のナイフを、その場で離した。

 

 武器を捨てた。防御は止めた。

 

 

 

『キシャシャァアアアアキェエエエエエエッ!!!?!?!?』

 

 

 

>> to be continued

 

 




 今回はここまで、ラストを濃いめに書きたいので少し短めに留めました。次回決着予定です。
 ベルのスタンド覚醒はまだですが、スタンド無しでもベル君にはかっこいい活躍をさせたい。ロキファミリアの門番には大変勿体ないことをしたとわからせねば

 感想、お気に入り登録、評価付与、皆様のご厚意のおかげでランキングの掲載が叶いました。ダンまちの、それも健全なクロスオーバー作品でのランキング100位圏内入りは初の体験です。

 感想、評価付与感謝です。そして何よりもここまで読了感謝です。モチベ上がって執筆に励めます。
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