ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない   作:37級建築士

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深夜投稿、眠い


Disc.16~ストーカー規制 

 

 

 無機質な鉄檻の中、上質なクッションだけは下に敷いてあるその中でヘスティアは固唾をのみ見守る行為を続けていた

 

 ストーカー被害を自覚してしばらく、そして遂に手を下されるに至った今日。

 

 そして、意味も分からない超常の力に戸惑いながらも檻の外で懸命に抵抗する少年を心配する今

 

 

 

……どうしよう、ぼくのせいだ。ぼくが出会ってしまったから……関係な子供たちが

 

 

 

「……うぅ、ひぐ」

 

 

 

「泣いてもどうにもならないわよ女神様」

 

 

 

「ひっく……君」

 

 

 後ろを見る、自分と反対方向に坐したまま、さっきから全く動いていない彼女

 

 会話を聞く限り、あの少年との姉妹関係、しかし血のつながりがあるようには見えない。けど、深いつながりがあるのは確か

 

 なのに、どうして動じていないのか、ただ静観しているのか。ヘスティアは腑に落ちなかった

 

 

「君、あの子のお姉さんなんだろ……ねえ、どうして落ち着いているのさ」

 

「……そう、そう見えるんだ」

 

「見えるさ。でも、うん……結局はぼくのせいだ。ぼくがこの男の因縁に君たちを巻き込んだ……ごめんよ」

 

「……謝らなくていい。大したことじゃないわ」

 

「たいしたって、いくら悲観的になってるからってそんな」

 

「…………」

 

「よく、ないよ……今だって、君の弟君は頑張っているんだ。なのに」

 

 言いながら、またヘスティアは外を見る。鳥かごの中で、ベルクラネルの抵抗を見続けている。

 

 そうしないといけない、何もできない身の上であるなら、せめて目に収めて背負うことしかできないと、それが真っ当な感性を持つ者としての責務だと

 

 

……せめて、神の力が使えれば……でも、何もできない。いったい何なんだ、この力は

 

 

 理解が及ばず。神である身が今はただの人形、文字通り何もできない人形になっている。その事実がヘスティアから希望を奪っていた

 

 

「……すまない、本当にすまない。まきこんで、本当に」

 

 

 出来るのは、ただ謝罪の言葉だけ。空しいとはわかっていても言葉をそらんじることしかできない。

 

 だが、そんな言葉を徐倫は

 

 

 

 

「うるさい」

 

 

 

「な!?」

 

 

 ただの四文字、しかもそれほど気持ちも込めずただ四文字で一蹴した

 

 

「…………ッ!?」

 

 

 これにはヘスティアも言葉を失った。だが、無論空条徐倫の言動に何の意味も無いわけがなく

 

 そこには、逃避からの静観も無ければ落胆からの悔い嘆く言葉も無い

 

 ただ黙して、じっと動かず待っていた。スタンド能力者との遭遇に合っても、冷静に見つつ判断は的確に

 

 

「女神様、っていうのもなんだか落ち着かないわ……あんた、名前は」

 

 

「え、あぅ、その……ヘスティアだけど」

 

 

「ヘスティアっち」

 

 

「っち!?」

 

 

「ああもう一々驚かない。心配の所大丈夫よ、策は打ってるし、それにベルは……ほら、見た方が早い」

 

 

 指さして、ヘスティアにまた外を見るように促した。そうした彼女の体は、不自然なまでに空洞が目立っていた。

 

 徐倫が安心を抱く理由は二つあった。一つは自分自身のスタンド能力、そしてなによりも

 

 

 たった今、外で戦闘をしている自分の弟分

 

 

 時に、オラリオに来る道中の話に変わるが、ベルたち二人がここにたどり着く予定がずれたのにも理由があった。

 

 ベルはただ、遠くから山を越え森を抜けてこの街に至ったわけじゃない。十分すぎる時間があったため、その時間を無駄にしなかったのだ

 

 鍛錬の相手は無論徐倫、そしてその中でいやというほどに戦いの知識、そしてそこにはスタンドという概念についても

 

 そして、ここオラリオに来る道中にも遭遇した敵対存在、その中にもスタンド使いはいた

 

 対して、今このグーグードールズを有している男、この男は自身のスタンドの研究には時間を割いたが、一方でスタンドを用いた戦いについては一切タッチしていない

 

 片やベルは違った。姉から弟への愛情、愛のある鞭を経て、そして実戦の経験も踏まえた上で今のベルはここに在る

 

 つまるところ、ベルは村にいたころよりもずっと成長を得ていた。

 

 そう、例えばそれは

 

 

 

 

 

 

 

『キシャシャ……シャ…………ギグェエエエエエッ!!?!?!?』

 

 

 

 

 

 

 この、戦闘能力に秀でていないスタンド、グーグードールズ程度であれば問題なく倒せる程度には、ベルはもう強くなっているのだった

 

 

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 

 

 

 鳥の首をひねったような音、それはこの場にいる誰のモノでもない。誰の、そう人が発した声ではない。

 

 宙に浮かぶ小人のスタンド、グーグードールズが発した声。その体には胴体から四肢、そして首に至るまで何重にも糸の拘束が成されていた

 

 契機はベルがマック・ツールズに接近したとき。その瞬間に、ベルは徐倫から糸の先端を受け取っていた。

 

 手にした糸は細く、そして巧妙に地面に落ちてただたるんだまま伸び切っていた。あえてそうしていた

 

 上空に、はるか上から視点を置くものならこの行動に気づいていただろう。ベルは糸を張り巡らして、言わば罠の結界を地面に敷いていたのだ

 

 機械を伺い、チャンスを見て、そしてナイフを捨て一気に糸を手繰り寄せた。

 

 

 ここは住宅街の路地、上を見上げれら場書く家の窓から向かいの壁に繋げられた洗濯用のロープが幾重にも張り巡らされている。故に、ベルは上空の洗濯糸を支点にすることで滑車の要領を用いてグーグードールズをつり上げた。縛りは強く、特に首に絡まった糸は本体の喉も同様に締め付けている。

 

 

『ギ、ギシャゴ……ゴッガガ』

 

 

 息を吸うわけでもないスタンド能力本体は、まだ辛うじてだが声を出せるようだ。しかし

 

 生身の本体である、マックツールズの方は果たして

 

 

 

「……――――――――――ッ!?!?!?!?!」

 

 

 

 気道をつぶされて、声帯もひしゃげて震える余裕もない今、どうやってうめき声一つすらあげられようか

 

 

 

「ようやく引っかかりましたね、糸の罠に」

 

『————ッ!?』

 

「わからなかったみたいですね。ええ、だってこの糸は貴方が細くしたんだ。人形サイズに変える力の影響をもろに受けたストーンフリーの糸、でもその強度と長さはこの戦いの間合いでなら十分事足りる。しかもここは薄暗い路地、距離さえおいて戦って動き続ける僕自身に注意を割いていれば、気づくはずはない。視認性の悪いこの舞台だからこそ誤魔化しきれた」

 

 

 

「……ッ――――ッッ!!???」

 

 

「苦しいですか?、でもこの手は緩めません。ストーンフリーの糸は絶対離さない……さあ、息が吸いたいならスタンドを解除してください。じゃないと、もう息なんて一生吸えないかもしれないですよ!」

 

 

 

 強く、冷酷な言葉をもって僕は今一度糸を引いた。食い込む糸、痛みも相当なはずだ。心は痛むが、今はこうしないといけない

 

 二人を解放するためには、黒い覚悟が必要だ

  

 

「……g……gい……p……――――ァ」

 

 

 閉まる首、男は首に手をやって縛りをほどく仕草をするが、それも意味ない事。そして、ついぞ耐え切れず

 

「!」

 

 

「……ぶはほぁぁああッッ!?!?!?」」

 

 

 息を吐いた、そして狂ったように酸素を求めて呼吸に明け暮れだした。

 

 その手に持つトリカゴは放られて、転がる篭は壊れ中身は露わになる。

 

 

 

 

「……ぁ、ぁあああああッ……は、はあぁあああッ!!?!? げっほごほげほ、げぼほぉッ!?? う、うげろぉおおぉおおおお手前ええええええッッぶちころぶちころぶちころしてやれるぉぉおおおおッッグゥウウウウグゥウウウウドォオオオオルズゥウウウウウウッッ!!!?!?!?!?!?」

 

 

 

 悶え、吐き散らし、男は怒り衝動で今にも狂い死にそうだ。そしてまたも呼び出したグーグードールズ、さっきよりも乱雑な操作か、直線的にただ真っ直ぐ迫ってくるだけ

 

 避けるまでもない。そして、攻撃するまでもない

 

 僕の仕事は、これにてすべて完了した。あとは

 

 

 

『オラァアッ!?』

 

 

 

 

「……任せました、徐倫姉さん」

 

 

 

 振り上げた手、入れ替わりを告げるタッチの音。ストーンフリーは元の大きさで限界し、束ねた糸の拳を敵スタンドへ叩きこんだ。

 

 吹き飛ぶ体、けど糸に縛られたスタンドは途中で軌道を変えてまた元の位置へ、そう拳の届く位置

 

 徐倫お姉さんの、オラオラが叩き込める絶好の射程圏内へと

 

 

「女の敵、弟の敵、そして神への侮辱……全部まとめて、叩きこむッ」

 

 

「!?」

 

 

 容赦のない追撃、すでにノックアウトな体へ更にラッシュの制裁を叩き込む。生々しく鈍い轟音が嵐のように響き渡り、最後は渾身の一発でひときわ大きく吹き飛んだ。

 

 全力のラッシュ、それを終えた徐倫お姉さんの顔はどこか清々しく、その場で髪を掻き分けてまた意味深なポーズをとってみせる。気分爽快、という事なのだろう

 

 

 

 

《スタンド名「グーグードールズ」》

《本体名「マック・ツールズ」》

 

 激しい殴打により骨折過多、全治3ヶ月で再起不能

 

 

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 

 

「……ぇ、ええぇ……なな、なんなんだい君たちはッ???」

 

 

 

「!」

 

 

 唐突に聞こえた声、すぐ側でしゃがみこんだまま、腰でも抜かしたのか立とうとしても立てない女神様、ひとまず手を指し伸ばすべきと思い近くへ寄った。

 

 

「……色々と説明します」

 

 

「うん、説明が無いと無理……えっと、君たちは」

 

 

「ベルです、ベル・クラネル……あの人は空条徐倫、すみませんがあなたのお名前は」

 

 

「…………」

 

 

 ゆっくり、丁寧に語りかける言葉を選んだつもりだ。手を指し伸ばして、けど反応は無い。でもこっちを見ている、見ているのにどうにも焦点が合ってないような

 

 

 

「……トゥンク」

 

 

「?」

 

 

 妙な反応を見せる女神様、一体何を考えて何を思っているのか、もしや先ほどのことがまだ抜けきってないために混乱しているのか、こっちまでも悩みに悶える最中急かして動き出させたのは徐倫お姉さんの一言から

 

「ちょい、世間話よりも先に……あいつ、通報した方がいいんじゃないの。警察も110番もここじゃ通じるか知らないけど」

 

 頭に冷や水をかけるような言葉に僕も女神さまもようやく動き出せた。

 

「しゃきっとしなさい、私達この後本当は宿取る予定だったの忘れたの?」

 

「あ……そうでした」

 

「部屋、早くしないとなくなるわよ……ほら、そっち持って。今縛るから 

 

「ぁ、はい」

 

 

 

 

 

 

……この二人ならきっと、せっかくの団員確保のチャンス。逃しちゃあだめだ

 

 

 

 

 

「?」

 

 

「あぁ、いやね……ちょっといいかな?」

 

 

「……なに」

 

 

 

「うん、たいしたことじゃ……いや、結構重要なこと……うん、けほん!……ねえ、来るところが無いならさ、家に来ないかい?

 

 

 

 

>>To be continued 




これにてオラリオでの初戦闘終わり、次回は会話パートを予定。早く原作一話目にたどり着かねば

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