ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない 作:37級建築士
ここに来る、オラリオにつくまでの旅の途中のことだ。合わせて二つ、奇妙な体験を僕たちはしてきた。
初めは、山越えの際に泊まった旅籠屋の宿でのこと
旅人や商人が数人泊まり込む宿の中、僕と徐倫お姉さんはスタンド使いにあった。サバイバーというスタンド使い、その宿の店主が本体でその能力で客達は無作為に乱闘を始めてしまった。
部屋にとどまっていた僕だけは、そのスタンドの影響に及んでいなくて、結果的に徐倫お姉さんが他の客全員を打ちのめして、そして最後に本体の店主も思いっきり殴ってことが終わった
店主は殴られて壁に吹き飛んだ。そして、その頭からは一枚の円盤、ディスクがこぼれ落ちたのだった。
× × ×
二回目は旅の途中に野宿をしていた時のこと、林の中で出会った女の人の話だ。林の奥、近くの村に住んでいるらしいその女性は、なんと僕の目の前でいきなり首をつろうとした。突然、あなたは誰ですかで始まる自然な会話の最中いきなり、なんの脈絡もなくだ
その女性もスタンド使い、スタンドの名前はハイウェイ・トゥ・ヘル。その能力は自傷行為のダメージを他人にも再現させる能力、つまりは道連れの能力だ
偶然出会ったスタンド使いの女性に僕は危うく心中をさせられかけたのだった。が、これも結果的には無事助かりディスクを回収した。ちなみに倒しかたというか説得の方法というか、その女性がひどい少年愛の癖が強い変態だったため徐倫お姉さんが交渉でことを納めてくれたのだけど
……しょ、しょうねんのなま、まま、なまちn……アリガトウゴザイマース、ワタシハシアワセダー!!
叫び散らかし、良くない声を響かせて女性は気を失った。その際頭をぶつけてディスクがこぼれ落ちて、回収に至る
交渉の対価にディスクを手に入れた体験、うん、恥ずかしいからもう忘れたい。消し去りたい黒歴史
……見られた、もうお婿に行けない
……今度あたしのズキューン!!……も見せてあげるから、それでチャラでいいでしょ
のんきにそんな言葉で片付けようとした徐倫お姉さんをその時ばかりは恨んだものだ。もういやだ、見られるのも見るのも御免だ、健全に生きていたい
うん、話題が逸れてしまった
とにかく、僕たちは旅の途中でスタンド使いと出会った。どうやら、今の世にはスタンド使いがのさばっているらしく、もしかするとそこにはあの蓮華の花のスタンドが関わっているのか、まだわからないことは多い。
この事を気に僕は徐倫お姉さんから稽古を願った。万一またスタンド使いに出会ったとき、もっと自分にできることを増やすために。次出会う相手は、もうふざけた性格でも能力でも無いかもしれないからだ
スタンド使い、この出会いはきっと逆らえるものじゃない。避けられない因果の上に僕もまた立ってしまっている。
先に立つ徐倫お姉さんの言葉は正しい。そう、スタンド使いとスタンド使いは引かれ合うのだから
◯
~教会、地下~
古い建物だ。控えめに言って、そこは住まいと形容するには少々心もとない物件だった
徐倫姉さんも一目見てまず顔をしかめていた。というかやけに警戒して、辟易としていて、頭を痛くして抱えてすらいた。なんだろう、無くした記憶にでも関係あるのか、教会に嫌な思いででもあるのだろうか
と、そんなことを思いつつ僕らはヘスティア様の後を付いていった。そうして招かれたのはこの教会、のさらに地下
外見はボロだったけど、そこは以外にもちゃんと人の住まうスペースが設けられていた、どんなものだと胸を張って家財やらなんやら自慢げに話す神様はとても、その豊かなお人だった
外では上に一枚羽織っていたのに、その上着を脱ぐと下は上下一体の服で、うんとっても大胆だと思った
目をそらして、偶然徐倫お姉さんを見てしまった。ニヤニヤと楽しげに微笑む顔と目があって、赤くなった頬を軽くつねられてしまった
……ベル、ここで決めましょうよ
……え、でもまだ
……いいじゃん、ていうかあんなバストヤバいでしょ、もう確定でしょ。あたしも自信はあったけどさ、あれ見たら無理ね、人類の夜明けって奴?
……うぅ、からかってる。またからかわれてるッ
未だ慣れないこうしたやり取りには困りものだ。染まる頬の色を隠し、高鳴る鼓動を押さえつけてしばらく
出されたお茶の前に座って、そうして、ようやく話は始められる段階に至ったのだった
× × ×
「……スタンド、ディスク、なんとも難しい話だね」
「はい、信じられませんよね」
「あ、違う違う……信じるには信じてるさ。だって、目の前で見たんだ、僕だってバカじゃない。これが現実に起きていることだって、よく理解したよ」
信じるよ、そう付け加えてヘスティア様は出した証拠を手に取った。
机の上には空になったティーカップ、そして証拠として見せるために出したディスクが三枚
旅の最中に出会ったスタンド使い二人から手に入れたもの、そして今さっき倒したあのストーカー男の物
ヘスティア様はその中の一つを手に、恐れる感じもなく適当に掲げて押し曲げたりして、変な感触に眉をしかめながらひとまずディスクを置いた
「信じるよ、それでこれはどうするんだい?」
「捨てるわけにはいかないから、保管するわ……使い道があるなら使うけど。今はない」
「……その子には、使わないのかい?」
「へ?」
視線が向けられる、ヘスティア様は僕を見ながら続けて徐倫お姉さんに
「スタンド能力、それを頭に入れれば使えるようになるていう話、なら……」
「?」
「えっと……呼び方、ベル君でいいかな?」
「は、はい」
「じゃあベル君だ。ベル君はスタンド能力は持っていないようだけど、そのディスクは使わないのかい」
「……ええ、使わないわ」
「あ」
答えたのは徐倫お姉さん、代わって話は続く
「理由を聞いても」
「使えない能力、使ってはいけない能力……でも、一番は……ベルにはどうせ不要になるから」
「!」
「ベルはスタンドが見れるし触れもする。影響なのか、いずれにせよ才覚はある……なら、使うまでもないわ」
「……ッ」
驚いてしまった。まさかそんな風に思ってくれていたなんて、でも確かにそんなわけがないと否定できない自分もいる
スタンド、いつか僕にも
「……うん、理解したよ。ひとまずはそうだね」
「?」
一呼吸おいて、ヘスティア様は僕と徐倫お姉さんとを今一度一瞥して、そして納得したように
「よかった、やっぱり君たちは良い奴だ!」
満面の笑み、見ているこっちの顔が思わず面食らってしまうような、そんな笑顔を見せてきた。
「……ねえ、ヘスティアっち」
「な、馴れ馴れしいですよ……その、神様なんですし」
「うーん、別に良いかな。どうせ同じファミリアになるんだから、僕も徐倫くんでいいかい?」
「もちろん、よろしく」
「こちらこそよろしく」
「え、あの……へ、あえ!?」
言葉が出ない。今の話の流れでまだ一度もファミリアの話はしてなかったのに
手まで結んで、ついでに二人並んでたって台所で何か始めてるし
「祝い席ね、お酒はあるかしら?」
「秘蔵のがある。前にお世話になっていた友神の倉から一本頂いたんだ~内緒だぜ」
「おっけー、墓場まで持っていくわ。つまみは、旅の携帯食が少し残ってるから適当に作って良いかしら?」
「あ、あの!なにを……っ」
「「……?」」
「いや、そんな……僕がおかしいの?」
さっきまでの話は、スタンド使いとか色々話した上なのに、うん、やっかいごとしかもたらさないと説明しているも同じなのに
もう、ヘスティア様も徐倫お姉さんもノリノリで
「……」
打ち解けた空気、仲良く連れそう二人の姿にはもう否定も何もない
もう、本当に決まったのだろう。あれだけ断られて、いっぱい嫌なこと言われて
……お前みたいなガキはお断りだ
……坊主、死にたくないなら故郷に帰れ
……女だけ置いて消えろ、ガキに冒険者なんざできないんだ。
「…………ッ」
異にわき起こる痛み、けどそれはもう終わったかもしれない。
ここなら、きっと決起の夜に語った夢のはなし、その続きを見れるかもしれない
そうだ、ここしかない。ここがいいんじゃあないか!
「……手伝います」
「ベル」
「今さらだけどいいのかい? ここ、ろくでもないファミリアだぜ、僕が言うのもなんだけどさ」
「いいです、他所のことなんか……皆冷たいし、正直顔を会わしたくない人もいるし」
とられたお金、最後のあの人が一番癪にさわる。徐倫お姉さんを止めなければ危うく問題発生だったけど、今思えば少しぐらい
……いや、ちがうな
今日訪れたファミリア、ロキファミリアだけじゃない、全部に僕を選ばなかったことを後悔させる、それだけの成果を出せば良い。そうすれば、勝手に意趣返しはなされるのだから
気にすることなんてない。ぼくはただ、懸命に夢を追い続ければ良いんだ
ここだ、ここで始まる。ここで僕たちは、星を見るのだ
【結成、ヘスティアファミリア】
《主神》ヘスティア
《団員》ベル・クラネル、空条徐倫
◯
決起式、といっても三人で行うささやかな宴。お酒はあるが、いささか食べ物は物足りない
良いお酒には釣り合うもながないといけない、らしい
「ちょっと味気ないわね、二人とも買い出しに行きましょうか」
「いいねえ、僕は久々に良いお肉が食べたいなぁ」
「高いお肉ですか、でもそんなお金」
「……ベル、そこのバックのポケット」
「?」
「開けてみなさい。良いもの入ってるから」
「……あの、これって」
「ええ、ちょっとした迷惑料よ」
「…………はぁ」
しれっと入っていたのは二つの麻袋、中はいくつもの金貨銀貨銅貨、ヴァリスがいっぱいに入ってるお財布だ。
おそらく、あのストーカー男の物だと思われる。けど、二つ目はいったいだれの?
「言ったでしょ、迷惑だって」
「……まさか」
× × ×
「ゆ、ゆるしてくれ!!?!?」
「駄目だよお客さん、払って貰うもの無しなんて……さ、身ぐるみこれで全部かい?」
「お、おたすけーーッ!!?!」
響く悲鳴は男の物、ここはオラリオ随一の歓楽街。男はファミリアで門番の業務を終えた後、手にした小金で趣味の夜遊びに赴いたのだが
なぜか、しまっていたはずの自分の麻袋がどこにもなく、結果支払い時にはせしめたヴァリスだけでは足りず嬢の敵意を買ってしまう
プライドだけは高い男だった為、そこでしおらしく謝罪するならまだやりようはあっただろうに、抱いた嬢に脅すことばでツケにしろと怒鳴ったところで
「ひぃいいいいいッ!!?!?!」
「一名様、ご案内だよ! 黄泉への一番乗りがご希望らしいってね」
今いる場所はイシュタルファミリアのホーム、店の中にたまたまいた自分よりもレベルが上のアイシャ・ベルガに捕まり、そして連行されるに至る
待っている末路は制裁か、それとも無償の労働奉仕か
否、こういった事態が起きた際、アイシャが取るもっとも有益な方法は一つ
「さあ、早く部屋でおっぱじめるかい!あいつに見つかる前にね!!(わざとらしくよくとおる声)」
「!?」
「ゲヒャヒャヒャヒャ!!あたしを置いておいてお楽しみとは聞き逃しできないねえ!!!」
そう、厄介な問題嬢、他の嬢たちから客を奪い、そして客を使い物じゃなくする彼女ヒキガエルことフリュネ
アイシャは悔しそうに三文芝居で生き餌を投じるのだった
少なくとも、今宵彼女が餌をむさぼっている間は他の嬢たちはひどい横取りに気兼ねすることなく自由に夜を楽しめるのだから
「ち、ちがう!誰がこんな怪物……ッ」
「じゃあ、貰っていくよ……ケケケケ」
早速連れていかれる。泣き叫ぶ男の悲鳴、嬉しくもないその包容はきっと背骨まで威力を発揮しているだろう
「く、また取られてしまった!フリュネあんた、絶対許さないからなーー(棒読み)」
固唾を飲んで見守るアマゾネス一同、ドナドナよろしく連れ去れていく姿を見守り、そして件の地下室へ続く思い扉がしまったタイミング、皆大いに盛り上がり始めた
「悪は去った!宴よ!!」
「イシュタルファミリア!総出で狩りの時間だよ!!」
「ズキューン!……してドキューン!……してパゥパゥ!……最高のナイトパーティーにしようじゃないか!あんたたち、今日は朝までズッキュゥウウウウン!……をしまくるよッ!!!」
祝い、はしゃぎ、夜は長く続いていく。
後に、とある大手ファミリアより一人の脱退者が出るのだか、特に話題になることもなく世は過ぎていく。
《スタンド無し、役職・冒険者兼門番》
《本体名、とくになし(あるけど覚える必要なし)》
全身複雑骨折、身体の機能の一部が完全不機能化、精神的なダメージもひどく再起不能
>> to be continued
以上、ファミリア結成、そして門番男のわからせエンドにてございました。
キリの良い所まで書いたのでしばらく投稿が止まるかも、三日投稿しなかったら年内は書かないとでも思いください。
感想、評価等頂きうれしくございます。モチベ上がって色々と励みになります。