ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない   作:37級建築士

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二週間ぶり、妙に時間がかかってしまった。たぶんスタンド攻撃のせい、嘘ですごめんなさい


Disc.25~予兆

 

 

 空条徐倫、彼女はここオラリオでデザイナーの仕事をしている。ミアハの薬舗でナァーザと共にちょっとしたブランドを設立し、それは知る人ぞ知る洒脱な一品としてひそかにブームを作っていた

 

 ヘスティアファミリアはベル一人だけの探索系ファミリアであるが、実は食うに困ってないしなんなら日に日に暮らしの質は向上を続けている。魔石仕掛けの便利家具が増え、最近では浴室を工事して大きくしようかなんて考えてたりもするぐらいだ

 

 ヘスティアも、そしてベルも徐倫には頭が上がらない。彼女がデザインし、ナァーザと共に縫製して作り上げた衣服は商店に卸すやとんでもない高値が付く。一点ものを求めて転売やらなんやらとうっはうはであった。

 とくに、勝ち馬にも乗ったも同然なミアハファミリア、彼の主神と団員である犬人のナァーザ嬢も笑いが止まらない日々だった

 

 なのに、なのにだ

 

 

「ステイタスを、徐倫くん、きみが!」

 

 

 衝撃の事実、徐倫はデザイナーより転職を決めた

 

 夕方、飯時前の時刻、さあこれから夕飯の準備だと台所に立ったタイミングで、そこの塩を取ってぐらいの軽い気持ちで徐倫は飛んでも発言をしてくれたのだ

 

 

「じょ、冗談だよね……ぼ、僕の毎日の晩酌は、どうなるのさ!」

 

「我慢、してもらわないと……収入は減るかもだし」

 

「……お風呂上がりのアイス、もう食べれないんですね」

 

 隠しきれない落胆の顔、ボロながら住み良い暮らしになっていく徐倫の収支に喜んでしまうのは無理ないこと、だがたった今それは終わったと宣告されてしまえば、元ぐうたらニート女神は半泣きで懇願するし、ベルもまた遠い目でせつなそうにしていたり

 二人の反応を見て徐倫はというと、予想した通りだったのかおかしく感じてしまいちょっと吹いてしまっている

 

 

「わ、笑い事じゃないよ! ほら、この子を見ろ、君の弟ベル君の無垢な落ち込み顔を、それでも君は姉なのかッ!」

 

 ワイワイギャーギャー、ヘスティアの悲痛な叫びは予想できないものじゃあなかった。しかし、予想できてたとはいえここまで騒ぎになるとは、徐倫は少しばかり良心が痛んだ

 

 さあ、どう言い訳をしようか、そう思った矢先、ドドドドっと急に階段を下りてくる音が響いた

 

 

 

 

「お願いだ! どうにか服だけは降ろしてくれ!! そなたの作る服がなければ我らはもうやっていけんのだ!!」

 

「お願いッ……徐倫、考え直してッ」

 

 

 

 

 

「……なんでミアハ、それに眷属の子も、急に押しかけてなんだいッ?」

 

 

「「通りすがりだ!」」

 

 

「……いや、ややこしくなるから邪魔」

 

 

『シュルルル!バィンッ!!』

 

 

 適当にあしらう徐倫、抗議むなしく一人と一神はストーンフリーの糸に引っ張られ雑に外を放り出される。いったい何が起こったのか全くわからず動揺する二人。そしてとぼとぼと悲しげなオーラを醸しながら去っていった

 

 

……あたしの服、よっぽど頼りにしてたみたいね

 

 

 二人の反応、そしてミアハ達の反応から徐倫は受け入れられた。元の世界のおしゃれを売りにした商売がここまで成功するとは、予想を超えていた。最近では魔石仕掛けの便利道具で部屋が手狭、いっそ引っ越しも視野にいれるほど徐倫の収入は高くあった。それを、この場の発言で全て吹き飛ばしてしまったのだから、まあ皆のリアクションは至極当然の突っ込み、

 しかし、だからといって徐倫は特に動じる様子もなく。

 

 そして、何事もないように箱から大きな鳥の肉を丸ごと持ち上げた。毛はむしってあるが、どうやら七面鳥か、気を取り直してのんきにディナーの準備と行っている

 

 

「もう、理由ならちゃんと説明するから……ほら、ご飯にしましょう」

 

 

 料理の邪魔だと、悲痛な叫びを散らす神と愛しい弟を雑にあしらった。後生だ!最新の魔石仕掛け加湿器を買うまであと少しなんだッ!! そんな生活感あふれる嘆きが遠く彼方に去っていく

 

 

「……徐倫お姉さん」

 

「さ、ターキーを焼くわよ……今日はアタシの転職祝いだし、しばらく贅沢は我慢だし、ねえ二人とも」

 

 

 お皿を用意して、そう言葉を付けるために振り返った。そんな徐倫の視界には、これまたなんともきれいな姿勢で頭を床に付けた神が

 

 日本人の血統を受け継ぐ徐倫にはその行為の意味がよく理解できる。古き良き故郷で受け継がれし謝罪の極致、そう、土下座だ

 

 

 

 

「頼む、もうヘスティアファミリアは君なしじゃやっていけないんだ!徐倫、君のストーンフリーが必要なんだッ!!」

 

 

 

 魂を震わせる叫び、ヘスティアは今にも血の涙を流さん勢いで、否凄みで、コスコスと頭を床にこすり付け中、ベルはどうしたものかとあわあわして、ヘスティアと徐倫を交互に目配せ、状況についていけずなんだか可哀そうだ

 

 手に持ったターキー、それを徐倫はやむを得ず手放した。

 

 

「……話、やっぱりしないとダメみたいね

 

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 

「フィン・ディムナと戦った!」

 

「ええ、負けたわ」

 

「……聞かなくてもわかるかもだけど、もしかして気にしてるのかい」

 

「…………別に」

 

 

 明らかにおかしい間、気にしてないなんて徐倫は思っていないはずもなく

 

 内心、実戦ならもっと狡猾で容赦ない手段もとれた。あんな平地で戦うなんて実戦なら避けていた、そんな言い訳は噴水のわき出るがごとく溢れ変える。しかし、口にしたところで、だ。そこはわきまえている。一応は

 

 

……まあ、負けたことはもういい、それよりも

 

 

 語るべきこと、それは今オラリオで動く奇妙な事変について

 

 何もせずとも、脅威が沿岸の先で済む保証はないことをフィンは無情にも告げてくれたのだ。そして、スタンド使いと冒険者の組み合わせのすさまじさも、積み上げた強さだけで満足していては足元をすくわれると、痛みで理解した今、先の発言につながる

 

 今のオラリオで身を守るためにも、徐倫はベルと共にダンジョンへ、そしてその為には

 

 

「……徐倫、姉さん」

 

 

 話を聞き、ベルは少し気落ちした表情を見せる。姉に気を使い、しかしどう言葉をかけたものか、そんな顔だ。徐倫はそっとベルの頭をなでてそのほほに恥じらいと笑みを戻す

 

 ベルの頭をなでながら、徐倫は安心を感じた。これからこの子と一緒に行動すること、共にダンジョンへ向かうことは楽しく思える。なんだかんだ、一緒にいない時間が増えていったことは気に病んでいたからだろう。ここ最近、徐倫はよくベルを抱き枕にして寝ていた。

 

「まったく、過保護な姉め……で、もう決まったことなんだね。徐倫、君は冒険者になる……うん、わかったよ。その願いは受け入れよう。いや、むしろ受け入れるべきだ」 

 

「ヘスティアっち……とりあえずは理解、してくれたようね」

 

「主神なんだぜ、眷属にはステイタスをあげなきゃ。そもそも、冒険者にならなくともさ、ステイタスは別に持ってたっていいんだ。ステイタスっていうのは、同じファミリア、つまりは家族の証なんだから」

 

「……家族」

 

「そう、家族だ」

 

 微笑み、つられて徐倫も笑う。家族、その言葉を聞くと胸の奥が暖かくなった。

 

 そこにはきっと、言葉が持つ意味だけじゃなく、言葉に由来して呼び起こされる記憶が関わっているから、そう考えてしまう。どうしてか、理由は明快だ

 

 

……家族

 

 

 記憶は不確か、けど木の股から生まれてきたわけじゃない。きっと、このなつかしさには根拠がある。家族の暖かさ、それあもう、十分に理解している。一時は危うい時期もあったけど、結果は

 

 

……危うい、結果?

 

 

 ふと、ただ円満な記憶があったとは思えない。不確かな記憶の先にある自分の本当の家族のこと、そこが妙に引っかかる。

 

 

 

「ん、どうしたんだい。どこか遠いところを見る目をして」

 

「……多分、あたしは不良娘だったかなって、でも向こうも向こうで、いやなんでもないわ……ごめんなさい、話を戻しましょう」

 

 首をかしげるヘスティア、しかしまあいいやと流して行動を戻す。話は決まった以上、やることは一つ

 

 ソファーから立ち上がったヘスティアがベッドスペースに移動して、棚から羊皮紙を一枚と、そして針を一本取り出した

 

 

「さ、ステイタスを刻もうじゃないか。やり方はわかるかい、といっても徐倫君は服を脱ぐだけなんだけどって、コラコラ!!」

 

「?」

 

 

 言われたとおりにしただけなのになぜ起こるのか、そんな風にしている徐倫にヘスティアは呆れて肩を下す。恥じらい、そんな小さいことと躊躇なく実行できる彼女は覚悟に満ちた人材であったと改めて理解した。そして理解したうえで、阿呆とそしった

 

 

「脱げと言われて、その場で脱ぐな! ほら、隣のベル君が立てなくなっているじゃないか!立っているのに、立ってない!この矛盾をどうしてくれるんだ!!」

 

 

「……ぁ」

 

 

 言われて気づく、しかし恥じらう素振りはなく、むしろ恥じらっているのはベルただ一人。ヘスティアの脱げの言葉に即して速攻で上はブラごと脱ぎ捨ててそのままショーツごとズボンをズリ降ろさんとしていた刹那、いろいろと問題が起きる前に寸ででその手を止めた。ほぼ裸で不自然な光が体のある部位に一線を入れなければ映せないそんな光景

 

 そしてベルはというと、そんな光景を見ないようにと顔を手で隠してうずくまっている。しかし立たない、立てない理由があるのか、全く立てない

 

 

「え、ちょっとベルどうしたの……もう、そんな、プレデターのフェイスハガーが現れたんじゃあるまいし、顔隠してないでほら!しゃきっとしなさいっての!」

 

「いやいや無理だから、というか何フェイスなんたらとか、いやそれは置いておいて……君、自分の姿わかってるのかい」

 

「別に、弟にトップレスぐらいもう何回目って話よ。うん、でもちょっとおかしいわ、あなたどこか体調でも辛いの? ベル、大丈夫なの?」

 

「……ほ、ほっといてください! もう、もうほんとうに! もう!!」 

 

 近づいて心配気に語り掛ける徐倫、言っていることは無茶苦茶だが確かに事故で見てしまうことは数回あった。だがそれも昔、久しぶりでさらにがっつりとみてしまったベルはそれはもう大打撃、若い青少年には刺激が強く、一瞥でもう動けない。

一方で、本気で何か体調でも悪いのかと疑ってかかる徐倫。その場で動けば当然揺れてしまうソレを前にベルはいっそう危機を察して真っ赤になっている。だが気づかず

 

 

「ベル、ちょっとベル……やだ、病院行かないと……ほら、顔見せて、見せなさい!」

 

 

「むむむむむむ、むりですからぁ!! 

 

 

 

 見ていなくとも言動や色々で姉の痴態は容易に想像できてしまうからだろう。なぜできるか、それはベルクラネルが徐倫の弟だからだ

 

 

「そこのストリッパー!いい加減にしないか! ほら、もういいからさっさと、ここに、寝る! 始めるよ、ステイタスの作成!」

 

 

 

 心配、赤面、そして突っ込み、混沌とした状況は収まるまで今しばらくかかる。その後、ステイタスの作成は済むが時間的にターキーはお預けになった

 

 

 

 

 空条徐倫、彼女は冒険者になった。だが、彼女がどのように冒険者になったのか、その全容がわかるのはもう少しだけ先のこと

 

 

 

 

 

>> to be continued

 

 

 

 

 

 

 

~同時刻~

 

 

 

 

 

 愉快に楽しいひと時を過ごす徐倫達、しかしその一方で、また次なる余興は始まりを見せていく

 

 

 

 

 

……ザ……ザッ……カン、ザザ

 

 

 

 

 

「……――ッ」

 

 

 

 地上で優雅に時を過ごす者達の一方で、対照的にオラリオの闇で新たな予兆は姿を見せる。悪人たちは施しを受け、地上の光と届く場所に災厄をばらまくのだ。それが、今ここオラリオで起きている現状であるからだ

 

 

 

 

 

 

~○○地区、下水道地下フロア~  

 

 

 

 

 響き、反響するのは人の足音、音は激しくあわただしく、そしてさらに複数に重なって増えていく

 

 そこはオラリオの下水道、人がうろつくにはひどい臭気だが、その者にとってえり好みできる状況ではなかった。ただひたすらに走り、時に下水を渡って縁側に移動し、さらには下水に潜りドブネズミと共に息をひそめることも躊躇せず

 

 

「————ッ」

 

 

 振り返り見る、光を見てこのままでは見つかると考えた。男は躊躇せず下水の川へ身を投げた。地上の下水が流れてくる側管の穴へ入り、息を殺してじっと身をひそめた。

 

 光が過ぎていくのを、陰の中で待つ。

 

 

 

 

……もう、これ以上の逃走は無理か

 

 

 

 

「おい!手配の男は本当にいるんだろうな!」

 

「あぁ、逃げ込んだのは確かだ!」

 

「出てこいスカベンジャーのオヴァディア!貴様に殺された者たちの無念、今日こそ晴らしてくれるッ!!」

 

 

 

 

……ザザ、ザッ、ザッ

 

 

 

 

 

「…………ッ」

 

 

 

 

 新たな予兆、次なる事件は必ず起きる。事件は不確かな連続ではなく、明確に故意の狙いがあって起こり続ける事柄であるから

 

 事件は始まる。時期は、オラリオの名物行事、怪物祭が近づいていく頃

 

 地上ではまだ誰も知らず、闇は密やかに迫ってくる。死人が墓地より蘇り、生者の世界を脅かすがごとく

 

 

 

 

 




 今回はここまで、怪物祭の流れですがジョジョ展開で改ざんされます。ジョジョネタもダンまちネタも大事にしたい、そんな思いで書いていきます、そんな願望
 徐倫のステイタス、こちらもどうなるかお楽しみに。程よく強く、チート過ぎないチョウドイイーを目指したい


感想を読み返す時間が憩いのひと時、いつも励みになっています。



今回も読了感謝です。次回はできるだけ早めに、したいなぁ



以上
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