ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない 作:37級建築士
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冒頭でダンまちの過去エピソード、アストレアレコードの内容に触れています。ネタバレ注意
昔、ダンジョン都市オラリオが暗黒期と呼ばれていた頃のことだ
正義と悪、相反する二つが入り混じる戦いのさなか、二人の大英雄が悪に加担した。知るものは口を閉ざし、真実を知るものはそっと口を紡いだ
一人は猛き者との決着を、もう一人は正義の翼との対峙を
戦いは多くの犠牲を生み、悲しみの連鎖と共に代償は深く支払わられた。街も、命も、尊厳も、信仰も
だが、そうした中でも失ってばかりではなく、残した結果もあった。新たに誕生した英雄、そしてその後を続く勇士達。
惨劇の先に生まれる新たな光、それは正義の側だけではなく、敗れ落ちた側にも存在していたのだ。
レベル七、大英雄の内の二人、静寂の名を冠した英雄、名をアルフィア
彼女は災厄の戦いの果てにその身を落とした。死にゆく体で、後に続く者達の成長の為の障害となって、その残りの人生を捧げた
アルフィアに後悔は無かった。あとに続く者達の為に、この命が糧となるのなら、先に続く者たちの成長となるなら
冥府の神が仕掛けた壮大なマッチポンプ、死して挑みそして食われて糧となる、オラリオを襲った一大事件の真相
先に立つ者は後ろを見ない。良いモノも悪しきものも、この戦いを期に次の時代を生きていた
「……――……————」
だが、ただ一人
「……ゆる……ぇ」
過去の時より針を進めず、執念をもって縋り付くものもいた
「……ゆるさ、ねえ……あ、あるふぃあッ」
恨みの炎は消えずに続いた。死してなお、晴らせぬ恨みを抱いたまま、オラリオの地下で息をひそめ、そして7年の月日が流れた
現在、厄災の追割を告げてより七年後の今、男は動き出した。
ある物、それは祝福とも呼ばれる異形の力、その後すぐ男は外の世界へと飛び出した。
男が有していたもの、いくばくかの冒険者道具と、銘も知らぬ誰かの剣
そして、頭にしまった一枚のディスク、そしてとある少年についての情報をもって
男の名はフリーク・コーンドッグ。名は偽り、真の名はとうに捨て、今は都合がいいのでその名を借りた。本来の名の持ち主、それは男の得た力を有していたどこか別の世界の住人のものである 男が得た力、ディスクに込められた超常の力。ある世界ではその力を、スタンドと呼んでいる
〇
~クラネル家~
日は落ち、皆夕餉の匂いを煙突から醸す、そんな頃合い
……ここを出るわ
「……」
心配しなくていい、そう言いながら髪を撫でられたけど、いまだ府には落ちていない
ベルの中で、徐倫という人間の存在が大きすぎるのだ。はいそうですかと、明日になれば過去の人とするには、その出会いも何もかもが大きすぎた。
……いいの、かな?
もう一度話合おうにも、徐倫さんは奥の脱衣所で入浴中だ。魔石動力の湯沸かし器で今湯船にお風呂を張っている。普段はしない、とても贅沢なご褒美の時と、大切な来客がある時だけ使用するお風呂
今は、そこで徐倫さんに疲れをいやしてもらっている。
女性の入浴は長いというから、まだ時計の長針が半ばかそれとも一周するまでか
待たないといけない。そして、出てきたら
……出てきて、そして
「……ッ」
水を流す音、台所の流し場で食器を洗う音。遠く聞こえる浴室の音と重なった気もする。
今ベルは食後の皿洗いという単純作業に没頭しているはずだった。だが、思考は、集中力は、ずっと彼女のほうに向いたまま
…………————。
……————ッ
「!」
桶の中、中の水に差し込んだ手をベルは引き上げた、
澄んだ水で手を清め、まじまじと人差し指の先を見る
「血、出てる」
何かに切ったか、しかし包丁は触れてない。食器も、割れてはいなかった
傷の原因、それは指を見ていると気づく。人差し指の隣、中指に
「……爪」
割れていた。しかも、肉の方にまで達する痛いひび割れだった
「薬、包帯……あ、その前に爪」
ちぎれかけの爪、とがった部分が引っ掛かりとなって指をけがしたのだろうと推測。
水場を離れ、ベルは机に座り救急箱を開いた。
取り出したものは爪切り。祖父がどこかで買ってきた趣味の悪いデザインの爪切りだ。
……そういえば、爪伸びてた
ジンジンと痛む中、そんなことをのんきに思いながら爪を切る。
……パチン
……パチン
「……あ」
……パッツン!
「……はぁ」
切った爪、手元に落とすはずが飛んでいき机の下に落ちた
ベルから見て向かいの席、部屋は明るい。見つけることはたやすい
「えっと……たしか」
……カリ
「このあたり、かな」
…………カリ、カリカリ
「?」
音、耳に違和感を感じた。
向かいの椅子の下。前二本のうちベルから見て右の足のあたり
……なんだ、なにか
『……カリッ、カリッ、カリカリッ!』
「へ……なんだ、これ」
× × ×
……シャァァァ
「……水道もある、電気じゃないけどお湯を沸かす機械はある。中世っていうより、まるでゲームや創作の世界ね」
……キュッ
給湯の栓を止めた。徐倫の主観で、普通サイズのバスに半分より少なめなカサまで湯が張られている
「客人だし、使いすぎたらだめよね……いや、あの子日本人みたいに謙虚だし、根は絶対いい子。そこらのハウスキーパーよりちゃんと丁寧に家事してるし、あたしも見習わないといけないかしら。うん、そんな子なら、遠慮したらしたで逆に申し訳ない。そう思うはず……四分の一のあたしのジャパニーズがそう言っているわ」
謎の持論、一人誰に語るでもなく自分に言い聞かせるように徐倫はぼやいた。そして勝手に納得して、やっぱりと湯を増やした。結局、たっぷりの湯で体を洗いたかっただけであった
「湯を沸かして、一番風呂をもらう。ここまではいい、あとは古くから続く日本式入浴法、オールヌードで飛び込めばいいだけ……けど、けどぉ、これはもう、まっずぅぅぅいわね」
ぐへぇと歪む表情、頬に手を当て腰をくの字にくねらせて直立する態勢
現在、徐倫は脱衣所で一切布をまとわない姿。宣言通り、オールヌードで直立している。具体的にどんな姿か、定点カメラがあるとするなれば、それは奇跡的に背後を向けて、また腕や足の角度で局部だけはなぜか光景に映らない、そんな姿勢と構図をとっている。
「ほんと、自分が女だってことに後悔はないし、誇りにすら思ってるわ。けど、これだけはダメ、いろんな意味でNGだわ。なんていうか、倫理的な、モザイク的な……子供には見せられないわね」
手につまみ持つのは糸、だがその糸の先にぶら下がるもの、女倫の瞳は赤黒く染まるその生理用品を映しとっていた
「わかってる、わかってるわ、宿命だものね。けど、今はこれをどうするか……捨てる?そこのごみ箱に?無理無理!!」
想像する。万一、ベルが自分の真っ赤なゴミを見つけた時のことをね。よくないトラウマを植え付けてしまいかねない
それは一宿一飯の恩義に裏切るということ。信頼を裏切る行為には殺しも辞さないと、どこかの誰かが言っていたぐらいだからと、どこかズレた思考を徐倫は一人胸に抱いた
「いくら日本人的謙虚さともてなし心があるからって、この置き土産は最悪ね。うげぇ、どこか外に埋めて捨てたほうがいいわね。とにかく今は応急処置、これをこうして……服をこしらえた時に余った布、ストーンフリーで編んできつく縛って、固めて……よし、これでノープロブレムっと」
針はないが、そこはストーンフリーの応用でうまく茶巾袋を作った、徐倫はそれを脱衣所隅に隠すように置く。むろん、すぐ回収する腹つもりだ
「さてさて、やることはやったしついにお風呂タイム、キャ~ッ!! ほんと、何年振りかって感じ! アジアの神秘にハレルヤとキスね!!」
ガララっと閉まるドア、そしてザブーンと惜しげなく湯のこぼれる音が扉の奥で響き渡った。
湯が配水管を流れる音、そしてすぐ子気味よい鼻歌が奏でられた。扉一枚の先、空条徐倫のバスタイムが始まった
……カササ
…………カヂ
………………ジ、カジカジ、バリリッ!
……びちゃ、グシャシャ、ゴック!
[[change]]
>>To be continued
インパクトあるスタンドにしようとしたらちょっと気味悪い敵が仕上がってしまった。次回、敵か敵スタンドの全容が明らかになる、予定
今作、一応最初だからオリジナルスタンドも出してみましたけどやっぱり原作スタンドも出したい所存。筆者的に好きなスタンドはスティッキーフィンガー、敵ならジェイルハウスロック