ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない   作:37級建築士

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ジョジョ熱が冷めないのでまた投稿しちゃいました。


Disc.33~再会

 

 

「……なんだ、これ」

 

 

 外に出た、這い出るように、崩れたコロシアムから外の広場に出て、見た光景はまさに災害と呼ぶしかない光景が出来上がっていた

 

 粉塵が宙を舞い、吹き飛んだ瓦礫があたりに散らばっている。爆発はコロシアムだけじゃない、周辺、この一帯で同時に起きたのだろう

 災害、テロ、何者かが起こした人為的な被害、そう思考は結論を導いてしまうのは、きっと慣れてしまっているから

 

 何かが起きている、そしてその何かは誰かが起こしている

 

 誰かとは、きっと持っていると考えるべきだ。

 

 少なくとも、僕の中の感はそう断定している。

 

 

 

……お姉さんは、みんなは

 

 

 

 まだコロシアムの中か、それとも先に外に出たのか

 

 一度、戻るべきか、それとも

 

 

 

「いやぁ、こないで、イヤァアアアアアアアアッ!!!!」

 

 

 

 

 

……グシャァアッ!!?

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 思考を横殴りする突然の断末魔、それは僕のすぐそば

 

 僕と同じように瓦礫の隙間から逃れたのだろう一般人、その顔に僕は見覚えがあった。あの時、出店の宣伝でチラシを配っていた時に話をした女の人だ

 

 助けないと、何かがそこに

 

 

「よせ、逃げろッ」

 

 

「……え」

 

 

「みんな、今度はそこにいるぞ、早く離れるんだッ!! ゾンビが近くにいるぞッ!!!」

 

 

 

 叫ぶ群衆の声、ベルの動いた足にブレーキがかかる。叫び、助けを求める女性の目を見て、さし伸ばした手を見て、それでも手は止まった

 

 そこになにかがいる、削れていく女性の頭部は言いようのない捕食の証拠。人間を食らう何かがそこに入る、そしてそれはゾンビであると、ゾンビがこの異変の中心

 

 ゾンビ、それはきっとスタンド能力が生み出した結果。そう頭が答えを導いた

 

 

「……ぁ」

 

 

 女性のこと切れる声、そして糸の切れた女性だったモノが地面に崩れ落ち、そして

 

 

 

……ビチャ

 

 

……ビタ、ビチャビタ

 

 

 

 

 

 

 

……タッタッタッタタダダダダダダダダダダッ!!!

 

 

 

 

 

 

「……来る、来ているぞッ」

 

 

 すぐそばまで、まっすぐに僕へと向かっている。姿は見えない、だけど付着した血液が、粉塵に塗れた気の流れが、その姿を僕に映す。

 

 人だった。人の姿をしていた。そして、僕を食おうとしている

 

 

「!」

 

 

 躊躇わなかった。護身用に持ち歩いていたヘスティアナイフを逆手に振りぬく。首に血、狙った通り感触があった。

 首を切った。人を切る嫌悪感を感じる。だけど、後悔の隙なんて与えてくれない

 

 

……ウッシャァアアアアアッ!!!!

 

 

「死なない、そうだ死ぬわけがない……こいつは、ゾンビなんだッ」

 

 

 死体は止まらない、離れた首をつかみ、そのままベルを組み伏せるように飛びつく

 

 

「ぐ、がぁあああッ!!」

 

 

 噛まれた、とっさに前に出した左腕にそれは牙を立てた。人の歯とは思えない鋭利な牙、僕は一心不乱にナイフを何度も突き刺す。空を切るように、何かがいるそこに

 

 飛び散る血潮で姿が見える、首のないゾンビが切り取んだ頭を使って僕を食おうとしている。食うことに固執している

 

 左腕で庇う先、返り血で色のついた眼球は悍ましく僕を見ている。こいつは、僕の頭を食らって、脳をすすり食らうまで止まらない。それ以外はない 

 

「少年が襲われてるぞ、誰か!」

 

「無理だ、こっちが食われちまう……逃げろ!!」

 

 無情な声、助けは無い。

 

 

……いやだ、こんなところで

 

 

「死ねるか、まだ僕はッ」

 

 

 

 

 

『■■■■ッ■■ッッ■■■■■■■ッ!!?!?!』

 

 

 

 

 

「そうだね、君はまだ死んでいいはずがないよ」

 

 

 

 

 

 風が吹いた。風が大きく、僕の体を巻き上げた

 

 視界がぐるりと回った。何が起きたか、理解できたのは重力を感じてから。

 

 

「……ぁ、あ、あア」

 

 

 さらりと金糸が頬を撫でる。抱きかかえられて、見上げるようにその顔を見た。覚えがある、あの時も見上げる角度だったから

 

 

 

……アイズ、さん

 

 

 

「三回目だね、君に会うのはこれで」

 

「!」

 

 三回目、ずっと覚えていたということ

 

 初めて会った時、そして今と、少し遡ってあの酒場での時

 

 

 

……見ていてくれた、アイズさんがぼくを

 

 

 

『■■■■ッ!?!?』

 

 

 

「!?」

 

 

「ごめんね、お話しする暇はないみたい……立てる」

 

 

 左腕を庇うベルをアイズは少し強引に立たせる。レイピアを前突き出して構え、警戒しつつ後ろへ下がる。

 

 物静かな彼女の普段は出さないだろう大声が周囲に響く。避難を訴え、すぐにここから離れるようにと誘導する様子、それをベルはすぐ近くで見ていた

 

 左腕は未だ血を流し、災害の事態でパニックも抜けきっていない今の状況、だが、なのに

 

 

 

「……君、歩ける」

 

「あ、えっと……はい」

 

「歩けないなら背負うけど」

 

「だ、大丈夫ですッ!!」

 

 

 こんな状況であるのに、ベルの心は目の前の金色で一色に染まっている。痛みで我に返っても、ふと視線を奪われて綺麗だと口ずさみそうになる

 

 そんな自分の単純さにあきれて、ベルはただ頬を真っ赤に染め上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ダイダロス区画、市民ホール~

 

 

 

 怪我人が運ばれている。人に背負われて、担架で運ばれて、時にもう手遅れな人がその建物から外へと連れていかれて、そんな光景を横目に見て、現状は嫌でも再認識されてしまう

 

 傷を抱えたベルは避難民と共にアイズに連れられ、この地にたどり着いた。ここはダイダロス通りにある比較的大きな市民用の多目的施設、暗黒期には野戦病院としても利用されたこの施設にはかつての教訓から医療器具や災害時の備品が多く収めらていた。

 故に、ここは避難民の最終拠点、故に外は多くの冒険者が防備を構え、さらにここに来る道中も多くの冒険者が防衛に当たっている

 

 状況は破壊工作のテロリズムだけではない。バイオハザードであることはすぐに伝達が行き渡り対処は進められている

 

 市民の安堵の声が所々で聞こえる。ベルも、ようやく張り詰めた神経を休められる。

 

 

 

「少し、待ってて」

 

 

「……」

 

 

 大広間の中、いくつか置かれた治療所の前で僕は床に腰掛ける。石造りの建物、ひんやりとした石壁にもたれて、思い出したように痛みを抱えて歯を食いしばる

 

 ゾンビにかまれた傷、痛くて、きっと骨もおかしくなっているのだろう。上着を巻きつけて無理やり止血して、けど痛みは鈍く響くだけ

 

 強く、気丈に保ってきた精神が不安定になるのを感じた

 

 徐倫お姉さんとも会えていない。自分一人だけ、逃げて、徐倫お姉さんだけじゃない。神さまや、ナァーザんさんにミアハ様、出会ったばかりだけど、ティオナさんとティオネさんも

 

 

……無事、だよね……きっと、ここじゃない別の場所に

 

 

 

「……ベル」

 

「ひゃあわッ!?」

 

「!」

 

 飛び上がる声にアイズがぎょっと目を見開いた。ベルはすぐ平静を取り戻さんとして、平謝り

 

「……ご、ごめんなさい。その、えっと、ごめんなさい」

 

「謝ること、何もしてないよ、ベルは」

 

「……は、はい」

 

「?」

 

 

 首をかしげるアイズさん、変に思うのは仕方ない僕だって情けないと思っている

 

 ここに来る道中、よくよく考えれば一方通行な出会いだった。だから、当然名前を知ってくれていない。必要だから自己紹介した

 

 けど、こうして名前をいざ呼ばれると妙に緊張してしまう

 

 こんな状況なのに、いつもみたいな、ある意味僕らしい反応をしてしまう

 

 

 

……でも、今は

 

 

 

「……ありがとう、ございます」

 

「助けたこと?」

 

「いえ、それもですけど……その、色々にです」

 

 

 

 また首を傾げられた。こんな状況で、心が押しつぶれそうな嫌な時なのに

 

 どうして、初恋の相手と接するだけでこうも気が楽になってしまうのか。そう思うと気が楽になってしまう。なってしまうのだ

 

 

 

「元気が出ました。アイズさんのおかげです」

 

 

 だから、感謝の言葉をまた重ねる。ベルが下げた頭に、アイズは少し視線を背けた

 

 その白磁のようなほほに、可愛らしい紅が灯ったのは、奇跡的にまだばれていない

 

 

 

「……君は強いね」

 

「そんな、僕なんかただのレベルい……いっつ、いたたたッ」

 

「あ、傷……忘れてた。腕出して」

 

「……あはは、はい」

 

 

 すっかり忘れていたつもりだったが、依然傷口は真っ赤なままだ。ベルは衣服を解き、噛み傷のある左腕を差し出す

 

 食い込んだ傷で開いた穴、裂傷で在り刺傷、血がまたもあふれ出る前にアイズが手持ちのポーションを上からかける

 

 

「ごめんね、ポーションは他の重症人に回してるから……少ししか、無くて」

 

「……うぅ、くッ」

 

 

 差し出した腕にかかるポーション、けど全快というには傷跡はふさがり切っていない。とりあえずの出血は抑えられただけ、上から包帯を巻いてどうにか見た目はマシになる

 

 

「……とりあえず、今はこれだけだよ」

 

「あの、アイズさんはこの後」

 

「……また行くよ。まだ、避難する人は多いから」

 

「そうですよね、それなら……その」

 

 

 

 コロシアム、もしかしたらまだ取り残されているかもしれないから、同じロキファミリアの仲間の二人だってそこにいるかもしれない

 

 だから、コロシアムの方に、そう言おうとした

 

 言おうと思って口に出した

 

 なのに

 

 

 

『———————————————————ッ!!?!?!?』

 

 

 

 

「!?」

 

 

 ベルの声がかき消された。その音は、いやに生物的な咆哮だった

 

 察するに、その音はきっと

 

 

……モンスター、今の声って

 

 

 

……怪物祭用に捉えたモンスターが逃げ出したんじゃ

 

 

 

 ざわざわと不安の色が周囲に溢れる。安全と思い気を休めてすぐ、迫る危機に当然ともいえる

 

 周囲の屈強な冒険者はすぐに行動に出る。そこには当然

 

 

 

「……ここで待ってて。ここなら安全だから」

 

 

 

 告げる、そしてすぐ踵を返し、アイズ・ヴァレンシュタインは去っていった

 

 

 

 

「あ、アイズさんッ!」

 

 

 

 

>> to be continued




今回はここまで、気が乗ったらまた近々に投稿


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