ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない   作:37級建築士

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昼間に投稿出来た、やったぜ


Disc.04~成長とはなにか?

 

 ある男の話だ。男はオラリオの下町で生まれ、親の家業である金細工の仕事をこなしながら幼少期を経た。ごく普通の幼少期を過ごしていた男は、とくにこれといった人生の目的もなく、また親の仕事を継ぎたいという意思もなく、そして食い扶持を求め冒険者となった。男が14の頃だ

 

 男は平凡であった。生まれ持った能力も、人としての魅力、素養、運、あらゆるものが平凡であった

 

 ゆえに、男は平凡を嫌った。だが、男には非凡になりえる才も努力も決意もなかった。ただ、凡庸であることが嫌で嫌で仕方なく、だから仕方のないことだと思いながら罪を犯した

 

 悪派閥に身を落とした。男は人のしない非道な行いは積極的に行い、とくに自分より弱いものを手にかけることには躊躇をもたなかった。それは簡単に報酬を得られる故、何故皆躊躇するのか疑問に思ってすらいた

 

 男に手配書が生まれたころ、組織の中でそれなりの古株となっていたころ、男は口々に次のようなことを述べていた

 

 

……平凡は罪だ、平凡から脱することが最も大事だ。つまり、人は成長しなければならない。成長して、己を変えなければならない

 

 

 

 成長、己を変えるための手段として男は悪事を行った。悪に落ちる道を選んだ

 

 必要以上の犠牲も、男にとっては必須課題ともいうべきことだった。成長に必要なのは、乗り越えるという行為、そして明確な報酬だ。

 

 男は悪派閥に仇なす存在は容赦なく襲った。だが、実力も技量もないゆえに、人質や闇討ち、毒、外道の手段を惜しげなく披露して成果を上げた

 

 報酬は名誉だ。同じ悪派閥の仲間たちからかけられる畏敬の念、時には侮蔑の言葉、あらゆる言葉が男を評価し、そして個性をつけた。

 

 男は成長を実感した。より組織として大きくなっていく悪派閥とともに、自分が非凡な存在に変わったこと、そこに人生の充実感を得た

 

 人生の絶頂、それすらも見えそうなまでに男は妄執を持っていた。だが、その先に男の待つ頂、それはなかった

 

 

 一度目の挫折、それはアストレアファミリアによる拘束

 

 二度目、無事冥界の神エレボスの策略によりオラリオを混乱に陥れた時、味方になったはずの最強の冒険者、アルフィアの敗北だった

 

 暗黒期の厄災、悪派閥の敗因はいくつもあったが男はアルフィアに固執した。アルフィアを頼りに攻め入る予定だった男の悪派閥はものの見事に混乱に陥り、結果多くの仲間が拿捕され、すでに刑は執行された

 

 男は一人生き残った。残った多くの敗残兵に紛れ、悪派閥として力を蓄えるべく地下にこもる仲間たちに紛れて

 

 この事件で、多くの悪派閥の者たちは復讐の誓いを立てた。逆恨みともいうべき歪んだ誓い

 

 しかし、男の抱いた誓いは違った。男は、男の信条にこだわり続けたのだ

 

 

 

 

 

 

「見える、見えるぞ。アルフィアの血統」

 

 

 低い視点、地に這いつくばる眼で男は少年を見ている。その目に映るは、かつて見た静寂と同じ。見た目ではなく、魂の色で感じた

 

 

「俺の未来は、あの戦いの先にあった。オラリオを壊滅させる、その悪業が俺に成長を……くれるはずだった。なのに、なのによぉ……お前が負けたせいで、全部が狂った」

 

 

「だが、それはいい。これも運命だと、今は思う……成長の、為だ」

 

 

「挫折も、成長の糧にする。そして、俺は探した……成長に必要な、新しい糧を。そして知った、お前に、親族がいると……そう、成長のために俺は、亡き仲間達の復讐を糧にするッ そう、きめたぁッ」 

 

 

「死者に復讐を果たす。矛盾するようだが、出来ないことではない。静寂がこの世を去ったが、奴は生きた証を、願いを託して死んだ。そういうもんだ、死者に尊厳を与えるのは生きている者だからなぁ……かわいいかわいい甥っ子を、無残に、絶望にぃいい!! 苦しませて殺せばよぉ、俺には浮かび上がるんだぜぇ、アルフィアお前への復讐が達成したっつう実感がよぉッ!!!」

 

 

「死者に復讐は果たせるッ そして、俺は成長を得られるッ これはよぉ、たまらなく幸福ってもんだよなぁ!! 挫折して7年、その先にこんな成長が得られるなんて、俺は幸せもんだぁあ!!!」

 

 

「あぁ、あのお方に感謝しねえとな……くれたんだ、祝福をッ スタンド能力、やっと馴染んできたぜ、使い方も理解したぁ……あぁそうだ、理解して確信した。俺のぉ……て、てぃ、テイラースウィフトは無敵だぁ……きひ、きひひひひっ!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 爪を落としたベルは机の下に潜り込み、そして見つけた。

 爪は見つかった。だが、それは爪そのものを見つけたのではなく

 

 

……カリ、カリカリ

 

 

「……クモ、爪を食べてる」

 

 

 見付けた。そのクモはベルの目に異様なものを感じさせた。人の爪をかじって咀嚼しているクモ、それだけでも異様であるが

 

 

……大きい、拳ぐらいの

 

 

「ひ、追い出さないと……箒、箒がいるッ」

 

 見た目はただのクモ、しかし大きさは脅威だ。ベルは机から飛びのきクモから距離を取ろうとした

 

 だが、複眼と目が合ったその時点で

 

 

 

……シュン

 

 

 

「!」

 

 

 

 一手、ベルは遅れたのだ

 

 

 

 

「な、なんだぁーッ!??」

 

 

 叫ぶ、当然だ。起き上がり、その場を離れようとしたベルの右足は前に一歩踏み出た。だが、踏み出したのは左足だった。逆なのだ

 

 

 

「ひ、左足が後ろにッ な、なぜなんだッ! それに、足はまだ動いている……ま、まさかッ!」

 

 

 態勢は崩れ、ベルは地を這いそして見た。

 

 虫の視点、そこで見たのは自分をロックオンした八つの視線

 

 

「まさか、このクモなのかッ この、左足を床に張り付けている、このを出したのはこの大蜘蛛なのかッ!!」

 

 

『……キシャァ』

 

 

「な、鳴いたッ お、大きいからか。図鑑で見たことのある、た、タランチュラよりもずっと大きい。なんだ、このクモは……お、襲うのか!!僕を!!!」

 

 

 牙を開いている。鋭利な牙を

 

 

「に、逃げないとッ!」

 

 

……シュルルッ!

 

 

「ぐ、また……糸だ、糸が目にも止まらない速さで……しかも、硬いッ ち、千切れないぞこれはッ!!」

 

 

 左足、そして右手、クモの糸が網状になってそのまま床に縫い付けッれている。二か所、しかし虫の糸がここまで硬いとは

 

 

 

……聞いたことがある。蜘蛛の糸はすごく丈夫で、数ミリ、数センチにも太くなれば人も馬車も容易く引っ張れるって

 

 

……このクモは、大きい、普通のクモの十倍以上だッ……なら、当然糸も強くなるんじゃあないのか??

 

 

 

『……——…………——————グチャ』

 

 

 

「!!」

 

 

 アギトを開いた。クモの牙から滴るのは煙を立てる液体、垂れる毒液、もしくは消化液か、それが床に落ちて今木材が溶けている。

 

 

「……食う、気なのかッ ぼ、ぼくを溶かして、どろどろにして吸い上げるのかッ!」

 

 

『……――キシャッ!!』

 

 

「き、来たッ や、止めろ――ッ!! 何をするダーーッ!!??

 

 

 飛び掛かるクモ、ベルの腕と足を縫い付けられて床に這いつくばるベルの背中に、クモは着地。八本の足がベルの肉に食い揉むように浅く刺さる。皮膚を貫く痛みにじみ出る血のシミ

 

 痛みが死の実感を与える。ベルの表情は焦りから変わって、急激に冷えついて温度を失くした。それは、絶望の諦めであった

 

 

 

 

「……ぁ、いや、だ」

 

 

 

 振り下ろす牙の執行、首元を庇うベルの左腕に、その牙が食い込まんとした。注射器で毒液を撃ち込まれ、内側からドロドロに溶かされる、そんな末路を実感してしまった

 

 

 

……いいのか、これで、こんな終わり方で

 

 

 

 

「……わけ、無いでしょうがッ」

 

 

 

 

「!」

 

 

 

 

……シュルルルルルッ!!

 

 

 

『ギシャァッ!?』

 

 

 

 ベルとクモの間を遮る糸の壁、それが絡みつきクモを捉え空中に縛り上げた。さながら、それはクモの巣に捉われ縛られた被食者の成れ果てのごとく、皮肉ともいえる反撃にクモは動揺を隠せないでいる

 

 

 

 

「……じょ、徐倫さんッ!?」

 

 

 

 ベルの叫び、頭をあげて見た先に彼女は立っていた。バスタオル一枚で体の正面を隠しただけの出で立ち、よほど急いで助けに来たのか

 

 羞恥に駆られ、衣類を着用する選択を選べばベルはとうに食われていた。刹那、まさに刹那の攻防、覚悟をもった彼女だからこそ、ベルは助けられた

 

 

 

 

ストーンフリィー……間に合ったわ、牙が刺さる寸前に。捉えたわよクモ公、そしてッ!」

 

 

『————ッ!!』

 

 

 ストーンフリー、徐倫の隣に立つスタンド。人の姿で厳戒して、その手には一本の糸が伸びている

 

 そして、徐倫の声と同時にストーンフリーは糸を引いた。すると、縛られた糸は引き戻され、その摩擦が凄まじいのかクモの体は煙を上げている。断末魔を漏らし、そして身肉に食い込む糸は鋭利な刃となった

 

 

 

「おえって感じ、けどこれでいい。毒牙も糸の反撃も食らわないですむ……このまま、捉えたままに、害虫駆除を終わらせる」

 

 

 

 

……グシャァッ!!

 

 

 

「……た、倒した。すごい、これがスタンド」

 

「ええ、でもまだよ……まだ、これで安心するのは早いわ」

 

「へ?」

 

 脅威が去った、しかしベルの言葉を徐倫は冷ややかに否定した

 

 いったいなぜ、そう思いベルは徐倫を見た。タオル一枚出前を隠した姿、一瞬その姿に遠慮してあまり見ないようにしていたためか、ベルは気づいてなかった

 

 

「!」

 

 

「そうよ、私もやられた……脱衣所で異様なクモに、脇腹と足の皮を少し裂かれただけだから、ストーンフリーの糸で縫えば問題ない」

 

 

「……どういうこと、クモが他にも、でもあんなクモこの村にはいない。モンスター? いや、なら魔石が……魔石が、ない?ただのクモ?本当に??」

 

 

 引き裂かれたクモの死体、そこには死体がそのまま残っている。モンスターであれば死体は消滅して魔石だけが残る。それがモンスターの常識だ。そうでないということは、これはただの生き物ということ

 

 

「ない、そんなわけがないんだ……こんな、人を襲う恐ろしいクモが、ただ自然界にいる普通の生き物であるはずが無いんだッ」

 

 

「そう、そうなのね。あなたのいうモンスターじゃない……この世界の怪物でないとするなら、これが私の世界で言うただの虫であり、さらに異常な変異を遂げた虫であるとするならば」

 

 

 

 

 

『————————ッ!!?!?!?』

 

 

 

 

……なんだ、何が起こったッ!!

 

 

 

……怪物だ、虫の怪物が!!現れて!!!

 

 

 

……こ、こんなクモは見たことが無い……いったい、ヒギャブッ!!??

 

 

 

……逃げろ、家畜も人間も、殺されてしまうぞッ!!!

 

 

 

 

「……この異変に、私は心当たりがある。ベル、私から離れないで、これは、スタンド攻撃だぁーーッ!!!」

 

 

 

 

 

>>to be continued

 

 

 




スタンド能力の解説をここで乗せようかと思ったけど、まだ次回まで引っ張るつもり。まあ、そこまで複雑ではないんですけど。

オリスタンドも原作スタンドもいっぱい登場できる二次創作にしていきたい、そんな願望

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