ベルと徐倫の奇妙な冒険、ストーンオーシャンは終わらない   作:37級建築士

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自分で考えて倒し方に悩んでいる、そんな筆者でございます。スタンドって難しい、各題材的な意味で

※ オリスタンドについて

スタンドはスタンドでしか倒せない、クモ達はナマモノではありますがスタンドの一部が宿っているためスタンドに触れられる存在でもあります。矛盾が無いようにここで注釈


Disc.06~モンスターパニックホラー

 とある場所、暗く狭い中で男は壁に背を向けている

 

 部屋を漂うのは血の匂い。男の体は服の内側から溢れる血のシミで無残な姿になっている。しかし、死体でもなくまた虫の息でもない。男の足元にはいくつものから瓶が転がり、そして今もなお高級なハイポーションを胃の奥に流し込んでいる。

 

 

 

「ぐ……ぁ、これ以上は無理だ、スタンドを食らうっつうことは俺自身が食われること。これ以上は、増やせねえ」

 

 

 スタンドで生み出した手駒、男が選んだのはクモ。最初にテストする中でいくつもの生物を調べ、そしてモンスターにも試したうえでようやく答えを得た

 

 蝶を食らう生き物、捕食生物で数を用意しやすい。そういう意味でもクモは正解であった

 

 

「モンスターは駄目だ、奴らは魔石で生きる化け物……故、成長の為に人間を食らっても成長が正常に働かないッ 必要なのは自然の理、たんぱく質やビタミン、カルシウムといった肉体を作る栄養を食事で得られる生き物。だからクモがいい、クモが正しいと答えを得た」

 

 

 成長のためには捕食がいる。手始めは人間の血肉じゃなくていいと、男は実験で学んだ。髪の毛、爪、分泌した体液の付着した物。早い話、そこらの糞尿でも、女の血の付いたナプキンでも何でもよかった

 

 次第に捕食する者は人間そのものへと近づく。元が小さい故に、クモは成長の伸びしろがある。床に散らばる抜け落ちた頭髪、こすりついた垢、自然に剥がれた皮に飛び散った唾液の飛沫。

 

 たったそれだけでも、クモは無能力の少年であれば食い殺すほどに力と獰猛さを得られた。

 

 スタンド、テイラースウィフトは生物に無限の成長を叶える。食らい、貪り続ける限り

 

 生き物は強く、大きく、自然の理を超えた脅威となる。

 

 

 

「くく、クモ達は順調だぁ……すこやかに、俺の狙い通りに成長してくれたぁ!! さあ、大英雄アルフィアの血統よッ 絶望に堕ちて狂い死ぬ様を俺に感じさせろ!!その実感が俺に、新たな成長をくれるぅううう!!!?」

 

「クモを操ることはできないがぁ……寄生したテイラースウィフトの欠片が信号をくれるぞッ 泣き叫ぶ老人の声も! すすり食らわれる感覚で怯え狂う女の声も!! 見て聞いて感じられるッ はっはぁあッ!!」

 

 

 

 狂ったように叫ぶ声、重度の麻薬患者のごとくどす黒い闇に歓喜を覚えてしまっている。男の抱いた悪しき成長、それは正しいとか間違っているとかに関係なく男の中では正常であり続ける

 平凡な人間にはできない所業、食らい続けるクモ達を生み出した、その借りものの力を己の才覚、偉業、そう信じて疑わない

 

 男は念願の成長を感じている。残るは、メインディッシュであるあの少年の阿鼻叫喚だけ

 

 

「はは、あぁ……あぁ、あ? なんだ、どうして途切れたッ……おかしい、なんだいったい?」

 

 

 ピタッと止まる男の体、肌を伝うは冷や汗のように見えた。しかし、違った

 

 

「……痛み、こいつは汗じゃあねえッ 血だッ! クモがやられた、もう何匹もッ!! どういうことだ、あのガキがやったのかッ!!」

 

 

 動揺が走る。ダメージ自体はクモの中に入っていた寄生虫が息絶えたことでのフィードバック、ダメージ量はさほどない。剃刀で少し仕損じて出来た程度の傷だ。

 だが、それでも動揺は走る。スタンドの支配下にあるクモ達を殺している、つまりは、思考を巡らしながら幾つもの否定と肯定を繰り返す

 

 そうして、男がたどり着いた回答は当然

 

 

「……まさか、いるのか」

 

 

 動揺は薄れ、男の中に確信が得られた。確信は特効薬だ。戸惑い、辟易、そのような感情を置き去りにして冷静な思考を呼び戻した。

 

 

「スタンド使いか、オラリオ以外にはいないと聞いたが……どういうことだ。あの方が、知っているのか」

 

 

 つながる信号を通じて、男は探った。仕留められたクモ、虫の息の状態でわずかに見える視覚の信号、それを探り、強く感じようと集中した

 

 

 

「スタンド使い、いるんだなッ だが、それがどうしたというのだッ!!勝利の風はッ この俺のテイラースウィフトに吹いているぞぉおッ!!?」

 

 

 

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 

 

 

「うぉおおおぉおお!!?!?」

 

 

 叫ぶ、叫び走り、大小異なるクモの群れから徐倫は逃れている。

 

 家屋の隙間を縫うように走り、飛び掛かるクモをストーンフリーで殴りつぶす。小型のクモであれば問題なく拳で倒せる。だが、それ以上に大きなクモとなれば容易ではない

 

 

「……つぶした、何匹だッ 体液でべとべと、けどまだ大きいのは残っている。牛みたいにデカいクモ、それと一番デカいヤバい二匹ッ」

 

 

 走る。行き止まりに当たってもストーンフリーが糸の足場を作り屋根の上へあがる。クモ達は大きさを変えてもその八本の足は踏破する場所を選ばない。ぞろぞろと群れとなった子グモは軽い、そのまま徐倫に毒牙を撃ち込まんと追いかける

 

 捕食者と被食者、騒ぎ振動を立てればクモ達は徐倫の存在に気づく。逃げ場は無いと言わんばかりに、赤い眼光がぞろぞろと大海となって徐倫を殺しにかかるのだ

 

 

「ほんと気持ち悪い、吐き気がするクソ映画の世界に放り込まれたって感じ! 最悪のジュマンジだわッ!! まあ、ここはジャングルでもないけど……知らない世界に放り込まれて最悪~ってところじゃあ同じね」

 

 

「ほんとおえって感じ、だから、もう決心したわ!」

 

 

「2度と、絶対に見ないわッ!」

 

 

「あたし死ぬまで、決してもう、ジュマンジだけは見ないッ!」

 

 

「見ないわッ!誓うわ…………賭けてもいい!!」  

 

 

 

『『『『『キシャシャァアアアッ!!!??』』』』』

 

 

 

「だぁあああッ!! 気色悪いのよ虫共がぁああああッ!!! ストォーーンフリィイイッ!!!??」

 

 

 

 

 怒号と共に呼び出した化身、ストーンフリーの拳が迫り狂うクモに、向かず

 

 

 

「……ベルの言っていた場所、村の東側にある共有倉庫。ここに、たどり着きたかったッ」

 

 

 

「オラァアッ!!」

 

 

 木造の屋根をぶち抜いた拳、空いた穴にすぐさま徐倫は飛び込んだ。

 

 突然の行動、だがクモ達はたじろがずそのままぞろぞろと倉庫の中へ入っていく。その光景は、遠く離れた先に堂々と立つ大グモの視界にも映っている。

 

 

 

 

 

……馬鹿な女が、自分から逃げ場を失くしてくれたなぁ、この身の見た目だったらよぉ、外のガワだけは大切に使ってやろうかと思ったがなぁッ!!

 

 

 

 クモの視界、男の意思はクモに介在しない。ただ盗み見るように覗くだけ、そんな男は勝利の余裕を抱いて徐倫を見下していた

 

 男の知っている他のスタンド使い、それらと比べてなんと矮小で無様なことか、だがそれもこれも自分のスタンドが強すぎるためか、肥大化した精神ではるか上からモノを考えている。男の笑みは止まらない

 

 

 

「オラァアッ!!」

 

 

 

…………なんだ、何を持っている?

 

 

 

 遠く、首をかしげる男。倉庫より飛び出した徐倫はクモの追跡を逃れる一方で、その手には黒く大きい何かを持っていた

 

 男の視界には映らない。持っているものだけじゃなく、徐倫の浮かべている迷いない覚悟をもった表情も

 

 

 

「本当に、生理的にキモくてうんざりするわ……だけど、こういうパニック映画、その最後だけは嫌いじゃあない。そう、ラストだけはいいのよ」

 

 

 

 

 迫りくる、またも袋小路に差し掛かる場所、絶体絶命ともいえる状況で徐倫の顔に恐れはない

 

 

「虫もゾンビもビッグモンスターも、最後は爽快にブッ倒されるッ それも派手に、シュワルツネッガーやスタローンがやったように、私もクライマックスを飾る側よッ!!」

 

 

 地面を這いまわる大量の小クモと、目算で7匹はいる家畜サイズの中クモ、ストーンフリーであってもこのまま突っ込めば戦力差で負ける。それは明解だった、故に

 

 

 

「ベルに聞いてよかったわ。それと、運にも恵まれた。この村の主産業、畑の農作物と家畜、特に家畜がいいわ。そのおかげで、欲しいものなら手に入ったあッ!!!」

 

 

 

 

 

>>to be continued

 

 




今回は短め、長くなりそうなのでここで切りました。

次回で戦いは落ち着くはず。戦闘が終わったら徐倫とベルのほのぼのした描写が書きたい。

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