そういえばプリキュアで第三の勢力が登場した事ってありませんでしたよね多分・・・間違ってたらすみません。
黒薔薇町 繁華街
「いたぞー!」
「絶対に逃がすなー!!」
午後七時半過ぎ、キュアベリアルこと――悪原リリスは窮地に立たされていた。
いつものように悪魔狩りに現れた洗礼教会と戦い撃退した彼女だったが、現地の住民の通報によって警察に情報が行き渡ったことがそもそもの原因だ。
彼らはキュアベリアルを極めて悪質な反英雄 として、洗礼教会との乱闘騒ぎを繰り返す彼女を捕まえるために躍起になり、今現在彼女をパトカーで追跡している。
「しつこいわね!」
ウーウーとサイレンを鳴らし後ろから追いかけてくる複数台のパトカーを気にしながら、ベリアルは背中の翼をめいっぱい広げ空中を舞う。
「抵抗は無駄だぞ、プリキュア!」
「お巡りさんは何も悪い人たちじゃない! 話を聞かせてくれないか!?」
「自分で悪人じゃないってよく言うわよ! まったくこれだから都合のいい大人って好きになれないのよ……」
これ以上追いかけられるのは迷惑千万。早いとこ状況を脱しようと思った。
ベリアルは咄嗟に街灯の明かりが届かない建物の暗闇に紛れることで、警察による追跡を逃れた。
「あの小娘め、どこに消えた!?」
「闇夜に紛れてしまって、まったくわかりません!」
先輩刑事の怒号に若手刑事が答える。
「こんなときの為に用意したプリキュアセンサーはどうしたんだ!? 大河内財団からの支給品は!?」
「それが、電波ジャックを受けたらしく……使い物にならなくなってしまいました」
「おのれ……プリキュアめ、日本警察を舐めるなよ!!」
刑事たちは警察官としての誇りに懸けて、何としてもキュアベリアルの早期逮捕に全力を注ぐことをあらためて誓い、今日のところはひとまず引き揚げて対策を練り直すことにした。
警察というある意味洗礼教会よりもたちの悪い敵から、ベリアルは何とか身を守ることに成功した。完全にパトカーがいなくなったことを確認したのち、あらかじめ決めていたはるかとの合流地点に向かい、誰もいない公園の茂みで変身を解いた。
「はぁ……疲れた」
疲労気味に肩を落とし、茂みから姿を出した直後――はるかとレイが合流した。
「リリスちゃん!」
「リリス様!!」
「はるか……レイ……」
リリスはまぶたが半分落ちた目ではるかたちに視線を向ける。
「大丈夫ですか? 目がトロンボーンですよ」
「ちょっと疲れただけよ。ていうかなにそれ……目がとろんでしょ? トロンボーンって言い方……」
「それより、また警察に追いかけられたんですよね?」
問われるや、リリスは深い溜息を漏らした。近くのベンチに座った彼女は、肩や首を軽く回しながら口を開く。
「彼ら血眼になってたわ。洗礼教会が現れたら強制的に戦わないといけないし、戦いが終わっても警察が駆けつけたら追いかけっこになる。どこまで行けばこのいたちごっこは終わるのかしらね」
悪魔という身分を隠して人間社会で生きるリリスにとって、この二つの勢力は平穏な日常生活に極めて深刻な影響をもたらしていた。
悪魔を人類の敵と見なし、その討伐に命を懸ける洗礼教会による過激なアプローチは日増しに頻度を増やしていき、その都度リリスはプリキュアに変身して対処しなければならない。
そしてそれに拍車をかける警察という国家権力の台頭。戦闘時に発生する器物破損や一般市民からの苦情の声を味方につけ、彼らはプリキュアの逮捕に乗り出した。二つの勢力は同じ敵である悪魔を異端者と捉え、一つは物理的に、もう一つは社会的に抹殺を試みようとしている。
この板挟みの中に立たされたリリスはそれでもなお自らの平和な生活と、はるかやレイと言ったごく少数の身内を守るために、日夜戦い続けるしかなかった。だがその代償として十四歳の悪魔少女の体には並々ならぬ負荷が及んでいた。
なんとかリリスの力になってあげたいと思うはるかと、最も近くにいながら彼女の役に立てているのか不安に思うレイは、ともに胸が締め付けられる思いだった。
「とにかく、今日はゆっくり休みましょう。私がリリス様をお運び します」
そう言ってレイは疲れている主人のために我が身を捧げようとする。
「でも悪いわよ」
「リリスちゃん、せっかくレイさんが言ってるんですから甘えましょうよ!」
「……そうね。じゃ、お願いするわ」
たまには親友と使い魔の好意に甘んじてみるも悪くないと思った。実際に疲れていたリリスは遠慮することなく人間態のレイの背中に我が身を預ける――が。
「お、重っ!」
言い出しっぺのレイから飛び出したまさかの一言に、リリスは怒りマークを頭に浮かべて、髪の毛を引っ張った。
「いきなりデリカシーのない発言ね! あんたサイテー、ブッ飛ばすわよ!」
「イテテテテ‼ も、申し訳ありません!! 大丈夫です、このくらいなんともありませんよ!!」
どうにも説得力に欠ける言葉だった。はるかは内心不安に駆られながら、リリスとともに帰路へと向かって歩き出した。
◇
黒薔薇町 天城家
ピピピピ……ピピピピ……
天城はるかの目覚めを促す時計の音。いつもは早寝早起きのはるかだが、今日に限っては珍しくベッドの中で体を丸め、起きる気配を見せない。
眠りを妨げる耳障りな目覚ましの音を消し、彼女は夢の中へと戻ろうとする。
「はるかー、起きなさい。遅刻するわよー」
だがそれを許さなかったのは身内からの声だった。起きてくるのが遅いと思った母の翔子が、フライパン片手に階段下から呼びかける。
「うう……」
母親の声で不承不承とばかり、ようやくはるかは目を覚ました。
なぜ早寝早起きの彼女が朝寝坊をしたのかといえば、夜更けまでリリスの身の上を真剣に考えていたからだった。
「いってきまーす」
朝食を済ませ、少し遅めに家を出たはるかはいつもと同じ通学路で学校を目指す。が、このとき彼女の気分は沈みがちで、いつもの底ぬけた明るさを垣間見ることはできなかった。
「はぁ。リリスちゃんの力になりたいのに、はるかは側にいてあげることしかできない……あ~、神さまはなんと残酷なんでしょう! 親友が理不尽な運命にさらされ傷つく姿を黙って傍観するなんて、はるかにはできませんよ――!」
プリキュアとして独善的な悪と戦い続けるリリスを側で見守り応援することしかできないことの悔しさ。隔靴掻痒という四字熟語が咄嗟にはるかの頭をよぎった。
どうにも気分が晴れず、 モヤモヤとした感情に支配されていたとき、
「きゃっ!」
はるかは誰かとぶつかり前頭部を強打した。
「あっ痛!」
「あたたたた……す、すみません、よそ見して……ハヒ!?」
間の抜けた声ではるかの口癖が飛び出した理由、それは――彼女とぶつかって来たのが、太陽の光に反射するキラキラとした銀髪に、それに見合ったハンサムな人相を兼ね揃えた純白神父服の美少年が目の前に立っていたからだ。
(ハ……ハヒ――!!)
「あの……大丈夫ですか?」
美少年がはるかの身を案じ優しく声をかけてくる。このとき、はるかの心臓の鼓動は急激に高まり、顔は真っ赤に染まって湯気を吹き出していた。
(な、なんですかこの超絶イケメンは!? 決して嫌いではない……というか、はるかのドストライクなんですけど――!!)
これまでの人生で出会ったことのない絵に描いた美少年にはるかは一目惚れをしてしまった。明らかに日本人顔ではない少年は怪訝そうにはるかの顔を覗きこみ、黙ったままの彼女の反応を待ち続ける。
ハっとした顔となり、はるかは少年に見惚れるあまり無口になっていたことを即座に反省して、慌てて口を開いた。
「は、はい!! 全然、なんともノープロブレムであります!!」
動揺するあまり、語尾もいつもとは大分違ったものとなっていたが――はるかの意中の少年は彼女の言葉を聞くとすぐに「そうですか。怪我がなくて良かった」と優しい笑顔で答えたくれた。
こんなドラマのような出会いをはるかは体験したことが無かった。あまりにも眩しすぎる視線の先の美少年の魅力に、心臓の鼓動は激しく高鳴る。
(どうしましょう……!! こんなイケメンに話しかけられるチャンス、滅多にありませんよね!? 他愛ないことでも何とか会話を繋げたいところですが……何か話題話題……)
赤面し心拍数が急上昇する中、はるかは咄嗟に言葉を紡ぐ。
「あ、あの……本日もお日柄がよくて何よりですね!」
瞬間、はるかと少年の上をカーカーとカラスが鳴いて飛んで行った。
(ハヒっ!? これじゃ隣に住んでるおばあちゃんと変わりありません!! 完全に空ぶってしまいました!!)
穴があったらぜひとも入りたかった。こんな醜態をさらすくらいならいっそ引きこもってしまいとはるかは本気で思った。
「あ、あの……」
「ハヒ!? なんでしょうか……!!」
はるかの心をかき乱す少年からの呼びかけに、先ほどの発言を気にして気まずそうにはるかが返事をすると――
「ぶつかっておいて不躾ですが……教会への道を教えてもらえませんか? 道に迷ってしまいまして」
「教会……ですか?」
少年の目的は黒薔薇町に一つしかない教会へ行くことだった。普段からヒーローに憧れる性根の優しいはるかは快く頼みを聞き入れ、教会までの道案内をしてあげた。
「あれですよ!」
「あそこですか」
「はい。この黒薔薇町で教会といったらあそこだけですから」
言いながら、丘の上にひっそりと建てられた教会を指さした。
「良かった。本当に……ご親切にあずかり ました」
「いえいえ! 困ったときはお互い様ですよ!」
という社交辞令とは裏腹、本当のところ、はるかは少年と話すきっかけが欲しかったのも事実である。
「でも変ですね。あそこの教会に誰かがいるところ、見たことありませんけど」
「あの……ぜひお礼がしたいので、ご一緒に来ていただけませんか?」
「いいんですか!! あ……でもはるかはこれから学校があるんですよね。ごめんなさい、せっかく誘っていただいたのに……」
「そうですか。……私は神父見習いのクラレンスと申します」
「私立シュヴァルツ学園二年C組の天城はるかです! はるかでいいですよ!」
「はるかさん――この町に来て、あなたのような親切で優しいすてきな女性に出会えたのはきっと、神の思し召しだったのかもしれません」
クラレンスははるかの心を射抜いた殺人スマイルで彼女を見つめる。
(ハ、ハヒっ~~~~~~!!)
純情な乙女の心を激しくかき乱す人たらし……もとい、極上スマイル。心臓の鼓動が高まり過ぎて息ができなくなりかけたはるかは何とか平静を装い、クラレンスと向き合おうとする。
「ぜひともお時間があるときにでも、教会までおいでください。約束ですよ」
「はい!! はるかもぜひぜひそうしたいであります!!」
またしても語尾がおかしくなったが、クラレンスはまったく気にせずはるかの人間性を正当に評価してくれた。
「では、またお会いしましょう」
はるかと別れ、クラレンスは教会までの道を一人歩いて行った。去っていく彼の後ろ姿を見ながら、はるかの頭は淡いピンク色に染め上がる。
(な……なんてすてきな方なんでしょう~~~!!)
「か……るか……はるか」
「ハヒ?!」
不意に現実に呼び戻された思えば、いつの間にか隣にはリリスが立っていた。
「何こんなところでボーっとしてるわけ?」
「り、リリスちゃん?! どうしてここに?」
「はるかがいつもの待ち合わせ場所に来ないから探してたんじゃない。それより、あの教会……」
「え? 教会がどうしたんですか?」
リリスは丘の上に建てられた教会を悪意あるものを睨むかのような目つきで見ている。その目は洗礼教会に向けられるとは違い、悪魔として彼女が本能的に恐れる存在を認識したときに見られるものだ。
踵を返した直後、リリスは背中越しにはるかへ警告を促した。
「はるか。悪いこと言わないから教会には近づかない方がいいわ。でないと、あなたの命にかかわるかもしれないから」
「リリス……ちゃん……?」
言ってる意味が分からなかった。はるかが言葉の意味をわかりかねる一方、言い知れぬ不安がリリスの胸中を燻っていた。
*
黒薔薇町 天城家
「あ~~~!! やっぱり神さまは残酷です!!」
夜になり、自宅の部屋ではるかはお気に入りのぬいぐるみを抱きながら嘆いた。
「せっかくあんなすてきな方と出会えたというのに、教会に近づいちゃダメとは……。でも、言ったのはリリスちゃんであって神さまではないですよ? 大体、よく考えてみればリリスちゃんは悪魔なんですよね?」
そう思い始めると、はるかは勢いをつけベッドから体を起こした。
「そうですよ。悪魔の言うことに耳を貸してはいけません! こんなチャンスはもう二度と来ないかもしれないんです!」
生まれて初めてリリスの言うことに背く姿勢を見せる。窓の外に顔を出し、この家から大分離れた丘の上にある教会にいるクラレンスを思い、はるかは決意した。
「決めました! 今度の土曜、クラレンスさんに会いに行きます!!」
ピピピピ……ピッ……
土曜日の朝。学校が休みだというのに、はるかは平日学校へ行くときよりも早く目を覚ました。目覚まし時計は鳴り切る前に途中で切られる。
「おはようございます、お父さん!! お母さん!!」
はるかは勢いよく階段を駆け下り、居間へと通じるドアを開き、両親と朝のあいさつを交わす。
「お、おはよう、はるか……」
「何だか随分気合い入ってるわね……」
「気合い一二〇パーセントですよ! 今日ははるかの勝負の日なんですから!」
さっさと洗面所で顔を洗ったあと、ダイニングにやって来たはるかは席に着くや否や朝食を凄まじい勢いで食べ始めた。ほんの一瞬、両親は目の前の娘が女子であることを忘れてしまった。
「なぁ、はるか……どうしたんだほんと? ひょっとして、彼氏でもできたのか?」
父・晴彦が尋ねるや、口の中に勢いよくかき込んでいたご飯が気管 に入った。はるかはむせ返り、慌てて水を飲んで呼吸を整えてから弁明した。
「ぶっは! ち、違いますよ……!! まだそんな関係じゃないんですよ!!」
「その割にはその格好、この間買ったばかりの服でしょ?」
今日という日のためにはるかは念入りにお洒落をした。自分の魅力を最大限に引き出す服装とアイテムで、クラレンスとの甘い甘い一時を過ごしたい――そんな浅はかな考えが両親には駄々漏れだった。
「と、とにかく今日は忙しいんです! お父さんとお母さんとしゃべってる時間も惜しいくらいなんです。あ、いけないもうこんな時間!! というわけで、はるかは出かけます!!」
バスの時間を気にして、はるかは大急ぎで朝食を済ませ家から飛び出した。だがすぐに玄関から両親のいるダイニングへと戻ってきた。
「カバン忘れました……!!」
財布などが入った大切な持ち物が手元になかったことに気付かぬほど、はるかは焦っていた。再度持ち物を確認し、あらためて自宅を出発した。
「大丈夫かしらあの子?」
「さぁ……」
急いで家を出たものの、教会方面まで続くバスの出発時刻に間に合うかはギリギリだった。バス停にバスが止まっている姿を見つけ、全速力でバス停まで走ったが、はるかが到着するあと一歩というところでバスはゆっくりと発進してしまった。
「ああ!! 待ってください、はるかも乗りますよ――!!」
バスを追いかけ必死に呼び止めたが、虚しくもバスは走り去ってしまった。
時刻表を見れば、次のバスが到着するまでおよそ一時間を有することがわかり、はるかは思わず肩を落としうなだれた。
「は~~~~~~、サイアクです――!! どうしてこうも神さまははるかには厳しいんですか――!!」
などと実際にいるのかもわからない神への愚痴をこぼしていたときだった。
「はるかさん?」
「ハヒ?」
どこかで聞いたことのある声が聞こえてきたと思えば、ちょうど後ろに意中の人物――美少年神父のクラレンスが立っていた。
「やっぱり! はるかさんですよね」
「ク、クラレンスさん!! どうしてここに?!」
はるかが驚きと緊張で目を見開いていると、クラレンスはそんなはるかの心情など露知らず話しかける。
「以前お見かけた人がいるなぁとは思ったんですが、はるかさんでしたか。ところではるかさん、どちらへ行かれようとしているんですか?」
「え、えっと……あの……実は、前に約束していたので教会へ行こうかと思って……」
クラレンスの前ではるかはしきりに手や指をもじもじと動かす。
「本当ですか! 嬉しいですね。あ、立ち話も何なのでどこか喫茶店でゆっくりお話しましょう」
「そ、そうですね。ありがとうございます!」
人生とは何があるかわからないものだ。先ほどまで見えない神への愚痴をこぼし悲嘆していたはるかだったが、念願叶ってクラレンスとの逢瀬の時間を獲得してしまった。
(天城はるか、千載一遇のチャンスをゲットしたです!!)
誰に向かってやっているのかは知らないが、クラレンスの見えないところでガッツポーズを決めてやるはるかであった。
*
黒薔薇町 某高級住宅
はるかとクラレンスが再会を果たし二人きりの時間を過ごそうとしていた頃、悪原リリスと使い魔レイは、とある高級住宅を訪れていた。
この日、かねてより契約していた召喚主の命を受けて参上したのだが、何やら様子がおかしい。
家に入ったリリスとレイは静まり返った室内の様子を見渡し、召喚主の身に何かがあったことを即座に悟った。
「これは……」
リビングを覗きこんだとき、部屋ははじめから人など住んでいなかったように家財道具が撤去されていた。そしてそれとは別に、住人の衣類らしきものが無造作に置かれているという不自然な画が広がる。
リリスは残された衣類が召喚主の着ていた物だと理解する。衣類は若干温かみが残っており、自分たちが到着する前に何者かの手によって葬られたと推測する。
「ひどいものですね。跡形もないとはこの事ですよ」
「ええ、そうね」
辺りを見渡し他に何か残っていないかを確かめた。するとリリスは、部屋の片隅に落ちていた犯人のものらしき証拠を発見した。
「でも敵は存外間抜けなようね。わざわざ置き土産を残して行ってくれたわ」
「その黒い羽根は!? ではまさか、これをやったのは……」
レイはリリスが発見したカラスの羽とも思われる漆黒に染まった羽根に驚いた。
この羽根が示す犯人の正体を、リリスは重々理解していた。だからこそ余計に腹の立つ問題だった。
「まったく。洗礼教会と警察だけでこっちは手一杯だっていうのに……あろうことか、あいつらまでこの町に来てるなんて」
*
黒薔薇町 喫茶ノワール
「あぁん! ……これは何と言う美味! 私、生まれてこの方このような美味は味わったことがありません!」
「大袈裟ですよ。確かにこのお店のハンバーグは手作りですから、普通のファミレスより手間も暇もかかっていますが」
はるかとクラレンスは喫茶店に場所を移していた。現在、はるかの目の前では、クラレンスが細身の体には似合わないドカ食いを披露していた。
(しかし意外でしたね……クラレンスさんが見かけによらない大食漢だったとは。ですが、これが男の子の健全な姿だと思えば、悪くないですよね!!)
一度好きになってしまうとどんな姿でも良く見えてしまう。痘痕もえくぼということわざを思い出させてくれる。
「あの、クラレンスさんはどうしてあんなところにいたんですか?」
「え……あ……休み時間だったもので、この町の散策をしていたんですよ。そしたら偶然はるかさんをお見かけしたものですから、それで」
「あ、あの!!」
そのとき、はるかが突然大声を出したと思えば、赤面した彼女の口から思わぬ言葉が飛び出した。
「もしよろしければはるかと……でで、デートしませんか!!」
「え!?」
(ハ、ハヒっ!! 言ってしまいましたよ、しかもこんな人前で大声で!! きゃ~~~何て恥ずかしいことを!? クラレンスさんに変な子だって見られてしまいます!!)
いや既に十分変な子ですのでご安心ください、とどこからか声が聞こえた気がした。
もしこの場にリリスがいたら得意の毒舌を披露してくれるに違いないが、生憎、今ここにいるのははるかとクラレンス、それにこの喫茶店を利用している僅かな客だけ。
しばし沈黙が続いたが、クラレンスは若干顔を赤く染めてから、おもむろに口を開いた。「――――わかりました。私で良ければ、ぜひ」
「え……えええええええええええええええええ!!」
店中に響き渡る声でデートの申し込みをしたはるかにオーケーサインを出したクラレンス。二人の行く末を見守っていた店主とまわりの客からは自然に拍手がこぼれていた。
本当に人生何があるかわからないものだと、はるかはしみじみと思った。
クラレンスとのデートにこぎつけたはるかはその後、全力で彼とのデートを楽しんだ。日本に来たばかりのクラレンスのために、はるかは自分の頭と体をフルに使って色々な場所へ連れ回した。
はるかとクラレンスは初めての出会いからお互い惹かれあう仲だったようだが、今回のデートで急速に仲を深め、傍から見ればもう日本人と外国人同士のカップルにしか見えなかった。
そして気付けば、時計の針は夕刻を刻んでいた。楽しかったデートは瞬く間に終わりの時間を迎えた。最後に噴水のある公園に立ち寄った二人は、ジュースを飲みながら今日一日を振り返る。
「こんなに楽しかったのは生まれて初めてです。はるかさん、本当にありがとうございました」
「いえいえ! はるかも男の人とこんなに楽しいデートをしたのは生まれて初めてでしたから、とっても楽しかったです!!」
はるかはそう言って、頭の中で今日一日の思い出を反芻する。
(本当に夢のようでした。こんなステキな人とデートができたなんて……あ~、こんな幸せな時間がもっと長く続いて欲しいですね♪)
デートの余韻に浸るはるかを現実世界に引き戻すようにクラレンスが声をかけた。
「はるかさん。あの、今日のお礼と言ったらなんですが……これをあなたに」
そう言ってクラレンスがはるかに渡したのは、神々しい光を放つ珍しい形の石だった。石は丁寧に磨かれ、アクセサリーの形にされていたからはるかは思わず頬を赤らめる。
「これは……?」
「きっとあなたに似合うと思います」
「こんなにすてきなものをはるかに? いいんですか!?」
クラレンスははるかの目を真っ直ぐに見て答える。
「はい。私はあなたに感謝しているんです。遠い地からこの国にやってきて、右も左もわからない私にはるかさんは優しく声をかけてくれた。私は、あなたにはどうか幸せになってもらいたいんです」
「クラレンスさん……」
クラレンスは小さく息を吸うと笑って言葉を続けた。
「はるかさん。あの……こんな私ですが、その……友達になってくれませんか?」
「え?」
「私には夢があります。いつかたくさんの友達と食事をしたり、本を買ったり……なにしろ私には友達がいないもので」
クラレンスの口からそんな話を聞かされ、はるかは急に心が痛んだ。友達がいない、そんな悲しいことをどうして目の前の少年は悲しそうに言うのか。どうしてこんなにもすてきな人に友達がいないのか――はるかはわからなくなり、困惑する。
「あ、いや、すみません! 分を弁えるべきでしたね! 私のような神父見習い風情があまりに傲慢でしたね!!」
咄嗟に自分を卑下したクラレンスだったが、はるかは彼の手を包み込むように握りしめ、まじまじとクラレンスの瞳を見る。
「そんなことありませんよ! はるかはとっても嬉しいですよ! だって、はるかもクラレンスさんとお友達になりたいですから!!」
本心から来る思いを赤裸々にぶつけ、はるかはクラレンスの心の不安と寂しさを取り除く、優しい笑顔で言った。
「はるかさん。私……私……嬉しいです!」
「それはムリな話だ」
唐突に知らない誰かが二人の空間に割って入ってきた。声のした方へ目を向けると、噴水の水面に脚をつけて立つ背中に黒い翼を生やした浅黒い肌の男が立っていた。
「ハヒ! 誰ですかあなた……!?」
「ザッハ……様……」
はるかは震えているクラレンスの顔を見た。
「えっと……お知り合いなんですか?」
怯えるような目でザッハという名の男を凝視するクラレンスに、ザッハは鋭い目つきで呼びかける。
「クラレンス。我々から逃げようとしても無駄だぞ」
「嫌です。人を簡単に消滅させてしまうようなあなた方のところになど戻りたくありません!」
クラレンスの言葉にはるかは息をのんだ。
「人を消滅させるって……どういう意味ですか!?」
「そいつは堕天使よ」
後ろから聞こえてきた親友の声。出現した紅色の魔法陣から、リリスとレイが現れはるかの横に立つ。
「リリスちゃん! レイさんも!」
リリスたちの登場にザッハはあごをさすりながら言葉を投げた。
「ほう。これはこれは……誰かと思えば、亡き魔王の忘れ形見か。なるほど、この町は貴様の領土というわけか」
ザッハの言葉にリリスは睨みを利かして質問する。
「ごきげんよう、腐った堕天使さん。ひとつ聞いていいかしら? どうして私たち悪魔の大嫌いな堕天使が私の親友の前に居て、どうしてその親友はカーバンクルを連れているのかしら?」
「カーバンクル……!?」
はるかはリリスの言った言葉に耳を疑う。彼女の横でクラレンスは正体を知られてしまったことを重く受け止め、何も言えず口籠る。
「ふふふ。そのカーバンクルは稀少な力を持っているのだ。その力を使えば、この世界と冥界……二つの世界を我々堕天使が支配できる。邪魔は許さんぞ!」
「なるほど。狙いは最初からそれだったのね。でもだからといって、人の商売の邪魔されるのは実に腹立たしい限りよ」
ザッハは何のことかと考えたが、すぐに思い当たる節があったようで薄笑いを浮かべて答えた。
「あれは私がやったのではない。そんな怖い目で私を睨まないでほしい」
「どっちだって同じよ。とにかく、堕天使とこれ以上話をしていると虫唾が走るわ。さっさとどこかに消えなさい!」
リリスとザッハがどんどん話を進める中、いろいろなことがいっぺんにたたき込まれて、状況についていけていないはるかが会話に割って入った。
「ま、待ってください、リリスちゃん! 状況がまるで呑みこめません! 堕天使とかカーバンクルとか、何が何だか……」
「はるかさん」
そのとき、クラレンスがはるかの言葉を遮った。動揺する彼女の顔を見ると、彼は深々と頭を下げ震えた声で言ってくる。
「申し訳ありません。どうやら、お別れをしなければいけません」
「クラレンスさん……何を言っているんですか?」
動揺を隠せないはるかにクラレンスは言葉を続けた。
「あなたと過ごせた今日という日を、決して忘れはしません」
別れ際、はるかのことを抱きしめた。咄嗟のことに言葉を失うはるかだったが、クラレンスは一筋の涙を零すと堕天使ザッハの下へと走って行った。
その直後――今まで人の姿をしていたクラレンスの体が発光し、ネコの姿に良く似た、額にルビーのような宝石を宿す獣の姿へと変わった。
「え……!?」
クラレンスの変貌にはるかは目を疑った。
ザッハの手の中に収まると、カーバンクルという真の姿に戻ったクラレンスは、驚嘆のあまり言葉を失うはるかに再度別れの言葉を告げた。
「さようなら――」
ザッハは広げていた黒い翼で体を包み込むように折りたたむ。途端、青白い魔法陣が足元に出現し――クラレンスを連れてリリスたちの前から姿を消した。
「クラレンス……さん……」
何が何だかわからなかった。いきなり現れた堕天使と呼ばれた男によって、クラレンスは連れて行かれた。そしてそのクラレンスもまた人でないことが発覚した。
このダブルパンチ攻撃ではるかはすっかり心ここにあらずといった様相で黙り込んでしまった。リリスとレイは彼女の意識が戻るまでの間、静かに待つことにした。
*
黒薔薇町 悪原家
「リリスちゃん。説明してくれますよね?」
数時間後、ようやく落ち着きを取り戻したはるかは、自分の周りで何が起こっているのかをリリスに問いただした。
「どうして……どうして……クラレンスさんが……」
先ほどまで流していた悲しみや悔しさの入り混じった涙の跡を顔に残し、震える声で喋る親友を見ながら、リリスは紅茶をコースターへと置き、語り始める。
「はるかが友達になろうとしたあのクラレンスっていう神父見習いの男……あれはカーバンクルという魔法生物が人間に擬態した姿。そして今は、堕天使によってその身柄を抑えられているわ」
今までのリリスや洗礼教会との戦いの最中でもまったく出てこなかったキーワードにはるかは疑問する。
「何なんですか、その堕天使って?」
「読んで字の如く、堕ちたる天使――神に仕える身でありながら、邪な考えを持っていたために冥界に堕ちてしまった者たちよ。奴らは人間を影で操りながら私たち悪魔を滅ぼそうとしているの。太古の昔から冥界……日本でいうところの地獄の覇権を狙ってね。堕天使以外にも神の命を受けて、悪魔を倒しに来る天使がいるわ。それがこの前戦ったキュアケルビムであり、その天使たちを使役しているのが……神の名の下に悪魔を滅ぼうとしている結社――洗礼教会なの」
はるかはリリスの話を頭の中で描いて関係づける。
「つまり……これっていわゆる三竦みの状態ってことですか?」
「ええそうよ」
そこまでは理解できたが、はるかにはまだわからないことがあった。
「でもリリスちゃん。その堕天使さんとクラレンスさんが何の関係にあるって言うんですか?」
リリスははるかの言葉にうなずいて言葉を続けた。
「堕天使たちはあのカーバンクルが持つとされる【神秘の貴石】を狙っているの」
「神秘の貴石?」
「あらゆる怪我や病を癒し、持ち主の願いを成就させるというこの世にたったひとつしかない幻の宝玉。錬金術でいうところの賢者の石みたいなものよ。使いようによっては、この世界を滅ぼすことだってできるわ」
リリスの言葉にはるかはハっと驚いた。
「おそらく堕天使たちは、それを手に入れるつもりなんでしょう」
「手に入れるって……まさか……!!」
堕天使たちの狙いがクラレンスの持つ神秘の貴石であることがわかり、その石を持つゆえにクラレンスが堕天使たちに利用され、石を奪われようとしているとわかれば――はるかも黙っていられるわけがなかった。
「大変です!! 今すぐ助けに行きませんと!!」
「それは無理よ」
リリスがぴしゃりと撥ねつける。
「どうしてですか!? だって、このままじゃ堕天使さんがクラレンスさんから神秘の貴石を奪い取って……人間界を滅ぼすかもしれないんですよね!! だったら、それを止めるのがプリキュアとしての使命なんじゃないですか!?」
「プリキュアの使命、ね……」
おもむろに復唱し、リリスはコースターの上の紅茶を覗きこみ、口の中へと流し込む。そして彼女は自らの考えを示した。
「いいことはるか。私はプリキュアである以前に悪魔なの。悪魔は己の欲望のためだけに生きている。たとえこの世界が滅びることになったとしても、私の欲望には直接関係ないし、だから何って話」
「な!!」
何かの冗談だと思いたかった。だがリリスが下手な嘘を吐いたことは今まで一度も無かったから、恐らくそれが本心からくる言葉だと理解するのはそう難しいことじゃなかった。でもだからこそ、はるかは余計に悔しかったし悲しかったのだ。
「……なんなんですかそれ。そんな自分勝手なこというプリキュアが……リリスちゃんがそんなひどい人だとは思いませんでした!!」
明らかなる軽侮をリリスにぶつけた。だが、親友からの非難の声にリリスは目を瞑り毅然とした態度を示す。
「何とでも言いなさい。知らない誰かのために一生懸命になるってことは、傍から見れば高潔で美しいことなのかもしれない。でも、私はそれを美しいこととは思えないわ。そんな自分を粗末にするような生き方をして喜ぶ人がどれだけいるのかしら」
そう言った後、リリスはレイと目を合わせてからおもむろにソファーを立ち、玄関の方へと向かった。
「リリスちゃん!」
まだ納得がいかないはるかはこの場を去ろうとするリリスを呼び止める。
「私は用事があるの。はるかも早く家に帰りなさい」
「はるかにクラレンスさんを見捨てろというつもりなんですか!?」
「これ以上傷つかずに済むのなら、潔く諦める判断が賢明だと私は思うわ」
そう言い残してリリスは家にはるかとレイを残しどこかへと出かけた。はるかは玄関で立ち尽くし、一人拳を握りしめる。
「……リリスちゃんのバカ。はるかだって、そのくらいのことわかってるんです。それでも……友達を見捨てられるはずないじゃないですか!」
小学校の頃からリリスと付き合いのあるはるかだからこそ、冷たい言葉に隠されたリリスの真意に気付いていた。彼女は悪魔と堕天使の争いにはるかを巻き込ませたくないがためにあのような言葉を放ったのだ。だがはるかもバカではない。彼女の考えなど痛いほど理解していた。だからこそ余計に悔しいのであり、何もできない自分が腹立たしかった。
いつもならリリスの言うことを素直に聞き入れるはるかだが、今回ばかりは事情が異なる。初めて好きになった男性――クラレンスを堕天使から何としても取り返したいという気持ちが強かった彼女は、リリスの忠告を破って靴を履き準備に取り掛かる。
「行くのですか? 堕天使に見つかればどうなるか……」
近くで見ていたレイに声を掛けられるが、はるかの気持ちは揺るがない。
「――クラレンスさんを助けたいんです」
「怖くないんですか?」
「怖いに決まってます……はるかにはリリスちゃんみたいな戦う力はありません。でも、誰かを助けたいって気持ちは誰にも負けていません!!」
心の内から出たその言葉を聞いて、レイは深い溜息を吐いた。
「やれやれ。リリス様といい、あなたも相当に融通の利かない方でいらっしゃる」
するとレイは人間態となって、はるかの隣で靴を履き始めた。
「レイさん!?」
「私が同行します。まぁこうなることは大方わかっていました。リリス様は全力で私にあなたの護衛をしろと申し付け、ここを出て行かれたのです。非才の身ですが、ここからはスプライト・ドラゴンのレイが、あなたを全力でフォローします」
はるかの顔を見ながら彼女の肩に手を当て、レイは優しい顔で呼びかける。
「助けましょう。大切なお友達の命を」
「レイさん……はい!!」
*
黒薔薇町 某雑木林
「ふぁ~~~……まったく、ただ待ってるだけなんて退屈だわ」
木の上で腰を下ろし、手持ち無沙汰でいた紫色のチャイナドレスに身を包んだ美女は大きなあくびをした。その背中にはザッハ同様、黒い翼が生えている。彼女もまた堕天使であった。
「ん?」
そんな退屈な時間が唐突に終わりを告げた。紅色に輝く魔法陣が出現したと思えば、現れたのは悪原リリス――今日この場で堕天使が狙っていた獲物である。
「これはこれは、ようこそヴァンデイン王の御令嬢。わたくし、人呼んで堕天使のラッセルと申します」
「ご丁寧にどうも。私の使い魔があなたの居所を察知してくれたの。私に動かれるのは、一応は怖いみたいね」
リリスが不敵な笑みを浮かべると、目の前の堕天使ラッセルも負けじと笑ってみせる。
「ふふふ。大事な儀式を悪魔どもに邪魔されるのはちょっと困るってだけのことよ」
「それなら残念ね。たった今うちの使い魔と私の親友がそっちに向かったから」
リリスがいたずらっぽい顔になってラッセルに告げる。予想していなかった展開にラッセルの顔からは笑みが消えていた。
「な……何ですって!?」
「予想外だったかしら?」
一瞬動揺を見せたラッセルだったが、すぐに立ち直ると目の前の悪魔を挑発した。
「ふん。たとえどこから入ってこようと、所詮は使い魔一匹に人間の子どもが一人。それで何ができるっていうのよ」
「そうね……何もできないかもしれないわ。だから私がここでちゃちゃっとあんたを倒して、はるかたちを助けに行く。それでノープロブレムだわ」
挑発で返されたラッセルは苛立ちを見せ、とっとと目の前の悪魔を滅ぼすことに専念することにした。
「生意気な。その減らず口を今すぐ聞けなくしてあげるわ――出でよ、カオスヘッド!!」
青白く光る巨大な魔法陣が天と地、両方に出現する。すると陣内から出て来たのは堕天使が使役する従順なる下僕であり、背中に黒い翼を生やしたガス灯の姿の巨大な怪物だった。
『カオスヘッド!!』
「人間の邪な感情を増大して生み出した堕天使の手駒ね。なるほど、ピースフルよりは歯応えありそうね」
刹那、右手中指にベリアルリングを嵌め――リリスは声高らかに唱えた。
「ダークネスパワー!! プリキュア、ブラッドチャージ!!」
満月に影を映す悪魔プリキュアの姿。彼女は月をバッグに空中で一回転をし、堕天使とカオスヘッドに自らの名を宣告する。
「独善滅ぼす暗黒の力! キュアベリアル!」
次回予告
は「クラレンスさん、今はるかが助けに行きますよ!!」
ザ「人間の小娘ごときに何ができる? 神秘の貴石が、我ら堕天使の手に堕ちる瞬間をそこで見ているがいい!!」
は「そんなこと絶対にさせません!! 神さま、お願いです!! はるかに、大切なお友達を助ける力をください!!」
リ「ディアブロスプリキュア! 『切なる想い!!誕生、キュアウィッチ!!』」