黒薔薇町 教会・正面玄関前
堕天使によって捕われの身となったカーバンクル、クラレンスを救出するため天城はるかと、人間態の姿をしたリリスの使い魔レイは敵の潜伏先と思われる町の麓に建てられた古い教会へとやってきた。
教会付近には誰もいない。木陰から突入のタイミングを計っていたレイとはるかは、刺すように感じる殺気に汗を浮かばせる。
「何という殺気でしょうか……」
レイはごくりと唾を飲み込んだ。
一般人であるはるかですらこの嫌気を含んだ空気に息を詰まらせる。
「危険な臭いがプンプンしますね。あの、こんな危険な場所にこれから乗り込むんですよね、私たち……堂々と玄関から入るべきなんでしょうか?」
正面玄関から侵入した際、堕天使たちが待ち伏せをしているのではないか――はるかがごく自然な懸念を口にする。
「我々はリリス様と違います。下手な知恵を絞ってもいい案は出ません。ならばここは堂々と正面から入るべきです。どちらにせよ、敵と遭遇して戦うことは覚悟しておかなければなりませんし」
「えっと……はるかはその……戦えませんけど。でも、それでもクラレンスさんを助けたいんです!!」
はるかの決意を聞いたレイはあらためて主人の名の下に誓う。
「わかってますよ。リリス様に代わって、はるか様の御身はわたくしがお守りします」
「レイさん……ありがとうございます! では、行きましょう」
正直言うと、堕天使という存在は怖い。戦う力を持たない生身の人間であるはるかにとってこの救出活動は無謀すぎることだったかもしれない。
ただ、そんなことははるかが一番わかっていたことだし、今更引き返す気持ちなどない。助けたい存在がいて、今まさに敵の手によって利用され命の危機にあるのなら、助けないわけにはいかないし、助けたいと思うのははるかにとってごく普通の感情だった。
リリスはそんな彼女の気持ちを汲んでレイというサポートを回してくれたのだ。口では冷たく突き放しながらも、親友の安否を一番に思っていての行動だった。
突入の決意を固め、いざ正面玄関の扉を開けると――古びた教会の全貌が露わになった。
長らく使っていなかったからか、あるいは堕天使たちが住みつくようになったからなのか――礼拝堂は荒れ放題にされていた。豪華絢爛なステンドグラス、彫刻、十字架など堕天使が忌み嫌うものは徹底的に破壊されていた。
「ひどいものですね。すっかり荒れちゃってます」
「堕天使とは神に見捨てられたもの――かつて天使だった頃の高潔な気持ちはとうの昔に捨てているというわけか」
レイが彫刻に触れると砂となって崩れる。
「クラレンスさんはどこにいるんでしょうか?」
二人はぼろぼろになった礼拝堂を見渡す。
そのとき、奥の方から男性の声が聞こえてきた。
「やぁ、やぁ、やぁ」
二人が声に身構えると、白い短髪を携え、その髪と同じくらい真っ白な汚れ一つない神父服に身を包んだ男が不敵な笑みを浮かべ現れた。
「こんな夜中にご礼拝とは珍しい。だが、神への祈りもできぬ悪魔の使い魔と人間の小娘が何の用かな?」
その風貌を見てレイが叫んだ。
「貴様は……エクソシストか!?」
レイの言葉を聞いてはるかが目線を上にやって考える仕草を見せる。
「それって、映画とかに出てくる〝悪魔祓い〟ですか?」
「ヤツは恐らくその中でも異端とされる〝はぐれエクソシスト〟。教会から追放され、堕天使の下僕に身を落とした者……しかし、その力は我ら悪魔にとって危険極まりないのです!!」
「え?!」
レイの言葉にはるかは息をのむ。
「エクソシストによって悪魔祓いをされた悪魔がその後どうなると思いますか?」
険しい表情で眼前のエクソシストを睨み付けながら、レイがはるかに問いかける。困惑するはるかに、レイは重い口を開き答える。
「悪魔祓いをされた悪魔は――完全に消滅するのです」
「ハ、ハヒ!?」
はるかはレイの言葉に驚愕する。
「無――何もなく、何も感じず、何もできない。それがどれだけ惨めで苦しいことか……十年前、洗礼教会による粛清で多くの悪魔たちが悪魔祓いによって消滅されました。それだけ、奴らの力は我々にとって有害なのです!!」
拳を強く握りしめるレイの体から流れ出る汗が尋常じゃない。悪魔の使い魔であるレイ自身も、エクソシストの力は最も警戒し畏れているのだ。
「ふふふ。さすがに恐怖を感じているようだな。だが安心しろ。その恐怖もこのコヘレトが一瞬にして拭い去ってやる」
懐に手を突っ込み、刀身のない柄だけの剣を取り出したと思えば――悪魔の体にとって極めて有害な光の刃を出現させた。コヘレトは血の気が籠った瞳を向けてくる。
「さぁ、聖なる神の威光をもって邪悪を退散させようではないか!!」
「はるか様! 私の側を離れないでください!!」
「わ、わかりました!!」
はるかがレイを盾にするようにしてその背後に構える。
「はぐれエクソシスト、私が相手になってやろう。カリバー、カモーン!!」
そう唱えた直後、レイは背中に翼を出現させ、その一部を武器に変身したときの自分自身に似せた。
互いに武器を構えると、両者は攻撃の頃合いをうかがい――ほぼ同時に前に飛び出して戦闘を開始した。
「うおおおおおおおおおお!!」
コヘレトの繰り出す荒々しくも鋭さを兼ね揃えた光の剣がレイの懐へと忍び寄る。
「ぐっ……」
光の剣に体を傷つけられればひとたまりもない。レイは自分と、それ以上に重いはるかの命を守るため、とにかく必死だった。
「使い魔の分際で悪魔祓いに逆らったことを後悔させてやるぜ!!」
「生憎こんなところでくたばるわけにはいかんのだ。堕天使の下僕に成り下がるようなエクソシストに時間をかけているほど暇ではない!!」
鍔迫り合いの中、レイは剣先に力を集中させた。すると刀身が漆黒に染まり始め、接触しているコヘレトの光の刃に吸い付き始めた。
「な、なんだこりゃ!?」
「【ホーリー・イレイズ】。その名の通り光を食らう闇の剣だ。エクソシストといえど、悪魔を滅ぼす力を奪われればどうと言うことは無い!!」
「すごいです、レイさん!!」
ホーリー・イレイズによってコヘレトの剣は光を食われて消滅した。形勢は一気に逆転し、レイに軍配が上がったかに思われた次の瞬間――
「このおおおおおおおおお!!」
負けを認められないコヘレトが隠し持っていた聖銃(せいじゅう)を取り出し発砲した。
だが発砲された直後、辛うじて弾道を躱すことができたレイは上空高く舞い上がった。
「なに!?」
「お仕置きの時間だ!!」
レイは背中の翼を広げると、上空より本来持つスプライト・ドラゴンの能力――凄まじい力を秘めた雷撃をコヘレトへとお見舞いした。
「ふぎゃあああああああああ!!」
百万ボルトの電流が降り注ぐ感覚は想像を絶するものであった。悪魔への耐性を備えているエクソシストでなければ、即死は免れない。
「レイさん、やりました!!」
戦いが終わり、レイの側にはるかが駆け寄ってくる。
「ああ……この勇姿、リリス様にもぜひ見てもらいたかった!」
主人への思いをはせるレイを尻目に、はるかはリリスのことだから、きっとそっけない言葉を返されるのがオチだろう、と思ったが心に閉まっておいた。
レイによって敗れたコヘレトは全身が焼け焦げ、所々ピクピクと動いてはいるが、百万ボルトの衝撃に全身が痺れているようで、これ以上戦闘を続けることは無理そうだった。
「この人、大丈夫なんでしょうか?」
「加減はしました。腐ってもエクソシスト、命に別状はないでしょう」
「あれ? ……ハヒ、レイさんここを見てください!」
はるかが驚いた様子で何かを見つけた。
先ほどの戦闘では気付かなかったが、レイの雷撃が近くにあった祭壇を破壊した際――隠されていた地下へと続く階段が露わになった。
「どうやら地下に通じているらしいですね」
「クラレンスさんはきっとこの下にいるんですよ! 行きましょう、レイさん!!」
*
黒薔薇町 某所・雑木林
教会に突入したはるかとレイがエクソシストとの戦いに勝利した頃、キュアベリアルに変身したリリスは――
「我らの計画を妨害する意図があるのは既に明白。今ここで、私に倒されるがいい!!」
『カオスヘッド!!』
女堕天使のラッセルと、彼女が作り出したガス灯の姿をした下僕《ガス灯カオスヘッド》と対峙するベリアルは口元をつりあげ「それはどうかしらね」と返事をする。
ベリアルはおもむろに目を瞑った。そして手を掲げると、自分が立っている場所から半径二キロ以内を覆い囲む円形の結界を施した。
『カオスヘッド?!』
「結界ですって!?」
ラッセルは周囲を見渡して逃げ場がないことを悟った。
「ベリアル王家秘伝の結界魔法からは逃げられないわよ」
不敵な笑みを浮かべるベリアルにラッセルは唇を噛んだ。
「あんた最初から……!」
「そうよ。あんたたち堕天使を掃除するつもりでここに来たわ」
ベリアルはふっと笑みを消し、指の骨をポキポキと鳴らして準備運動をする。
「私たちはゴミと同じ扱いだというのね……ふざけるのも大概にしなさい!!」
「堕天使風情に指図される覚えなんてないわよ」
ベリアルが言葉を吐くといよいよラッセルが行動に移した。
「ふん、精々余裕ぶっているといいわ。儀式が終わればあんたですら敵う存在ではなくなるのだから。やれ、カオスヘッド!! その生意気な小悪魔をねじ伏せるのよ!!」
ラッセルはベリアル目がけて手を掲げると、ガス灯カオスヘッドに命令を下した。
『カオスヘッド!!』
ガス灯カオスヘッドは背中の黒い翼を広げ、空へと舞い上がる。
ランプの炎を掌に圧縮させ、それを地上にいるベリアルへと撃ち落とす。ベリアルは数発の炎から逃れると、降り注ぐ火球から身を守るため、足場を固定してバリアを展開した。
*
同時刻―――
黒薔薇町 教会・地下空間
「この階段、一体どこまで続いているんだ?」
「クラレンスさん……どうか無事でいてください!」
はるかとレイは祭壇の下にある儀式場を目指し階段を駆け下りていた。なかなかたどり着かないことに、若干はるかの顔に焦りが見えた。
横目ではるかのことを気に掛けながら、レイが先導して前を走り続けた――そのとき、目の前に強い光が差し込んできた。
目を開けると、目的の儀式場が見えた。部屋の中央にある祭壇へと続く階段付近には複数の堕天使が集まっていた。それに交じって、神秘の貴石を持つカーバンクル――クラレンスを拉致した張本人、堕天使ザッハの姿があった。
「ようこそ、汚れた悪魔諸君」
はるかは彼が携える黒い翼を見て叫んだ。
「あなたはあのときの堕天使!!」
「四枚ある黒い翼……幹部クラスか!」
レイは記憶をたどり、その翼の意味を思い出し、戦慄する。
「せっかく来てくれたところ残念なお知らせだ。我々の儀式はまもなく終了する」
ザッハのすぐ側には捕われたクラレンスがいた。本来の姿のまま鎖に繋がれたクラレンスはひどく衰弱し、すぐに救出しなければならないことは明白であった。
「クラレンスさん!!」
切実な声を上げるはるかの声を聞き、衰弱状態のクラレンスは重い目蓋を開け、目の前にいるはずのない人物を見る。
「はるか……さん……」
クラレンスが震える声ではるかの名を呼ぶ。
「クラレンスさん!! 今行きますよ!!」
「はるか様、危ない!!」
咄嗟にレイが制止を呼びかけた瞬間、ザッハから光の槍が向けられた。光の槍ははるかの足元の床に突き刺さると、凄まじいエネルギーを放出して爆発した。
「「うわああああ!!」」
二人を軽く吹き飛ばす濃密なエネルギーは、ザッハが持つ並々ならぬ力を理解させるのには十分過ぎるほどで、はるかは手も足も出なかった。
「野暮なことは止してもらいたい。せっかく来たのだ。その目にしかと焼き付けるがいい。この堕天使ザッハが神秘の貴石の力を手に入れる瞬間を――!!」
「やめて……ください……そんなことしちゃ……ダメ、です!!」
はるかの懇願も虚しく、ザッハは最後の仕上げへと取り掛かる。
鎖で体を固定されたクラレンスに魔力を注ぎこみ、彼の体から神秘の貴石を無理やり奪おうとする。
「うわあああああああああああああああああああああああああ!!」
「クラレンスさんっ!!」
はるかの叫びが虚しくこだまする。壇上のクラレンスへと手を伸ばしてみるが、その距離は絶望的だった。クラレンスははるかの目の前で、地獄の責め苦にかけられたような苦痛の声をあげる。
「わあああああああああああああああああああああああああ!!」
神秘の貴石は、カーバンクルの魂と直結――いやそれ自体が魂そのものと言っても過言ではない。
手にすればどんな願いも叶うとされる神秘の貴石を強く欲した堕天使ザッハは、やっとのことで稀少なカーバンクルを見つけだし、多くの同胞を犠牲にしながらもこの計画を断行した。
そして今、彼が長年に渡り求めていた力が間もなく現実の物となる。カーバンクルの体から排出された紅色に輝く神秘の宝石。ザッハは待ちわびた大いなる力をその手に掴む。
「これこそ私が長年欲していた力。神秘の貴石……ついに、ついに私の手に!! これさえあれば私は愛を、いただける……!!」
カーバンクルの命を代償に奪ったその力を、ザッハは体へと取り込んだ。瞬間、神々しいまでの光が発せられ、集まった堕天使たちは感嘆の声を漏らす。
はるかとレイは目を疑った。自分たちの目の前でクラレンスの命とも呼ぶべき貴石が奪われ、ザッハの手に堕ちたことを――
「ははは! これが至高の力! これで私は至高の堕天使になれる!! 私をバカにしてきた者たちを見返すことができるのだ!」
祭壇にて高笑いするザッハの姿にはるかは堪忍袋の緒が切れた。
「あなた、クラレンスさんになんてことするんですか!!」
「はるか様ダメです!!」
居ても立っても居られなくなったはるかがレイの制止を振り切り飛び出した。
「悪魔の手先め!」
「滅してくれる!」
堕天使たちが殺意を露わにして、攻撃を加えようとしてきた。だが直後、はるかを守るため、レイが雷撃によって彼らの動きを封じ込め、祭壇への道を作ってくれた。
「はるか様! 今のうちです!!」
「レイさん……感謝です!!」
全力疾走で階段を駆け上がり、はるかは鎖に繋がれたまま意識のないクラレンスと、至高の力を手に入れたザッハの前に到着する。
「クラレンスさん!!」
ザッハは彼女に害を加えることはせず、不敵な笑みで彼女の様子をじっと見る。
一方、神秘の貴石を奪われ、変わり果てた姿のクラレンス。はるかは絶望的とも思える目の前の光景を本気で疑った。
「クラレンスさん……」
「ここまでたどり着いたご褒美だ」
指をパチンと鳴らした瞬間、クラレンスを縛り付けている鎖が解かれた。はるかは力なく倒れてきたクラレンスを抱き留め、大きな声で呼びかける。
「クラレンスさん! クラレンスさん…しっかりしてください!」
その呼びかけにクラレンスは答えてくれた。残り僅かな力を振り絞り、赤く火照った顔で眼前のはるかを見据える。
「はるか……さん……」
「もう大丈夫ですよ。はるかが助けに来ましたから!」
目の前で繰り広げられる茶番劇にザッハは満足そうな顔を浮かべてはるかに告げた。
「ふふ、それは君にあげよう。そんな死に損ないに用はない」
ザッハの言葉にはるかは睨みを利かせて感情のままに訴えた。
「ふざけないでください!! よくもクラレンスさんにこんなひどいことを……今すぐ奪ったものを返してください!!」
はるかの要求に苦笑しながらザッハは応対する。
「バカを言わないでくれたまえ。私は上を欺いてまでもこの計画を進めたのだぞ。残念ながら君たちはその証拠になってしまうのだ」
右掌に光の槍を携え、ザッハはクラレンスを抱きかかえるはるかを凝視した。
「しかしいいじゃないか? ここで全員仲良く消えるのだから」
その言葉に最大級の怒りを込めてはるかが言い放つ。
「ザッハぁぁ――!!」
「人間の小娘風情が気安くその名を口にするでない。汚れるじゃないか」
滅多なことで声を荒らげることをしないはるかが本気の怒りを表した。ザッハは心底苛立っている彼女を嘲笑い、その上で彼女を下等な存在として見下している。
(なんでこんなひどいことが……この人の方がよっぽど悪魔じゃないですか!!)
本気でそう思うはるかを余所に、光の槍を携えたザッハが彼女を殺しにかかる。
光の槍が今まさに彼女の体を貫こうとした次の瞬間――下級堕天使たちを退けたレイがすんでのところで現れ、彼女とクラレンスを救出する。
「はるか様!! ここは危険です!! 彼を連れて逃げてください!!」
自らが囮になってでもレイははるかと瀕死状態のクラレンスを逃がそうとする。
はるかはザッハへの苛立ち、そしてクラレンスを救えなかった無力な自分への苛立ちを抱きながらも――儀式場からクラレンスを連れて脱出した。
(レイさん……ごめんなさい!!)
*
黒薔薇町 某所・雑木林
『カオスヘッド!!』
熾烈を極める悪魔と堕天使の戦い。ベリアルは堕天使とカオスヘッドという一対二の状況に苦戦を強いられていた。
「がんばるわね。でもその程度の障壁いつまでもつかしら? どうやらあんたの張った結界が仇になってるみたいだし」
ガス灯カオスヘッドの攻撃をバリアで防ぎ続けるベリアルのことを、ラッセルは木の上から悠々と見下ろしている――これぞ本当の高みの見物だ。
「どうする? 結界解いて私を逃がしてくれるかしら? チッチッチッ、私があんたを逃がさないわ。今頃あんたの使い魔も親友とやらも、ザッハ様に消されている頃だと思うわ。特に天城はるか……だったかしら。何の力も持たない人間の小娘には少々刺激が強すぎたかもしれないけれど。おーほほほほほほ」
はるかを持ち出してベリアルを挑発するラッセルであったがベリアルは冷静であった。
「はるかを甘く見ないことね」
「え?」
「あの子には、私にはない『正義』の心があるわ――もしかしたら、私が駆けつけたときにあの子は力に目覚めるかもしれないじゃない。そう、例えば――プリキュアとか」
敵の猛攻を防ぎながらもベリアルは口元をにやりと歪ませる。
「ふん、ばかばかしい。やっておしまい、カオスヘッド!!」
『カオスヘッド!!』
黒い翼から無数の羽根を飛ばし、さらにはランプからの炎による相乗攻撃をしかける。ベリアルは険しい顔を浮かべながら懸命にバリアを張って守りに徹する。
「ふふふ、あんたってば本当に冷酷な悪魔なのね。たった一人の人間の友人と使い魔も平気で見捨てるのだから。あの小娘がプリキュアになるですって? あんなどこにでもいそうな平凡でつまらない子ども……私の見る限り、あの娘がプリキュアになる可能性など万に一つもないわ!! カオスヘッド、とどめを刺しておやり!!」
『カオスヘッド!!』
めいっぱいに広げた翼を羽ばたかせ、ガス灯カオスヘッドが勢いよく突進する。気付けばバリアも張らず無防備な状態になったベリアルにとどめを加えようとした瞬間――
『カオス!?』
ベリアルの体から紅色に輝く魔力オーラが拡散した。その凄まじさにガス灯カオスヘッドは攻撃を中断し、距離を取った。
「どうしたのカオスヘッド!? 何を恐れているのよ!!」
ラッセルがガス灯カオスヘッドに怒声を浴びせると、目の前のベリアルが静かに言葉を紡いだ。
「……馬鹿にしたわね。私の親友を、見下したわね」
火を見るより明らかな怒気。キュアベリアルに変身後、変化したベリアルの長髪は解放された魔力で異様に逆立っている。咄嗟に怒髪天を衝くという言葉を思い出したラッセルは、本能的な恐れを抱き、全身から汗を浮かばせる。
「……はるかは堕天使から見ればつまらないのかもしれないわ。でも残念ね、あんたたち堕天使の腐った目にはつまらなく見えるものも、私の目にはあの子ほど他人思いで正義感の強い子はいないわ。だからそれを馬鹿にするあんたを私は決して許さない!!」
倒す意思が強く固まったベリアルは、ベリアルリングの上から強化変身アイテム・グラーフリングをセットし――声高らかに宣言した。
「グラーフゲシュタルト!!」
高密度の炎エネルギーをその身に内包させたグラーフゲシュタルトの力が顕現する。
「はあああああ!!」
キュアベリアル・グラーフゲシュタルトへの変身を遂げ、ベリアルは炎を宿らせたパンチをガス灯カオスヘッドへと撃ちこんだ。
『カオスヘッド!!』
炎のパンチはガス灯カオスヘッドの巨体を軽々と吹き飛ばす。太い幹の木々をなぎ倒す程の強大な力を前にし、ラッセルは冷や汗をかく。
「これは……この力はいったい!?」
炎のオーラを纏ったベリアルが、ラッセルを静かに見上げて言う。
「私の親友を馬鹿にしたことを後悔させてあげる」
本能的に恐怖を感じたラッセルは動揺を隠せぬままガス灯カオスヘッドに命じる。
「ひ、怯むな!! カオスヘッド、蹴散らしなさい!!」
『カオスヘッド!!』
ラッセルの命令に従いガス灯カオスヘッドが無謀にもベリアルへと突撃する。
「吹き飛べ」
何の策も無く突進してきたガス灯カオスヘッドへ淡白に言い放ち、ベリアルは先ほどよりも強烈な炎を拳に乗せて撃ち出し、ガス灯カオスヘッドを勢いよく吹き飛ばす。
「うわああああああああ!!」
思わず声を上げて驚くほどの衝撃がラッセルへと伝わる。ほとんど決着が見えると、ラッセルは怒気を孕んだ冷たい瞳を向けているベリアルに命乞いをする。
「ま、待ってちょうだい……悪かったわ。さっき言ったことは謝るわ! だからお願い……見逃してちょうだい……」
「笑止。世迷い言ならもっと先に言うべきだったわね」
刹那――全身を炎へと包み込んだベリアルの必殺技が炸裂した。
「プリキュア・プロミネンスドライブ!!」
炎の化身となったベリアルがガス灯カオスヘッドの体を貫いた。
『こんとん~~~♪』
「ああああああああああああああああああ!!」
ガス灯カオスヘッドを見事に炎とともに消滅させ、その衝撃は結界の解除とともに、堕天使ラッセルを遥か彼方へと吹き飛ばした。
悪魔対堕天使――悪原リリスことキュアベリアルは見事勝利を収めたのだった。
*
黒薔薇町 教会・大聖堂
地下儀式場から脱出したはるかは命の炎を使い果たそうとしているクラレンスの体を長椅子の上へとおろした。
「クラレンスさん! しっかりしてください! ここを出ればあなたは自由なんですよ!! またはるかと一緒に遊べるようになるんですよ!!」
カーバンクルという本来の姿でもはるかのクラレンスを思う気持ちは本物だった。自分よりも遥かに小さな手を包み込むと、クラレンスが弱々しい声を上げた。
「私は……少しの間でもはるかさんのような友達ができて幸せでした……」
「何を言ってるんですか!? まだ連れて行きたいところいっぱいあるんですからね!! カラオケや、遊園地、ボーリングも! もっともっと楽しいことがいっぱいあるんです!! 他にも……えっと、えっと………そうですよ。今度はるかの大親友のリリスちゃんを紹介します。この間公園にいたあの子です! リリスちゃんは悪魔で、ちょっとクールで現実主義なところがありますけど、とっても優しいはるかの一番のお友達なんです……きっと、きっとクラレンスさんとも仲良くなってくれます……!!」
段々と声が枯れ、自然とこぼれた大粒の涙がクラレンスの額へと落ちてくる。
「だから……だから、はるかたちと一緒に笑いましょう!! たくさんの思い出を作りましょうよ!!」
懸命なはるかの告白にクラレンスは声を振り絞って思いを伝える。
「はるかさん……こんな出会いじゃなかったら、どんなに幸せだったことか……」
優しいはるかの心に感嘆し、クラレンスの目からも涙があふれていた。彼は最後の力を振り絞ると、目の前で涙を流し、泣いてくれているはるかの涙を拭おうとその手を伸ばす。
「私のために泣いてくれて……ほんとうに……ありが……と」
左目からこぼれる涙を拭おうとした途端、力が唐突に抜けてしまった。
「クラレンス……さん……」
はるかは目を見開き、ありがとうと言いかけて力尽きたクラレンスを凝視する。
「何でですか……何であなたが死ななきゃいけないんですか……どうしてこんな簡単に体が重たくなるんですか……」
命を惜しまず助けようとした相手が、目の前で命を使い果たし死んでしまった――その残酷で理不尽な現実にはるかは無念でしかなかった。生命力を失ったクラレンスの死骸を抱きかかえ、はるかは涙ながらに懇願する。
「お願いです神さま!! いるならはるかの願いを叶えてください!! この子を天国に連れて行かないで下さい!! お願いします、お願いしますよ!! この子は何もしてないんです!! ただ友達が欲しかっただけのいい子なんです!! 私が悪魔の友達だからダメなんですか!! この子の友達が悪魔と繋がってるからダメなんですか!? お願いしますよ、神さま――!!」
はるかが嘆願の声をあげていると、後ろから嫌悪を感じさせる声がした。
「悪魔に肩入れする人間が教会で懺悔か?」
「はっ!」
クラレンスの死に嘆き悲しむ彼女を嘲笑う声だった。はるかが振り返ると、満身創痍のレイを、汚物を摘まむように持ち上げる堕天使ザッハが立っていた。
「ふふふ。なかなか笑わせてくれるな」
「ザッハ!」
はるかは怒りにまかせて睨みつける。そんな視線など気にもせず、ザッハははるかに話しかける。
「それより見てくれ。ここに来る途中、この悪魔の使い魔に傷つけられてしまった」
先ほどまでここで起きていた出来事を知っているであろうに、ザッハはそんなことには歯牙にもかけない様子だった。
「はるか……さま……」
「レイさん!!」
左腕を掠るくらいであるザッハの怪我に対し、洒落にならないほどに傷つけられたレイの体はボロボロで、最早戦う力など残っていなかった。
ザッハは自らが傷つけたレイを無造作に捨てると、クラレンスから略奪した神秘の貴石の力によって左腕の怪我を瞬時に癒した。
「すばらしい力だ。神の加護を失った我々堕天使にとって、これは珠玉の贈り物だ。これで私の堕天使としての地位は盤石なものとなる」
「……そんなこと知りませんよ」
いつになく低い声を発したはるかから向けられた言葉に、ザッハは目の前で立ち尽くす彼女を怪訝そうに見つめる。
「堕天使とか悪魔とか、そんなこと……この子には関係なかったんですよ!」
「カーバンクルは世界でも数匹しか確認されていない希少な存在。その身体に宿る神秘の貴石の力を何としても手に入れたいと思うのは、人間も堕天使も同じこと。考えようによってはそのカーバンクルは選ばれたのだ。我々にその身に宿る奇跡の力を宿した宝玉を差し出すために自らの命を犠牲にしてくれた」
ザッハがクラレンスの死が必然であったかのように言葉を紡ぐ。それを聞いたはるかは我慢ならずに訴えかけた。
「何が犠牲なんですか!! 静かに暮らすことだってできたはずなのに……それをあなた方が無理やり奪ったんじゃないですか!! はるかはクラレンスさんの友達として……守りたくてここまできたんです!!」
「だが、君はそのカーバンクルを守れなかった。その事実に変わりはない!!」
実際にクラレンスは死んでしまった。その揺るぎない厳しい現実をザッハは無情に突き付ける。
「そんなこと……あなたに言われなくてもわかってるんですよ!! だから許せないんですよ……いつも側で見守るだけしかできない自分が……友達が戦っているのにただ指をくわえて待つことしかできない自分が……そして、私の大切な友達を身勝手な理由で傷つけ奪っていくあなたみたいな人が……はるかはぜんぶ許せないんですよ!!」
「はるか……さま……」
はるかのまるで自身に言い聞かせるかのような独白の言葉に、レイはいつも洗礼教会と戦うリリスのことを離れたところで見守っているだけだったはるかの姿を思い起こした。
「返してください……クラレンスさんを……クラレンスさんを返してくださいよっ!!」
切実なる彼女の言葉が教会に響き渡った。そして、その言葉は言霊となり、少女の願いは神によって受諾された――
刹那、予想外のことが起こった。死んだクラレンスの死骸が神々しく光り出し、ザッハの体へと光の帯が放たれた。
「うっ!? 何だ……この光は……体が焼ける……ううう!! ぐああああああああ!!」
照射された光はザッハの内側から身を焦がすようだった。やがて悲鳴を上げるザッハの体から、クラレンスから奪われた彼の魂――神秘の貴石が姿を現した。貴石はゆっくりとはるかのもとへ近づき、その手へと収まった。
「これは……?」
「神秘の貴石がはるかの想いに応えてくれたのよ」
そのとき聞き慣れた声が聞こえてきた。ラッセルとカオスヘッドを退けたリリスが天窓を突き破って、現場に駆けつけた。
「リリスちゃん!!」
「願いなさい、はるか。その石は……いえ、クラレンスの魂は堕天使に使われるよりあなたに使われることを望んでる。そしてあなたが最も強く願った形に石は姿を変える」
「私の願い……」
はるかは石を胸元で握り、強く願った。
堕天使を倒せる力。大切な友達を守れる力。人から笑顔を奪う邪悪を滅ぼす正義の力――少女の切なる願いは石へと届き、六芒星の模様が刻まれた姿へと変えた。
はるかは自身が望んだ姿へと変貌した神秘の貴石――ウィッチリングを中指へと嵌め、声高らかに変身を宣言した。
「ウィッチクラフトパワー!! プリキュア、ブラッドチャージ!!」
澄んだ橙色に輝く指輪を掲げたはるかの周りを、同じ色のオーラが包み込む。オーラの中で、はるかのトレードマークと言えるショートボブが長髪となり、色もブラウンから赤みがかったオレンジの三つ編みへと変化する。
さらには、髪飾りほどの大きさのとんがり帽を右側につけ、魔女を彷彿とさせるブラウンの戦闘衣服に身を包む。
手を保護する手袋とハーフブーツ、極めつけは神秘の貴石を埋め込んだ杖を手に持つ。変身を終えたはるかは、おもむろに目を閉じると――杖を使って空に星を打ち上げた。
「紅に染まる明星の魔女! キュアウィッチ!」
天城はるかは念願だったプリキュアの力を手に入れた。そして彼女が変身した姿こそ、プリキュアであり魔法使い――キュアウィッチである。
「バ、バカな……神秘の貴石が、こんな……こんな小娘に!?」
「堕天使ザッハ……私は、私はあなたを絶対に許しません!!」
瞬間、勢いよく地面を蹴ってウィッチがザッハへと突進する――
「はぁあああああああああ!!」
鋭い拳を叩きこむと、続けざまに蹴りを入れ、徹底的な徒手空拳による攻撃を加えることでザッハを一歩、また一歩と後退させる。
「な……何と言う力……! くそ、ここは一時撤退だ!!」
「逃がさないわよ!!」
分が悪くなって逃げ出そうとしたザッハをリリスが食い止める。ザッハはリリスが破壊した天窓から脱出を試みた瞬間、左脚をバインドで固定された。
「な……!」
「はるか、今よ!!」
リリスの声にうなずくと、ウィッチはありったけの想いを込めて、力を解き放つ。
「感謝します、リリスちゃん! ――ザッハ、クラレンスさんの未練……とくと味わいなさい!!」
ウィッチはおもむろに魔法の杖――【キュアウィッチロッド】を掲げ、全身に流れ込む魔力を杖の宝石部分へと集中させる。やがて魔力は大いなる力となって、ウィッチがその力を発動させた。
「わ、私は! 私は至高の!!」
迫り来るウィッチに、ザッハはまだ抵抗を試みようとしていた。
「問答無用!! プリキュア・オーバー・ザ・レインボー!!」
虹色に輝く魔力の波動がザッハ目がけて斉射された。波動は光となって射線上のザッハの体を飲み込み、邪な彼の魂を焼き焦がす。
「ぬおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ウィッチの放った必殺技の直撃を受けたザッハは天窓を突き破って、彼方へと飛んで行った。
ウィッチは技を放った直後、慣れない力の反動に凄まじく気力を消耗して、変身を解いた 。そして、手元に残ったウィッチリングを握りしめ、全身に疲労を感じながらも何とかこの戦いに勝利したことを噛みしめた。
だが戦いに勝利したことがハッピーエンドというわけではない。キュアウィッチ――天城はるかにとって戦いに勝つことよりも大切なクラレンスの救出を果たすことができなかった。すっかり冷たくなったクラレンスの亡骸を前に、はるかは跪き、震える声を発した。
「リリスちゃん……ごめんなさい。あんなひどいことまで言ったはるかをリリスちゃんやレイさんが助けてくれたのに……はるかは、クラレンスさんを……守ってあげれませんでした……」
「いいのよ。本当なら私がもっと早くに駆けつけていれば良かったのよ。誰もあなたを咎めはしないわ」
「ですが……ですが……わたし……」
プリキュアになれたとしても、クラレンスはもう戻ってこない。はるかは理不尽な現実に絶望し、涙を流し続けた。
「……はるか。ひとつだけ、何とかなる方法があるわよ」
「え!?」
はるかはリリスの言葉に耳を傾ける。驚愕するはるかに優しい笑みを向けながら、リリスは唯一の希望を教えた。
「そのカーバンクルを、使い魔として転生させるの」
「使い魔に……そんなことができるんですか!?」
リリスの言葉にはるかは前のめりになって話の続きを待つ。
「もちろん。事実、レイも元を正せば群れから見捨てられほとんど死にかけていたところを私が使い魔にしたの。ただし、使い魔っていうのは一度契約を交わすとその使い魔が死ぬまで新たに契約を交わすことができない。だから私がそのカーバンクルと契約を結ぶことはできない」
「で、ですがリリスちゃん以外に誰が……あ!」
ようやくはるかが話の意図を理解する。リリスは口元をつり上げ、親友の肩に手を置いた。
「神秘の貴石に選ばれた今のはるかなら、使い魔に転生させることくらいできるんじゃない?」
「リリスちゃん……」
「私の言った通りにやってみて」
クラレンスを救う唯一の方法――使い魔への転生を試みることにした。はるかはリリスに教えられたとおりの方法で、魂の抜けたクラレンスの亡骸を魔法陣の上に乗せ、詠唱を唱える。
「我、天城はるか――またの名をキュアウィッチの名において命ず。汝、カーバンクル・クラレンスよ。今再びこの地に魂を帰還せしめ我が使い魔となれ。汝、我が使い魔として新たな生に歓喜せよ」
直後、魔法陣が強く光を発した。リリスとレイ、そしてはるかが不安げに見守る中――ゆっくりと光が弱まり儀式は終了した。しばらくして、クラレンスのまぶたがぴくりと動くと、ゆっくりと瞳が開かれた。
「ん……あ……あれ?」
状況を飲み込めないクラレンスが辺りを見回す。
「私は……どうして」
再び息を吹き返したクラレンスの姿を見て、はるかは歓声をあげた。
「リリスちゃん!」
「私は何もしてないわ。やったのはあなたでしょ? あとは、はるかの好きにしなさい」
はるかが静かにうなずくと、クラレンスがまだ半分寝ぼけたような瞳ではるかを見つめた。
「はるかさん……あの……」
死んだはずだとばかり思っているクラレンスが状況の説明を求めると、そんなことは後回しにとはるかは彼を力いっぱい抱きしめ、うれし涙を流す。
「さぁ、帰りましょう。クラレンスさん!!」
何が何だか良くわからなかったが、クラレンスは自分が今幸いの中にいることを実感し、笑った。
リリスは二人の様子を微笑ましく見守る傍ら、帰り支度を始める。そんな彼女のことをレイがニヤニヤとした顔で見てきた。
「何よ?」
「いえ。リリス様は、やはりお優しい方ですね」
「何言ってるのよ。私は己の欲のためだけに生きる悪魔なのよ。優しいはずがないじゃないの」
口では言うものの、彼女としても嬉しかったのだ。親友のはるかがプリキュアの力に目覚めてくれたことが、誰よりも――
*
異世界 堕天使総本部
神秘の貴石を手に入れるため上層部を欺いたザッハと共謀者であるラッセル。作戦は失敗に終わり、やむなく異世界の堕天使総本部へ戻ったが、そこで二人を待っていたのは厳しい制裁だった。
「「ぐぁああああああああ!!!」」
「…まったくこれだから油断ならないんだよ。俺が留守の間に随分と勝手な真似してくれやがって」
堕天使幹部であるザッハが逆らえないほど強大な力を秘めた堕天使――その翼の数はザッハより多い、十枚だ。
「も……申し訳ありません!」
「どうかお許しを……」
許しを請う二人に容赦ない仕置きが与えられる。
「はっ。反省なんかしてねーだろうがよ。お前らの処遇は追って決めることにする。それよりも今は先に解決しなきゃならねぇ問題がある。俺たちの存在が悪魔側に知られた以上、こちら側から攻め滅ぼす必要があるな。ちょうど洗礼教会の連中が悪魔狩りに熱心になっているようだし……ここはひとつ、奴らに借りを作っておくのも悪くねぇ」
言うと、赤い仮面で顔を隠した存在はキュアベリアルとキュアウィッチ――二人の姿を映した鏡を力任せに叩き割る。
「キュアベリアルにキュアウィッチか……おもしれー。この借りはいずれキッチリ返させてもらうぞ」
次回予告
は「はるかもついに念願のプリキュアになれました!! さぁここから忙しくなりそうですよ!! リリスちゃん、名前決めましょう!!」
リ「名前って……私たち二人組のってこと? いいわよ、そんなのイチイチ名乗ることもないんだし」
は「何を言ってるんですか!? 複数のプリキュアである以上カッコいいチーム名は必要です!! 何にしましょうかね? 考えれば考えるだけワクワクしてきちゃいますよ!!」
リ「ディアブロスプリキュア! 『悪魔プリキュアチーム!ディアブロスプリキュア結成!!』」