ピピピピピピピピ
「うーん……キタちゃん……こんな写真までイソスタに上げないでよ……」
ピピピピピピピピ
「……。」
ピ
ふう。いい朝だぜ。
今日という運命の日を乗り越えるのにちょうどいい寝覚めだ。
よし時間通りに起きれた。ただいま18:30。
アラーム通りだ。
ん?
18:30?!?!
へ?!へ?!ふぁ?!
ふぁーー!!!amとpmで、アラームの設定間違えた!!!!!!
緊張により、丸々寝てたのか?!?!!!!
ど、どうする!??
雷速で向かうか?!
いや、メロンパンに少しの疑念も抱かせたくない!!
ギリギリまで電車で進んで19時に間に合わなそうなら電車の窓から雷速で東京メトロ渋谷駅に滑り込む!!!
家のドアを勢いよく開け外に出る。
ガチャ
「(日本を救いに)行ってきます!!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カダンゴトン
ガタンゴトン
揺れる電車の中、何とか間に合いそうで安心しているパジャマの男がいた。
やべえ、時間なさすぎてパジャマで出てきたけどハロウィンだから奇跡的に仮装っぽくなってる。そこまで目立ってないか。
『次は〜渋谷〜渋谷。』
よし、渋谷現着。
「作戦開始。」
人知れず1人の男が闇の中に沈んだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こちら、ゆたぽん。無事にとばりが降りたのか、人混みが騒いでおります。
メロンパン捜索を開始!
!!
高い呪力を一方向から感じる。
あちらに特級呪霊たちがいるはずだ。
そりゃそうか。別にとばりが降りた時点でコソコソ動く必要は、あちらには無いわけだね。
念のためもう『孤独の黒子』で気配を消しておこう。
『孤独の黒子』は攻撃を行うと解除されてしまうから慎重に行こう。
随分時間が、経った。
おそらく相当数の人が殺されているだろう。
今、陀艮とメロンパンが一緒にいる所を影から監視している。
動いた!
そろそろ、か。
気合を引き締めよう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ははっ!マジで当たんない!!」
真人が五条悟に攻撃を仕掛け、無限に阻まれた。
渋谷駅で五条悟対特級呪霊達が一般人を盾に戦闘を行なっていた。
「超新星」
「撥体」
加速度的に一般人が、呪霊たちの攻撃により殺される中、五条悟が打開の手を選択する。
「無量空処」
現代最強術師の、領域展開である。
その後299秒で、特級以外の1000体の敵を排除。
しかしここで羂索の策が発動する。
『獄門疆、開門』
「や、悟」
「は?」
「久しいね」
五条悟唯一の親友の身体を使っている羂索により、五条の思考力が奪われた。
…ああ、羂索の策は成ったか。
あと、少し…。もう少し……!
「ダメじゃ無いか悟。
戦闘中に考え事なんて。」
獄門疆により身体を封じられている五条悟は既に詰んでいた。
「で、誰だよお前。」
しかし、親友の身体を使っている奴の正体を探らずにはいられなかった。
「夏油傑だよ。忘れたのかい?かなしいね。」
「肉体も呪力も、
この目に写る情報はお前を夏油傑だと言っている。
だが俺の魂がそれを否定してんだよ!!
さっさと答えろ!!
お前は誰だ!!」
羂索が額の糸をすーと、抜いて自分の脳を見せて正体を表した。
「きっしょ。
なんでわかる『今だ!!!!!』
羂索の影に転移!!!
バランスブレイク!!!
『Welsh Dragon Balance Breaker!!/Vanishing Dragon Balance Breaker!!』
赤と白が混ざった鎧を纏い雷速で影から飛び出す。
ここで全て決める!!
『boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!』
禁手化した赤龍帝の鎧から発せられるブーストの掛け声一回毎に、全ての能力が2倍ずつ上昇していく。
出し惜しみはしない!この身体が耐えられる14回、フルに上げる!
『雷速ペネレイト!!!!』
強化された雷の速さで、この世界が生まれてから1番エネルギーを持った正拳突きが、解放された。
『オラオラオラオラ!!!ッ』
『ペネレイト!ペネレイト!ペネレイト!ペネレイト!ペネレイト!ペネレイト!ペネレイト!ペネレイト!ペネレイト!ペネレイト!ペネレイト!』
鎧のペネレイトの掛け声に合わせて透過が発動される。
そして、雷速以上の打撃に呪いが合わさることにより、打撃と呪力との誤差0.000001秒は意味をなさない。
呪力は常時黒く光る。
もはや既に、羂索は膝から下しか残っていなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「は?」
五条悟は混乱の中にいた。既に詰んだと思っている中、敵の影から鎧を纏ったドラゴンが偽夏油を消滅させたからである。
「やったか!?やったのか!?!?」
ゆたぽんも気が動転していた。この世界に転生して、ほとんどの時間を羂索を倒す事を第一目標として生きてきた。どんな時でも頭の片隅には黒幕の事がチラついていた。それを達成した直後なのである。
「あー。君、人間?それとも呪霊?」
獄門疆により呪力を感じ取れない五条にとって、ゆたぽんは判別不可能な存在であった。
「よし!よしよしよしよし!!!東京を救ったぞ!!努力は実った!!」
しかしゆたぽんには、アドレナリン解放と黒閃発動による全能感により何も聞こえていなかった。
「おーい。赤白鎧くーん」
なお、莫大な呪力をまとったエネルギーが羂索を屠った為、呪霊操術により身体に入れていた呪霊ごと透過により消滅されていた幸運を、生涯ゆたぽんは知る事は無い。
ここで、五条悟により意識を混濁させられていた特級呪霊達、漏瑚、真人、脹相が目を覚ます。
「これは、どういう状況だ?」
「うはっ!何あの鎧!呪力量ヤバすぎでしょ!!」
「……」
呪霊たちも目が覚めたら、五条悟が封印されてる様に見えるが、夏油の姿が見えず、謎の鎧がいることに状況が理解出来ていなかった。
だが、真人が直感により、獄門疆に走りより閉門を行おうと駆け寄る。
『雷速ペネレイト』
雷の速度で、特級呪霊真人は祓われた。
「な?!」
『雷速ペネレイト』
『雷速ペネレイト』
漏瑚、脹相は、祓われ、殺された。瞬殺である。
脹相はのちに主人公を助けると知っていたが、今現在敵であることからもろとも鏖殺した。
夢の中で何回も殺し合いをしているゆたぽんに甘さは無かった。
五条悟は瞬殺により祓われた特級呪霊達を見て、鎧に対する警戒をさらに高めた。しかし、呪霊を祓ったという事はそちらのサイドでは無い事を予想して、話しかけた。
「助かったよ。もう少しで封印される所だった。」
「……」
ゆたぽんは五条悟に話しかけられたがなんと応答するか、迷っていた。
これからの生活を守る為、呪術師なんて言うクソオブクソ職業には絶対に着くわけにはならないので、正体を隠すのに頭を働かせていた。
「おーい。聞こえてますかー。ニホンゴワカリマスカー。」
「……」
ゆたぽんはボロを出す前に撤退しようと決定した。
それを感じ取ったのか五条悟が焦って話しかける。
「ちょっと!ちょっと!このままの状態で置いてかれると、もし敵がまだいた場合封印されちゃうよ。封印を解いてから移動してくれないかい?」
む。
五条悟が封印されてパワーバランスが狂うと呪詛師が日本で悪さするかもな……。
ここは、動けるようにしてから退散するか。
『ペネレイト』!
獄門疆を透過により殴り抜いた。
その衝撃により、獄門疆は五条悟の拘束を解き、箱の形状に戻った。
「ふう。ありがとう。これで自由に動けるよ。
それにしても、すごい呪力だね……。僕の何百倍かな。」
「…?!」
やべえ、六眼で見られとるやんけ!!
退散退散!
ゆたぽんは焦りながら渋谷駅にあるだろう自販機のコンセントを探した。
五条悟はさらに話しかける。
「君どこに住んでるの?名前は?この眼で見る限り、人間なのはわかるけど。」
「……」
見つけた!
「ワタシのナマエはゆたぽんデス」
ゆたぽんはそう言い残しコンセントから雷になり侵入して家に帰った。
ゴロゴロの実は現代社会において、どこでも雷速で行ける超便利能力となっていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あらら、行っちゃったか。」
五条悟はゆたぽんの事について考えていた。
「あんな莫大な呪力を持った呪術師なんか聞いたことないし、呪詛師でも見当がつかない。在野の術師か…。」
声の感じからは男、若者、高校生くらいかな。
「必ず見つけるよ。ゆたぽん。」
いつもの五条悟になったのか、ニヤリと笑みを深めた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
やあみんな!おはよう!
東京を救った男、ゆたぽん(仮名)です!
渋谷事変のハロウィンから1ヶ月、どうやらあれは毒ガステロとして処理されたらしい。幻覚作用を引き起こすガスがウンチャラカンチャラってNHKでやってましたわ。
まあ亡くなった人には申し訳ないが、千年間の因果を断ち切ったって事で成仏してほしい。…親族には関係ないだろうがなあ。
今日も高校へ電車で向かう為駅に向かっている途中である。
今世はとびっきりイケメンと言う訳ではないのだが、そこそこの顔+ドラゴンの気配(ドラゴンの気配は異性を惹きつける)により女の子からの反応が前世と違くて、毎日学校に行くのが楽しいのである!
ルンルン気分で、駅に入ろうと改札に向かっている途中なぜか、やたらと混んでいる事を確認した。
「なんだなんだ。人身事故でも起きたのか?」
やたらと女子が多いような。。。。
?!
ふぁ?!
五条悟サングラス版……?!?
ナンデ?!ナンデココニイル?!
心を平常心にして、通り過ぎるんだ…。
いや!?、あの時六眼で見られたんだから、もう一度見られたらまずいか?!
自然とUターン自然とUター「おーい!ゆたぽーん!こっちこっち!」
お、おわた!!!
呪術師は嫌じゃあ!!!
「や!待ってたよ。ゆたぽん。」
いや、まだしらを切れる!
「はい?誰でしょうか」
「君のことだよ」
五条悟はニッコリとして言った。
「田中一郎君!」
俺の名前を。
ゆたぽん改め田中一郎。
ここまでのようです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
場所は少し変わり、ファミレスの中、五条悟と向かい合って座っていた。
口を開いたのはこちらからである。
「…なぜ自分だと分かったのでしょうか」
冷静に考えて1億分の1を探すのは無理ゲーだと思うのだが。
「Suicaの履歴からだよ。」
は?
Suicaの履歴?
「君帰る時、術式使って帰ったよね。だから思ったんだよね。もし行きは術式を使って無かったなら、行きだけ渋谷で降りて、帰りは渋谷から移動してない人で、かなり絞られるんじゃないかってね。」
ふぁ!?
どんな推理やねん!!
いや、まてよ。
「それはおかしいです!確かに自分は行きに電車を使いましたが、改札を出なかったので、履歴には残っていないはずです!」
「そうそう!それで、あの時間以降で他の窓口、関東近郊で精算した人も含めて、男、高校生で絞ったんだよ!そしたらビンゴ!1人親が窓をしてる、いわゆる見える家系の子が1人絞られた訳。」
そんな、行きも術式で来てたら成り立たないようなガバガバな推理で当てられるなんて理不尽です!!
「ふぁーー!!!!???」
「ふふ。もし行きも術式だったら、例年と比べて極端に呪霊の発生件数が少ない場所や、呪力濃度が例年より高い場所を五条家の力を使って虱潰しに探す気だったよ」
な、なんだこいつは!
イケメンストーカーに追われています!!
「で、本題なんだけど、君呪術高専に来てよ。」
「(青春送れなさそうなんで)むりです。」
六眼からは逃げられない!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「転校生を紹介するよー!テンション上げて皆!」
呪術高専東京高1年の教室で五条悟の声が響いた。
「え!?マジかよ!」
「だれ?男?女?」
「…この時期に転入か」
虎杖悠仁、釘崎野薔薇、伏黒恵の声話し声が教室から聞こえる。
「じゃ入ってきて!」
スパーン!!!!
ドアを勢いよく開けて一郎が中に入って行った。
「東京と五条悟を救った男、田中一郎です!
ここにいる4人は僕に命を救われたので、その事を噛み締めるように生きてください!
気軽にゆたぽんって呼んでね!」
……
「お、おう!ゆたぽん!!」
「はあ、ほんと私って環境に恵まれないのよね…」
「……」
「じゃ!午後の授業を始めるよ!!!」
渋谷事変 完