彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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金木犀さん、佐藤東沙さん、一ノ原曲利さん、マイムマイマイさん、NoSTRa!さん、誤字報告ありがとうございます。


123:はれときどき巨大船

 陽光を浴びて煌めく午前の海原。サンジは煙草を吹かしながらしみじみと呟く。

「デタラメにも程があるぜ……」

 

 グル眉少年の視線の先。空から降ってきた巨大船の残骸がぷかりぷかりと波に揺られている。

 ほんの数秒前まで、緊急回避の操船に大わらわだった一味は皆どこかくたびれ顔。

 

「なんで空から船が降ってくるんだ?」

「少なくとも、今は何にもねェなあ」

 ルフィとゾロが揃って空を見上げるも、青空には鳥の影すらない。

 

「あっ!!」ナミが吃驚を上げた。

「ひぃっ!?」「今度はなんだよぅっ?!」

 悄然としていたウソップとチョッパーが、悲鳴と共に飛び上がる。

 

「ログポースが壊れちゃったみたいっ! 上を向いたまま動かないわっ!」

 ナミがログポースを何度を振ってみたり、保護ガラスをツンツンついたりするも、磁針は天を指したまま微動にしない。

 

「壊れたんじゃないわ、航海士さん。より強い磁力を持つ島によって、新しいログに書き換えられたのよ。指針が空を指しているなら」

 ロビンが落ち着かせるように語り、ベアトリーゼが言葉尻を継ぐ。

「“空島”だね」

 

 

「空島っ!?」

 

 

 少年少女達と一匹が素っ頓狂な声を上げ、再び空を見上げる。

「で、でも見える範囲に島なんて浮かんでねェぞ?」

 ウソップが狼狽えながら長身美女2人へ問えば。

 

「違うわ、長鼻くん。浮いているのは島ではなく、“海”よ」

 ロビンは女教師のような調子で説明する。

「はるか高空。白海と呼ばれる雲の海が広がり、その白海にある島々の総称を空島というの。少なくとも……学術上はそう定義づけられているわね」

 

 それはつまり、とルフィは要点を把握し、目をキラッキラ輝かせた。

「空に海が広がって島があるのかよっ! すっげーっ! 行こうっ! すぐ行こうっ!!」

 

「ちょっと静かにしててっ!」

 ナミは眉目を吊り上げてルフィを叱り飛ばし、

「空島なんて、これまで一度も聞いたこと無いわっ!?」

 ロビンへ信じられないと訴える。

 

 も、ベアトリーゼが宥めるように説明した。

「交流がほとんどないんだよ。私も詳しくは“知らない”けど、空島の存在が一般認知されないくらいにね。世界政府がどう扱ってるのかも分からないな」

 

「……あんた達2人は、空島へ行ったことは?」

 蜜柑色の髪の少女が期待を込めて、黒髪の美女と夜色の髪の美女へ尋ねる。

「私は無いわね。書籍で読んだことがあるだけ」

「私も無い。ただ、空島産の文物は“マーケット”で取引されてる」

 しかし、返ってきた答えは無情で、ナミは美貌を曇らせた。

 

「“マーケット”ってなんだ?」とチョッパーがベアトリーゼの言葉を拾う。

 ベアトリーゼは好奇心を隠さないトナカイへ言った。

「この世界最大の完全自由市場だよ。あらゆるものが取引されてる。たとえば、今チョッパー君が思いつく薬やその原料、それに医学書や医術書。その全てが手に入る、と思って良い。お金があればね」

「すげーっ! そんなとこがあるのかっ!」

 チョッパーが鼻息を荒くした。そこに行けたらどれほどの医学と医術を学べるだろう。

 

 サンジは舷側の手すりに身を預け、しみじみと煙草を吹かした。

「空の上に海と島があると聞いたと思えば、何でも手に入る市場か。グランドラインってのは本当に途方もねェなあ……」

 

 ロビンはコックの言葉に初めてグランドライン入りした頃を思い出し、小さく微苦笑し、困惑の濃いナミへ語り掛ける。

「これだけは覚えておいて、航海士さん。何が起きるか分からないグランドラインで、確実なものはログポースの示す指針だけ。この海ではログポースを疑うのではなく、まず自分の常識を疑うの」

 

「私のトビウオライダーみたく、ログポースを頼らない航海法が無いわけじゃないけれど……それはそれでリスクが伴う。今、君らにある選択肢は二つ」

 親友の言葉に接ぎ穂を加え、ベアトリーゼは右手の指を二本立てた。

「ログポースが示すとおりに空島へ行くか。私のトビウオライダーの念波誘導に従って進むか、だよ」

 

「ウチの船長がどっちを選ぶかは考えるまでも……て、ルフィはどこ行った? ウソップも」

 ルフィとウソップの姿がないことに気付き、ゾロが甲板上を見回していると、サンジが煙草の灰を落としながら、水面を漂うガレオン船の残骸を指差した。その顔はどこか呆れ気味だ。

「探検しに行った。面白そうなものがないか探してみるとさ」

「私もちょっと行って来ようかな。潜水服に着替えてくる」

 着替えのため、後船楼内へ去っていくベアトリーゼ。

 

 舷側の手すりに身を預けていたサンジが、船の傍に流れてきた長方形の大きな箱に気付き、ゾロとチョッパーを呼ぶ。

「ちょっと手を貸してくれ」

「どうした?」

「デケェ箱が流れてきた。拾ってみようぜ。何か分かるかもしれねェ」

 

 麦わらの一味の武闘派二人と変身トナカイは、メリー号の傍をぷかぷかと浮かぶ長方形の大きな箱をロープを使って引き揚げ、釘で頑丈に封じられた蓋をこじ開ける。と。

「ぎゃあああっ!? 骨だあっ!」チョッパーがビックリ仰天。

 

「こりゃ棺桶だったのか。期待外れだったな」とサンジが眉を下げたところへ。

「そうでもないわ」

 ロビンが棺桶に傍らへ屈みこみ、慎重な手つきで収められている白骨死体や品々を調べ始めた。

「遺体が身に着けている衣服や装飾品、棺桶に入れられた副葬品などから、いろいろ分かる。もちろん、遺体自身からも」

 

 法医学者が検分するように死体を調べ、ロビンは分かったことを確認するように並べていく。

「骨盤の形状から、この遺体は男性。大腿骨の長さから身長は2メートル前後。いくつか骨折の修復箇所があり。いずれも完治済み。頭蓋骨の縫合は終わっておらず……上腕骨の骨髄腔が上腕骨端線に近い。30代前半ね。歯が綺麗に残っているのは……タールが塗り込まれているから。これは南の海の一部特定地域の風習」

 

 ロビンが手に取って調べている頭蓋骨を窺い、サンジは気づいたことを指摘する。

「この頭蓋骨、穴が開いてるな。そこを突かれて殺されたってことか」

 

 一見すると妥当な推理に思えるが、考古学者の分析結果は異なった。

「いえ。穴は慎重かつ丁寧に開けられているから、おそらく手術痕ね。船医さん。貴方の見解は?」

 水を向けられた船医はおずおずと頭蓋骨を見つめ、考古学者へ首肯を返す。

「たぶん、穿頭術だ。脳腫瘍の進行を抑えるために頭蓋骨へ穴を開けるんだよ。でも、大昔の医術だぞ。今じゃ完全に廃れてる」

 

「サウス出身で壮健な体格、脳腫瘍で病死した30代男性。古い術式が用いられたことと着衣、副葬品の類型、死亡しても現地埋葬や水葬されず棺に入れていたことから見て……おそらく200年ほど前に派遣された探検隊の要人ね。少し待っていて」

 棺桶の傍から離れて女部屋に赴き、ロビンは荷物から一冊の厚い書籍を持って戻ってきた。

「その本は?」とゾロが興味半分に尋ねれば。

「グランドライン内で消息を絶った探検船の総覧よ。世界政府加盟国から公式派遣されているなら、これに載っているわ」

 

 ロビンは素早くページをめくっていき、答えを見つける。

「――あった。サウスのブリス王国。探検船セントブリス号。208年前に消息不明。登録されている旗と船首飾が落ちてきた船と一致する」

 

 古い遺体から落ちてきた船の素性を特定した手腕に、ナミは思わず舌を巻いた。

「凄いわ……死体一つで船の正体が分かるなんて……」

 

 ナミの称賛に野郎共も同意の眼差しを寄こす。素直な少年少女達の反応に面映ゆいものを覚えつつ、ロビンは言った。

「探検隊なら色々な証拠や記録があると思うけれど」

 

 残念ながら水面を漂っていたガレオン船の残骸はほとんどが海中へ没していた。

「もう沈んじ……?」ナミは鼻の頭に皺を寄せ「? ルフィとウソップはどこ?」

 

「ナミちゃーんっ!」

 トビウオライダーの背に乗ったベアトリーゼが海上から呼びかけてきて、報告。

「麦わら君と長鼻君が沈んじゃったーっ!」

 

 瞬間、ナミはさながらバカ息子にブチギレる母親みたいな形相を浮かべた。

「何やってんのあいつらはっ! 早く拾ってきてっ!!」

 

「はーい」

 ベアトリーゼはトビウオライダーを潜航させ、海中からルフィとウソップを抱えてきた。

 甲板に引き上げられたルフィは大量の海水を呑んでフグのように膨れ、白目を剥いていた。隣に転がるウソップは余程の恐怖を味わったのか、土気色の顔でぶるぶると震えている。

 

「ルフィはともかく、何でウソップまで溺れてんだよ」とサンジが溜息をこぼす。

 ウソップはぶるぶると震えながら、チョッパーが大急ぎで水を吐かせているルフィを指差す。

「溺れたルフィを助けようとしたら、足に索具が絡まっちまって……危うく二人一緒に海底まで一直線だった……っ!」

 

 やいのやいのと騒ぐ野郎共とは対照的に、女性陣は淡々と情報の共有を進めていく。 

「収穫はあった?」

 ナミの問いかけに、ベアトリーゼは潜水服の上半分を脱ぎ、袖を腰回りで結びながら答える。

「船体の一部を回っただけだから何とも言えないけど、元々かなり経年劣化してたみたいだね。そこへ落下の衝撃と海水が加わって一気に崩れちゃってる。ああ、でも船名は確認したよ。セントブリスだ」

 

 自身の調査と分析が正解だったと証明され、ロビンは満足げに頷く。

「ええ。凡そ、200年前の探検船よ」

 ベアトリーゼは片眉を上げ、いつの間にか引き上げられていた棺桶を一瞥し、合点がいく。

「流石、考古学者。それと船内には戦闘と略奪の痕跡があったね。まだ船内全てを見てないけれど、めぼしい情報が得られるか怪しいな」

「それは……」ナミが渋面を浮かべた、直後。

 

 ルフィが噴水と化した。メインマストのてっぺんまで届きそうな勢いで大量の海水を吐き出し、意識を取り戻す。

「……っ! マジで死ぬかと思った……っ!!」

 普通人なら既に死んでいるところだが。ルフィは大きく深呼吸し、ヒマワリが咲いたように笑う。

「お前ら見ろっ! すっげえもんみっけたぞっ!!」

 

 じゃじゃーんとルフィが掲げたそれは、一枚の羊皮紙。なんだなんだと船上の全ての目が注がれた。

「島の地図だな」「スカイピアってのが名前か?」「ひょっとして空島の地図かしら」

 皆の目が地図から発言者のロビンへ移り、

「そんな、本当に空島があるっていうの……っ!?」

 自身の常識と手元の地図が仄めかす現実の齟齬に、ナミは混乱と動揺に襲われる。

 

 も、そんなナミを置き去りに、

「やったぞウソップ、チョッパーッ! 空島は本当にあるんだっ! 空だぞ空っ!」

「すっげーっ!」

「早く行こうぜーっ!」

 ヒャッホーッ! と能天気に騒ぎ出す陽気な2人と1匹。前向きな奴らだな、と煙草を吹かすコック。マジであるのか? と空を見上げる剣士。長身美女の2人ははしゃぐ少年達にオトナな微笑を送る。

 

 一人悶々としていたナミが、自身と周りの温度差にキレる。

「勝手に盛り上がってるけど、空島の行き方なんて分からないわよっ!」

 

 冷や水を叩きつけるような物言いに、浮かれていたルフィ達はピキリと固まり――

「なんでだよっ! 航海士だろっ! 何とかしろっ!」

 既に空島へ行くことを決めていたルフィが血相を変え、ナミへ吠える。無茶なわがままを言っているようにしか見えないが、その実は『ナミなら連れていってくれる』という無条件の信頼と甘えだったりする。

 

 やいやいと言い始めた船長と航海士を横目にしつつ、チョッパーが期待を込めて問う。

「ロビンとベアトリーゼは、行き方が分からないのか?」

「ごめんなさい。私にも分からないわ」と幼子を相手にするように詫びるロビン。

「右に同じ。マーケットまで行けば、知ってる奴もいるだろうけど、そこまで行く間に他の島のログに書き換えられちゃうね」

 

 耳聡くベアトリーゼの言葉を聞き止めたルフィが、即座に反応。

「ダメだぞ! 次に行くのは空島だかんなっ!」

 

 この野郎。ナミは今にも噛みつきそうな目でルフィを睨みつつ、深呼吸。深呼吸。深呼吸。

 ――上等じゃない。いいわよ。あんたを空島に連れていってやろうじゃないっ!

「あくまで空島を目指すっていうなら……先の船が鍵よ。あんなでっかい船が空高くにあったんだもの。私達のメリーが行く方法は必ずある。そのためにも、あの船から何かしら情報を見つけるしかないわっ!」

 

「でも、大方沈んじまったぞ」とウソップがわずかな残骸の漂う水面を指差す。

「私が潜って調べてこようか? 終わるまで君らはここで待機になるけど」

 

 ベアトリーゼが提案するも、ナミは『手ぬるいっ!』と言いたげに首を横に振った。

「いえ、引き揚げるっ! この船には能力者が四人もいるし、そうでなくても、私以外は人外染みてるんだから、沈んだ船を引き揚げるくらい余裕でしょっ!」

 

 全員が思わず互いの顔を見合わせた。代表してベアトリーゼが言う。

「引き揚げは流石に無理だよ。対象がデカすぎる」

 

 ナミは魅力の詰まった胸を押さえるように腕を組み、

「仕方ないわね……なら、潜って調べるしかないか。ベアトリーゼだけじゃ手が足りないし……ウソップッ!」

 橙色の瞳に射竦められ、ウソップが若干仰け反る。

「お、おう。なんだ?」

 

「船にある資材で潜水装備を作ってっ!」

 航海士は手先が器用すぎる狙撃手に厳命し、船長と副船長とコックを順に見回し、続けた。

「三着ね」

 

      ○

 

 ウソップが甲板でトンテントンテンと潜水装備を作っていく。

 

 ベアトリーゼは興味深そうに作業を見物していた。

 世界的高水準の潜水活動装備と技術を持つ海上自衛隊の潜水士が、成し遂げた深深度潜水記録が約450メートル強。十分な装備を用いて、だ。

 ところが、ウソップは樽とゴムシートと排水ホースとロープで手作りした装備で、何とかしてしまうわけだ。

 

 クリマ・タクトといい、この潜水具といい……ベアトリーゼは思う。この坊主が海賊なんてやってるのは、世界の損失だな。

 

 一方、ベアトリーゼから顕微鏡を覗き込むような目で見つめられているウソップは、酷くケツの収まりの悪い思いを抱きながらも、手を休めることなく作業を進める。

 

 ベアトリーゼは顎先でウソップの潜水装備を示し、隣のロビンへ「どう思う?」

 ロビンはウソップが製作中の潜水装備をじっと見つめ、うん、と小さく頷いた。

「私達もいろいろ無茶をしてきたけれど、彼らには負けそうね」

 

 

 

 で。

 

 

 

 サンジが作った美味なる昼食を済ませた後。いよいよ海底に沈んだガレオン船目指してダイビング。

 ウソップ製潜水装備を装着した麦わらの一味主戦力三人組を、一言でたとえるなら。

 樽だ。

 

 冗談抜きで樽だ。大きめの樽にガラスをはめ込んだ覗き窓とゴムシートを加工した作業手袋が生えており、頭の天辺から排水ホースを応用した給気ホースと命綱が伸びている。給気ホースの送風機は足踏み式の空気入れだった。

 なお、樽一つで保護できるのは上半身だけなので、海水に触れたらへばってしまう能力者のルフィは連結した二つの樽に体を突っ込んでいた。

 

 さしものルフィもこれには絶句。

「何とかしろって言ったのは俺だけどよ……流石にちょっと……無茶じゃねェか?」

「ナミさん♥ 俺が必ず手がかりを見つけてくるぜっ!」サンジはここぞとナミにアッピル。

「―――」ゾロは瞑目して言葉がない。

 

 そんな三人へ、タイトな潜水服姿のベアトリーゼがくすくす。

「手の込んだ自殺にならないと良いね」

「こら、そこっ! 不安を煽るようなこと言うなっ!」ウソップは自分にも言い聞かせるように「お前ら、大丈夫だっ! 俺の設計に不備はねえっ! 多分っ!」

 

「幸運を祈ってるわ」

 蜜柑色髪の女王陛下が号令を下し、三人は海へダイブ・イン。

 

 人獣形態になったチョッパーが命綱のロープが巻かれたドラムのハンドルを回し、三人をゆっくりと潜行させていく。

「死体を樽に詰めて沈めるみたいね」ロビンは淡々と呟き、

「こえーこと言うなっ!」ウソップが遺憾の意を表明。

 

「いざとなれば私が連れ帰るよ。じゃ、行ってくる」

 ベアトリーゼは舷側からバックロールエントリーで海面へ飛び込み、海中でトビウオライダーに搭乗。沈降していく少年達に付き添い、海底に横たわるガレオン船を目指す。

 

「大丈夫かなぁ」

 ドラムのハンドルを一定速度で回しながら、毛深大男チョッパーが心配そうに水面を窺う。

「殺しても死なないような連中が4人も揃ってるんだから、何とでもなるでしょ」

 ナミが舷側の転落防止柵に身を預けながら告げる傍ら、ウソップが足踏み式空気入れをペコペコと踏み続けていると。

 

 聴覚が潮騒に交じる何かを捉えた。

 ウソップは怪訝そうに眉根を寄せる。

「? なんか聞こえねェか?」

 

 ナミとチョッパーは顔を見合わせ、周囲をきょろきょろ。

「……気のせいじゃない?」

「いや、確かに聞こえる」ウソップは両耳の脇に手を当てながら「なんか妙にテンションの高い歌が」

「あれかしら?」

 2人と1匹が、ロビンの指差した方角へ目を向けてみれば。

 

「さーるべーじさるべーじっ! さーるべーじさるべーじっ!」

 

 賑やかなシンバルとホイッスルの音色と共にマーチ染みた歌を奏でる、モンキーな巨大帆船が水平線からやってきた。

 船首に立つ、ゴリラそっくりの大男がバリトンの美声でシャウト。

「沈んだ船はぁ全部俺のもんだ! ウッキッキーッ!」

『ウッキッキーッ!』とモンキーな格好の船員達が完璧なコーラス。

 

 バナナをキメたのか、えらく陽気でファンキーなモンキー軍団のエントリーに、ウソップとチョッパーが呆気にとられ、ロビンが新たなトラブルに上品な微苦笑をこぼす。

 

 ナミは思わずぼやいた。

「次から次へと……誰か祟られてるんじゃないでしょうね」

 




Tips
空島。
 原作でも未だ謎が多い。世界政府との関係も不明だし、なんかすげー秘密がありそう。

ウソップ。
 海賊より技術者や科学者になるべきだったのではないか。

ナミ
 常識が壊されていく。

ロビン
 空島の概略は知ってるけど、詳細は知らない。

ベアトリーゼ。
 ウソップ製樽式潜水装備に苦笑いしか出ない。
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