彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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佐藤東沙さん、しゅうこつさん、誤字報告ありがとうございます。

空島編終わりまで突っ走るで。


142:黄金の鐘は高らかに歌う。

 それは失われたジャイアント・ジャックの頂より、さらに高い位置に浮かぶ島雲に眠っていた。400年に渡って誰にも見つかることなく。

 巨大な黄金の鐘とやはり黄金で造られた鐘楼。いくらか蔦と苔に覆われていたものの、その輝きは微塵も損なわれていない。

 

 エネルは巨大飛行船マクシムを停泊させ、黄金の鐘を前に立ち、哄笑を挙げていた。

「なんと美しいっ! なんと荘厳かっ! この鐘は私にこそ相応しいっ!!」

 

 シャンディアの民から『シャンドラの灯』と呼ばれ、400年前にアッパーヤードの到来を告げる『島の歌声』を響かせた伝説の鐘。

 神の宝物(トロフィー)に相応しい。

 大いなる感動と興奮が、疲弊した体に力を蘇らせる。

 

「得るべきは全て得た。後は為すべきを終えるのみ」

 エネルは黄金の鐘を背にし、雷電の雨が降り注ぐスカイピア全土を傲然と見回し、頭上を覆い尽くす暗闇の雲へ向け、悠然と腕を掲げた。

 蛮姫が放った災厄の火を呑み込んだ雷雲は、エネルすら初めて見るほどに猛り狂っている。

 

「この空島、いや、積帝雲ごと消滅させてくれよう」

 エネルは起爆スイッチを押すように雷雲へ一条の雷電を放つ。

「スカイピアよ。消え去るがいい……っ!」

 

       ○

 

 空を覆い尽くしていた黒雲が雷鳴と稲光を溢れさせながら、蠢き始めた。

 黄金郷シャンドラの上空を中心にゆっくりと渦巻き始め、エンジェル島を消滅させたものより遥かに巨大な球状雷雲『雷迎』を形成していく。

 形成される雷迎の真下、ジャイアント・ジャックの麓から破滅的光景を見上げる麦わらの一味とその他の許へ、何かが落ちてきた。

 

 神の社で使われていたものらしい陣幕の一部。そこに血で十字方位と文章が書かれている。

 ロビンが手に取り、読み上げた。

「ビーゼの字ね。『ジャイアント・ジャックを西へ斬り倒せ。エネルを倒し、黄金の鐘を鳴らそう』とあるわ」

 

「黄金の鐘? なるほどな」

 ゾロが訳知り顔で頷く。ロビンも察しがついているらしく口元を綻ばせた。

「?」

 ウソップがつぶらな目つきで『お・し・え・て』と訴えてきたので、ゾロが痛みで引きつり気味な苦笑いを返した。

「探索を始めた時にな、ルフィが言ってたんだ。黄金の鐘を見つけたら目いっぱい鳴らそう。下のあいつらに鐘の音を届けようってよ」

 

 ルフィは最高の名案を思い付いたと言わんばかりに得意げで、太陽のような笑みを湛えながら。聞かされた時、チョッパーは目を輝かせ、ロビンとベアトリーゼは『素敵』と微笑み、ゾロも『お前にしちゃあ粋な案だな』と讃嘆をこぼした。

 

「そうか、クリケットのおやっさんに……」

 ウソップはぶるりと武者震いした。

 この小心者で悲観主義者なくせに勇敢な長っ鼻は、浪漫と男の美学と浪花節に恐ろしく弱い。ゾロの話を聞いた瞬間、逃げるという選択肢を放りだすほどに。

「何としても黄金の鐘を鳴らさねえと……っ!」

 

 ゾロ達のやり取りに空島の住人達が困惑する中、ワイパーが噛みつく。

「お前ら、何の話をしている。なぜ余所者のお前達が黄金の鐘を鳴らそうとしているんだ。あれは俺達、シャンディアの民が鳴らすべきシャンドラの灯だぞ……っ!」

 

 ゾロが疎ましげに眉をひそめた傍らで、ロビンが静かに言葉を紡ぎ始める。

「……400年前。青海の探検家が黄金郷を見たとウソをつき、処刑されたわ」

 

「!」ワイパーとアイサが息を飲み、心折れていたガン・フォールが顔を上げた。

 雷鳴轟く中、ロビンの編む言葉は不思議と皆によく届く。

 

「世間は探検家を嘲り笑ったけれど、彼の子孫達は彼の言葉を信じて、ずっと黄金郷を探し続けてきた。そして、その子孫の一人が私達をこの空島へ送り出してくれた。きっと、今もこの下の海で黄金郷を探しているでしょうね」

 

 ロビンは驚愕にわななくワイパーへ碧眼を向け、言葉を続ける。

「だから、黄金の鐘を鳴らせば、黄金郷は空にあったと彼らに伝えられる。麦わらの彼はそう考え、この状況にあっても、諦めてないのよ」

 

「……その、子孫の名は?」

 ワイパーが身を震わせながら声を搾り出すように問えば、ウソップが答えた。

「モンブラン・クリケットだ」

 

「ならば、先祖の名は、ノーランド……かっ!!」

 強面から流れる大粒の涙。アイサがワイパーの様子を見上げようとしたが、戦士は子供に涙を見られまいと歩き出した。

 ジャイアント・ジャックへ向かって。

「青海の剣士。お前は右の幹を斬れ。俺は左の幹を砕く」

 ゾロは不敵に犬歯を剥き、腰から刀を抜く。

「その様でやれんのか?」

「愚問だ」

 

 そして、青海の剣士とシャンドラ戦士が雷の降り注ぐ中を全力で駆け抜け、二本の幹が螺旋状に絡み合うジャイアント・ジャックへ向かって躍りかかった。

 

「うぉおおおおおっ!!」

 ゾロの二刀による一撃が右の巨大な幹を両断し。

 

排撃(リジェクト)ぉおおっ!!」

 ワイパーの排撃貝による一撃が左の巨大な幹を穿ち砕く。

 

 直後、落雷が2人を吹き飛ばし、ウソップとアイサが悲鳴を上げる中、幹の支えを失ったジャイアント・ジャックが不吉な軋みの音色を奏でながら傾いでいく。

“東”に向かって。

 

「ヤベェッ!! 向こう(西)じゃなくてこっち()に傾いちまってるっ!!」

「まぁ、単に幹を切るだけじゃ倒れる方向を定められないわよね」

 ウソップの悲鳴にロビンがしれっと呟く。

 

 大木の伐採は職人技だ。本来なら縄やワイヤーで倒す方向に強いテンションを掛けながら、切り口を作ってゆっくりへし折るように切っていかねば、望む方向に倒せない。

 そう、倒す方向へ向けて、強い力が要る。

 

「言うとる場合かっ! どうしたら――ん?」

 その時。奇跡が起きる。

『じゅらあああああああああああああああああああああああっ!!!!!!』

 超々巨大ウワバミが大ベソ掻きながら突っ込んできた。

 

「なんだ、あのバカでかい蛇はぁ―――っ!?」「ぎゃああああ出たぁあああ」

 初見のウソップが目ん玉を剥いて絶叫し、つい先ほど丸呑みにされたアイサが悲鳴を上げる。

「空の主っ!? なぜこんなところにっ?!」

 ガン・フォールも突然の巨蛇の登場に吃驚を上げる中、超々巨大ウワバミは錯乱したように暴走し、そのまま勢いよく――

 

 ごん。

 

 ワイパーの燃焼砲を幾度浴びようとも、ゾロの豪剣で幾度斬られようとも、かすり傷一つ負わない頑健無比なウワバミが失神昏倒するほどの激突衝撃が加えられ、ジャイアント・ジャックが西へ向かって緩やかに傾いていく。

 

「お、おおおおっ!? 倒れてくっ! 西へ倒れてくぞっ!!」

 ウソップが喝采を上げる中、その傾くジャイアント・ジャックの天辺付近。神の社があった高層島雲で、挑戦が始められていた。

 

 

「傾き始めたぞっ!」

 右手に“巨大金玉”をひっつけたルフィが叫び、ウェイバーの出力設定を最大に変更したナミが蛮姫を問い質す。

「ベアトリーゼッ! 本当にやれるんでしょうねっ!?」

 

 低血糖でへろんへろんのベアトリーゼは気だるげな笑みを湛えながら、さらりと言った。

「いくらなんだって、こんな”簡単”なことをしくじりゃしないよ。ナミちゃんとルフィ君こそ頑張ってね。なんせこの空島全ての命が懸かってるからさ」

 

 自分の双肩が背負うものの大きさに、ナミが息を飲む。と、その隣からルフィが噛みつく。

「俺とナミなら出来るに決まってんだろっ!」

 

 その手放しな信頼も重たいプレッシャーのはずだが、どういうわけかナミの心に強く大きな火を点けた。

「……ええっ! 私は麦わらの一味の航海士よっ! どんなところだろうと、扱う船が何だろうと、船長を望むところへ必ず到着させてみせるわっ!」

 

 自信と意気に満ち満ちた少年少女に、蛮姫は心底嬉しそうに頷き、ルフィの“巨大金玉”をこんこんと突く。

「そろそろ良い傾斜具合だ……いっちょやろうか」

 

「おうっ!!」「ええっ!!」

 2人は小型ウェイバーに乗り込み、後席のルフィがナミの腰に手を回し、前席のナミがウェイバーのハンドルをしっかり握る。

 

 ベアトリーゼはウェイバーの斜め前に立ち、カウントを始めた。

「3」

 

 ナミがウェイバーを起動させ、アイドリングを始めた。

「2」

 

 ルフィは島雲の傍らに停泊する巨船と球状を成していく雷雲を睨む。

「1」

 

 ベアトリーゼは足元がゆっくりと傾斜していく様を感じながら、

弾丸撃(ゲショスシュラーク)ッ!!」

 ジャイアント・ジャックの焼け落ちた天辺へ向けて衝撃波をぶっ放した。

 

 足腰から力が抜けたベアトリーゼが大の字にひっくり返る中、ルフィが叫ぶ。

「いっけえええ――――――――――――――ェっ!!」

 ベアトリーゼが放った衝撃波を追うように、ナミがウェイバーをフルパワーで発進させた。

 

 ウェイバー技師のパガヤが『大したもの』と称したその出力は軽量な船体と相まって、パワーウェイトレシオだけなら、なんとベアトリーゼのフルサイボーグトビウオライダーより高いというトンデモな代物。

 そんな超バチクソにパワフルなウェイバーを全力全開でぶっ飛ばし、凹凸激しいジャイアント・ジャックの幹の表面をかっ飛ばしていく。

 にも、関わらず、ナミにもルフィにもほとんど向かい風が届かない。限りなく空気抵抗を減じられたウェイバーはマシン性能を最大効率で発揮し、傾斜していくジャイアント・ジャックを怒涛の勢いで駆けあがっていく。

 その様はまるでスリップストリームに入ってバカ加速するレースマシンそのもの。

 

「すげえっ! 何が起きてんだっ!?」

「ベアトリーゼのぶっ放した衝撃波が見えない風除けになってるのよっ! しかも、私達の速度を見越した勢いに調整してっ!! こんなのデタラメよっ!」

 ナミの説明をルフィは一言で要約した。

「怪奇現象かっ!」

「それで良いわよっ!!」

 

 黄金の金塊球を引きずりながら、傾ぐジャイアント・ジャックを爆速で駆け上っていくウェイバーに気付き、エネルは心底不快そうに顔を歪めた。

「物分かりの悪い羽虫共め。大人しく終焉を受け入れれば良いものを……よかろう。雷迎に先駆けて逝くがいいっ!」

 雷神が黒雲に呼びかけ、ジャイアント・ジャックへ向けて幾筋幾条もの落雷を注ぐ。

 

 幾多の落雷がジャイアント・ジャックの幹を焼き、周囲の島雲を蒸発させ、森を焼き、遺跡を砕く。

 も、

「――なっ!?」

 

 ジャイアント・ジャックを駆けあがるウェイバーには、落雷はおろか静電気一つも当たらない。それどころか、ウェイバーを避けるように雷が逸れていく。

 

「なんだぁっ!? これもあいつの仕業かっ!?」

 ビックリ仰天するルフィに対し、ナミは悪戯を発見した悪ガキのように白い歯を見せる。

「多分ねっ! これなら行けるわっ!! ルフィッ! チャンスは一度っ! やり直しは無しっ! 覚悟はっ!?」

 

「行け、ナミっ!!」

「りょーかいっ!! 行くわよっ!」

 ナミがウェイバーを動かす風貝が内包した風力エネルギーを一気に噴出させた。引きずる大金玉の所為でただでさえ不安定な走破性が悪化しているところへ、この爆発的な超加速。頼りないフレームが軋み、小さな船体がたわみ、ハンドルが暴れる。

 それでも、ナミはウェイバーを真っ直ぐかっ飛ばし、臆することなく焼けただれた断端へ突っ込み、漆黒の空へ飛び立った。

 

 慣性の法則に従って空中を飛ぶウェイバー。

「ありがとう、ナミッ! 行ってくるっ!!」

 ルフィはナミへニカッと最高の笑みを向け、ウェイバーを足場にロケットの如く飛翔した。

 

 巨船マクシム。にではなく、巨大な球状を形成中の雷雲の中へ。

「ちょ、なんでそっちに向かっていくのよ――――――――っ!?」

 雷迎の中に飛び込むルフィを目の当たりに、ウェイバーもろとも落下中のナミが頭を抱える。

 

 一方、黄金の鐘が佇む島雲の縁に立つエネルはせせら笑う。

「愚かな。いくら貴様が電気を無効化できるといっても、雷迎の中は乱気流と静電気の地獄。荷電粒子に焼かれるがいいっ!!」

 

 

 

「――とでも思ってんだろうなぁ、あの耳たぶヤロー」

 大地に向かって倒れていくジャイアント・ジャック。傾斜を強める神の社に寝転がりながら、蛮姫は唇を三日月に歪めた。

「ルフィにはきちんと“おまじない”を掛けてあるんだよ」

 

 

「うぉおおおおおおおっ! ゴムぅゴムぅのぉ~はぁ~なぁ~びぃ~、黄金牡丹ッ!!」

 雷迎内に飛び込んだルフィは、右手の黄金球を上下左右四方八方あらゆる方向へぶん回していた。その凄まじさたるや、重力が仕事を忘れるほどだ。

「ゴロゴロピカピカ……せっかくの空島だってのに天気悪くしやがってっ!! カミナリバカっ!!」

 ルフィは憤慨の罵声を上げながら、巨大黄金球をぶん回し続け、それは始まった。

 

 

「なに、この異常な放電っ!? なんでこんなことが――」

 宙に浮く島雲の一つに落ちたナミは、突如放電を始めた雷迎を見上げ、吃驚を挙げた。気象学に長けるナミすら、もう何が起きているのか分からない。橙色の瞳を大きく広げ、まさしく理解が及ばない現実をただただ刮目して見守る。

 

 エネルもまた、度肝を抜かれていた。だが、雷神たるエネルはナミと違い、何が起きているのか、把握できていた。

「! そうかっ! 奴の右手には電気を伝導する黄金が……いや、無駄だっ! あの災厄の火によって帯電量は桁違い……落着までに放電しきることなど不可能っ!! くだらん悪あがきだっ!」

 自分に言い聞かせるようにルフィを罵るエネル。むろん、雷迎内のルフィには届かない。

 

 ルフィはただ自身の直感に従って、雷迎内で黄金球をひたすら愚直にぶん回し続ける。

 巨船マキシム内の戦いで、ルフィは見ていた。

 エネルの雷が黄金を伝う様を。黄金を伝って放電する様を。

 なら、この“大金玉”を雷雲内でぶん回したらっ!

 直感に基づく最適解。そこに、ルフィが知らぬまま蛮姫の悪企みが加わった時―――

 

 

 

「あのドデカ金玉に与えた複数の振動波は、一定量の荷電粒子と衝突した時に放散を始め、周辺の電磁気に伝播して方向性を与えていく」

 傾斜の加速でジャイアント・ジャックから投げ出されながら、ベアトリーゼは双眸を期待に輝かせて笑う。

「さぁ伝説を作れ、主人公っ!」

 

 

 

 倒壊したジャイアント・ジャックの足元で麦わらの一味達が、アッパーヤードの沿岸に停泊するメリー号でコニスが、海上に避難した空の民とシャンディアの民が、島雲の上でナミが、誰もが雷迎を見上げる中、

 

「はぁ――――――れぇ――――――ろぉ―――――――っ!!!!!!!!」

 ルフィが雄叫びと共に最後の一振りを天へ向けて放つ。

 

 刹那。

 雷迎が弾け、莫大な放電現象が周辺の雷雲を呑み込んで巨大な電磁流体となり、ジェット化して天へ向かって激烈に噴出していく。

 天高く昇っていく巨大ジェットは成層圏、中間圏、と高度を上げていくにつれ、色味を青から紫、赤へ変えていき、電離層へ到達すると、何かにぶつかったように水平方向へ円環状に広がった。

 

 正しく驚天動地の現象を前に、誰もが唖然茫然と空を凝視し、蒼穹の果てで大きく広がっていく真紅の円環に目を奪われている。

 

 雷神を除いて。

「おのれ……おのれ……おのれぇいっ!!」

 その時、エネルに生じた感情を言葉で表すことは難しい。

 

 ただひとつ言えることは、自ら封じる外無しと断じた天敵を、ここで必ず殺さねばならぬと宗旨替えするほどに、エネルは血を沸騰させていた。

 島雲から高々と跳躍し、巨船マキシムの背に飛び移ったエネルは、自らを雷電と化して膨張。巨人へと変化する。

「“雷神(アマル)”ッ!!」

 

 堂々たる魁偉な容貌と憤怒に歪む顔貌は、伝承に語られる雷神(カミナリサマ)そのもの。

 巨大な右手に握りしめた黄金三叉槍を構え、雷神は猛り吠えた。

「我、神なりッ!! 身の程を弁えろ、青海の猿めがぁっ!!」

 

 いまだ宙を舞うルフィは文字通り雷神へ化けたエネルを睨み据え、

「神だ神だとうるせぇなあっ!! 何一つ救わねェ神がどこにいるんだっ!!」

 ぶん回し続けて捻じれまくった右腕へ思いっきり力を籠め、全身全霊を込めて、放った。

「ゴムゴムのぉ―――黄金銃弾(ライフル)ッ!!!」

 

「消えろ、人間ッ!!」

 雷神もまた、黄金三叉槍を握りしめた右拳を繰り出す。

 

 大金塊球付コークスクリュー・エクステンドパンチと黄金三叉槍の刺突。

 超人(パラミシア)雷神(ロギア)。それぞれの一撃が激突する。

 

 瞬間。ルフィの右拳が黒曜石みたく漆黒に染まり、エネルの黄金三叉槍を破砕。そのままエネルの体躯を捉えた。

「ぐぁああああああああああああああああああああああああああああっ!?」

 

 雷光速度に負けぬ激烈な拳速。金塊の大質量。何より不撓不屈の絶対意志の力。

 全てが乗算した一撃はエネルを捉えてなおも止まることなく走り、巨船マクシムの背を引き裂きながら突進。そして、

「届けェっ!!」

 ルフィの雄叫びを連れて高空に佇む黄金の鐘を直撃した。

 

 激突の衝撃で砕け散る金塊球。

 

 黄金の鐘に叩きつけられ吹き飛ぶエネル。

 

 大きく大きく、強く強く打たれた黄金の鐘と鐘楼が島雲から宙へ投げ出され――

 真紅の円環が広がる蒼穹の下、鐘の音を高らかに晴れやかに鳴り響かせる。

 

 まるで歓喜を歌うように。

 まるで祝福を奏でるように。

 400年振りの歌声は大きく広くどこまで響き渡っていく。

 

 あまりにも美しい幻想的な光景。

 あまりにも麗しい幻想的な音色。

 誰もがその光景に息を飲み、誰もがその音色に心奪われる。

 

 ルフィは落下しながら荘厳で壮麗な鐘の音を浴び、太陽のように笑って腹の底から叫ぶ。

「聞こえてるか、ひし形のおっさんッ! 猿達っ!! 黄金郷はここにあったぞっ! 400年間ずっと……黄金郷は、空にあったんだぁあああああっ!!」




Tips

ルフィVSエネル。最終戦。
 雷迎を壊す時のルフィの滞空時間が長過ぎる気もするが、細かいことはどうでもよろしい。

超々巨大ウワバミ/ノラ
 原作でも作中人物達は超々巨大ウワバミの事情を知らない(チョニキが失神中で通訳者がいない)から、なんでウワバミがジャイアント・ジャックに頭突きしたのか、分からない。

ベアトリーゼ
 勝利をプロデュースした気分になってるけど、全ては自分が事態を悪化させたせいだということを無視している。なお、主人公達の大活躍を間近で観戦できて大満足。

 仕込みの下りは物理学的にまず不可能。雰囲気演出です。


雷迎の消滅時に起きたこと。
 超高層雷放電現象として、巨大ジェット現象も円環発光現象も実際に発生するが、連鎖発生はまずありえない。

 過大演出です。
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