彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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烏瑠さん、ニコニコカービィさん、誤字報告ありがとうございます。

作中用語の修正、本編に変更なし(5/4)


153:実験動物はメルヴィユで夢を見る。

 二つの手術台にそれぞれ横たわる裸の乙女。

 患者(レシピエント)は両目と両腕が損壊しており、献体(ドナー)は右腕と下半身がないけれど、顔も髪も肌の色も同じ。睫毛の本数や乳房の曲線まで全て同じ。生き写しそのものだ。

 

 仮面の貴婦人から異様にウェットで異常に熱がこもった視線を覚えながらも、ローは悪魔の実オペオペの実の能力を用いた手術を進めていく。

 

 最初に循環器系と呼吸器系から手を付ける。生命維持系の修復は最優先だ。

 開胸してテキパキと患者の傷んだ左右の肺と心臓を摘出。周辺の臓器や血管、神経系に損傷が無いか注意深くチェックしてから、献体のものと交換。生命維持に直結する臓器だけにわずかな狂いも過誤も許されない。ローは瞬きを忘れて作業に集中する。

 

 交換した心肺が力強く稼働(ビート)する様を確認。異能でバイタルその他をチェック。問題ナシ。

 折れた左肋骨を骨片一つ一つまでつなぎ直し、閉胸。もちろん肌に傷痕は一切残さない。

 

 循環器系と呼吸器系が済んだら、次は背骨。患者を伏臥位に体位変更。

 背中を開き、損傷している背骨――精確には頸椎C7番から腰髄L1番を献体のものと交換。血管と神経、硬膜、周辺の関節や人体や筋肉などと完璧な精度でつなぐ。どういうわけか不足している骨髄液を補うため、取り出した患者の骨髄液を用いた。

 こちらの作業も絶対的な集中力を必要とする。汗が目に入らぬよう助手のイッカクが何度もローの汗を拭う。

 

 背骨の処置が終わり、再び仰臥位へ戻す。次は左腕。

 肘から先は皮膚や筋肉はおろか神経、血管、骨まで熱損している。ローは予定を変更して左腕全体を献体のものと交換。肩口で血管と腱と神経嚢を丁寧に接続する。

 

 ――まるで全身から左腕に向かって巨大なエネルギーが駆けぬけたみてェだな。

 ローは手術を進めながら、ベアトリーゼの顔をちらりと窺う。

 ――……こいつは”なんだ”?

 

 左腕が済んだら、酷く損壊した右腕に取り掛かる。神経、骨、血管、腱、筋肉、皮膚と丁寧につなぎ直して新品同然に修復(レストア)

 作業は大変な集中力と根気を必要としたが、生命維持系と脊髄の相手よりは気が楽だ。

 

 最後に患者の全壊した暗紫色の目を取り除き、眼窩を綺麗に洗浄。検体から取り出した金色の目を移植して接合。顔の傷も当然のように痕を一切残さず縫合して完了。

 

 能力の使用を切り、ローは目を瞑って肩を上下させるほど大きく深呼吸し、言った。

「……終わった。後は経過観察と意識の回復を待っての検査だけだ」

 

 夜明け頃から始まった手術は気づけば、夕方を迎えている。半日以上ぶっ続けの大手術。しかし、手術範囲と作業量は常識的に言って半日で終わったことすら、おかしい。普通なら右腕の修復手術だけでも数回に分けて行われる代物だ。

 

 仮面の貴婦人も讃嘆を禁じ得ない。

「貴方……海賊なんて辞めて開業すべきよ」

 

「褒めるなら素直に褒めてくれ」

 ローが疲れ顔で投げやりに応じ、壁際の椅子に腰かけた。

 

「キャプテン、パないッ! 凄すぎっ! スーパードクターッ!!」助手を務めたイッカクが大はしゃぎ。長丁場の疲労でハイになっているらしい。

「彼女と同じように言えと?」仮面の貴婦人が困った調子で返す。

 

「やっぱり何も言わなくていい……」

 ローは大きく息を吐き、イッカクを先に休ませる。

 

 四角巾(ドレープ)を掛けられたベアトリーゼを一瞥し、ローはモコモコ帽子を脱いで黒髪を掻く。

「手術そのものは完璧だが、予後不良の可能性は否定できねェ。なんたって訳の分からねェものとくっつけたんだからな。だが、死ぬことはねェ。オペオペの実の力で改造したもんは基本的に“完全一体化”する。人間と動物でも、人間と機械でも、拒絶反応や異常反応は起こらねェ」

 

 それに、とローは続けた。

「血浴屋の身体は“頑丈”だ。鍛えたって次元じゃねェ。なんというか、細胞単位で普通と出来が違う感じがする」

 

 仮面の女は何も答えない。ただローの見解を注意深く聞いている。

 フッと息を吐いてローは視線をもう一つの手術台に向け、“部品取り”された献体を見る。

「単純に医者としての興味だが……この献体の身体は俺でも分からねェ異常な変化が生じてる。それを外科的アプローチで正常な方向へ修整し、調整(チューニング)してある。極めて精密かつ精微に。通常の外科手術じゃ絶対に出来ねェ」

 

 モコモコ帽子を被り直し、ローは仮面の貴婦人へ鋭い眼差しを向けた。

「この献体はオペオペの実の力で造られた”芸術”だ」

 

「トラファルガー・ロー。忠告してあげる」

 仮面の貴婦人はおもむろに口を開く。冷ややかに、けれどどこか気遣うように。

「貴方は今、岐路に立っているわ。貴方自身がどんな目的があってグランドラインにやってきたかは知らないけれど、これ以上踏み込むなら、この“物語”から後戻りできない」

 

 学びと教養を修めているローは、“物語”が何を指しているかうっすらと察し、疲れた目を閉じて思案する。

 医者の部分が知的関心を強く訴えていた。知りたい、と。

 が、海賊の部分がより強く叫ぶ。お前には目的があるだろう。絶対に果たさねばならぬ目的が。

 

「……俺には俺の目的がある。あんたと血浴屋の物語とやらに付き合う気はねェ」

 ローは仮面の貴婦人を真っ直ぐ見つめ、

「血浴屋を治療した報酬として一つだけ聞きたい」

「聞くだけなら」

 頷く仮面の貴婦人へ問うた。

 

「Dとはなんだ」

 

 仮面の貴婦人は碧眼をわずかに揺らし、小さく首を横に振る。

「……私から言えることは何もない。本当に知りたいなら茨の道を歩むしかないわ」

 

「だが、道はあるんだな?」

 不敵に口端を曲げるロー。

 その在り方自体が既に“D”である証のようなものだが、仮面の貴婦人は呆れたように小さく息を吐くだけ。

 

      ○

 

 ベアトリーゼはシキの本殿にある医務室へ移され、評価戦隊とモッズの厳重警備の下に置かれた。オペオペの実の能力者による大手術を受けた蛮姫は、清潔なベッドで安らかな寝息を立てている。

 ステューシーはベアトリーゼの乱れた髪に手櫛を通し、ドクター・インディゴとのやり取りを振り返った。

 

 ※ ※ ※

 

 夜色の髪。小麦色の肌。アンニュイな細面。

 不活性剤で満たされたガラスケースの中で佇む人造人間の乙女は、金色の瞳以外全てが血浴のベアトリーゼと酷似している。

 

 股間を踏みつけられているインディゴが苦悶顔で語った。

「そのヒューロンは間違いなくソナン兄妹討伐作戦時に運用された“オリジナル”。それも、ソナン兄妹が世界政府加盟国クサンテから誘拐した姫君を母体とする逸品だ」

 

 クサンテ。ヴィンデ系統の混血子女を“降嫁”させ、加盟国入りさせた国だ。

 青色ピエロの言葉とヒューロンの容貌。間違いない。このヒューロンはフランマリオンが超人類研究に用いていたヴィンデ・シリーズが元になっている。

 

 つまり、天竜人の血を持つ人造人間。

 ただでさえ厄ネタのヒューロンが、超特級呪物の如き厄ネタにバージョンアップ。イラッとしたステューシーはインディゴの股間をさらに強く踏みつける。鋭いヒールが陰嚢にめり込んでいく。

「証拠は?」

「ギャアアア、潰れる潰れるっ! ひっ左の上腕を見ろっ! ソナン兄妹は製造ナンバーを入れていたっ! それが証拠だっ!!」

 

 ステューシーは油断なくガラスケース内に浮かぶベアトリーゼ似のヒューロンを窺う。

 確かに“鍵”のマークと数字が左腕に焼き印されている。諜報員ではなく歓楽街の女王として、見覚えがあった。

「これは……“ムスターの鍵”? なぜヒューロンにムスターの社章が……?」

 

 グランドライン後半“新世界”にある総合企業ムスター社。

 ステューシーも歓楽街の女王として幾度か取引したことがあるし、政府や海軍、加盟国の事業を請け負っている。政府の監査やサイファー・ポールの内部調査でも真っ当な企業と見做されている。

 

 ピロピロピロ、と股間を踏まれた道化が嘲笑をこぼした。

「そのマークは“鍵”じゃねェ。ソナン兄妹の兄イタルが愛用していた杖のマークだ。ムスターはソナン兄妹の残党が起こした企業で、ムスターの社章はソナン兄妹のマークを模してンだよ」

 

「……なんですって?」

 インディゴは股間の痛みに脂汗を流しながら、

「討伐作戦を生き延びた残党達は素性を隠して真っ当な商売を始めた。表向きはな。だが、裏じゃあ兄妹の“遺産”を研究していた。この“オリジナル”ヒューロンは遺産の一つだ」

 

 にたりと悪意を湛え、

「お前は真っ当な会社だと言ったが、違う。ムスターは“真っ当になった”んだ。シキの大親分がロジャーのクソとエッド・ウォーで戦った前の年。26年前。お前ら政府はムスターに内調を試みたそうだ。ところが、ムスターはマヌケな政府の動向を察して先手を打ち、代々抱えてきた“遺産”と遺産に関わる人間その他を、綺麗に切り捨てちまったんだとよ」

 

 ピロピロと喉を鳴らす。

「隠すンじゃなくて切り捨てるってところが、こんな世界で成功してる企業らしいよなぁ。もっとも、どんな組織にも意地汚ェ奴ぁ居るもんだ。処分すべきものを横流しして小遣い稼ぎを企てるような奴がな。おかげで俺は貴重な標本と資料を入手し、愉快な話を聞けたってわけだ」

 

 ひとしきり嗤った青色の道化は小さく息を吐き、ガラスケース内に浮かぶヒューロンの乙女を見つめる。

「ムスターの連中はヒューロンの複製と量産を試みていたらしい。だが、ベガパンクの血統因子ベースの培養複製技術が開発されたのは約20年前。血浴の存在が示す通り、ムスターの複製方法はクローニングじゃねェ」

 

 この先は悪魔の所業を聞くことになる。ステューシーは分かっていたが、踏み込んだ。

「ならどうやったの」

 

「骨髄を移植したンだとさ。骨髄を移植すると、被移植者(レシピエント)の血液は献体者(ドナー)の血液に置換変化される。つまり、血液単位では献体者と同一になる。俺が行った確認実験では最終的に血統因子も完全に置換変化することが判明してる。分かるか? 被移植者は自我や肉体に変化がなくとも、血統因子学的には献体者のコピーとなるわけだ。いやまったく、こんな方法をよく見つけたもんだ」

 インディゴはしみじみと呟き、言った。

「ムスターはそうして骨髄移植を行った試験体同士で交配させ、オリジンの複製を試みたようだ。もっとも、そのほとんどは失敗に終わったみてェだがな」

 

「失敗」ステューシーが相槌を打つように繰り返せば。

「血統因子学的にヒューロンと同一でも、被移植者本来の因子が強く現れることがほとんどだったそうだ。容貌的特徴がオリジンと同じでもヒューロンとして不完全だったり、ヒューロンとして特性が高くても先天性疾患を負っていたりと、とにかく上手くいかなかったらしい」

 

 失敗と見做された者達はどうなったか。幸せな人生を送った、というオチだけはあるまい。

「彼女も……血浴のベアトリーゼも実験で生み出された一人だと?」

 

「そこははっきりしねェ。俺が手に入れた資料にゃあ少なくとも、血浴と一致する年齢の実験体はいなかった。考え得る可能性は件の処分で廃棄された実験体が妊娠してたんだろう。その妊娠してた実験体は始末されず、手癖の悪い奴に人買い屋へ売り飛ばされた。で、出産。そんなところか」

 ふんと憎々しげに鼻を鳴らし、インディゴはこの場に居ないベアトリーゼを罵るように言葉を編み続ける。

「血浴とオリジンの外見的類似と差異、ヒューロン因子を持ちながらヒューロン特性が見られなかったあたり……血浴は“失敗作”だ」

 

 ――なんてこと。

 道化の語る“物語”に、万事冷静沈着なステューシーをして動揺を抑えきれなかった。

 

 ※ ※ ※

 

 手術を監視しながら、ステューシーはインディゴの推論の可否を検討する。

 

 新世界から人買い屋を通じ、西の海の箱庭へ。

 非常に難しいが、不可能ではない。西の海はグランドライン“新世界”と接していて、海楼石装備の自走船舶なら、カームベルトを越えることも易い。

 そして、フランマリオンの“箱庭”は確かに周囲と隔絶されているけれど、維持のため外と物資と“新しい血”のやり取りがある。

 

 ベアトリーゼは現25歳。母親が26年前に妊娠して箱庭で出産したなら、時間的辻褄も合う……

 全ての情報が事実だとするなら――

 

 ベアトリーゼは天竜人フランマリオンの実験動物ヴィンデ・シリーズの子孫であり、世界政府に挑んだ凶徒ソナン兄妹の残党が作り出したヒューロン複製実験の試験体。

 

 ――ああ。

 ゾクゾクッと背筋に走る電気を感じながら、ステューシーはベッドに横たわる小麦肌の娘をじっと見つめた。

 この子は本当に私と“同じ”なのね。

 

 男女の愛憎でも、なにかの目的や使命を果たすためでもなく、技術検証のためだけに造られた命。ジェルマの複製兵のような家畜共とも、フランマリオンや“抗う者達”の人形共とも違う。

 真の同胞。

 

 ステューシーは眠り姫のように穏やかに寝息を立てているベアトリーゼの頬を撫で、柔らかく碧眼を細めた。

 どこかウェットな熱を湛えて。

 

       ○

 

 墨汁をぶちまけたような星のない夜空。異様に大きな血の色の満月が照らす錆色の荒野。

 乾ききった砂は鉄の味がする。

 

 そんな夜の荒野を彷徨う小さな獣。

 何を飲んでも渇きは癒えず、何を食しても飢えは満たされず、みすぼらしい衣を引きずりながら、這いずり回る。

 孤独感に苛まれ、寂寥感に苦しみ、泣くことも忘れ、血の味がする砂埃に塗れながら、徘徊し続ける。

 

 残酷な荒涼の地を巡り、無慈悲な荒漠の野を惑い、無数の屍を踏み越え、無数の亡骸を登り越え、哀れで惨めな獣は影に出会う。

 

 闇色の戦闘装具をまとった夜色髪に金眼を持つ小麦肌の女。

 

 女は満月のような瞳に獣を映す。

 温もりも優しさもない氷のような眼差し。

 

 獣は女に近づき。

 そして――――

 

 ・・・

 

 ・・

 

 ・

 

 ベアトリーゼは目を覚ます。

 なぜか目元が濡れており、生活習慣的に拭って気づく。

 潰されたはずの目玉が見慣れぬ木目天井をしっかり映している。砕けた右腕も無茶をやって熱損した左腕も傷一つないときた。

 

 これはいったい。

 

 ベッドの周囲はカーテンで覆われ、採光窓から陽が注ぐ。病室らしい。

 本能的に見聞色の覇気を巡らせ、周囲を探る。

 

 海に佇むメルヴィユ。半壊した金獅子海賊団の本拠点。くまが更地にした湖港には海軍船に挟まれるように黄色い潜水艦が接舷停泊している。

 室内には幾人かの負傷者。海軍の軍医と衛生兵。部屋の出入り口には金魚鉢頭の兵士とモッズが警備に当たっていた。

 

 採光窓に映る自分の顔を見て、遅まきながらに違和感を抱く。

 傷一つないアンニュイな細面にある双眸が、満月みたいな金色に変わっていた。

 

 どういうこったい。

 

 

 ベアトリーゼの疑問は、見舞いにやってきたステューシーが解いた。

 偶然、作戦海域に居合わせたオペオペの実の能力者に“協力”してもらい、失明した両目と酷く損壊した左腕、脊椎と一部臓器を移植治療したと。

 

「マジか。寝てる間に改造されたん? ヤベェ」

 まじまじと左腕を窺い、次いでペタペタと顔を撫で回すベアトリーゼ。反応が軽い。

「もう少し深刻に受け止めて?」ステューシー、困惑。

 

「いや、現実味が無さ過ぎてなんとも。ちょっと鏡貸して」ベアトリーゼはステューシーから手鏡を借りて「うわー……マジで目の色が全然違うんだけど。違和感半端ねェ。なんか心なしか前よりよく見えるような……」

 瞼を指で広げて瞳をじっくりねっとり見回しながら、問いを重ねる。

「で? 私を救ってくれたドナーはどこの誰さん?」

 

 ステューシーは大きく深呼吸し、どこか不安そうに教える。

「ヒューロンのサンプルよ」

 

 ベアトリーゼは金色の目をパチクリさせた後、手鏡を置いて小さく何度も頷き、天井を見上げてぼやいた。

「あー……そうきたかぁ。そうきましたかぁ」

「もっと真剣に受け止めて?」ステューシー、当惑。

 

「そー言われましても」ベアトリーゼはボサボサの夜色ショートヘアを掻きまわしながら自嘲的に「や、現実逃避してるわけじゃなくね、まぁなるようにしかならんなと」

 流石に呆れるステューシー。この子、鉄か何かで出来てるのかしら。

「……それと、貴女のルーツについて少しわかったことがあるの」

 

 先ほど以上にどこか緊張した様子で切り出したステューシーの様子を窺い、ベアトリーゼは、首を横に振る。

「その話は少し待って。私はどれくらい寝てた?」

「? 作戦当日から丸二日よ」

 

「二日」ベアトリーゼはどこか浮ついた気分のまま思案する。

 麦わらの一味は、ロビンはウォーターセブンに着いた頃か? クソ。間に合わねェっぽいな。

 自分の目や両腕やヒューロンとか、生活や戦闘に支障が無ければどうでも良い。親友の方が大事だ。

 どうしたもんか。

 

 ベアトリーゼが難しい顔をこさえた直後(ステューシーはようやく真面目に現状を認識したのだと誤解した)。

 不意に空っぽの腹が詰まった下水管みたいな音を奏でた。

「とりあえず……小難しい話の前にご飯食べさせてくれる?」

 

 しれっと要求するベアトリーゼに、ステューシーは思わず眉間を揉んだ。

「食事の前に主治医の診察を受けてもらうわ」




Tips
トラファルガー・ロー
 原作キャラ。オペオペの実の能力者。
 済し崩し的に瀕死のベアトリーゼを治療した。
 原作本編ではオペオペの実による具体的な治療シーンは少ない。

ステューシー
 原作キャラ。いまだ精確な素性が謎の人。
 ベガパンク&くまとの会話で、自分が人間ではないと認識している向きがある。

イッカク
 原作キャラ。ハートの海賊団の紅一点。
 本作では救急救命士や看護師的立ち位置にしてみた。

クサンテ
 オリ設定。
 元ネタは銃夢:火星戦記に登場する国。本作では世界政府加盟国。

ムスター社。
 オリ設定。
 元ネタは銃夢:火星戦記に登場するバロン・ムスター由来。
 バロン・ムスターは闇堕ちしたイタル・ソナンが名乗った偽名。事実上、個人でシドニア大公国を滅ぼした。
 ムスターの死後、側近がムスターに扮装して組織を維持していた。

骨髄移植
 骨髄移植によるクローン製造なんて出来ない。
 ただし、骨髄移植により、患者の血液型とDNAが提供者側の血液型とDNAへ置換変化することが、確かにある。
 よって、ワンピ世界で言う血統因子を置き換えることは、確かに可能。


『砂ぼうず』においても、『銃夢』においても、夢は自己の再認識を行う重大イベント。

ベアトリーゼ
 オリ主。
 改造手術を受けたが、実感がないので反応がいい加減。
 自分のことよりロビンの方が大事
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