彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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遅くなって申し訳ありません。難産でした・・・
トマス二世さん、烏瑠さん、佐藤東沙さん、誤字報告ありがとうございます。


164:嵐の夜のスパイゲーム

 嵐の迫る曇天の下、赤線区某所の屋上にて。

 

「奴らはロビンを捕え、私達へ濡れ衣を着せることに成功した。次はアイスバーグ氏から強引に設計図を奪取し、彼を殺すだろう」

 麦わらの一味が表情を強張らせる中、ベアトリーゼは剣呑な内容に反し、穏やかな口調で説明を続けた。

「奴らの作戦の要諦は『麦わらの一味による凶行』であること。設計図の奪取に成功しても、政府の暗殺部隊の存在が露見しては台無しになる。口封じのためアイスバーグ氏を始末する必要があるんだ」

 

 ふむふむと頷く面々。ルフィもきちんと話を聞いている。

 ベアトリーゼは煉瓦片を弄りながら、言った。

「奴らにとって最大の障害が私だ。だから、私を蚊帳の外へ置くべく小細工を仕掛けてくる」

 

「小細工?」チョッパーがつぶらな瞳を瞬かせた。

「作戦の開始前にロビンの居場所を匂わせ、誘い出しにかかる。おそらくこの島の地下へ」

 満月色の瞳を町へ向け、ベアトリーゼはどこか他人事のように言葉を編む。

「この街の地下は排水路や埋め立てによって迷宮となってる。アクア・ラグナと相まって海水を流し込める。能力者の私を閉じ込めて始末し易い場所だ。当然警戒するけれど、罠だとしてもロビンがそこに居る可能性がある以上、私は行くしかない」

 

 原作通りに敵がCP9だけなら、ドアドアの実による空間跳躍移動が出来るブルーノを先んじて潰してしまえば、奴らの計画や対応を大きく狂わせられた。

 が、自分という異物の影響でCP9側にも助っ人が居る。しかも、ベアトリーゼの見聞色の覇気に対抗し得るほどの手練れが。

 

 ベアトリーゼは覇王色の覇気をまったく使えないものの、武装色と見聞色の熟練者だ。並の覇気使い相手なら探知されることなく見聞色の覇気を展開できる。そんなベアトリーゼに対抗できる覇気使いが居るとなれば、CP9を直接狙う強硬策は難しい。

 

「じゃあ……どうするの?」

 ナミの疑問にベアトリーゼがさらっと答えた。

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 ※ ※ ※

 時計の針を数時間ほど戻す。

 ベアトリーゼは元事務員ビーとしてガレーラカンパニーに赴き、元雇用主アイスバーグに面会し、悪企みを持ちかけていた。

「ボス。どうです? 正義を宣う政府の犬共に、吠え面を掻かせてやりませんか?」

 アイスバーグは体の痛みを堪えるように口元を歪め、頷く。

「言ってみろ」

 

 元雇用主の了承を受け、元事務員の女賞金首は静かに切り出した。

「犬共はガレーラ内部に潜り込んでいます。政府が設計図のことを嗅ぎつけたのも、その犬共がリークしたからでしょう。表から圧力をかけ、貴方が隙を見せる時を窺っていた」

 

「身内を疑いたかねェが……それが一番あり得る話だな」

 不快感を露わにしつつも、アイスバーグは冷静に『裏切り者』の存在を受け止めた。

 

 頭脳明晰なアイスバーグは“社内に鼠が居て当然”と理解している。そもそもウォーターセブンは海列車で構築された経済圏の中核的産業都市で、ガレーラカンパニーは世界最大の造船会社。自分自身はその市長兼社長。プルトンのことを抜きにしても、利権、金、技術、情報を求めて様々な鼠が潜入を図るだろうし、その全てを防ぐことはできない。

 

「目星はついているのか?」

「“いいえ”。けれど、ガレーラの中枢(トップテーブル)に近い人間でしょう」

 ベアトリーゼはごく自然に首を横に振った。原作知識から潜入者が誰かは知っている。が、ここでその情報を明かすことに意味はない。

 

「犬共はあくまで貴方の命を狙うはず。強硬策に切り替えた理由は定かではありませんが、暗殺未遂の一件でスケープゴートの用意は完了しました。次は本気で来ます」

「随分と嫌われたもんだ」アイスバーグは自嘲的な溜息をこぼす。

 

「プルトンの設計図を素直に差し出していたとしても、貴方の口封じはオプションから消えていなかったでしょう」

 腰を上げ、ベアトリーゼは窓際に立つ。一番ドックの辺りからもうもうと粉塵が立ち昇っている。ルフィとフランキー、職長達の戦闘が続いていた。

「なにせ貴方は世界屈指の超一流造船技師だ。設計図の内容を完全に記憶している可能性もありますし、設計図を複製している可能性も消えない。それに、プルトンの設計図を知っていることで、より高性能な兵器や対抗手段を生み出すかもしれない。古代の超兵器を独占したいバカ共にとって、貴方自身が脅威です」

 

「ンマ~……誤解も甚だしい。俺は市長に社長に忙しいんだ。兵器なんぞにかかずらってる暇なんざねェ」

 アイスバーグは鬱陶しそうに鼻を鳴らし、ベアトリーゼの背に試問する。

「どう動く?」

 

 ベアトリーゼは肩越しにアイスバーグを窺い、告げた。

「奴らはボスに死んでもらいたいようですから、望みを叶えてやりましょう。それも、奴らが一番“困る”タイミングで」

 

 頭脳明晰なアイスバーグはベアトリーゼの意図を即座に察し、にやりと口端を歪める。

「遺言書を用意した方がよさそうだな」

 ※ ※ ※

 

「まぁ、本当に死んでもらうわけじゃないけどね」

「ど、どういうことだってばよ?」ルフィが呆気に取られている面々を代表して問う。

 ベアトリーゼは艶めかしい唇を三日月のように曲げた。

「私がもう一度アイスバーグ氏の許を訪ねて、設計図かもしれない書類を受け取って立ち去り、その後、奴らが作戦を開始したところでアイスバーグ氏の容態が急変して死亡……となったら、連中の顔はさぞや見ものだろうな」

 

「底意地悪ィなぁ……」

「インボーだ。ベアトリーゼはインボー家だ」

「腹黒にも程があるだろ」

 まさに悪企みといった謀を聞かされ、ルフィとチョッパーはドン引きし、ゾロはベアトリーゼの腹黒振りに顔を大きくしかめた。

 野郎共よりベアトリーゼをよく知るナミは『これ、悪知恵を巡らせた末に滅茶苦茶な事態になる流れでは?』といやーな予感を覚える。

「あんたに狙いを定めるでしょうけど……どうやってアイスバーグさんの死を偽装するの?」

 

「幸い、ここには製薬に通暁した名医が居る」

「おれっ?!」

 金色の瞳に捉えられた船医が悲鳴染みた吃驚を挙げる。

 

「一時的な仮死状態に陥る薬品の一つや二つ作れるだろ、ドクトル・チョッパー。出来ないとは言わせないぞ」

「そ、それはもちろん作れるけど……そんな危ない薬、調合したこと無いぞ。万が一があるかも……」

 チョッパーは物凄く不安そうに応じるも、ベアトリーゼは気にも留めない。

「その保険も兼ねて、君達は奴らがアイスバーグ氏を狙って動き出した辺りで本社に乗り込め。奴らを撃退してアイスバーグ氏を守り、仮死状態から蘇生させろ。それで濡れ衣も晴らせるはずだ」

 

 ベアトリーゼは少年少女とトナカイを順番にゆっくりと見回していく。

「簡単じゃないぞ。相手は諜報機関の闘犬共だ。それに、奴らの作戦開始までに事件の誤解を解くことも難しい以上、職人達も君達を阻む」

 緊張するチョッパー。静かに戦意を昂らせるゾロ。

 

「それでも、君達がアイスバーグ氏を守ることで、濡れ衣を晴らせるし、彼を助ければ、彼が造るだろう君らの新しい船も守れる。つまり、彼を助けることは君らの夢を守ることに繋がる。気張れよ」

 大きく頷くルフィ。

 

「細かいことは君らに任せる。ド派手に暴れても良し、スマートに侵入しても良し。上手くやってちょーだいな」

 砕けた調子で語られた言葉に、ナミはルフィとゾロを横目にして思う。スマートに侵入……無理ね。絶対無理。

 

「ロビンはどうすんだ? リーゼだけで助けるってことか?」

 ルフィが心配顔で疑問を呈す。

「そこは状況次第だね。何も無理にロビンを探し出す必要はないから」

 

『?』と目瞬かせる面々に、ベアトリーゼは手の中で煉瓦片を弄りつつ、顔を海列車の駅がある方角へ向けた。

「奴らは作戦完遂後、速やかに街から逃亡せざるを得ない。そして、町にはこれからアクア・ラグナが到来する。船では出られない」

 

「分かった! 海列車だなっ!」

 手を挙げて指摘するチョッパーに、ベアトリーゼは柔らかく微笑む。

「正解。政府の特別運行車エニエスロビー行き。奴らは必ず駅へ現れる」

 

「でも、あんたとロビンは能力者よ? もしも駅でロビンを助けられなかったら? 列車が海上に出たらどうするの? 潜水服もトビウオもないんでしょう?」

 海は能力者の絶対的な弱点。

「その時は押っ取り刀でエニエスロビーに乗り込む」

 ナミの告げた不安要素に対し、ベアトリーゼは晩飯の献立を述べるような調子で、言った。

 

「“マーケット”で青雉とつるの精鋭部隊とやり合った時に比べたら、どうってことない。むしろ、ここで戦うより気楽だよ」

 エニエスロビーなら付帯損害を一切気にせず暴れられる。場合によっては、原作通りにバスターコールを呼び込めるかもしれない。

 

 まぁ、なんにせよ。

 ベアトリーゼは煉瓦片を強く握って砕く。

「連中の企みを台無しにしてやろうじゃないか」

 

      ○

 

 ウソップは街の騒ぎを余所に資材と食い物を調達し、メリー号の修理を始めていた。

「待ってろ、メリー。きっちり直してやっからな。またすぐに航海できるぞ。大丈夫。大丈夫だ」

 ゴーイングメリー号は何も答えない。

 船首飾の羊頭が寂しげに曇天の海を見つめている。

 

 裏町の岬で切ない物語が進んでいる頃。

「ビーが島に来てるのかっ?!」

 噂はたちまちガレーラと街に広まっていく。

 

 ガレーラカンパニーが創設間もない頃にたった二年だけ在籍した女事務員は、今も職人達と島民達の記憶に残っていた。

 職長達に優るとも劣らぬ腕っぷしの強さ。はすっぱな物言いと態度とは裏腹に丁寧で抜かりのない仕事振り。その食道楽家振りは今なおウォーターセブン中の飲食店で語り草だ。

 

「で、ビーは今どこに?」

「一旦、宿に戻るって言ってたぜ。また顔を出すってよ」

「ビーが居りゃあ百人力だ。海賊なんざイチコロだぜ」

 とまあ、職人達や島民達が血気盛んに語らう中、街は日暮れ時を迎えた。アクア・ラグナが迫っているため、水平線に沈む夕陽を見ることは叶わない。

 

 職人達は捜索を切り上げてガレーラカンパニー本社の護りを固めていく。思い思いの得物を手に社屋内外の警備につき、腕っこきの職長達がコンドミニアムの正面玄関前に陣取った。

 湿気の濃い南風が吹き荒れ、太陽と月が交差する間際。

 

 その女はやってきた。

「ビーッ! 久し振りだなあっ!」「変わんねェなあ! 元気にしてたのかっ!?」

 旧知の職人達が笑顔を寄こす長身の小麦肌美女は、元ガレーラカンパニー事務員ビー。だった血浴のベアトリーゼだが、人の好い職人達が気づくことはない。

 

 午前中に訪れた時と違い、ベアトリーゼはタイトなジャケットのインナーをカットソーから胸元が広く開いたシャツに変えていた。

 何故って?

 こいつをからかうためだ。

 

「おお。本当にビーじゃねえかっ! 久し振り……って、なんだその服はぁ!! 胸を隠せ胸をーっ! ブブブ、ブラジャーが見えてるじゃねーかっ! はしたねェんだよーっ!!」

 職長に出世したパウリーが顔を赤くして喚く。期待通りである。

 

「オメーは未だに女慣れしてねーのか。職長になったんだろ? 妾の一人や二人囲えよ」

「余計なお世話だっ!!」

 顔を赤くしたまま吠えるパウリーを放置し、ベアトリーゼは長っ鼻とハト男に顔を向けた。

「よっ! カクにルッチ。2人も職長に出世したんだって? まったく。どいつもこいつも五年目の連中にさくっと抜かれてだらしねェなぁ」

 

「久しぶりに会ったのに御挨拶じゃのう。そこは素直に褒めてくれ」と苦笑いのカク。

『またその毒舌を聞けて嬉しいぞ、ビーポッポー』とハトの腹話術を披露するルッチ。

「ビーポッポーはやめろ。ガキ共が聞いたら真似しだすだろーが」

 ははは~。

 

 カクもルッチもベアトリーゼも、古今の名優達に優るとも劣らぬ演者振りを発揮し、内心を一切窺わせない。確信的に偽り、騙り、欺くというある種の病質性。

 社会病質者達は完璧に本心を隠して笑顔を向け合う。

 

「ビーさん。アイスバーグさんがお呼びです」

 コンドミニアムの扉が開き、カリファが声をかけてきた。

「りょーかい。あ、そうだ。カリファ」

 元事務員に扮するベアトリーゼはコンドミニアムの室内に進みながら、カリファへにんまりと微笑みかける。

「この件が片付いたら、食い歩きしよーぜ。昔みたく」

 

「えっ!? え、ええ。そ、そうですね」

 体重計の数字に悩んだ日々を思い出し、カリファは思わず口元を引きつらせた。

 

        ○

 

 諜報機関とお尋ね者達のコンゲームが火蓋を切った頃。

 舞台袖にいた変態が動き出す。

 

「ぬぁーっ! むしゃくしゃしてきたぁ――――――――っ!!」

 ブルーノの店のカウンターテーブルをぶち壊し、不機嫌極まるフランキーは店を出ていった。慌ててキウイとモズのスクエアシスターズが後を追う。

「どこだぁっ! 麦わらぁっ!!」

 

 虫の居所が悪いフランキーは麦わらのルフィを探し、避難が進んで人気の絶えた街を練り歩く。何やら妙に荒れている兄貴分にキウイとモズの2人は訝りつつも、後に続く。

 

 フランキーの胸中を察せられる者は、おそらくココロ婆さん唯一人で、飲んだくれのココロ婆さんは察したことを他言したりしない。

 そして、フランキーは子分達と合流し、裏町の岬に停泊している麦わらの一味の船と長っ鼻の情報を得た。

 

 となれば、悪漢の如く振る舞うフランキーのやることは一つ。

「おう、オメェら。『長っ鼻は預かった。沈められたくなけりゃあ橋の下の倉庫に来い。フランキーより』って叫びながら街を練り歩け。俺ぁこれから言った通りにする……っ!!」

 

 フランキーはまだ知らない。

 この街で起きている陰謀を。

 

       ○

 

 やってくれる。

 ルッチは革鞄を手に社屋を出ていった元社員ビーこと血浴のベアトリーゼを思い返し、内心に強い不快感を抱いていた。

 

 ベアトリーゼはアイスバーグと面会後、鍵付きの革鞄を預かって出てきた。

『騒ぎが収まるまで預かってろってさ』

 

 アレがプルトンの設計図である可能性はそう高くない。アイスバーグがベアトリーゼ、いやビーを信頼しているとしても、代々技術者に受け継がれてきた設計図を委ねるとは思えない。

 しかし……可能性が1パーセントでも存在する以上は完全に無視も出来ない。

 

 間違いない。ベアトリーゼとアイスバーグは手を組んでいる。

 おそらくベアトリーゼはニコ・ロビンが捕縛されたことと暗殺未遂で、俺達(サイファー・ポール)の関与を看破した。俺達の目的がプルトンの設計図であることも把握している。

 

 だが、まだ俺達がエージェントであることに“気づいていない”。だからこそ、諜報戦でカウンターを打ってきた。あの革鞄で俺達を釣りあげるつもりだ。

 

 ――甘いな。

 ルッチは内心でせせら笑う。

 そんなことはアイスバーグに直接、真偽を質せば済むことだ。

 多少修正は必要だが……計画に変更はない。

 

 ルッチは帽子を被り直した。

 時計の針はもうじき9時を回る。

 作戦開始まであとわずか。

 

       ○

 

 ガレーラカンパニー本社敷地内のあちこちで爆発が生じ、曇天の夜空に黒煙が立ち昇っていく。

 本社を窺える建物の屋上に潜む麦わらの一味の面々は、政府諜報機関による暗殺作戦が始まったことを察し、顔を強張らせる。

 

「ベアトリーゼの読み通りだな」

「よしっ! 行くぞっ!」

 ゾロの呟きを号令代わりに、ルフィが本社目がけて飛び出そうとした、間際。

 

「待ってっ!!」

 ナミがルフィの襟首を引っ掴んで急制止。みょーんと首が伸びてしまったルフィがナミに食って掛かる。

「なんだよ、ナミッ!? アイスのおっさんがあぶねェんだぞっ!」

 

「だからこそよっ!」ナミはルフィに怒鳴り返して「突っ込むならゾロも連れてってっ!」

「俺も?」「ゾロも?」

 訝るゾロとルフィへ、

 

「相手は政府お抱えの殺し屋達なのよ? ルフィ一人じゃ手が足りないかもしれない。それと」

「それと?」

 先を促すルフィへ、ナミは言った。容赦なく。

「ゾロを迷子にしないためよっ!」

 

「なるかっ! 目と鼻の先だぞっ!!」

 不当評価だとゾロが強く抗議するも、

「ナミの言う通りだ。ゾロだけじゃ絶対に辿りつけねェ」「アラバスタでも空島でも迷ってたもんな!」

 ルフィもチョッパーも深く頷いていた。

 

 船長と船医の発言にゾロが思わず反論に詰まった間隙に、航海士が畳みかける。

「とにかくっ! あんた達は先にアイスバーグさんの許へ行って! あんた達が騒ぎを起こしてから、私とチョッパーが人目を避けて潜り込む!」

 

「仕方」「行くぞぉゾロ――ッ!」

 渋面を浮かべたゾロは了承の言葉を最後まで言えなかった。ルフィがゾロを抱え、ばびょんと勢いよく飛び出したから。

「うぉおおおおおおおおおあああああああああああああっ?!」

 ゾロの悲鳴が南風(カロック)の吹き荒れる夜空に響く。

 

「これでよし。あの二人に掛かれば、スパイ達の計画なんてめっちゃくっちゃになるわ!」

 勝利を確信したような笑顔を浮かべるナミへ、雰囲気に当てられて士気旺盛なチョッパーがぶんぶんと両手を振る。

「俺達も急ごう!」

 

「慌てないの」ナミはチョッパーを宥めるように「私達の役割はあの二人が騒ぎを起こしてからのフォローなんだから。慎重に動くのよ」

「そうなのか! ナミは頭良いなっ!」

 素直にナミの聡明さを讃え、チョッパーはベアトリーゼが消えた夜の街並みに目を移す。

「ベアトリーゼは上手くやれるかな?」

 

「大丈夫よ」

 ナミは断言した。チョッパーの目線を追い、夜の街を見つめる。

「だって、あいつは友達のために世界を敵に回せる女だもの」




Tips

CP9:麦わらの一味とロビンとベアトリーゼに罪を着せつつ、アイスバーグを再襲撃してプルトンの設計図の在処をはっきりさせるつもり。

ベアトリーゼ:原作知識を基にCP9のカウンターパートを担う。
 対抗プラン。
 1:アイスバーグから設計図”かもしれない”ものを受け取る。
 2:CP9が襲撃に動いたところで、チョッパー謹製仮死薬でアイスバーグを偽装死させる。
 3:手がかりを失くしたCP9を自分に食いつかせ、ロビンを取り返す予定。
 エニエスロビー編? もはや頭にない。

麦わらの一味。
 ベアトリーゼの腹黒さと悪知恵にドン引き。

アイスバーグ。
 CP9をハメる策に乗る。
 危険は大きいが、原作同様に弟弟子と設計図を守るため、彼はそのリスクを恐れない。

フランキー。
 ベアトリーゼと未だ関わりがないため、原作通りに動いている。
 
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