彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
エネル戦の時以上に御意見を頂いています。
今回の御指摘の多くは、現状のオリ主は原作ネームドを殺せない、オリキャラしか倒せない――以上の点が目立ちすぎる、創作的事情が見えてしまう、といったものでした。
ひとえに私のストーリー構成の不備と文章力不足が原因です。読者の皆さんにストレスを感じさせてしまい、申し訳ない。
皆さんにお楽しみいただけるよう、精進を重ねていく所存です。
このように拙い本作ですが、よろしければ今後もお付き合いください。
最後に、佐藤東沙さん、nullpointさん、誤字報告ありがとうございます。
燃え盛るガレーラカンパニー本社社屋から、傷だらけの小柄なトナカイが飛び出してきて、消火と負傷者の救助活動に奔走していた職人達がどよめく。
おまけに、青鼻のトナカイは背中に重傷のアイスバーグとパウリーとオレンジ髪の美少女を担いでいたから、職人達の驚きは一層大きくなった。
とどめに、青鼻トナカイが突然、チビタヌキに変身したもんだから、驚愕で声も出ない。
しかもチビタヌキは自身の負傷と当惑中の周囲を無視し、
「……重大な外傷無し、呼吸と脈拍に異常無し。よかった、気を失ってるだけだ!」
美少女の状態を人間の言葉で声出し確認した。もう意味が分からない。
とにかく、チビタヌキは美少女が気を失っているだけであることに安堵。次いで、すぐさまアイスバーグの容態を調べ、バッグからテキパキと包帯やら薬品やら取り出し、素早く銃創の止血を始めていく。
下手な医者より慣れた手つきのチビタヌキに、周囲の職人達は唖然茫然。どうしたら良いのか反応に困る。
そうして、職人達が手をこまねいているうちに、チビタヌキは注射器を取り出してアイスバーグに薬品を打った。
ここに至り、職人達は我に返る。
「あ、アイスバーグさんに何を―――ッ!?」
もはや一周遅れだが、職人達が慌ててチビタヌキを取り押さえようした時、
「―――ガハッ!!」
アイスバーグが息を吹き返し、大きく咳き込んだ。
「!! アイスバーグさんッ!! 良かった! アイスバーグさんが意識を取り戻したっ!!」
職人達は敬慕する棟梁が無事だと分かり、大歓声を上げた。
「! この女も目ェ覚ましたぞ!!」
アイスバーグはしばらく咳き込んだ後、周囲を見回し、燃え盛る本社社屋を見上げ、負傷したパウリーの手当てをするチビタヌキに小首を傾げ、職人達が扱いに困っているオレンジ髪の美少女――たしか麦わらの一味の船員――を捉え、頷く。
「ンマー……テメェら。少し離れてろ。そいつらと話がしてェ」
職人達は素直にアイスバーグの命令に従い、遠巻きに様子を窺うか消火活動へ向かっていく。
「まずは礼を言う。テメェらのおかげで命拾いした。ありがとう」
アイスバーグが深々と頭を下げると、オレンジ髪の美少女とチビトナカイは大きく戸惑った。立派な大人に頭を下げられることに免疫がないらしい。
「お礼なんて……私達は襲撃を防ぎきれなかったのに」
「いや。妙な濡れ衣を着せちまったのに、こうして乗り込んできてくれた。誤解は後で俺が解いておく。それでな、教えてくれ」
ふう、と大きく息を吐き、アイスバーグは本題へ入る。
「政府のスパイは誰だった? 俺が意識を失っている間、テメェらは見たはずだ」
美少女はチビトナカイと顔を見合わせた後、おもむろに告げた。
「……まずここの職長が2人。ハトの男と長鼻の男」
「ルッチとカクか」アイスバーグは眉間に深い皺を刻む。
「それに、秘書の女」
「カリファ」アイスバーグは瞑目した。
「あと、角頭の大男がブルーノって呼ばれたぞ」とチビタヌキが言った。
「酒場のマスターだ。ウチの職人達も多く利用している」
アイスバーグは深々と嘆息し、自嘲的に呟く。
「ビーの言う通りだったか。俺の目は節穴だな」
「ビー?」
つぶらな瞳をぱちくりさせるチビタヌキに傷心をほぐされ、アイスバーグは微苦笑する。
「お前らにゃあ血浴のベアトリーゼといった方が良いか。あいつは昔、ビーと名乗ってウチで働いていた」
「事務員をしてたって聞いてる。でも、全然ぴんと来ないわ。あいつが事務机に座って書類仕事してる姿なんて想像できない」
美少女の指摘に微苦笑を湛えたまま首肯し、アイスバーグは表情を引き締め直す。
「話を戻すぞ。状況はどうなってる? この有様だとテメーらはスパイを押さえることに失敗したみてェだが、ビーの方は上手くいったのか?」
「そうだ! ベアトリーゼ!」
美少女はハッとし、慌てて子電伝虫を取り出す。しかし、何度も掛け直しても、つながらない。
「ダメだわ、通じない」
「そんな……ベアトリーゼはロビンの救出に失敗したのか?」
チビタヌキが不安げに告げた言葉に、美少女は可憐な顔立ちを大きく強張らせるも、気丈に振る舞う。
「……私達が動くしかないわ。ここで膝を抱えてても無駄よっ!」
「どうする気だ?」
「ベアトリーゼは言ってたわ。あいつらがこの島を出るには海列車を使うほかないって。なら、ルフィ達を見つけて駅に向かう。そこでロビンを奪い返す! 何しょぼくれてんの、チョッパーッ! ルフィ達を探しに行くわよッ!!」
アイスバーグに答え、美少女はしょんぼりチビタヌキへ発破をかける。
「分かった! よーし! 俺、頑張るぞ!!」
気合を入れ直したチビタヌキがゴリラに変化し、アイスバーグと職人達が目を丸くする。
「おい、お前ら」意識を取り戻したパウリーが職人達へ命じる。「このお嬢ちゃん達に手ェ貸してさしあげろ」
突然のことに戸惑う職人達へ、パウリーは胸中の激情をぶちまけるように吠えた。
「麦わらの一味は暗殺犯じゃねェ!! こいつらは無実だっ! 俺達はあの仮面のクソッタレ共にハメられて、濡れ衣を着せちまったんだっ!! 麦わら達は奴らを相手に戦ってくれたし、こいつらは俺やアイスバーグさんを助けてくれた!」
パウリーは立ち上がり、困惑している職人達へ活を入れる。
「ごちゃあごちゃあ抜かしてねェで、ケジメつけやがれっ!! ガレーラの名を折る気かっ!!」
活を入れられた職人達が大急ぎで“麦わら”捜索の支度にとりかかる中、パウリーはアイスバーグへ密やかに告げる。
「アイスバーグさん。カクとルッチ、それにカリファは……」
「ああ。聞いた」
アイスバーグは大きく息を吐く。
「テメェには辛い思いをさせちまったな。この件は俺から皆に説明しよう」
「いや、黙っときましょう」パウリーは沈痛な面持ちで「いろいろ言っちゃあ不味いでしょうし……“あんな思い”をするのは、俺と貴方で充分でしょ……」
アイスバーグは無言でパウリーの肩に手を置いた。
○
高純度の海楼石製錠で拘束されたロビンを車椅子に乗せ、ロビンに変装した女が向かった先は、海列車の駅だった。
そして、駅は武装した黒服達によって厳重に警備されていた。
物陰から様子を窺い、サンジは麦わらの一味の面々とは異なる知見と教養を基に、状況を淡々と分析する。
奴らがサイファーポールか? 海兵が一人もいねェのは、今回の件が諜報機関主体ってことか。
変装女の到来に気づき、黒服達が銃を構えると、変装女が顔に手を当てベリリと皮を引っぺがした。
おぉ!! お美しいレディッ!! 物陰から窺うサンジが破廉恥な反応を浮かべる。
「サイファーポール・コントラクターのイーライですわ。全世界指名手配犯ニコ・ロビンを連行してきたのですわ」
艶美な面差しの美女が慇懃無礼に黒服達へ告げると、指揮官らしき男が現れて銃を下げるよう命じ、傲慢な薄笑いを浮かべた。
「コントラクターは5人と聞いていたが? 他はどうした」
「2人は既に死亡。残った2人は血浴の邀撃に向かいましたわ。彼らがどれほど時間を稼げるか……じきに血浴がここに来ますわね」
イーライと名乗った美女が他人事のように告げると、黒服の指揮官は悪党笑いを作る。
「そのことなら問題ない。先ほどCP9エージェントから血浴を排除した旨の報告があった」
「それは意外な結末ですこと」
マジかよ!? あのベアトリーゼさんをっ!? CP9ってのはそんなに強ェのか?!
物陰でギョッとするサンジ。
ところが、ベアトリーゼの親友であるニコ・ロビンは倦怠感と虚脱感に苛まれながら、余裕がこもった微笑を湛えている。
「親友が死んだと聞いて随分と余裕だな、ニコ・ロビン」と訝る黒服。
「殺したと言わなかった辺り、どうにか撃退しただけのことを取り繕ったように聞こえるわ。それに」
ロビンは碧眼を柔らかく細めた。
「ビーゼが海軍に捕えられた後、何をしたか忘れたの? 排除したくらいで済んだと思っているなら、大間違いよ」
「同感です」イーライは小さく肩を竦め「とはいえ、血浴を追い払っただけでも瞠目に値しますわ。あの子犬ちゃん達を見直したのですわ」
「貴様に見直される謂れなどない」
新たに黒服の男女が音もなく現れた。全員が傷だらけで血塗れで。誰の目にも死闘を生き延びたことが明らかだ。
黒服達は諜報機関サイファーポールの最精鋭たるCP9がここまでズタボロにされたことに驚き、同時にそのような強敵を征した彼らに畏敬の念を新たにする。
CP9に何の関わりもないサンジが注目した点は、牛みたいな髪型の大男が両肩に担いでいる“荷物”だ。
左肩には見覚えのない大男。そして、右肩には見覚え深い長鼻小僧。
ウソップじゃねえか……っ! 何やってんだ、あのバカ……っ!
「全員、さっさと列車に乗れ!」先頭のハット男が黒服達に命じる。「定時まで待つ必要はねェ。準備が完了次第、発進させろ」
「は! 聞こえたな! 総員、乗車開始っ! 列車の出航準備を急がせろ!!」
こりゃ不味いな。
サンジは煙草を吹かし、思案する。
奴らの話から察するに、あのズタボロ四人組はルフィ達もベアトリーゼさんも蹴散らして任務とやらをやり遂げたらしい。下っ端共はともかく、あのズタボロ四人組と素敵なレディは油断ならねェ手合いだ。おまけにロビンちゃんは自力で動けねェようだし。
どうするか。誰も出航まで間に合わねェなら、俺一人でも……
列車内に連行されていくウソップを一瞥し、サンジは紫煙と共に溜息を吐いた。
それにしても……あのバカ。一味抜けても迷惑かける気か。
○
ナミとチョッパーを中心にガレーラの職人達が町中を巡って麦わらのルフィと海賊狩りゾロを探している頃。
当の2人はと言えば……
「あぁあああ……ゾロぉ~この様をナミに見られたらぁ、ヤベェよぉ~」
「分かってるっ!」
ガレーラのコンドミニアムでCP9と交戦し、人獣化したロブ・ルッチに打ち負かされたルフィとゾロは、なんと裏町までぶっ飛ばされていた。
おまけに、再び2人揃って身動きが取れなくなっている。
というのも、ルッチにぶっ飛ばされた後、2人は奇しくも同じ裏町の建物に命中。倒壊した瓦礫の中に閉じ込められてしまっていた。
もちろん、化物染みた膂力を持つ二人だ。多少の瓦礫の山など容易く排除できる。はずだった。普段なら。
問題は今、アクア・ラグナによって海面が上昇しており、2人とも半ば海水に浸かっていたことだ。
こうなると、能力者のルフィはヘロヘロに脱力してしまい、フナムシにも勝てない。
では、ゾロに頼って……となるのだが、ゾロはゾロで狭隘な空間に挟まっており、身動きが全然取れない。粘着シートに引っ掛かった黒光り昆虫みたくモゾモゾと足掻くくらいしか出来なかった。
「刀が抜けさえすりゃあ……っ!!」
このっ! このっ! とわずかな隙間で藻掻くマリモヘッド。なんか可愛い。
「あああ~~~……また水位が上がってきたぁ~……力が入らねぇ~……」
伸びきったゴムみたくヘロヘロ状態のルフィ。気の抜ける声にイラッとして、ゾロが青筋を浮かべる。
「気の抜ける声を出すなっ! 黙って待ってろっ! なんとかしてやっからっ!!」
「リーゼは~ロビンを取り返せたかなぁ~?」
「どうだかなっ! くそ、あとちょっと、あとちょっとがっ!!」
ゾロは腰から刀を抜こうと悪戦苦闘。柄まであとちょっぴり届かない。なお、柄を掴んでも抜刀するスペースが無いことに気づいてない。
と、その時。
不意に海水が急激に引いていき、荒々しかった潮騒が止んだ。
「お?」「なんだ?」
2人は突然の現象に訝りながらも、状況の“好転”を喜ぶ。
「よっしゃ、これなら俺も動けるぞ」ルフィはシシシと笑い「待ってろ、ゾロ。今、瓦礫をふっ飛ばすからよ!」
「待て待て。ちょっと隙間を作ってくれりゃあ、後は俺が斬り払う」とゾロが提案。
「2人一緒にやりゃあ良いんじゃねェか?」
「たしかに。その方がすっきりさっぱり吹っ飛ばせそうだな」
そういうことになった。
ルフィは体を膨らませるべく空気を大きく吸い込もうとして、ふと思い出す。
「そういやぁ、シャンクスから聞いたことがあったな」
「昔世話になったっていう海賊か。何を聞いたんだ?」
興味を覚えたゾロに促され、ルフィは話を続けた。
「シャンクス達がどっかの島に寄った時によ。突然波が引き揚げて、ずーっと沖まで干上がっちまったんだって」
「ほう」ゾロは片眉をあげて「今みてェだな」
「そうそう。それで思い出したんだ。でな、波が引いた後、ちょードでけェ津波が襲ってきて、危うく死にかけたんだってよ」
海はすげーよなぁと笑うルフィに、ふーんとゾロは頷き、気づいたことを口にする。
「つまり、これからデケェ津波が来るってことじゃねェか?」
「ん? まぁ、そうだな」
ルフィとゾロは互いの顔を見合わせる。数秒の静寂。脳筋二人は自分達の置かれた状況とこれから来るだろう破滅的大津波を想像し、
「「ヤベェッッ!!!!!」」
ようやく自分達の危機を理解する。もっと早く真剣になって。
「急げルフィッ!!」
「おうっ! ゴムゴムのぉ風船んんんっ!!」
「よしっ! 届いたっ!」
ゴム人間は爆発的に体を膨らませ、魔獣染みた剣士はなんとか抜刀し、
どかーん。
○
海列車が出航し、駅に残されていたサンジのメッセージを確認後、ナミは踵を返して再び市内へ戻り、ルフィ達を捜索していた。
その時、獰猛な勢いで潮が引き始めた。
潮の引き方を見れば、高潮の規模はだいたい想像できるという。その言葉通りならば、これから訪れる高潮――ウォーターセブンの風物詩アクア・ラグナは例年の規模をはるかに上回るだろう。なにせ……
「んががが。見なァ、チムニー」
海を眺めながら酒を呷るココロ婆さんが孫娘へ言った。
「海がまるで干上がっちまったようら……んががが。過去うん十年。こんな光景見たことらいよ」
ココロ婆さんの言葉通りだった。下町を呑み込んでいた海水が大きく大きく、とても大きく引いていき、日頃の見慣れた海岸線はおろか、普段は海中に沈んでいる旧市街基礎部や海没地域まで露わにしていた。いったいどれほどの規模の高潮が襲ってくるのか、想像するだに恐ろしい。
「ん? おう、海賊娘にトナカイらねぇか。息切らしてどうしたら?」
「ココロさん……!」
ナミとチョッパーが造船島の超巨大防波壁上に現れたのは、まさにアクア・ラグナ到来の寸前であり、“それ”が起きたのと同じ頃だった。
どかーん。
裏町の一角で建物のひと棟の上層部が豪快かつド派手に吹っ飛んだ。まるで内側から吹き飛ばされ、切り刻まれたように。
「な、なにっ!?」
「あれ、麦わらの兄ちゃん達だ」
驚くナミと対照的に楽しげなチムニー。
「ありゃ麦わらじゃねえかっ!?」「何っ? ヤベェぞ、もうアクア・ラグナが来るっ!!」「沖見ろ沖っ! 来たっ! すげえ高波が来てるっ!!」「おーい、麦わらぁっ!!」「早くそっから避難しろーっ!!」
職人達も気づいて大きな風音を蹴り飛ばすように叫ぶ。
「ルフィーっ!!」「ゾロぉーっ!!」
ナミとチョッパーも喉が張り裂けんばかりに叫んだ。
叫び声が届いたのか、ルフィとゾロは巨大防波壁上のナミ達へ手を振ってきた。
「手ぇ振っとる場合かぁっ!!」「後ろ後ろぉっ! 後ろ見ろぉ!!」「にーげーろーっ! 早くーっ!!」「急いでー!!」「にゃあにゃあっ!!」
ナミとチョッパーと職人達とチムニーとゴンベが一斉に叫び怒鳴り、ルフィとゾロは背後を振り返って、迫りくる超々超巨大津波を目にしてビックリ仰天。慌てて逃げ出した。
ウォーターセブン史上最大規模のアクア・ラグナは全てを圧潰させていく。裏町の建物をボーリングのピンのように片っ端から倒壊させ、莫大な水圧と水流で粉砕し、攪拌していく。
どす黒く染まりながら進む超巨大津波から逃れるべく、ルフィとゾロは世界的に有名な配管工兄弟のように、裏町の屋上を駆け抜け、飛び移り、最後はルフィのゴムゴムロケットジャンプで大橋に辿り着く。
安堵もつかの間、破滅的超巨大津波は大橋すら容易く打ち崩す。危うく大橋ごと引きずり込まれそうになったルフィとゾロを、パウリーが得意のロープ術で豪快に釣り上げた。
アクア・ラグナは造船島の坊波壁を越えられず、口惜しげに引いていく。もちろん、これだけでは終わらない。嵐が去るまで第2波、第3波と今のような破滅的超巨大津波が繰り返されるだろう。
「すっげー津波だったなぁ、ゾロ」「ああ。危うく死んじまうとこだったな」
ニシシと笑うルフィと口端を吊り上げるゾロ。
「笑っとる場合かっ!!」「俺、凄く心配したぞ!!」
そんな2人の頭をスパーン! と引っぱたくナミ。お気持ち表明するチョッパー。
悪ィ悪ィと笑顔で謝り、ルフィは表情を引き締め直して、尋ねた。
「今、どーなってるんだ? リーゼはロビンを取り返せたのか? サンジはどこだ?」
「それなんだけど……」
ナミが搔き集めた情報をルフィへ報告しようとした、矢先。
「おぉーいっ! 麦わらのチビタヌキ……いや、ゴリラか? ともかく、重傷者がいるんだぁ!! 診てやってくれ!!」
職人達が叫びながら急造担架を運んでくる。
「タヌキでもゴリラでもねえ! トナカイだコノヤローッ!!」
ぷりぷりと憤慨していたものの、チョッパーは運び込まれてきた怪我人を見て一瞬で医者の顔になった。
なにせ、患者の大柄な黒人男性は両腕が無く、胸部が酷く陥没していた。誰の目にも重篤患者、というより息があること自体、奇跡みたいな有様だった。
「大変だ……っ!!」チョッパーはいつも担いでいる医療バッグを開け、患者の手当てを始める。
「手当は無用だ。俺はもう助からない」
患者の黒人男性は随分昔に光を失ったらしい目をチョッパーと背後のルフィ達へ向け、
「お前達が麦わらの一味か」
フッと血に塗れた口元を和らげた。
「俺達を知ってんのか、おっさん」ルフィが怪訝そうに眉根を寄せれば。
「面白い運命だ」死に掛けの黒人男性は自嘲的に微笑み「俺はニコ・ロビンを攫った者達の一人だ」
「なんだとぉっ!! おい、おっさんっ! ロビンは今どこだ!! リーゼはロビンを取り返したのかっ!!」
「よせ! 死んじまうぞっ!」
「落ち着いて、ルフィっ! 手荒なことをしたら死んじゃうわっ!」
男性の胸倉を引っ掴んだルフィをゾロとナミが慌てて羽交い絞め。
「アドレナリンを打ってくれ。少なくとも、死ぬまで意識が持つように」
「何言って……」
戸惑うチョッパーを余所に、男はルフィ達へ言った。
「ニコ・ロビンがなぜ一人で俺達に挑んだのか、お前達に話そう」
Tips
ナミ&チョッパー
原作同様、奔走中。ただし、原作と違い、ロビンが離脱した理由をアイスバーグから聞かない。
サンジ。
イーライを尾行して駅に到着。原作通りに海列車へ潜入する。
ルフィ&ゾロ。
原作と違い、二人一緒に同じところへ埋まった。
CP9の皆さん。
原作は意気揚々の駅到着だったが、本作ではズタボロで到着。
モース
オリキャラ。
原作でアイスバーグが行った、ロビンの離脱した理由を話す役割を担う。
ベアトリーゼ。
未登場。
アクア・ラグナによってメリー号からも離れされてしまい、遭難中。