彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
時計の針を少し戻す。
ウォーターセブンを襲った史上最大規模のアクア・ラグナは、多くのものを津波で破壊し、多くのものを引き潮で沖の遠くまで連れ去っていった。
連れ去ったものの中には、小型キャラックの船尾から引き離された野蛮人(25歳・女性)も含まれた。
そして、遠い沖合いへ流された女蛮族は、奇跡的に海列車の線路へ引っ掛かり、九死に一生を得ていた。
「おえぇええええええええええええええええええええええええええっ!!」
荒波に大きく揺られる海列車線路の上。小麦肌の美女は嘔吐声を響かせた。
ベアトリーゼは飲み込んでいた海水を完全に吐き出し終えるや、激昂の雄叫びを挙げる。
「あああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
海楼石の分銅鎖と海水に半ば浸かっているため、へろっへろになっていたものの、下手を打った自分自身と小賢しいCP9に対する怒りが魂魄を無理やり動かし、線路上に立ち上がる。
右腕に絡みついていた海楼石付分銅鎖を千切り捨る。
次に海水を吸って虚脱感をもたらす着衣を乱暴に脱ぎ捨て始めた。赤革のライダージャケット。胸元が大きく開いたシャツ。タイトなパンツにロングブーツ。全てを海へ投げ棄てる。
残ったのは見せブラ・見せショーツに装具ベルトだけ。
その恰好。まさしく痴女である。
痴女と化したベアトリーゼは全身に薄く熱プラズマを展開。身体に触れる海水を蒸発させ、
海水の脱力化を無効化した直後、即座に見聞色の覇気を全力で発動。純血のヒューロンから移殖された双眸と脊髄と心肺のおかげか。単純に頭に血が昇ったゆえの過剰出力か。ともかく凄まじいまでの効力圏が生じ、エニエスロビーへ向かって進む海列車パッフィングトムを捕捉。
ベアトリーゼはすぐさまプラズマジェットを放出。水蒸気爆発による巨大水柱を置き去りにし、血に飢えた人食い鮫のような勢いで海列車を追い、プラズマジェット跳躍を繰り返す。
優艶な肢体に真っ白な蒸気をまとい、蒼いプラズマ光を曳きながら夜の海を駆け躍る下着姿の痴女。新たな海洋伝説を生みそうな有様だが、端正なアンニュイ顔にはもはや何の感情も浮かんでいなかった。
満月色の双眸はゾッとするほど燃えているにも関わらず、温度が一切感じられない。ただただ自身の出し得る最高速度を最大効率で発揮し、海列車を追跡する。
その無機質で機械的な機動と温度のない殺意は、まるで未来からやってきた人型殺人マシンのよう。
ともかく、ベアトリーゼは嵐の海上線路を狂ったように駆け抜け、海列車を肉眼で捕捉。
ひときわ高く跳び上がり、プラズマジェットで高速飛翔。海列車へ襲い掛かった。
○
突然、最後尾車両が爆散した時、サンジは第6車両で黒服達と戦っていた。
最後尾車両は車体を構成木材や座席などの調度品が燃えながら海上へ飛散していく。その中にはサンジにぶちのめされたサイファーポールの現場要員達も含まれていた。
彼らの多くは何が起きたのか分からぬまま肉片に砕かれたか、海に落ちて溺死する。カラテ島出身のボクシングチャンピオンが波間に消えた。
「な、なんだぁ?」
サンジと黒服達が驚愕していると第6車両の後部ドアが開き――
全身びしょ濡れの痴女が現れた。
小麦肌のしなやかな長身を包む布切れは、胸元と下腹部の下着だけ。他は引き締まってくびれた腰に巻かれた装具ベルト以外、何もない。
濡れ乱れた夜色のショートヘアがなんとも煽情的で。女体特有の曲線部を水が滴り伝っていく様のなんと官能的なことか。
場違い極まる格好で現れたベアトリーゼに、黒服達が困惑する中。
「べ、ベアトリーゼさん!? な、なんて刺激的なお姿をっ!?」
サンジは両手で鼻血を押さえながら、顔を真っ赤に染めた。なお、両目がベアトリーゼの下着姿を記憶に焼きつけるべく瞬きを完全停止している。
ベアトリーゼはひたひたと裸足で歩み始め、
「サンジ」
黒服共を金眼で睨み据えながら、恐ろしく冷たい声音で言った。
「私はこれから各車両を皆殺しにしながら進んで、奴らの注意を引く。その間に屋根伝いで第1車輛へ向かえ。そこにロビン達が居る。救出しろ」
「囮なら俺が」
サンジが煩悩を脇に置いて騎士道的精神から申し出るも、ベアトリーゼは血走った満月色の瞳で一瞥をくれ、犬歯を剥いた。
「さっさと、行け」
「!! すぐに行かせていただきますっ!」
言い終えるが早いか、サンジは窓から身を乗り出して屋根に登っていった。さながら沈む船から逃げる鼠のようだ。
残ったベアトリーゼは装具ベルトからダマスカスブレードを抜き、両腕の装具に着剣。両手にカランビットを握る。
「イカレ痴女がぁっ!」「女とて容赦はせんぞっ!!」「武器を捨てて投降しろっ!」
黒服達は困惑を放り投げ、眼前で堂々と武装した痴女へ拳銃やら小銃やら刀剣やらを構える。その中で、黒服の一人が気づく。
「あれ? この女、ひょっとして――」
○
第5車輛に乗車していた重装備要員30名は最後尾車両に不審者が現れたと第一報が出た時点で、速やかに手持ちの銃火器を用意し、後部ドアへ銃口を構え、迎撃態勢を整えていた。
第6車両から恐怖に満ちた悲鳴、助けと救いを求める絶叫、凄惨な断末魔が続くが、誰一人として助けに向かう素振りを見せない。
重装備要員達は一斉射撃に備え、敵が姿を見せる瞬間を、じっと待つ。
がちゃり。
ドアが開きかけた瞬間、重装備要員の指揮官が叫ぶ。
「発砲ッ!!」
30丁の銃が一斉に火を吹き、鉛玉を吐き出した。狭い車内が瞬く間に発砲煙で満たされ、硝煙の臭いに包まれる。
「射撃中止、射撃中止!!」
約10秒に渡る集中弾幕射撃により、銃弾の嵐を浴びた後部ドアは破砕され、ドア周りは完全に穿ち崩れている。大量の弾丸を浴びたであろう相手は肉塊と化しており、視界を妨げる煙と相まって何者か分からない。
「見てこい、カルロ」
指揮官が最前列に居た者へ命じた。命じられた重装備要員カルロは嫌そうに顔をしかめつつ、銃を構えながらおそるおそる後部ドアへ近づいていく。
破壊され尽くした後部ドアの残骸をまたぎ、カルロが連結部を覗いた。刹那。
列車の屋根から小麦肌の獣が襲い掛かり、カルロの首が斬り飛ばされる。
「発砲ッ!!」
指揮官が悲鳴のように叫び、重装備要員達は再び銃火を開き、カルロの骸ごと車体後部を弾丸で耕していく。
直後、車両側面が爆散。窓ガラスと車体片を浴びて要員達が薙ぎ倒される中、返り血で真っ赤に濡れた痴女が車内へ侵入。
美麗な暴虐が躍動する。
車輛内を満たしていた白い硝煙がたちまち血煙に代わり、奏でられていた銃声の合奏は悲鳴と怒号と断末魔の合唱に代わり、車内は血と肉と骸で模様替えされていく。
たおやかな腕が振るわれ、小生意気な乳房が揺れ、引き締まった腰回りがしなる。
優美な流線で描かれた長い脚が振るわれ、小癪なお尻が弾み、返り血が艶めかしく小麦肌を伝う。
海水と汗と返り血に濡れた夜色の髪は乱れに乱れ、なんとも退嬰的艶気に満ちていた。
艶美な暴虐はまだ動き出したばかりだ。
○
「……まるで怪獣が暴れてるみてェだな」
サンジは第3車輛の屋根から黒煙を立ち昇らせる後方の三輌を肩越しに窺い、第6車輛――貨物車輛で奪い取った電伝虫に吹き込む。
「すまん、ナミさん。ベアトリーゼさんが大暴れしてんだ」
『良かった。全然連絡が取れなくて心配してたの。サンジ君と合流してたのね』
「いや、どういうわけか下着姿で列車に乗り込んできてさ……手が付けられないほどブチギレてるんだよ」
『……ん? 下着? ま、まぁいいわ。それで今分かってることと、私達の状況を話すから、よく聞いて』
電伝虫の向こうに居るナミから、ロビンがなぜ一人で行動したのか理由を聞かされ、ナミ達が試作海列車を駆り出して追走していることを教えられた。
ロビンちゃんは俺達のためにたった一人で……無茶をするぜ。
頼ってもらえなかったと残念に思う。同時に、やはりロビンは俺達の仲間なのだと嬉しくなる。
これで奮い立たなきゃあ男じゃねえよな。
サンジの深奥で偉大な男から受け継いだ騎士道精神が燃え盛る。もう止まれない。
と、通話口に船長が出た。なんだか背後がやけに賑々しい。
『サンジーっ! そっちはどうだ!? ロビンは?! ウソップは!?』
「まだ捕まったままだ。ベアトリーゼさんが大暴れしてっから、隙を見て救い出すつもりだ」
『おー! リーゼも無事だったか! 良かった!!』
リーゼ? 妙に親しげだな……いや、それどころじゃねえか。
『サンジ。お前も暴れても良いぞ』
「流石。分かってるな、船長。ロビンちゃんの気持ちを聞かされちまったらよ、俺はもう止まれねェよ」
『……それと、よ。サンジ』不意にルフィの声が翳る。
サンジは船長の言いたいことを分かっている。
「なぁ、ルフィ。たとえ一味を抜けてもよ。仲間じゃなくなってもよ。一緒に旅した友情まで無くなっちゃあいねェ。俺ぁそう思うんだ」
『! ……ああっ! 仲間じゃなくても、ダチだッ!』声を弾ませるルフィ。まったく本当に分かり易い奴だ。
『ダチとしてなら、仕方ねェな』脇からゾロの不機嫌な声が届く。物事の筋にうるさいコイツの妥協点だろう。
『男って本当に面倒臭いわね』傍らからナミの呆れ声が混じる。ナミさんに掛かれば俺達は形無しだな。
「ロビンちゃんのついで、なら問題ねェよな。ダチだしよ」
微苦笑しつつ告げたなら、
『サンジ。お前はサイコーだ!!』
「知ってる。じゃ、また後でな」
ルフィの手放しの称賛に面映ゆいものを覚えつつ、サンジは通信を切った。
「さぁて。御姫様とついでにバカなダチを助けに行くか」
○
第4車輛の食堂車が半壊する衝撃が列車を揺らす。
第2車輛の車窓から、CP6の格闘料理人ワンゼが黒焦げになりながら嵐の海へ吹き飛ばされていく様が、よく見えた。
「生きてると思うか?」
「運が良ければ」
ルッチとブルーノが呟いたところで、イーライが腰を上げた。
「さて、と。私は第3車輛へ向かいます。貴方達とはここでお別れですわ」
「……死ぬと分かっていて、行くの?」カリファが問う。
「この期に及んでは是非もなし。これもまた運命ですわ」
他人事のように語り、イーライは得物の鏢を弄びながら後部車輛へ向かっていく。
「この業界に生きて70年。ベッドで死ねる身の上でも無し。これもまぁ一つの結末でしょう。では、アデュー・ラミ」
ぱたん、と静かに閉じられた後部ドアを窺い、カクが唸る。
「……あの女、いったいいくつなんじゃ?」
カリファは言った。
「セクハラよ」
○
半壊した食堂車で、ベアトリーゼは“燃料”を補給していた。
ひしゃげた冷蔵庫を無理やり開け、目についた食材を血塗れの手で引っ掴み、片っ端から食い散らかし、飲み物を口からこぼしながら飲み漁る。
まるで腹を空かせた熊が飲食店のゴミ箱を荒らしているようだ。
野獣さながらに胃袋の限界まで飲食物を詰め込んでいるところへ、ベアトリーゼはぴたりと動きを止め、リスみたいに頬を膨らませた顔を車輛前方へ向けた。
ゆっくりと咀嚼しながら車輛前方ドアの先、第3車輛を注視し、ごくん。喉を艶めかしくうねらせ、食いかけの飲食物を投げ捨てる。
ベアトリーゼはひたひたと返り血の足跡を残しながら第3車両へ向かった。
原作で第3車輛の担当はCP9の使えない新人だったが、ベアトリーゼの眼前に現れたのは、妖艶な美女だった。
艶やかな長い黒髪。傲慢な目つき。官能的な唇。男受けする顔立ち。
即座に理解する。
こいつがロビンの母親に化けたクソアマだ。
ぶち殺す。
ベアトリーゼが殺意のまま動こうとした矢先。
「初めまして、血浴のベアトリーゼ。私はイーライ。“萬化蝶”イーライですわ」
イーライと名乗った女は薄く笑い、仮装服を一瞬で脱ぎ捨てた。
男の性欲を直撃するような肉付きの身体をSM嬢のようなボンデージ衣装で包んでいる。磨き抜かれたような白肌。ショルダーレスの胸元から溢れそうな巨乳。衣装の下腹部はえぐいほど鋭角で鼠径部がほぼ全開。ケツはほぼ剥き出し。むっちむちの太腿は皮のニーハイブーツで覆っており、外腿部分に何本も鏢が巻かれている。
控えめに言って……痴女である。
血塗れで下着姿の痴女とSM衣装の痴女が、公共機関の中で対峙する。
サンジがこの光景を見ていたら、鼻血で失血死したかもしれない。
SM痴女が鏢を舐めながら、挑発的な笑みを湛えた。
「血浴のベアトリーゼ。この世で最も尊ぶべきものが何か、ご存じ?」
「あ?」
血塗れ下着姿の痴女が怪訝そうに眉根を寄せる。
「この世で最も尊ぶべきもの。それは“肉”ですわ」
イーライは鏢の切っ先を下唇に当てながら、いちいち官能的な仕草で言葉を編んでいく。
「肉の
鏢を構え、イーライは獰猛に嗤う。
「我、肉なりっ! 肉こそ全てっ!!」
ベアトリーゼは額に青筋を浮かべ、告げた。
「なら挽肉にしてやるよ、クソアマ」
痴女対決、開始。
○
第3車輛内で痴女達が戦いを始めた時、サンジは第2車輛の屋根を越えて目標の第1車輛に辿り着こうとしていた。
ナミの説明ではこの第2車輛内にいる連中――駅で見かけたズタボロ男女四人組がベアトリーゼを排除した最精鋭らしい。
そんな厄介な奴らの相手などしていられない。今はロビンとウソップの救出が最優先だ。
「ん?」
嵐吹き荒れる夜の闇に紛れ、前方に大きな影が見えた。
かつてバラティエで共に働いたタコの魚人より多い4対の腕。おそらく魚人だろう。
「貴様らの陽動作戦など、このロ・バストはお見通しだっ!」
不敵にせせら笑う多腕の魚人。
「ニュウドウイカの魚人ロ・バストなりッ!! 魚人空手最強の流派、
尖り頭の禿頭に入道髭を生やした勇壮なイカ男が、高らかに名乗る。
よくよく見れば、空手道着を着ていた。御丁寧に両袖を切り落としてあり、額にタコの絵柄が入った鉢巻を巻いていた。
「カラテ島のボクサーの次は、イカのタコ拳法家かよ……色物ばっかりだな……」
「ロ・バストに向かってなんと無礼な……っ! 許し難い。眉毛人間め、まったく許し難いぞっ!!」
ぼやくサンジにイカ魚人ロ・バストは即座に顔を真っ赤にして憤慨した。沸点が低いらしい。
「許さねぇだぁ?」
サンジは短くなった煙草を投げ捨て、
「そりゃこっちのセリフだ、イカ野郎!!」
億屠心拳の遣い手へ獅子のように襲い掛かった。
怒りを抱きつつも、サンジは冷静だった。
相手は色物とはいえ、攫ったロビン達の守りを任されたなら強者のはず。雑な大技は通じまい。
ここはセオリー通り料理する。入念な
「
疾風怒涛の足刀タイフーン。熾烈。峻烈。猛烈。激烈。ロ・バストの8本の豪腕を以ってしても防ぎきれない。
「ぬぉああああああああああっ!?」
ロ・バスト、驚愕のシャウト。
「
サンジの蹴撃が加速。加速。加速。疾風迅雷の蹴撃ハリケーンが八本腕の防御をこじ開けていく。
「ぬぁあっ! あっ! あぁっ!?」
牡蠣の殻がこじ開けられるが如く、ロ・バストの八腕シールドがブレイク。ばばんと大きく開かれた四対の剛腕の先には、無防備極まるロ・バストのヘッド&ボディ。
出るか。出るのか。出るとも。出すとも。刮目せよ。赫足ゼフを継ぐ黒足を。
「
「ぬぁばばばあ――――――っ!?」
ゴウランガッ!
――いや、待て。なんということか、強烈なる一撃をまともに食らったにもかかわらず、ロ・バストはリタイヤしない。凄まじきフィジカル。強力なマッスル。これぞ人間を大きく上回る魚人の身体ポテンシャル。
「……頑丈な野郎だ。いつぞやの魚野郎を思い出すぜ」
会心の一撃だったにも仕留めきれず、サンジは鋭い舌打ちをこぼす。
「このロ・バストを一方的に滅多蹴りにするとは……無礼千万っ!! 許し難い!」
ロ・バストは口元の血を荒々しく拭い、四対の腕を非対称に構える。
「今度はロ・バストの番だっ! 億屠心拳の恐ろしさ。その身で味わうがいいっ!」
さながらアシュラ・デーモンめいた構え。大きな体躯から溢れだす闘気。コワイ!
「億屠百裂拳っ! ローロロロロロロロロロロロロロロロロロロロッ!!」
四対の腕と八つの鉄拳が織りなす電光石火の連打乱撃。苛烈なる打撃の猛弾幕。大きな体躯から降り注ぐ拳打のゲリラスコール。
さしものサンジも鉄拳の集中豪雨を防ぎきれない。被弾。被弾。被弾。被弾。全身に走る痛み。飛び散る鮮血。まるで体力ゲージがみるみる擦り減らされていくが如し。
「くっ!」
守りに入っていたら押し潰される――サンジは被弾しながらも反撃に打って出る。
「
「ぬぁばッ!?」
拳の豪雨を切り裂く一条の蹴撃。跳ね上がるロ・バストの禿頭。ワザマエッ!
堪らず後ずさるロ・バスト。おっと、ここで抗議申請だ。
「貴様ぁっ! まだロ・バストの順番だろうがっ!! 百発打ち終えるまで待たんか―――っ!!」
「アホかッ! 順番なんざ知るかっ!!」
罵声を返すサンジに、ロ・バストは失望と憤慨を隠し切れない。
「奥ゆかしき戦いのマナーを弁えぬとは……っ! このロ・バストもはや我慢ならんっ!! 億屠心拳秘奥義にて屠ってくれるっ!! はぁあああああああっ!」
八本の腕をゆらゆらと揺らす様は祈りを捧げるセンジュ・ブッダのよう。ありがたやありがたや。
しかし今は闘争の真っ最中。祈りを捧げる時間ではない。意図が読めず戸惑うサンジ。
Q(サンジ=サン):何をしているのですか。
A(ロ・バスト=サン):秘奥義の発動には十分な準備が必要です。しばしお待ちください。
「待つかアホンダラァッ!!」
サンジ怒りのフルパワー・ジャンピングドロップキック。
「ぬばばばばばあああああああああっ!!」
車両屋根から高々とぶっ飛ばされるロ・バスト。サヨナラ!
「なんで俺の相手は色物ばかり……っ!」
勝利の余韻をまったく抱けないサンジは、ついに目標の第1車輛内へ辿り着いた。
Tips
ベアトリーゼ。
オリ主。
海水に濡れたままだと虚脱感が酷いため着衣を脱ぎ捨て、下着姿でパッフィングトムを追跡&襲撃。
血塗れ系スタイリッシュ痴女となった。
これの元ネタは『お姉チャンバラ』。
ジェリー
ワンゼ
ネロ
いずれも原作でワンポイントのネームドモブ。居ても居なくても大差ないので地の文で消えた。ネロに至っては登場しない改変が行われた。ファンの人達はごめんよ。
イーライ
オリキャラ。元ネタは銃夢。
ボンデージ系痴女なのは原作と同じ。
原作ではナノマシン技術で細胞単位の若返りを繰り返していたため、実年齢が不明。
サンジ。
原作主役キャラ。
出来る男。だけど破廉恥。
ロ・バスト
異物(ベアトリーゼ)の影響で現れたオリキャラ。
キャラ自体に元ネタは特にないけれど、億屠心拳は銃夢;LOのネタ。
当初書いた戦闘シーンが非常に退屈だったので、少し忍○風に弄ってみた。
名前の由来は入道ダコの英名から。