彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
暑さとあれやこれやに集中力が保てず全然書けませんでした。
佐藤東沙さん、みえるさん、誤字報告ありがとうございます。
「い、いひひひっ! 見ろっ! 正義の門が完全に開いたっ! あそこを潜りゃあ、俺は英雄だっ!! 政府の、いや、世界の英雄になるんだっ!!」
ためらいの橋の上。
チリチリ髪に腫れた顔のスパンダムが、ロビンを手荒に引きずりながら進んでいく。
そびえ立つ鋼鉄の巨門を見上げ、スパンダムが気持ちよく謡い始めた。
意図せずしてバスターコールを発動してしまい、凶悪な海賊共に追われ、小さな心胆は竦み上がり、小便を漏らしかねないほどビビってはいたけれど。
「おい、衛兵どもっ!! 出てきて敬礼はどうしたっ!! 英雄スパンダム様のお通りだぞっ!」
スパンダムが子電伝虫に怒鳴るも、ためらいの橋の船着き場に詰めている衛兵部隊から一切応答が、いや、反応がない。
「役立たず共め、居眠りでもしてんのかっ!? 俺が英雄になったら不敬罪で処刑してやるっ!」
チリチリになった髪を掻き乱し、スパンダムはロビンを乱暴に引きずる。高純度海楼石の錠を掛けられたロビンは自ら歩くこともおぼつかない。平均的一般男性と比べても貧弱なスパンダムに、長身女性を引きずることは中々にしんどい。全身汗みずくになり、ぜえぜえと息を切らしながら、ロビンを粗暴に扱い、ためらいの橋を渡っていく。
労苦に苛立ちつつも、スパンダムは昂奮に酔い痴れて喚き続ける。さながら覚醒剤をキメて一晩中喚き散らすパープリンのように。
「ひぃひひひっ! 喜べ、ニコ・ロビンッ! 生きてる価値のねェお前が、俺の踏み台になれることをよぉっ!! 哀れでっ! 卑しいっ! 惨めな罪人のお前は、この俺が英雄となるために死ぬことで、ようやく人並みの価値が生まれるんだからよぉっ!」
ロビンは何も答えない。既にスパンダムと言葉を交わす価値がないと断じていた。
暴力的な虚脱感に体の自由を奪われている今、ロビンはどうやってこの状況を打開するかに思考力を費やしていた。 “仲間”が助けに現れることを信じて一分一秒でも時間を稼ぐ。そのためにはどうすれば良いか。
「ああ、そうだっ! 俺が英雄になる褒美として、特等席で見せてやろうっ!! テメェの仲間共が焼き尽くされる様をなっ!!」
ロビンの無言の侮辱に一切気づくことなく、スパンダムがズダ袋のように引きずられ続けるロビンを、げらげらと嘲り笑う。
「二十年前、お前が燃えるオハラから逃げたみてぇによぉっ!」
瞬間、ロビンの碧眼がスパンダムを捉える。
スパンダムは加虐的な嘲笑を湛え、涎を垂らしながら言葉の暴力でロビンを打つ。
「俺は知ってるんだっ! 元海軍本部中将ハグワール・D・サウロの乱行。貴様の母ニコ・オルビア。あの日、あの時、オハラで何が起きたのか、俺はぜ~んぶ知ってるんだよぉっ!!」
ひぃひひひひと喉を引きつらせてロビンを嗤う。
「なぁぜならぁっ! 悪魔の巣窟オハラに踏み込み、その大罪を暴きっ! バスターコールを発動して焼き払ったのがぁ、俺の親父スパンダインだからだぁっ!!」
ロビンの美しい碧眼が揺れた。
忘れていない。忘れられない。
CP9長官を名乗った男の名前を。師クローバー博士と学者達を殺し、無関係な島の同胞達を虐殺した張本人の顔を。初めて出来た親友と母の命を奪った男を、自分の人生を壊した男を。
ロビンは決して、忘れていない。
「20年前、オハラから生き延びた8歳のお前に、賞金を懸けたのも、俺の親父だっ!」
双眸を血走らせ、口元から粘つく涎を流しながら、スパンダムは言葉の鞭でロビンをいたぶり続ける。
「お前が味わってきた惨めで不幸でクソみてェな20年は、俺の親父が世界平和のためにやったのさっ! はははははははっ!」
ためらいの橋。正義の門側支柱塔の小門が近づいてくる。
「運命的だよなぁっ! ニコ・ロビンっ! 20年前、親父が始末し損ねたオハラの悪魔を、息子の俺が狩り、忌々しきオハラに真のトドメを刺すんだからよぉっ!!」
ロビンを蔑み、ロビンの故郷を貶め、ロビンの思い出を踏み躙り、スパンダムはサディスティックな快感の哄笑を上げる。
ロビンは反応を返せない。屈辱と憤怒が情動を痺れさせ、涙一滴こぼれない。
「もう言い返す気力も湧かねェかっ!? ひぃはははははははっ!」
スパンダムはロビンを引きずりながら高笑いを上げ、支柱塔の小門を潜っていく、
栄光の瞬間。スパンダムの興奮は絶頂感に近い激しいものに達し、
「よく見ておけ、犯罪者ぁっ!! この一歩こそ、歴史に刻まれる英雄の第一――ポガバァッ!!!」
爆炎に包まれて吹っ飛び、ためらいの橋の先、船着き場まで落下した。
「ヒッギャアアアアアアッ!?」
地表に引きずり出されたミミズみたく激痛にのたうち回り、スパンダムは身を起こして、
ようやく知った。
なぜ、ためらいの橋に詰めている兵士達が通信に一切応答しなかったのか。なぜ迎えに現れなかったのか。なぜ苦痛に悶える自分を案じないのか。なぜ。なぜ。なぜ。
なぜ?
もう、死んでいたからだ。
全員。
ためらいの橋の衛兵も、移送船の乗組員も、一人残らず殺され、船着き場を紅く染める塗料に、船着き場を飾る骨肉の塊に成り果てていたからだ。
スパンダムは兵士達の血溜まりに身を置きながら、凄惨無比な光景に真実を突きつけられる。自分を守るものが一人もいないという事実。自分はここから逃げられないという現実。喉から声なき悲鳴が溢れ、股間に濡れシミが広がった。
自身の窮地を理解し、ニコ・ロビンを人質に、とスパンダムが考えたことは、実に浅ましいが、彼が生き延びられる唯一の方法だから、選択と行動は正しい。
もっとも、その選択と行動は決して叶わない。
不細工面から血の気を引かせたスパンダムが、ニコ・ロビンを手中に収めようと立ち上がった瞬間。
今度は鉛玉がスパンダムの顔面を捉え、前歯を幾つかへし折り、再びぶっ倒した。
「ひぎゃあああああああ、にゃにがどーにゃってやぎゃんだぁっ!?」
姿も音もない狙撃に、スパンダムが血反吐をぶちまけながら怒号を上げる。
ためらいの橋の船着き場でクズが苦痛と恐怖に悶絶している間に、ロビンがゆっくりと上体を起こした。そこへ、狙いすましたように手元へ小さな包みが落ちてきて、包みの中から5本の鍵が覗く。
遠くに立つ司法の塔へ顔を向け、麻痺していたロビンの情動が息吹を取り戻す。胸中から熱い感情が込み上がり、涙腺が震え、美しい碧眼から涙を溢れた。
「――長鼻くん」
○
護送船から奪い取った短艇に仁王立ちしながら、ベアトリーゼは留飲を下げていた。
見聞色の覇気で全てを見ていた。
ロビンが一方的に打擲され、一方的に侮辱され、嬲られる様を。
長鼻坊主の狙撃がクズをぶっ飛ばし、ロビンを救う様を。
血管が弾けそうなほどの憤怒を覚え、艦隊なんぞ無視してスパンダムを八つ裂きにしに行こうかと今の今まで本気で検討していた。それでも、堪えた理由はロビンが耐え難きを耐えていたし、ウソップがやってくれると信じたから。
そして、ウソップは期待に応えた。
「長鼻坊主め。後で美味いもん食わせてやろう」
ベアトリーゼは大きく息を吐いて情動を整える。
海霧の向こうにそびえる超巨大門扉『正義の門』は完全に開放され、霧の中を大型戦艦の群が複縦陣で傲然と進んでくる。海軍紋が描かれた主帆を誇るように拡げ、両舷の外輪をぶん回し、威風堂々と。
蛮姫は肩越しに背後を一瞥する。
エニエスロビー全島を囲う防御柵。防御柵に設置された通航門。護送船が停泊するためらいの橋の船着き場。ためらいの橋。傷だらけの司法の塔。大滝。エニエスロビー本島。
ためらいの橋でロビンが口にくわえた鍵で解錠を試み。
ためらいの橋支柱塔内ではルフィとルッチが死闘を繰り広げ。
ナミとフランキーとココロ婆ちゃん達が地下道を駆け。
麦わらの一味の野郎共が司法の塔でワチャワチャやっており。
裁判所に立てこもったフランキー一家とその他が、海列車の停車場へ向かって撤退していく海兵達に戸惑っている。
原作通りなら、自分が何もしなくても、彼らは無事にこの島から脱出できる。これから行うことは完全に無駄なのかもしれない。これから失われる命は無意味かもしれない。
知ったことか。私がこの場に居る以上、これはもう私の物語だ。
ベアトリーゼは夜色の髪を掻き上げ、目尻に朱を挿した双眸を鋭く細める。
海霧の中で戦艦群が船首に備えた三連砲塔を蠢かせた。
艦隊前衛が防御柵と通航門に照準を合わせていく。艦隊突入路の啓開を兼ねた主砲の試射か。
艦隊後衛は目立つ司法の塔へ照準を向けた。どうやらメインマストの観測員が霧の切れ目から司法の塔頂上で焼けた旗と、ポージングしながら狙撃成功の凱歌を熱唱中のスナイパーマンを発見、司法の塔が陥落したと報告したようだ。
いずれにせよ、連中はエニエスロビーと麦わらの一味を焼き尽くすべく意気軒高だ。
自分達が狩られる側に回ることなど想像もしていない。
ふん。とベアトリーゼは鼻を鳴らす。
空島でエネルに強力な電撃を食らい、メルヴィユで
丁度良い。戦艦十隻と本部中将5人に有象無象の強者共。一切合切、試し切りの巻き藁にしてくれる。
見聞色の覇気で艦隊を探る。主砲斉射の支度が済んだようだ。
ベアトリーゼは悪魔の実プルプルの実の力を使い、世界へ干渉する。
グランドラインの島嶼は全て地磁気が強く、エニエスロビー島は大滝によって大気の流動摩擦が激しい。豊富な電磁気達を異能で誘惑し、尻を蹴飛ばし、周辺の電磁気密度を急激に上昇させていく。
丈の短いチャイナドレスの腰に巻いた装具ベルトのパウチを開け、護送船から持ち出した小銃弾を拳一杯に握りしめて取り出す。
直後。艦隊前衛が砲声の合唱を奏でた。
5隻の戦艦が艦首の三連砲塔から放った15発の大口径艦載砲弾が、風切り音を曳きながら通航門と防御柵を吹き飛ばすべく降り注ぐ。
ベアトリーゼは右手を鋭く振るい、掌一杯に握っていた銃弾を砲弾の群れへ向け、勢いよく投げつける。
銃弾で砲弾を打ち落とすことなど出来ない。物理法則的事実がそんなバカげた現象を否定する。本来は。
武装色の覇気でコーティングされた銃弾の群れは、プルプルの実の力で信管が感電発火して薬莢内炸薬が暴発。
薬莢から飛び出した漆黒の弾頭達が幾度も幾度も電磁気に蹴り飛ばされ、超加速しながら誘導ミサイルのように降り注ぐ砲弾へ向かって襲い掛かり、寸分違わず着弾。覇気の硬度で砲弾殻内を貫き、着弾衝撃で砲弾を誘爆させる。
宙に爆炎の花が乱れ咲き、飛散した砲弾片が海面に無数の小さな水柱を並べ、水面を白く波立たせた。
砲撃が防がれ、艦隊前衛から驚愕と困惑が伝わってくる。それでも、艦隊後衛が司法の塔を狙って砲撃。砲声の合唱が轟き、砲弾の群れが奏でる風切り音が続く。
ベアトリーゼは左手一杯に握った銃弾を砲弾の群れへ向かって再び投げつける。
再び宙に咲く爆炎の花。潮風に流されて宙に溶けていく黒い爆煙。
白い闇の向こうに映る大きな大きな船影の群れから、動揺と狼狽を感じ取り、
「この天と海の間には、お前達の思いもよらぬことがあるのだと教えてやろう」
ベアトリーゼはハムレットの台詞をもじって呟き、小舟の上で楽しげに喉を鳴らす。
○
時計の針が些か前後する。
損傷著しい司法の塔、頂上。
潮風が吹く中の長距離狙撃を成功させ、スナイパーマンは中腰ポージングしながらスナイパーマンのテーマソングを熱唱していた。
上機嫌のスナイパーマンが歌う司法の塔の足元では、
「流石っ!! ドンピシャだぜっ! 見たか見たか、うちの狙撃手の腕前をっ!」
望遠鏡越しに狙撃の成果を見届け、サンジが誇らしげに謳う。
「いつまで歌ってんだッ! 早く降りてこいっ! 先に行ったナミ達を追いかけるぞっ!!」
ゾロがズタボロの司法の塔を見上げて叫んだ。
刹那。
豪快な滝音に交じり、複数の鋭い風切り音が聞こえたかと思った直後。
エスエスロビーを囲う防御柵の手前、空中で大輪の爆炎が咲き、宙に黒煙が広がる。砲弾の破片が雨のように水面へ降り注ぎ、小さな水柱をいくつも並べ連ねた。
「砲撃っ!? だが、今のは――」
ゾロが空中炸裂した砲弾の群れに驚愕と怪訝を抱き、
「見ろ……っ! 正義の門とやらが全開になってるっ! 例のバスターコールとやらの艦隊が出てきたんだっ!!」
サンジは塔を見上げ、
「おい、ウソ……スナイパーマンッ!! やべェぞっ! 早く降りてこいっ!!」
叫んだ矢先。
再び大気を引き裂く音色が駆け、再び防御柵上で爆炎の大花が咲く。
ゾロとサンジは確信した。
間違いねェ。砲撃が迎撃されてる。
2人の脳裏に夜色髪の小麦肌美女が浮かぶ。と。
「あああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」
空から人騒がせな長っ鼻が落ちてきて、両翼の眼前の地面に叩きつけられた。
「あの高さから決死のダイビングをしたスーパーヒーローを受け止める優しさはねえのかッ!!」
普通なら死ぬところだが、平然と文句を垂れる長っ鼻。不死身かな?
「なんで投身自殺してんだよ、お前」サンジが呆れ顔で問えば。
「砲撃が来そうだから慌てて飛び降りたんだっ! お前らが受け止めてくれると信じてなっ! 見事に俺の信頼を裏切りやがって、このアホ共ォッ!!」
ぎゃーぎゃーと喚く長鼻マスク男。元気いっぱいだ。
サンジとゾロは深々と溜息を吐き、ゾロがスナイパーマンの襟首を、サンジがスナイパーマンの片足を引っ掴み、乱暴に運んでいく。
「いててててててっ! お前ら、功労者に対する気遣いと思いやりが足りねェぞっ!! もっとソフトに丁寧にゴージャスに運べっ!!」
苦情を申し立てるスナイパーマンを無視し、両翼は地下通路へ向かって駆ける。
「ベアトリーゼさん、本当に一人で艦隊と戦う気だぞ」
サンジは自身よりずっと強力凶悪なモノノケ女を案じて呟く。
「あの女はルフィ並みに無茶苦茶だ。何をしでかしてもおかしくねェ」
ゾロは確信を持って言った。
「厄介なことになる。これだけは間違いねェ」
○
超巨大な鋼鉄製海上門扉『正義の門』が全開となり、海軍本部から出撃したバスターコール艦隊は複縦陣でエニエスロビー島へ向かって進む。
大型戦艦10隻、一隻当たり1000名の海兵を乗せた大戦力は、エニエスロビーを瞬く間に砲火で焼き尽くす。はずだったが――
「第一試射、第二試射、いずれも空中炸裂を確認っ! 原因不明っ!!」
「試射によるエニエスロビー防御柵の啓開ならずっ!」
「何がどうなってるんだっ!? なぜ砲弾が空中炸裂したっ!?」
「わかりませんっ! 原因不明ですっ!」
戦艦の砲術班や観測班は戸惑いを隠せない。
正義の門周辺は海霧の絶えない海域のため、視界がよろしくない。動員された大勢の海兵達の中には六式遣いや覇気使い、能力者が少なくなかったけれど、それでも戦艦群の主砲弾幕が空中で撃破された原因を把握できず、艦隊は困惑していた。
「砲弾を迎撃されたな」
最先任将官として艦隊の指揮を執るドーベルマン中将がぽつりと呟く。
ドーベルマンは傷だらけの厳めしい面構えに視力を失って白濁した左目、巌のような体躯と、『歴戦』という言葉を具現化したような猛将である。
「霧の向こうにモノノケが潜んでおるようだ」
「確認殺害目標は海賊、麦わらの一味“約60名”とのこと。CP9が捕縛したニコ・ロビンの奪還にエニエスロビーを襲撃した、ということでしょう。となれば、砲撃を迎え撃った者の正体も見えてきますな」
傍らに控える強面の副官が言った。
ドーベルマン中将は小さく頷き「“血浴”のベアトリーゼか」
副官は首肯して続ける。
「防御柵を啓開できませんと、エニエスロビー本島を包囲できません。ただし、エニエスロビー全島が既に砲撃射程内ですので、絨毯砲撃に支障はありません」
「それでは“抜かり”が出る。防御柵を越え、本島を包囲して全方位から確実に焼き尽くす。それに……此度のバスターコールはニコ・ロビンの身柄を確保せよという条件付きだ。少なくとも、居所を確認せぬまま絨毯砲撃は出来ん」
「であれば、居所の確認が取れるまでの間に、在地の友軍を回収できますな」
副官の指摘にドーベルマンは無言で肯定した。
ドーベルマン中将は務めと責任に実直な男である。
任務を完遂するためなら、犠牲を厭わない(将帥の手腕とは、如何に敵と“味方”を効率よく死なせるか、であるから、単純に非情という話にはならない)。
しかし、ドーベルマン中将は海軍元帥センゴクが危惧したほどに愚直でも無かった。腹芸の不得手な生真面目な男であるからこそ、味方を犬死させることを良しとしなかった。
ただ、ドーベルマン中将は良くも悪くも武闘派だった。
「いずれにせよ、まずは霧の向こうに控える“血浴”の討伐だ。奴を討たねば、防御柵の啓開はならず、バスターコールもニコ・ロビンの確保も成らん」
ドーベルマン中将は艦隊前方に広がる海霧を、モノノケ女が潜んでいるであろう白い闇を注視した。
その時。霧の中から潮騒と艦隊が波を曳く音色に混じり、スローテンポの『酔いどれ水夫』の口笛が届く。冷たく淡いその音色は船を水底へ誘う
隻眼を細め、ドーベルマン中将は呟く。
「――来る」
Tips
ためらいの橋。
原作では、フランキーがロビン達に追いつき、ウソップが狙撃で男を上げた。
本作では、フランキーはナミ達と一緒に地下通路を移動中。橋の海兵は全滅済みなので、ウソップの狙撃は限られている。
スパンダム。
原作キャラ。ヘイトを稼ぎ中。
ロビン。
原作主役キャラの一人。ウソップの狙撃に助けられるところは原作と同じ。
バスターコール艦隊。
原作では、防御柵を吹き飛ばしてエニエスロビー島の周囲へ進入。司法の塔を砲撃しつつ島を包囲して、海兵を回収してから無差別砲撃を始めた。
本作では、ベアトリーゼの妨害によって防御柵を破壊できてない。
ドーベルマン中将。
原作キャラ。能力者ではない模様。原作とアニメで容貌が少し違うらしい。
人柄はオリ要素。
ベアトリーゼ。
艦隊潰しの時間だ。