彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
時計の針は昼飯時。ダイニングのテーブルに大皿料理が並ぶ。
山盛りされたミートボール入りボンゴレロッソ。大きな白身魚と貝とたくさんの根野菜の煮込み。揚げ海老のタルタルソース添え。
なお、テーブルに置かれた料理の量は明らかに人数分より多い模様。
野郎共が絶品のミートボールを一つでも多く食おうと、パスタを巻き取り合う。女子三人は争奪戦を横目に煮込み料理の魚を切り分け、美味いところを三人で分けちゃう。
勝ち取ったミートボールを摘まみながらゾロが航海士へ尋ねた。
「ナミ。件の海域まであとどれくらいなんだ?」
少し伸びた髪をショートポニーでまとめ、ノースリーブシャツとホットパンツ姿のナミが答えた。
「ココロさんの話だとウォーターセブンから一日から二日くらいの距離だって。一年中濃霧が広がってるから、遠目にも分かるらしいわ」
ボンゴレのトマトソースで口の周りを赤くしたウソップが皆を見回す。
「件の海域って?」
「ああ。ウソップはココロ婆さんから聞いてなかったか」
魚の頭を齧りつつ、ルフィが笑顔で告げた。
「俺達、これからオバケが出る海に行くんだってよ!」
「ウソップ。俺達が向かう海はな。毎年100隻以上が謎の消失を遂げる……さらに死者を乗せた船が彷徨うって評判なのさ」
わざわざ怖がらせるような声を作って語るサンジ。
「は――――――――――ぁっ!? なんでそんなおっそろしいところにぃっ!? やめようぜ!? 避けようぜ!? 迂回しようぜ!?」
目ん玉をひん剥いて吃驚を上げ、喚き散らすウソップ。チョッパーが「やっぱりそうだよな! 避けるべきだよな!」とウソップに賛同する。
期待通りの反応に一同は思わず笑った。
幽霊船と宝船の話に盛り上がりつつ昼食が終わり、食後のデザートにかぼちゃプリンが供された。
「「「あっま~い!」」」
ルフィとウソップとチョッパーがニッコニコ。
ナミとロビンも丁寧に下拵えされたかぼちゃプリンの上品な食感に美貌を華やかせ、ゾロも文句や減らず口などまったく言わずプリンを口に運ぶ。
「オメェ、料理の腕前だけは非の打ちどころがねェな」
「ホメるなら素直にホメろ」
フランキーに悪態を返しつつも、サンジはどこか得意げだ。
ベアトリーゼはかぼちゃプリンを楽しみつつ、密やかに頭を働かせていた。
たしか……魔の海域で骨男を仲間にして、次のシャボンディ諸島で一味があちこち分散しちゃうんだよな。で、ルフィは海底監獄インペルダウンを破って、頂上戦争に乱入して、一味は2年間の修業期間を得る、と。
その2年の間に一人で私の小さな物語を片付けちまえば良いか。先に“新世界”へ入っちまうけど、まぁ、彼らを巻き込むよりはマシでしょ。
となると……最大の厄介事は頂上戦争とエースか。
私にとってはどーでも良いんだけどなあ……
むしろ2年の自由行動時間を考えると、死んでくれた方が“好都合”まであるのよね。
ベアトリーゼはちらりとルフィを窺う。ニカッと太陽のような笑顔を浮かべている少年を見て、微かに眉を下げた。
でもなぁ……あの可愛い笑顔が激曇りするの、指をくわえて黙って見過ごすのは気が引けるしなぁ。仮に頼られたら、ノーとは言えないしなあ。
けどなぁ……助けたら助けたで絶対に厄介なことになるだろうしなぁ。
ああ、そもそもアレか。シャボンディでくまに飛ばされるかもしれないか。その場合、私はどこに? 他のメンツは『修行先』へ送られたけど、私は?
エースのこと”よりも”凄く気になるわぁ……
「なんか変なこと考えてる?」
気づけば、ナミが怪訝そうにベアトリーゼの顔を覗き込んでいた。
「んー……」
ベアトリーゼは椅子の背もたれに体を預け、しれっと騙る。
「年間100隻以上も行方不明になる原因は何かなって」
「そういや、ココロ婆さんも新聞も“なぜ”船が消失するかは言及してなかったな」
サンジが煙草に火を点け、紫煙を昇らせた。
「フランキーは何か聞いてないか?」
「……そーだな」
水を向けられたフランキーは顎先を撫でながら思案し、
「元々ここらの海は酷く難しい。だからこそ、俺の師匠が海列車を開発するまで、この辺りの島はどこもショボくれてたわけよ」
「海列車が通ったことで、沿線一帯の交流が活性化して経済が隆盛したそうね」
ロビンの指摘に我が意を得たりと大きく頷き、話を続ける。
「ああ。海列車のおかげで島々の往来が簡単で安全になったが、海そのものが変わったわけじゃねえ。ここらは昔と同じく難しいまんまだ。そこに大海賊時代っつう時勢も手伝って、アホ共が次から次へとやってきては遭難するって具合だな」
「なるほど。年間100隻以上ってのはそういう事情もあるのか」
ゾロは食後の茶を嗜みつつ納得した。
世は大海賊時代。四海でもグランドラインでも海賊として海へ出ていくバカアホマヌケが絶えない。なんせ俺達も沿岸遊覧船でグランドラインへ乗り込んだ命知らずだ。
はいはい! と手を挙げて意見を述べるウソップ君。
「海難事故が原因なら、乗員だけが消えた船って話は出てこねェだろ」
「それの答えは一つでしょ」
ベアトリーゼがアンニュイ顔に薄い笑みを浮かべる。
「フロリアン・トライアングルの中に、船を狙って襲う奴らが居るのさ」
「オバケだな!」「オバケかぁ!?」
はしゃぐルフィ。怖がるチョッパー。好対照な反応を返す船長と船医へ、ベアトリーゼは言った。
「オバケの有無は分からないけど、可能性として高いのは2つ。
1、空島の海でシャンディアが青海の船を襲っていたように、フロリアン・トライアングル内の住人が襲ってる。
2、フロリアン・トライアングル内を狩場にしてる海賊がいる」
「えー、そんなのつまんねェよ。俺はオバケが良いっ!」
「いやいや……危険海域を縄張りにしてるような奴らだって十分嫌だぞ」
ぶー垂れるルフィ。げんなり顔で嘆くウソップ。
「ビーゼの仮説通りなら、事態はもう少し深刻よ」とロビンが横からウソップへ告げる。
「し、深刻って?」「ど、どういうことだ、ロビン?」
聞きたくなさそうに、でも聞かずにいるのも不安、という複雑な顔でウソップとチョッパーがドキドキしながら問う。
「もしもビーゼの仮説通り、フロリアン・トライアングルを狩場にしている者達がいるなら、これまで多くの船を襲いながら、正体をまったく露見させなかったことになるわ」
「かなりの手練れか」ゾロがにやりと口端を歪め「面白くなってきた」
「オバケの方がぜってー面白いっ!」あくまでホラー体験を期待するルフィ。
「どう転んでも最悪な予感しかしねえ!」「俺達こんなのばっかり!!」
慨嘆するウソップと悲嘆するチョッパー。
「今度も大騒ぎになりそうね……」
はあ、とナミが悩ましげな吐息をこぼせば、エロコックがすかさず動く。
「大丈夫さ♡ 何が起きてもナミさんの身は俺が命に代えても守るから♡」
皆が食後のデザートを平らげ終え、話が一段落ついた時には、ベアトリーゼが怖い思案顔を作っていたことを誰も覚えていなかった。
○
午後。ベアトリーゼがウソップ達と共に甲板磨きと索具の清掃をしていると、マスト楼で周辺監視をしていたゾロが拡声器で告げた。
『進行方向の海面に何か浮いてるぞ』
なんだなんだと手を止めて水面を窺えば。
幟を掲げた大樽が波に揺られて、どんぶらこっこどんぶらこっこ。
麦わらの一味は迷うことなく幟付きの大樽を確保。甲板へ引き上げた。
「宝って書いてあるな。ひょっとして宝船の落とし物か?」
ワクワク顔のルフィとウソップとチョッパー。
「残念。お酒と保存食よ」
「開けてもねェのに、なんで分かンだよ!」
後船楼の手すりからナミが言った。期待に水を差されたカタチになり、ルフィがぶー垂れる。
「海神御宝前って書いてあるでしょう? それは『流し樽』といって誰かが航海の無事を祈って、海の神にお供え物をしたということよ。宝前は神様へ、という意味」
ロビンは長袖のミニワンピースに網タイツ姿と解説する仕草が相まってなんかエロい。
相変わらず謎の世界観に混乱させられるわ……。ベアトリーゼがそんなことを思う傍ら、ゾロがさらっと提案する。
「中味が酒なら飲んでみようぜ」
「お供えモンだぞ。バチが当たらねェか?」意外と迷信深いウソップ。
「お祈りすれば呑んでも良いのよ。で、呑んだ後は空樽にまた新しいお供え物を入れて流すのがならわしね」
「俺は神には祈らねェぞ」
ナミの説明に男前な顔つきで鼻息をつくゾロ。
「ま、とりあえず開けてみようや」
「賛成! 神様、おやつ貰うぞーっ!」
フランキーが話を進め、空島で『神』をぶっ飛ばしたルフィが樽の開封を試みる。
頑丈に縛られた綱を解き、ガポッと蓋を開けた。
刹那。樽の中で仕掛けが目覚め、発射筒に点火してボンッと勢いよく“それ”を射出した。
乾いた炸裂音が響くと共に、サウザンド・サニー号の頭上で赤い光が煌々と輝く。
「!? なんだぁっ!?」
皆の口から吃驚と疑問が漏れる中、赤光が空に溶けた。ロビンが美貌を険しくして呟く。
「発光弾……ただの悪戯なら良いけど……」
「罠かもね。“獲物”の位置を探る類の」
ベアトリーゼはロビンの懸念を拾い、改めて樽の中を覗き込み、
「蓋につないだワナ線が引っ張られると、樽の中の発射筒が起動する仕掛けだな」
樽の中から発射筒を取り出す。点火機構はワナ線で撃針が動いて発射筒を撃つ作りらしい。
フランキーがサングラスを額に上げ、ベアトリーゼが持つ発射筒をまじまじと窺う。
「嵐とかに強く揺られても誤作動せず、水気や潮気に錆びずシケらず。工作精度も上々。こいつをこさえた奴ぁ良いウデしてるぜ」
「周囲に船は見えないぞ」「ロ、ロビンの早とちりじゃねえか? この慌てんぼさんめ!」
双眼鏡を持ち出して周囲を窺うチョッパー。異常が見られず、ウソップが安堵の息を吐く。
確かに、怖がりコンビの言葉通り周囲に船影はない。が、ナミが可憐な細面を強張らせ、風上を睨む。
「――皆、持ち場に急いでっ! このままだと5分後に大シケとぶつかるっ! 2時の方角に向かってっ!!」
「ナミが言うなら間違いねぇ……っ! 皆急げっ!」
船長の号令一下、一味は大急ぎで嵐を避けるべく持ち場へ分かれ、操船作業を始める。
そして、一味が急いで作業を進め始めるが早いか、鈍色の雲が青空を覆いだし、徐々に波が強くなっていく。挙句は雲が空を覆い尽くす前に、気の早い雨がぱらぱらと降り始め。
ナミが予報した5分後には、雷が轟く大嵐に化けた。
大きな波に揉まれ、サウザンド・サニーが右へ左へ、上に下に、と大きく揺れる。前甲板で舵輪を握るベアトリーゼが暴風雨の轟きに負けじと叫ぶ。
「風が強すぎる! 舵じゃ針路を維持できないっ!」
「ダメだ……完全に向かい風に捕まっちゃったっ!」
後船楼の手すりを掴み、全体に指示を飛ばしていたナミが悔しげに唸る。
「問題ねぇ! こんな時のソルジャードックシステムだぜっ!!」
フランキーが宇宙戦艦の技術班長みたいな調子で宣う。
「そっか! その手があったわね! 皆、帆を畳んで!!」
「おっ! アレだなっ!」「待ってましたっ!!」「キターッ!!」
ナミの号令にルフィやウソップ、チョッパーが歓声を上げ、大急ぎで全ての帆を畳む。
嵐に揉まれながらせっせと帆を畳み、準備完了。
「ソルジャードックシステム稼働っ! チャンネル・ゼロッ!!」
フランキー製驚異のメカニズムが動き出す。船底のシリンダー式船倉がウィーンと駆動音を奏でて回転し、船体両舷側のハッチが『1』から『0』へ替わった。『0』の船倉ハッチがガララと開放され、外輪が船外へ押し出される。
「
ズババババッと外輪が荒れる水面を掻き始め、フランキーの誇らしげな雄叫びが船上に響き、
「かっちょいっ!!」「うおーっ! 最高だぜっ!」「かっこいーっ!!」
面白ギミックを目の当たりにし、ルフィとウソップとチョッパーがキッズハートをピッカピカに輝かせながら大喝采。両翼も男子心を刺激されたのか表情が明るい。
「これで風を気にせず進めるわね」「高浪を浴びて外輪がもげなければいいけど」
やんややんやと盛り上がる野郎共とは対照的に、ナミとロビンはどこまでも冷静で。
「コーラエンジンってなんだよ。最初から汽帆船で良いじゃん。変形とか無駄だろ」
ベアトリーゼは前世の知識や学識がまったく通じないギミックにヤサグレていた。
ともあれ、外輪船モードのサニー号は荒波をものともせず快足を発揮。ナミの指示通りに大きく波打つ嵐の海域を強引に駆け抜けていく。
徐々に雨足が鈍くなり、吹き荒れていた風も弱まり、雷鳴が途絶えた。
しかし、嵐を越えても青空も太陽も見えない。
なぜなら、麦わらの一味を乗せたサニー号は濃霧の中へ入り込んでいた。いまだ大きくうねる水面に揺られつつ、一味の面々は船の前後甲板や舷側に立って周囲を窺うが、濃密な霧に妨げられて何も見えない。
そして、不気味なほど静かだった。海面の動きは大きいのに波の音も風の音も聞こえない。
暗い静寂を見回しながら、ゾロが呟く。
「まだ夜になっちゃあいねェはずだが……雰囲気が出てきたな」
「例の海域に踏み込んだ、てことかしら」
ゾロの呟きへ応じるようにナミが相槌を打てば、フランキーがサングラスを額に上げて頷いた。
「ああ。ここはもう有名な魔の三角海域。怪奇の海だぜ」
「マジかよっ! 急いで悪霊退散グッズと魔除けアイテムで身を固めねばぁっ!!」
「ウソップ、それ俺にも貸してくれよおっ!」
悲鳴を上げるウソップとそんなウソップに縋りつくチョッパー。
「幽霊船はどこかなっ!? 皆、幽霊船を見つけたら教えろよーっ!」
ウッキウキのルフィ。テンション激高。
ぎゃーぎゃーと喚く小僧達を余所に、見聞色の覇気を展開して周辺を探っていたベアトリーゼが鋭い声を発す。
「後方から何か来る」
弾かれたように全員が船尾へ顔を向け、見た。
分厚い濃霧を掻き分けながら近づいてくる大きな影を。
息を飲む少年達と少女。なお船長は期待で胸を高鳴らせている御様子。フランキーは固唾を呑み、ロビンも注意深く影の接近を見守る。
大きな影はギシギシと木材の軋む音色を乳白色の闇に広げながら、ゆっくりと近づいてくる。少しずつ影の輪郭が鮮明になっていき、その姿を露わにした。
マストも帆も船体も酷く損傷し、何もかもが損壊した巨大ガレオン。
そして、その幽鬼のような巨大ガレオンから、
ヨホホホー……♪ ヨホホホー……♪
確かに鼻歌が聞こえてきて。
サニー号の傍らを通り抜けていく幽霊みたいなガレオン船。その舷側に、居た。
『ビンクスの酒』を歌いながら、こちらを見下ろす骸骨が。
「出たぁ――――――――っ!! 幽霊船だぁ――――――――ッ!!」
誰も彼もが目ん玉を限界までひん剥いて驚愕の阿鼻叫喚。冷静沈着なロビンですら愕然と凍り付いていた。
未知を前に驚愕する一味を余所に、既知のベアトリーゼは淡白だった。
原作チャート通りにスリラーバーク編開始だな。
○
当然、ルフィは迷わず幽霊船へ乗り込もうとした。好奇心の塊がこんな面白愉快な事態に我慢できるわけもない。
そんなルフィの後ろ襟を掴みつつ、ゾロは木片でクジを用意した。
「全員くじを引け。ルフィと一緒にあの船に行く奴を決めるぞ」
だって、希望者はルフィだけではない。
技術者的興味と関心を刺激され、フランキーは怪奇現象の正体を暴こうと企み。
知識欲のために世界へ喧嘩を売ったオハラの遺児ニコ・ロビンが、こんな摩訶不思議な事態を看過できるはずもなく。
ベアトリーゼは「金目のもんが何か残ってるかな」と欲の皮を突っ張らせ。
サンジもサンジで何がどうなっているのか知りたい。
ゾロはゾロで『そういや幽霊は斬ったことがねぇ』と物騒な独り言を漏らす始末。
希望者達の願い通りにしてしまうと、怖がり三人組――ナミ、ウソップ、チョッパーだけサニーに残されちゃう。
というわけで。
好奇心が爛々のルフィ。嫌すぎて半べそ顔ナミ。ルフィのストッパー役ではなくナミの護衛役を優先するサンジ。の3人が幽霊船へ乗り込んでいく。
当たらずに済んだウソップが神様に感謝し、チョッパーが安堵のあまりへたり込む。
ベアトリーゼは小癪な胸を挟むように腕を組み、フランキーとロビンへ水を向ける。
「外から見て分かることは?」
「船首のバウスプリットは西の海から来た船によく見られる型だったな。砲列甲板から見えた砲の錆び具合や船体の劣化風化具合から見て……ウン十年は前の船だろう。よくまぁ浮いてられるもんだ。普通ならとっくに沈んでるぞ」
超一流の船大工にして造船技師であるフランキーが語り。
「ぼろぼろのマストに掛かれたマークは交叉する骨に牛頭骨だった。フランキーの話と合わせると、数十年前に西の海から来た海賊の船といったところかしら」
考古学者のロビンは得られる情報が少なすぎるのか、博覧強記な知識を活かせない。
ルフィ達はワーワーと(主に怖がりなナミが)騒ぎながら幽霊船の舷側を登り、船上へ進入。サニー号から姿が見えなくなった。
「仮に。仮にだぜ?」ウソップが心底嫌そうな顔で「あの船にオ、オバケが居たら、どうする?」
「本当にオバケが居たら? そりゃ……」ベアトリーゼは思案して「ルフィ君が捕まえてくるんじゃない?」
「あり得るな。とっ捕まえたオバケを抱えてよ、満面の笑みで俺達へ見せに来るぜ」
「呪い殺されなければ、間違いなくそうするわね」
フランキーはまだ付き合いの浅いながらも確信した面持ちで頷き、ロビンは頬に手を添えながら想定を告げる。
「悪霊退散グッズと魔除けアイテムを用意してくるっ!!」
「お、おお、俺にも貸してくれーっ!」
ウソップが船楼へダッシュ。その背中にひっつくチョッパー。
怖がりコンビを横目に見送り、ゾロは腕組みしながら巨大ガレオンを見上げる。ベアトリーゼへ尋ねた。
「……何やら騒々しいな。どうなってるか、分かるか?」
「知らない方が楽しめると思うよ」
ベアトリーゼのチェシャ猫みたいな微笑に、ゾロは苦虫を口へ突っ込まれたようにしかめ面を作る。
「つまり厄介なことが起きてるってことか……」
ルフィが『お土産』を持ち帰るまで、あと少し。
Tips
幽霊船。
幽霊船の伝承自体は大航海時代以前から存在するが、有名な逸話は19世紀や20世紀初頭が初出らしい。
ミートボールパスタ。
ルパン三世『カリオストロの城』を見たら、一度は食べてみたいと思う料理。
魔の三角海域
原作では『三角地帯』と記されている。その理由はおそらく……
海神御宝前
ワンピース世界の宗教とか文化的世界観とかどうなってんの。
ソルジャードックシステム
ベアトリーゼをヤサグレさせるフランキーお手製の驚異のメカニズム。コーラエンジンってなんだよ。なんなんだよ。
ベアトリーゼ
現状、エースを助ける気が乏しい25歳。