彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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198:怪奇! 動くガイコツ男!

「ヨホホホホホホッ!! ハイどうも、皆さん!! ごきげんよう!!」

 

 ルフィが幽霊船から帰ってきた。げんなり顔のナミとサンジが続く。

“客”も一緒に。

 えらく上背のある男で、2メートル半以上あるだろう。非常にスリムな体をかなりくたびれた黒の上下とオレンジのシャツに青いスカーフタイで飾っている。立派なアフロにちょこんと黒いハットを乗せ、いなせなステッキを手にしたそいつは。

 

 骨だった。肉も皮も一切ない。見事な骸骨だった。

 

「この度、この船で御厄介になることになりました! “死んで骨だけ”ブルックです! どうぞよろしくっ!!」

 陽気な調子で挨拶するアフロガイコツことブルック。

 

「ふざけんな!! なんだコイツはぁ!?」

 ゾロとフランキーが当然のツッコミを入れ、

「ぎゃあああっ!? ガイコツが動いて喋ってるぅっ!!」

「悪霊退散悪霊退散っ!! 成仏しろ成仏してください!」

 十字架を掲げて恐慌状態に陥るチョッパーと手を合わせて祈り始めるウソップ。

 

「骸骨ね」「骸骨だ」

 眼前の現実を受け容れて冷徹に観察を始めるロビン。現物の奇々怪々さに唸るベアトリーゼ。

 

 そんな大人の美女2人に気付いたブルックはアフロの上にちょこんと乗っかっているハットを取って礼儀正しくご挨拶。

「おや、お美しいお嬢さん方!! はじめまして、ブルックです! ところで……パンツ、見せてもらってもよろしいですか?」

 

「やめんかセクハラガイコツッ!!」

 ナミが履いていたブーツを脱いでブルックの頭に投げつけた。その背後ではチョッパーとウソップが十字架を掲げ、数珠を握りしめ、いーかげんな御祓い言葉を並べている。もう何が何やら。

 

「おい、ルフィッ! なんなんだこいつはっ?!」

 ゾロが双眸を三角形に吊り上げながら船長を問い質せば。ニシシとルフィが無邪気な笑顔を返す。

「面白れェだろ? 仲間にした」

 

「したじゃねェよ! 認めるかっ!!」

 怒れる猛犬さながらにルフィへ叱声を浴びせ、ゾロはナミとサンジへ噛みついた。

「オメェらはいったい、何のためについてったんだ!? こういうルフィの暴走を止めるためだろうが!!」

 

「「返す言葉もございません」」

 副船長のお叱りにぐうの音も出ない2人。

 

「ヨホホホ! まあまあ。落ち着いて。どうぞ船内へ。丁度良い時間ですし、ディナーにしましょう!」

「テメェが決めんなっ!!」

 でも、本当に良い時間だったので、一味は骸骨野郎を客に迎えて夕食を採ることになり申した。

       ○

 

 怪奇なガイコツ男ブルックを迎えての賑やかな夕餉が終わり、食後の喫茶が配られる。

 

「ヨミヨミの実……お前、能力者なのか」

 ルフィは紅茶の熱さに注意しつつ、ブルックの語った言葉を繰り返す。

 

「ええ、ええ。そうなのです。私、実は数十年前に一度死んでいまして」

 ブルックはさらっととんでもないことを言う。

「ヨミヨミの実とは“ヨミがえる”……つまり『復活人間』として二度の人生を約束されるという不思議な能力でしてね」

 

 自身が食した悪魔の実を大雑把に説明し、ブルックは自身に起きたことを、麦わらの一味へ語って聞かせる。

 

「私はその昔、海賊だったのですが、あの船で仲間達と共にここ魔の海域へ足を踏み入れた際、恐ろしく強い同業者と出くわしてしまい、戦闘で我々は全滅。私もその時に命を落としました。

 

 生きている間はただカナヅチになるだけのヨミヨミの能力は、その日、ついに実の能力を発動しました。私の魂は黄泉の国より現世へ舞い戻ったのです。この時、すぐに自分の死体へ入れれば普通に蘇ったはずですが……御覧の通り、この海は霧深く迷ってしまいました。

 

 霧の中、自分の体を探して彷徨うこと一年! ようやく発見した時には我が身は既に白骨化済み! いやあ、これにはびっくりして思わず目が点になりましたよ! 目玉は無いんですけども! ヨホホホッ!」

 

 ブルックは己の死も仲間の死も、我が身に起きた想定外の事態も、悲愴感無くそれどころか陽気に語り、ジョークまで飛ばす。どうやら『過去のこと』と消化しているようだ。

 

 骨男の話を聞き、フランキーは太い腕を組んで唸る。

「それで動く骸骨の完成か。白骨になっちまっても蘇っちまうところが、悪魔の実の恐ろしいところだな……」

「もはや呪いじゃねェか」サンジがドン引き顔で呟く。

 

「しかし、白骨死体は普通、髪は残らねェだろ。そのアフロはどうなってんだ?」

「毛根が強かったんです」

 ゾロの疑問にしれっと答えるブルック。

 

「いや、髪の毛以前にあるでしょ。ヨミヨミの実とやらでガイコツになっても動けるのはともかく、消化器もないのに食事するってどういうことよ。飲み食いしたもんはどこに行ったのさ?」

 ロビンの隣で珈琲を嗜んでいたベアトリーゼが口を開く。骨男を見つめる満月色の瞳は知的好奇心が見え隠れしている。

 

「さぁ? その辺は考えたこともありませんね。なんせ私……脳ミソが無いガイコツなので! ヨホホホッ!」

 あっけらかんと笑い飛ばす髑髏男。表情筋が無いのに表情豊かだ。

 

「やっぱりお前、オバケなんじゃねーか?」おずおずと指摘するチョッパー。

「ええっ?」ブルックは当惑して「やめてくださいよ。私、オバケ大嫌いなんですから。そんなもの見たら泣き叫んじゃいますよ!」

 

「あんた、鏡見たこと無いの?」

 ナミが手鏡を出してブルックへ突きつければ。

「あーっ!? 鏡はダメッ! 鏡は向けないでくださいっ!」

 アフロガイコツは驚くほど大きく狼狽して。

 

 チョッパーとウソップの吃驚が食堂に響き渡った。だって、ナミの手鏡に骨男がどこにも映っていないんだもの。

「お前、なんで鏡に映らないんだっ!?」

 ウソップがハッと気づく。

「よく見りゃ影もねェじゃねえかっ!! お前、ホントにいったい何なんだよっ?!」

 

 幽霊船に乗って魔の海を彷徨う動くガイコツで、鏡に映らず影もない。あまりにも摩訶不思議で奇々怪々。

 驚きと戸惑いと警戒と不安が漂う中、ブルックは一味の動揺に反比例して冷静さを保ち、ポットに白骨の手を伸ばしてカップへ紅茶を注ぐ。

 

「全てを語るには……私がこの海を漂った時間はあまりに長い。私がガイコツであることと、影が無いことはまったく別のお話なのですよ」

 ふ、と息を吐き、ブルックは言った。

「次回に続く」

 

「話せ! 今!」

 サンジの怒声を浴び、ブルックは『ナイスツッコミ』と御機嫌に応じてから、静かに告げる。

「……影は数年前、ある男に奪われました」

 

「奪われた!? 影を!? そんなことがあんのか?」

「あります。影を奪われると光ある世界……陽の下に存在できなくなるのですよ」

 フランキーの指摘に、ブルックは紅茶を嗜んでから頷いた。

「影を失ったものは直射日光を浴びると体が消滅してしまう。同じく影を奪われた誰かが太陽の下、灰のように消えていく様を目の当たりにしたこともあります。光で地面に映るはずの影が無いように、鏡や写真などに私の姿が写ることもありません」

 

 理解が追いつかず戸惑う若者達へ、ブルックは笑顔――ガイコツなのに誰の目にも笑っていると分かる明るい調子で言った。

「つまり! 私は光に拒まれる存在! 仲間は全滅! 死んで骨だけブルックです! どうぞよろしく!」

 

「そんだけ散々な目に遭って、なんで明るいんだよ……」呆れ気味にサンジが指摘すれば。

「ヨホホホッ! それはですねー今日はとても素敵な日だからです!」

 ブルックは言った。単純明快に。

 

「人に逢えたっ!!」

 

 その言葉に込められた感情の大きさに、麦わらの一味は誰もが大きく目を見開く。

 呆気にとられる皆を余所に、ブルックは歓喜と興奮を込めて語る。

「日の変わり目すら分からぬこの霧深く暗い海で、たった一人舵も帆も利かぬ大きな船に、揺られ彷徨い続けて数十年。稀に出会う船にも人は無く。ただただ孤独の……死にたくなるほどの淋しさの日々でした!!」

 

 明るく軽い調子で紡がれる言葉。その内容は全然明るくも軽くもない。

 然して、麦わらの一味はブルックの言葉に共感してしまった。

 

 なんせこの一味の面々は孤独と愛別離苦の痛みを知っている。

 ルフィもゾロもナミもウソップもサンジも、愛する者や大事な者や大切な者と別れ、孤独感や寂寥感に涙した経験があった。

 チョッパーはドクター・ヒルルクに出会うまで独りぼっちの名もなき青鼻トナカイだった。

 ロビンは故郷を脱してからベアトリーゼに出会うまで独りぼっちで悪意と敵意に塗れた世界を生きてきた。

 フランキーは自身のせいで失ったものの大きさに苦しみ続けてきた。

 ベアトリーゼも孤独な人間だった。庇護者だった少女を失って以来、他人を一度も信じたことが無い。ロビンに出会うまで今生で友人を持ったこともない。

 

 一味の面々が大なり小なり感傷的な気分に駆られた、刹那。ガイコツ男はしんみりした空気を吹き飛ばすように朗々と宣う。

「ですが、長生きはするものですね! 私にとって貴方達は数十年振りの喜びそのもの!! 涙さえ涸れていなければ泣いて喜んでいたでしょう!」

 

 感謝の言葉を紡ぎ、ブルックはルフィへ向き直り、礼儀正しく述べた。

「貴方が私を仲間に誘ってくれましたね。本当に嬉しかった……どうもありがとう」

 しかし、続く言葉はルフィの期待を大きく裏切った。

「けれど、断らねばなりません」

 

「えーっ!? なんでだよっ!!」素直に不満を露わにするルフィ。

「先ほども話したように、私は影を奪われて太陽の下では消滅してしまう身。この魔の海から出ることは叶いません。私はここで“影”を取り返せる奇跡の日を待つことにします! ヨホホッ」

 

 仲間にはなれない。共に旅は出来ない。その理由を聞かされても、この面白ガイコツを仲間にする、と決めた以上、ルフィは納得なんてしない。

「何言ってんだよ、水臭ェ! 俺がお前の影を取り返してやるよ!! どこの誰だ! どこにいる奴だっ!!」

 

 ブルックは空っぽの眼窩に心地良い当惑を宿す。

 この麦わらの少年は本気で自分のために戦うつもりらしい。一味の面々も少年の決断に否を唱えない。いまだ腰が引けている長鼻の少年やタヌキ……? なチビッ子も自分の影を取り戻す手助けをすることに異論がないようだ。

 なんて気持ちの良い若者達だろう。

 

「貴方は……いえ、貴方達は本当に良い人ですね。しかし、言えません。会ったばかりの貴方達に『私のために死んでくれ』などと頼めませんよ。それに……当てもないのです。なに、貴方達と出会えたように、いつか機会が巡ってくるでしょう」

 ブルックが若者達を諭すように謝絶の言葉を並べ、ルフィがなおも言葉を募ろうとした矢先。

 

 狙いすましていたように、蛮姫が物語へ手を伸ばす。

「……ロビン。私達が西の海で活動していた頃、グランドラインへ消えた大海賊の噂があったの、覚えてる?」

 

「唐突に何の話だ?」

 ロビンが答えるより早く怪訝顔のウソップが食いつく。この野蛮人が”爆弾”を落としそうな予感がしたのかもしれない。

 

 ベアトリーゼはカップを口に運んでから、満月色の瞳にけれん味を宿す。

「ミスター・ガイコツの影を奪った下手人。同時に、この魔の海で船や船員が消滅する元凶。こいつは多分、同一人物で私とロビンが昔、噂に聞いた奴だと思う」

 

「知ってんのか!?」

 勢いよく食いついたルフィにベアトリーゼは答えず、ロビンへ目配せした。厄介な回答権を押しつけられたロビンは小さく息を吐き、目線を注ぐ皆へ言った。

「……ゲッコー・モリア。王下七武海の一人よ」

 

「ブルックの影を奪ったの、王下七武海なのかよっ!?」吃驚するウソップ。「俺達、王下七武海と縁があり過ぎだろっ?! 関わんの三人目だぞ!」

 ベアトリーゼは思う。私のコネ関係を含めれば、くまと蛇女も含まれるんだよなぁ。

 

「ち、ちなみにそのモリアの懸賞金は……?」

 ナミが恐る恐る問い、ロビンは御愁傷様とも聞こえそうな口調で返す。

「王下七武海に登録された時の賞金額はたしか3億2000万ベリー」

 

「あの人、そんな高額賞金首だったんですかぁっ!?」

 ブルックが顎骨が外れそうなほど驚き、身を大きく仰け反らせた。

 

「オメーが知らなかったのかよっ!?」

「いやぁ何十年もこの海域を彷徨っていたので、“最近”のことはどうも疎くて……」

 アフロをもさもさと掻くブルックへ、ツッコミを入れたサンジはルフィを指差す。

「ちなみに、こいつはそのモリアとかいう奴より高額の賞金3億4000万だ」

「ええーっ!? 3億4000万ーっ!?」

 驚愕するブルックと紹介されてニシシと得意げなルフィ。

 

「で、そちらのベアトリーゼさんはもっと高額の4億6000万だ」

「ええええええーっ!? このお美しいお嬢さんがっ!?」

 ガイコツ男にドン引き顔(白骨だが)を向けられたベアトリーゼは、ひらひらと手を振る。

「そっちの緑髪の彼は1億2000万。他の面々も7桁越えだよ。ドクトル・チョッパーは違うけど」

「ちくしょー!! なんで俺だけ50ベリーなんだよー!!」と不条理に憤慨するチョッパー。

 

 賞金総額11億6500万とんで50ベリー。気の良い若者達がとんでもない海賊一味と分かり、ブルックは唖然となっていた。

 それでも何とか気を取り直し、居住まいを正してルフィへ向き直る。

「貴方達が強者揃いということは分かりました。ですが、相手が影を奪いとる危険な大物海賊ということに変わりはありません。それに、出会ったばかりの貴方達を巻き込むわけにはいきません」

 

 そして、ルフィが反論を試みるよりも早く、強引に、ブルックは話題を変えた。

「“そんなこと”より、今日の良き出会いを祝して歌いませんか!? 私、元は“音楽家”をやっていたんです!」

 

「何ィ――ッ!? ほんとかよっ! 頼むから仲間入れってっ!! 王下七武海だろうと何だろうと俺がぶっ飛ばしてやっから!!」

 海に出たばかりの頃から音楽家を仲間にしたがっていた船長は声を大にして、改めて勧誘する。極めて熱烈に。

 

 ブルックは自慢の楽器ケースを開き、美しいバイオリンを取り出して振り返り、

「ヨホホッ! では楽しい舟歌を一曲いき………ギャアアアアアアアアアアッ!?」

 悲鳴を上げた。

 

 なんだあ、とブルックの目線――目玉は無いが――を追って一味が振り返れば。

 壁から半透明の何かがにゅるりと生えていた。

「うわ―――――――っ!? なんかいるぅ――――――――っ!!」

「オバケだぁ――――――――――っ!!」

 皆の吃驚と悲鳴とルフィの歓声が食堂に轟き響いたため、「来たな」と蛮姫が小さく呟いたことに気付いた者はいない。

 

 直後。

 

 船外から分厚い金属が軋み擦れるような大きな音が届き、サニー号が大きく揺れた。

 オバケの登場に続く異変に誰もが混乱する中、

 

「! なんてことっ!! まさか……この船はもう監視下にっ!?」

 ブルックは船楼外へ飛び出し、“それ”を目にして思わず歯噛みした。

「やられた……っ!」

 

「なんだありゃあっ!?」

 ガイコツ男の背を追って表に出てきた麦わらの一味は“それ”を目の当たりにし、今日何度目かとなる吃驚を上げる。

 

 サニー号の眼前。濃密な霧の中に現れた“それ”は、まるで歯列のようだった。それも歯の一本一本がサニー号並みに大きい。

 

「もしや、貴方達は『流し樽』を拾ってしまいましたか?」

 ブルックが今までの陽気さが嘘のように切羽詰まった調子で問い詰めれば。

 

「あ」と少年少女が顔を強張らせ。

「やっぱり罠だったか」「そうみたいね」

 大人の美女2人は冷静、というかどこか他人事のように淡白なやり取りを交わす。

 

「み、皆、後ろ……! 後ろ見ろぉっ!!」

 ウソップがサニー号の背後を指差しながら喚き散らし、慌てて振り返った少年少女達と船大工があんぐりと口を開いて驚愕する。

「そんな……この船はずっとここに停まってたんだぞ」

「なんで島が目の前にあるんだぁっ!?」

 ごくりと生唾を呑み込むサンジの隣で、フランキーがヤケクソ気味に吠える。

 

 そう。サニー号とブルックの船の背後に、島がそびえていた。

 夕食前までは確かに何も存在しなかったというのに、今や霧の向こうに石造りの建物や梢が連なる樹々の影がはっきりと見える。

 霧深き魔の海域。幽霊船。動くガイコツ。影を奪う大海賊の話。幽霊。そして、突如現れた島。

 まるで怪奇小説の中へ迷いこんだような状況に、誰も彼も頭が追いつかない。唯一人蛮姫だけは密やかな冷笑をこぼしていたけれど。

 

「あれはこのフロリアン・トライアングルを彷徨う幽霊島(ゴーストアイランド)、スリラーバーク!!」

 ブルックが罵るように島へ向かって吠えた。

 

「彷徨う島?!」ナミは慌てて腕に巻いた記録指針を確認し「で、でもログは何も反応してないわ!?」

「そちらのお嬢さんが先ほど言っていたでしょう? あの島は西の海から持ち込まれたもの。島の姿をした“(バーク)”なのです」

 ベアトリーゼをちらりと窺ってから、ブルックは呵々と高らかに笑う。それは闘志と戦意を宿した笑い声だった。

「今日はなんと幸運に満ちた日っ! 素晴らしき人達に出逢えただけでなく、私の念願まで叶うとはっ!! ヨホホホッ!!」

 

 後船楼前から船首へ軽々と跳躍し、

「貴方達は今すぐあの門を何とか打ち破り脱出を。絶対に上陸などしてはいけませんよ。私は今日、貴方達に出会えてとても嬉しかった。貴方達のこと、一生忘れませんっ!!」

 ブルックは一味へ向き直り、帽子をとって深々と一礼した。

「では、また!! ご縁があれば、どこかの海でっ!」

 

 別れの言葉を述べ、呼び止めるルフィ達の声を振り払うように水面へ飛び降り――そのまま海面を駆けていく。

「すげえっ!」チョッパーは目を真ん丸にして「海の上を走ってるっ!!」

 骨だけの身軽な身体は海上走行を可能とするらしい。

 

「何から何までデタラメな奴だな」「オメェがそれ言っちゃう?」「貴方も大概よ、フランキー」

 呆れ顔で呟くベアトリーゼ。隣でフランキーが呆れ顔をベアトリーゼに向け、そんなフランキーへロビンがツッコミを入れる。

 

 大人三人が抜けたやり取りをしている傍ら、ルフィは顔を太陽のように輝かせながら、皆を見回し、弾んだ声を響かせる。

「おい、皆っ! 俺達もユーレイ島に上陸するぞ!!」




Tips

ブルック
 原作主役キャラの1人。
 ヨミヨミの実の能力者で動くガイコツ男。麦わらの一味の音楽家。フェンシング系剣術の達人。
 作者は鯨のラブーンと交わした約束を何より大事にしてるところに、ちょっとした狂気を感じる。

 CVはチョー。旧芸名は長島雄一。
 超有名バイプレイヤー。アニメ吹き替えを問わず数々の作品に出演している。
 声優以外では、NHK教育番組の作品『たんけんぼくのまち』や『いないいないばぁ』に出演している。


幽霊島。
 実はゲッコー・モリアの『海賊船』。村一つ分の小島を丸ごと浮かべた世界最大の帆船……というか、帆走可能なメガフロートというか。
 何気にアイスバーグがやろうとしていることを先駆けて実現してる。
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