彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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佐藤東沙さん、サトーノ♢金剛石♢さん、誤字報告ありがとうございます。


199:幽霊島に乗り込め!

 ベアトリーゼがフォアマストの先端に立ち、見聞色の覇気を展開。スリラーバークを捜索探査している。獣のように絞られた虹彩はゾッとするほど冷たい。

 

 この見聞色の覇気を用いた上陸前の偵察には、ひと悶着あった。

 即時上陸を訴えた船長に対し、航海士と狙撃手と船医が強烈に反論し、特に美少女航海士はベアトリーゼによる事前偵察を強く強く訴えた。

 

 これから王下七武海の拠点へ乗り込もうというのだから、妥当な提案であろう。

 が、この常識的提案をルフィは猛烈に嫌厭した。

 曰く――ネタバレしたら、冒険がつまんなくなっちゃうだろ!

 

「ネタバレした冒険は……まぁ面白みに欠くな」

「たしかに興醒めだな」

 船長の意見に両翼も揃って頷く。

 

「言い分は分かる。スゲー分かる」腕組みして納得するフランキー。

「冒険は未知が多いほど楽しいものね」ロビンも肯定する。

「野暮ではあるわな」捜索を頼まれたベアトリーゼも微苦笑をこぼす。

 

 両翼と大人3人が事前偵察に否定的という事態に戦慄するナミ。横ではウソップが冒険の浪漫と『上陸する島のことを知っておきたい病』の狭間で煩悶し、チョッパーがおろおろと狼狽えている。

 

 ナミは美貌をひん曲げつつ、渋々譲歩した。

「……せめて、この島からいつでも脱出できるよう退路の有無を調べさせて」

 

 というわけで。

 

 見聞色の覇気による偵察を終え、ベアトリーゼはマストから甲板に飛び降り、三回転半捻りして着地。

「目の前に見えるあの口みたいなのは『門』だね。あの門から延長して伸びる壁がぐるりと島を囲ってる。しかも、“今も私達ごと海を移動中”だ」

 

「……つまり、私達はこの島を囲う壁の内側に閉じ込められたってことね」

 口元に手を当ててロビンが言えば。ナミが不安げに推理を述べる。

「待って。あのガイコツはこの島を“船(バーク)”と言ってたわ。ひょっとして……この島を覆う外壁が“船体”なの?」

 

「船と呼べるかどうかはともかく、島嶼をベースにした人工の巨大浮体だね」

「マジかよ」

 ベアトリーゼの肯定を聞き、フランキーは思わず唸った。

 島を丸ごと船にして海に浮かべる……アイスバーグの野郎が言った時はとんでもねェ“アイデア”だと思ったが……まさか既に実現されてたとは。世界は広いぜ。

 自然と口角が吊り上がってしまうのは造船技師の性か。

 

「この島はわざわざ西の海から持ち込まれて、人工的にこの魔の海を彷徨ってるってことよね? 何のために……?」

 ナミの疑問に大人3人は肩を竦めることしかできない。

 

 大人3人とナミがあれこれと話し合っている間に、ルフィが船倉から虫取り網と虫篭を取ってきた。麦わら帽子を始めとする日頃の装いと相まって、夏休み中の虫取り少年にしか見えない。

 

「ルフィくん。ルフィくん。それはなんだい?」ウソップが胡乱な目つきで質す。

「さっきのゴーストを捕まえて飼うんだ」ニシシと無邪気に笑うルフィ。

「幽霊を虫と一緒にすんなぁ!!」

 

 全身を魔除けグッズで固めた狙撃手が船長へツッコミを入れる様を横目に、ナミがベアトリーゼに近づき、小声で尋ねた。

「島の中まで探ったんでしょ? どうなの?」

 問われたベアトリーゼはちらりと島を窺い、気だるげにうなじを掻く。

「んー……まぁ、この雰囲気通りの有様、としか言いようがないね」

 

 先ほど見聞色の覇気で探りを入れてみたが、穴だらけの原作知識と差異はない。

 島の中央に鎮座する巨大なメインマスト屋敷。サニー号から窺えるドクトル・ホグバックの大屋敷。『被害者の会』が隠れ住む森林。いずれも原作同様にファニーでユーモラスな怪異に彩られている。

 

 しかし、何か違和感がある。面白おかしいモリア海賊団の皆さんに交じり、何か妙な気配が潜んでいるような。

 自分のように本来存在し得ないものの……少年誌的冒険活劇に相応しくない異物の気配がする。

 これはイレギュラーかアノマリーか。

 

「ま、上陸するにせよ、船に残るにせよ、荒事になる心構えをしておいた方が良いね」

「物騒なこと言わないでよ!」

 ナミが心底嫌そうに可憐な麗貌をしかめるも、ベアトリーゼは島を見つめたまま冷ややかに諧謔を披露する。

「ナミちゃん。ここは王下七武海の拠点で、おそらく毎年100隻近くの船を人知れず沈めてる元凶だよ。しかも、ルフィ君はガイコツ男を仲間にするためなら、この島の主であろう王下七武海と喧嘩も辞さない構えだ。どうなるか分かるでしょ?」

 

 ナミは肩を落として項垂れた。傍らで話を聞いていたウソップとチョッパーが悲観的未来を避けられぬと知ってしくしくと泣き始める。

 

「エニエスロビーに乗り込む度胸があるくせ、幽霊如きにビビるたぁ、難儀な奴らだな」

 フランキーは怖がり三人組に呆れた後、頼もしいアニキ風を吹かせた。

「しょぼくれてるオメェらをいっちょ元気にしてやろうじゃねぇの!」

 

    ○

 

 フランキー自慢のソルジャードックシステムが稼働し、舷側ハッチが2番へ変更されて開放(オープン)。現れたるは……

「うぉおおおっ!? ちっちゃいメリーだッ!?」

 四人乗りの蒸気機関式外輪駆動短艇ミニメリー2号、御登場。

 

 怖がり三人組が羊頭のパドルボートを試運転すべく笑顔で乗り込む。

「あの勇敢な船の代わりにゃあならねェが……サニーの弟分にゃあ丁度良いだろ」

 一味の称賛と感謝の言葉を受け、得意顔で語るフランキー。

 

 乗り物の運転が得意なナミが運転シートに座り、舵輪(ステアリング)と推進ペダルを操作してミニメリー2号を走らせ、ウソップとチョッパーがその快走振りに歓声を上げる。

 

「さっきまでビビり倒してたのが嘘みたいだな」ゾロが微苦笑をこぼし。

「うほーっ! 俺も運転したいっ! 早く替われーっ!!」ルフィが目をキラキラさせ。

「まあまあ、楽しませてやれや」と鷹揚に船長を諭す船大工。

 

「あれ? ベアトリーゼさんは?」

 サンジが作り終えた海賊弁当を持って船楼から戻ってきてきょろきょろ。

「ビーゼならブレードを取りに行ったわ」ロビンが前船楼へ目線を向けた。

 

 その時。

 分厚い霧の先、島の方から衝突音と悲鳴が聞こえてきた。

 

「今のはなんだ?」

 ゾロが訝り、ルフィが霧の向こうへ向かって叫ぶ。

「お前らーッ! 早く俺もミニメリーに乗せてくれーっ!!」

 

「バカッ! 悲鳴が聞こえたんだぞ! ナミさんの身を心配しやがれ!」

「オメェこそあと2人も心配しやがれ」

 フランキーはツッコミを入れるサンジへツッコミを入れ、

「今の悲鳴、幽霊に呪い殺されたのかしら」

「オメェも縁起の悪ィこと言うな」

 さらっと怖いことを呟くロビンに呆れる。

 

 一同がナミ達の身を案じたり案じなかったりしていたところへ、猫の手チックな錨が勝手に落ちた。サニーは新造船だし、今朝方に保守点検したばかり。留め具や歯車が緩んでいるはずがないのに。

 ルフィ達が戸惑う中、今度は突然、中央甲板のハッチが開く。誰も触っていないのに。

 

 怪奇現象はさらに続く。

 ルフィは頬を伸ばされた挙句、開いたハッチへ落とされかけ。

 ゾロの愛刀が勝手に鞘から飛び出し、危うくルフィを傷つけそうになり。

 

 サンジが何か起きたナミ達の許へ向かうべく舷側から飛び出そうとした、その瞬間。

「ほげーっ?!」

 

 びったーん! と勢いよく船体に叩きつけられた挙句、中央甲板に投げ込まれた。あまりの格好悪さに野郎共が絶句する。

 

「お前、今『ほげー』って言ったぞ」ロロノア・ゾロの無慈悲なツッコミ。

「黙れ、マリモ! それどころじゃねえっ!!」鼻血ブーブーのサンジがゾロへ罵声を浴びせ「船に見えねェ何かが居るぞ!」

 

「ああ。俺も何かに触られた感触があった……っ!」ルフィがサンジの意見に同意し。

「幽霊か!? それとも、何かの能力者か!?」フランキーが拳を固めて構える。

「目的が見えねェな。殺す気ならいくらでも仕掛けられるはずだ」

 ゾロは鯉口を切り、目を皿にして周囲を窺うが、仲間以外に影も形もない。

 

「ぁっ!?」

 ロビンが小さな悲鳴を上げてその場にへたり込む。

「どうした、ロビンちゃんっ!?」

「――分からない、何かに……捕まってる……っ!」

 サンジが慌てて駆け出そうとしたその時、前船楼のドアが開き、ダマスカスブレードとカランビットの装具ベルトを巻いたベアトリーゼが戻ってきて――

 

 姿の見えない何かに押さえ込まれているロビンの姿を目の当たりにするや、眉目を吊り上げ、一瞬でロビンに肉薄。

「テメェ、ロビンに何してんだ」

 絶対零度の殺気をまといながら、漆黒の左脚をロビンの傍らの虚空へぶち込む。

 

 ずどんっ! と肉がひしゃげる音色が響き、

「きゃひ―――――――――――――――んっ!?」

 マヌケな悲鳴が轟き、島の方へ消えていった。

 

「浅かった」

 舌打ちし、ベアトリーゼはロビンに手を貸して立たせる。

 

「ベアトリーゼ、いったい何なんだ!?」

 ゾロが警戒を解かずに問えば、ベアトリーゼは苛立たしげに吐き捨てる。

「体を透明化した奴がロビンに抱き着いてて、舐めてやがったから蹴り飛ばした」

 

「幽霊だけじゃなくて透明人間まで居んのかよっ! すっげぇーっ!!」

「ロビンちゃんに抱き着いた挙句、舐めただとぉっ!? なんて羨ましい真似を……許せねぇっ!!」

 歓声を上げるルフィと嫉妬を爆発させるサンジ。

 

「お前ら自由過ぎるぞ」

 律儀にツッコミを入れつつ、フランキーはベアトリーゼに尋ねた。

「透明な奴がよく見えたな。例の覇気ってヤツか?」

 

「見聞色の覇気は視覚に頼らないからね」ベアトリーゼは鼻息をつき「ぶっ殺すつもりで叩き込んだけど、仕留め損ねた」

()()()()()()。そう思って良いよな?」

 ゾロが獰猛な顔つきで問えば。

 

「何言ってんの、ゾロ君」ベアトリーゼはアンニュイ顔で唇の端を曲げ「()()()()()()()()()()()よ。そんでもって、こっちもこれから乗り込む。そうだろ、船長?」

 

 皆の目が注がれたルフィはニカッと太陽のように笑う。

「ああ。島に乗り込んで冒険すんぞ! ナミ達と合流して、ブルックを見っけて、あいつの影を取り戻して仲間にするっ!! モリア? とかいう奴が邪魔すんなら、ぶっ飛ばすっ!!」

 

「あくまであのガイコツヤローを仲間にする方針は変わんねーのか……」サンジが小さく嘆息した。

「当ったり前だろっ! 動くガイコツの音楽家だぞっ! サイコーじゃねーかっ! 絶対仲間にする!!」

 鼻息荒く、握り拳で力説するルフィ。こりゃもう絶対に翻らない。

 

 全員が苦笑いを交わした後、フランキーが皆を見回した。

「……とりあえず、い~具合に接岸できそうな場所を見っけて、上陸するか。それで良いな?」

 異論は無し。そういうことになった。

 

 

 ところがぎっちょん。

 

 

 接岸場所を探そうとした機先を制すように突如、謎の水流が発生。

 サニー号はあれよあれよと流されて、果ては島の上陸場前でブルックの船共々に超巨大な蜘蛛の巣に絡めとられてしまった。

 

「取り除けねェことはねェが……こりゃあ時間を食うな」

 フランキーの報告に、ルフィがニカッと笑う。

「なら、ひとまず後回しにして、上陸しよーぜ!」

 冒険したくて仕方ない船長。船員達はやれやれと息を吐く中、ベアトリーゼは船長をフォローする。

「まぁ、こうやって鹵獲を試みる辺り、破壊する気はないんだろう。少しの間、船を空けても大丈夫じゃないかな」

 

 かくして、一同は弁当と小荷物を抱えて幽霊島へ上陸。

 

「入り口を潜ったらいきなり階段で堀へ降りるのか。しかも、やたら大量の骨が敷き詰められてると来た」

 堀の底を埋め尽くす骨をパキパキと踏み砕くゾロ。

「人骨も多少は混じってるが……大半は動物や魚の骨だな」

 爪先で骨を突きつつ、冷静に分析するサンジ。

 

 両翼がそんな会話を交わしているところへ、堀の奥から大きな影が猛々しい唸り声と共に現れる。

 

「おお! デッケェ犬だ!! しかも頭が三つもあるぞ!」喜色を浮かべるルフィ。

「首輪してるな。放し飼いか?」紫煙を燻らせながら片眉を上げたサンジ。

 

「あら。可愛い」柔らかく微笑むロビン。

「餌やったら懐くかな?」親友に釣られて和むベアトリーゼ。

 

「……あいつ、喧嘩売ってねェか?」怪訝顔をこさえるフランキー。

「生意気だな……」威嚇してくる犬ッコロにイラッとしたゾロ。

 

 大きな怪生物を前にしてもまったく動じない一同に、ケルベロス? が思わず不吉なものを覚えた。

 その時、ルフィがニヤッと笑う。

「そだ! 手懐けてみよう!!」

 

 有言実行は為された。拳骨でぶちのめすという絶対的な上下関係を示すことで。はたしてこの行為を『手懐ける』と呼ぶかは議論の余地があろう。

 ワンパンで沈められ、地獄の番犬モドキはすっかり意気消沈。大きな背中にルフィとフランキーを乗せてとぼとぼと歩き始める。

 

「素直ね。良い子だわ」ニコニコ顔で三頭犬の頭の一つを撫でるロビン。

「そりゃ素直にもなるでしょーよ」ベアトリーゼは三つ首ワンちゃんの体を観察して「縫い跡は創部を接合して塞いだ感じじゃないな……包帯も創部の保護ではなく固定を意図したもののようだ。それに、獣臭に混じって化学臭(ケミカル)がする」

 

「つまり?」

「この犬ッコロは怪我を治療されたんじゃない。治療以外の施術が行われた結果がこの縫い跡と包帯ってこと。まあ、具体的なことはまだ”分からない”けどね」

 ゾロの問いにベアトリーゼは小さく肩を竦める。前世知識で答えは知っているけれど、船長の方針がネタバレ禁止なので内緒。

 

「おい、見ろっ!!」

 目ん玉をひん剥いたルフィが指差した先。森の入り口で人面樹とユニコーンが胡坐を組んで一杯やっていた。その佇まい、完全におっさんである。

 

 もちろん、好奇心に駆られたルフィが即座に捕獲。目をキラキラさせながら興奮気味に言った。

「こいつらも船に乗せようぜ!!」

「「ふざけんなっ!! 乗せるかぁっ!!」」

 両翼が即座に却下し、人面樹とユニコーンを渋る船長からひったくるようにしてリリース。もう捕まるんじゃないぞ。

 

「……今のも、縫い跡と包帯か。それに犬ッコロとは違う番号があった」

「管理されてるわね」

 ロビンがベアトリーゼの指摘に頷く。

 

 美女2人が正しくこの島についてあれこれ思考を働かせている傍らでは、サンジによる船長へのお説教が始まっていた。

「なんでもかんでも仲間にしようとすんじゃねえよっ! ただでさえ狸だのロボだの色々いんだぞ、ウチにゃあっ!!」

 

「俺はロボじゃねェッ! サイボーグだバカ野郎!!」

 聞き捨てならぬと横からフランキーが口を挟めば、サンジが鬱陶しそうに怒鳴る。

「ああ、そうだったな!! 変態のサイボーグだった!」

「ちゃんと分かってくれてんなら……」

「なんで照れてんだよっ!? 微塵もホメてねェよッ!!」

 

 サンジとフランキーが素っ頓狂なやり取りをしていると、霧に覆われた森の樹冠から半透明の何かがふわふわと現れる。キュートでファニーなそれは――

「出たぁ!! 幽霊だっ!! すげえ! 踊りながら増えてくっ! 面白れェーっ!!」

 

 モンキー・D・ルフィ、大はしゃぎ。

 手にした虫取り網を構え、幽霊をとっ捕まえるべく飛び掛かる。も、虫取り網は幽霊達の体を素通りしてしまい、捕えるどころか触れることすらできない。

 

「霊体だから物理接触が出来ねェのか? これならどうだっ!?」

 フランキーが口から火炎放射を放つ。が、やはり幽霊達は微塵も動じず。ホロホロロと鳴きながら炎の中をふわふわと飛び、フランキーの身体をすぃ~っと通り抜けた。

 

 瞬間、フランキーは目から生気や活気が失われ、どんよりと顔色も曇り、

「全くダメだ……今週の俺様はホントにダメだ……何やってもまるでダメ……もう生きていく自信がねェ……死のう……」

 その場にうずくまって鬱々と自虐的な言葉を並べていく。

 

 幽霊を捕まえようと追い回していたルフィも、幽霊にすぃ~っと体をすり抜けられた瞬間、フランキーの隣に崩れ落ち、鬱々と自虐を始めた。

「もし生まれ変われるのなら……俺は貝になりたい……最低だ……死のう……」

 

「……もしかして、あの幽霊に触れると鬱状態に陥るんじゃないかしら」

 幽霊達とルフィ達を交互に見比べ、ロビンは目にした出来事から推論を提示した。

 

「いくらなんでも、それは……」

 サンジがロビンの推論に戸惑っているところへ、ゾロが嘆くように鼻息をつく。

「普段から気をしっかり持たねェから、妙な幽霊如きに心を翻弄されんだよ!」

 

 厳粛な言葉を吐いた直後。幽霊に体をすり抜けられたロロノア・ゾロさんのセリフが、こちらです。

「生まれてきてすいません……」

 

 ベアトリーゼがついに笑い始めた。原作知識があってもいざ目の当たりにすると面白過ぎる。

「こりゃロビンちゃんの言う通りだな」

 サンジは大笑いするベアトリーゼを余所に大きく唸り、

「実体がない上に触れると精神的に切り崩される。“敵”なら手強いわね」

「ウチのメンツにゃ特効だよ。なんせ催眠術にもあっさり引っかかる」

 ロビンの言葉に頷き、鬱状態に陥った三人を横目にしながらぼやいた。

 

「ふむ。私も気になってきた」

 ひとしきり笑ってから、ベアトリーゼは覇気を展開しながら幽霊に触れ、

「ん……覇気を展開してこの効力か。なら、覇気無しだとどうかな」

 ものは試しと幽霊に触れながら覇気を解いてみた。

 瞬間、ベアトリーゼは両膝を抱えて座り込み、地面を突きながら自虐を始める。

「世間様に御迷惑をおかけしてばかり……申し訳なくて死にたい……」

 

「「っ!?」」

 麦わらの一味の核弾頭までネガティブに染まった様に、サンジとロビンは驚愕し、同時に相手の厄介さを確かに理解した。




Tips

ミニメリー2号
 フランキー製の蒸気機関式外輪駆動短艇。四人乗り。
 本人は買い出し用と言っていたが、実際に買い出しのために使われたシーンは多分、ない。

透明人間。
 ロビンを乱暴しようとしてベアトリーゼに殺されかけた。

上陸後。
 ナミ達の描写はカット。

幽霊。
 ベアトリーゼはハンコックの石化を防げたのに、ペローナの精神攻撃が効くのおかしい、と思われるかもしれませんが、理由は次回に説明するからお待ちあれ。
 
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