彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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nullpointさん、茶紅茶柱さん、佐藤東沙さん、誤字報告ありがとうございます。


205:ホーンテッドマンション・コラープス

 超巨大帆船スリラーバークのメインマスト。その先端に身長約70メートルという超巨大ゾンビが登り、夜霧に塗れた世界を見回していた。

 

「うお~~~~~~っ! すげ~~っ! ここ船だったのかぁ~~っ! 海は見通しが悪ィけど、俺の人生の見通しはサイコーだ! この船で海賊王になるぞ~~っ!」

 凄まじい強度を誇るメインマストのてっぺんにしがみついている超巨大ゾンビは、未来の海賊王の影をインストールされているためか、なんとも陽気だ。

 

 大きすぎる体躯に夢いっぱいの魔人オーズが未来図を描いていると、足元から轟音が生じ、メインマストがぐらぐらと揺れた。

 

「なんだぁ~?」

 オーズがきょろきょろと見回してみれば、メインマスト城砦傍の豪邸――スリラーバーク四怪人の一人ドクトル・ホグバックの豪邸が大きく傾ぎ、大量の粉塵が高々と立ち昇っていた。

 

 地下処分場で大爆発が生じた際、世界最大の帆船スリラーバークのメインマストとその城砦はその巨大さゆえに基部が船底付近まで達するほど深く、極めて頑強だった(でなければ、浪の揺動や帆が風を受けた時の負荷でへし折れてしまう)。そのため地下処分場の爆発程度ではビクともしなかった。

 

 が、メインマスト基部が頑丈な分だけ、爆発のエネルギーは地下処分場の天井における脆弱部――ホグバック屋敷の地下へ集中した。

 かくして、ホグバックの屋敷は地盤が崩壊し、地下処分場を埋め潰すように陥没。上物(うわもの)が倒壊してしまった。

 

 なお、メインマスト城砦内のダストシュートや便器などからも爆発ガスが噴出し、悲惨な有様になっていたりする。

 

 そして、ホグバック屋敷が倒壊する光景は、オーズが壁に大穴を開けた特別冷凍室からもよく見えた。

「おぃいいいっ?! 俺の屋敷が倒れてるぅ――――っ!? ななな、なんで俺の屋敷がっ!?」

 慌てふためくホグバックへ、シンドリーが無表情のまま、告げる。

「あんたも屋敷と一緒に埋まってしまえば良い」

「シンドリーちゃんっ?!」

 

 ギャーギャーと喚くホグバックと辛辣なシンドリーのやり取りを余所に、ゲッコー・モリアは壁に背中を預けて寝そべりながら、誰へともなく問う。

「オーズの仕業か?」

 

「違います、ご主人様」ゴースト経由で状況を窺ったペローナが首を横に振り「オーズは今、メインマストのてっぺんに登ってます。ホグバックの屋敷が倒れたのは地盤が陥没したから……のようです」

 

「陥没……地下で何か起きたか」

 モリアの呟きにペローナが可憐な顔を厭そうに歪めた。

「ぅ、地下ですか」

「んー?」モリアはキシシシとからかうように笑い「ゾンビに囲まれて暮らすのは平気なのに、あそこが怖ェのか?」

 

「怖くなんかないです!」ペローナは反抗期の娘みたいな調子で否定しつつも「ただ、ちょっと……あそこはいろいろグロいし臭いし汚いし、可愛くないし……」

 スリラーバークの地上はハロウィンホラーみたいな雰囲気だが、地下の処理場はグロ盛り盛りのモンスター映画の舞台みたいな場所だ。全然可愛くない。

 

 ペローナが嫌厭顔でぼやいているところへ、

「た、大変でしぃーっ!!」

 蝙蝠ゾンビのヒルドンがすっ飛んできた。

「先ほど影を奪ったばかりの3人の海賊が目覚め、仲間と共に討ち入りしてきましたぁっ!!」

 

 自身の屋敷が倒壊して半狂乱中のホグバックは、丸サングラスの奥で目ん玉をひん剥く。

「はぁっ!? 影を奪われた奴がこんな早く目覚める訳ねェだろ!!」

 ゲッコー・モリアに影を奪われたら二、三日は目を覚まさない。が――

 

「仲間に叩き起こされた模様でし! 奴ら、どうやら“鼻唄”とつながっていたらしく、海賊達全員がゾンビ浄化の手段を知っておりまして! ゾンビ達は今、海賊共を恐れ、逃げ回っている始末でしぃ!!」

 ヒルドンの報告に、ホグバックはデコが広すぎる頭を掻き回した。

「役立たず共め! 急ぎ、将軍ゾンビ共を向かわせろ! 奴らなら塩など食わされずに海賊共を倒せるはずだ!」

 

「それが……アブサロム様が結婚式を始めるところでして、将軍ゾンビ達の大半は結婚式に参列しております」

「何をやっとるんだ、あのアホはぁっ!!」

 ハゲかかった頭を抱え込むホグバックへ、ゾンビ美女シンドリーが再び辛辣な一言を浴びせようとした矢先。

 

 ホロホロホロホロ、とペローナが可憐な微笑を響かせる。

「ゾンビの弱点を知られたくらいで動揺するな。私のゴーストで弱らせれば、普通のゾンビ共でも充分捕らえられる。すぐに海賊共を捕まえてきてやるから、残りの海賊共の影を入れる“没人形(マリオ)”を用意してな! 行くぞ、クマシー!」

 

 靴底が分厚いゴスパンクブーツで床をゴツゴツと鳴らしながら、ペローナはクマシーを伴って颯爽と去っていく。

「た、頼もしい……」

 ホグバックはペローナの華奢な背中を見送ってから、倒壊した屋敷へ視線を移した。人格的に大きな問題はあれども優秀な頭脳が憂慮を抱く。

「……だがもしも、地下処分場の“ワーム”が表に出てくるととんでもないことに……」

 

 ホグバックの不安は正しい。なんたって“ワーム”は他のゾンビ達とは全く違う。あれは“システム”だ。手当たり次第に食い散らかし、分解し、溶解してしまう。それだけの存在だ。

 

「“ワーム”が地下から出てくるこたぁねェ」

 壁に大きな背中を預けて寝転がっているモリアが断言した。

「影を入れる際、地下で永遠にゴミを食い続けるよう契約してある。万が一、あれが表に出てきても、俺が引っ込むよう命令すりゃあ済む話だ。何も問題ねェ」

 

 その悪魔染みた顔貌に倦みと飽きを滲ませながら言葉を紡いだ直後。

 再び強烈な轟音と震動が生じ、メインマスト城砦が激しく揺さぶられた。

 

「今度はなんだぁっ!?」

 ホグバックがヤケクソ気味に叫べば、ゾンビ従者達が駆け込んできて喚き散らす。

「た、大変ですっ! オーズの奴が!」「メインマストのてっぺんから飛び降りて!」「船着き場行きの空中回廊と渡り廊下を崩落させましたぁっ!!」

 

「何やってやがんだ、あのバケモンはぁ!!」ホグバックは頭を抱えて「御主人様、このままじゃあ、スリラーバークを更地にされちまいますよっ!」

「あんたも埋められてしまえば良い」

「シンドリーちゃんっ!? どんだけ俺を埋めてェんだよっ?!」

 

 ぎゃーぎゃーと大騒ぎする周囲を余所に、モリアはキシシと歯を擦るように笑った。

「ま、じきに大人しくなるさ。じきにな」

 

     ○

 

 ハッとルフィは意識を取り戻す。

 数秒とはいえ意識が飛んでいたことに気付き、ルフィは驚愕した。クロコダイルやロブ・ルッチと戦った時も気を失ったが、アレは出血や疲弊が原因であり、衝撃で意識を飛ばされたわけではない。というより、打撃や衝撃にめっぽう強いゴム人間となって以来、衝撃で意識がトんだことは早々覚えがない。

 

 たしか、ゾンビ達を蹴散らしながら階段を駆け上っていたところへ、ゴーストに襲われて強制的に重度鬱状態へ陥って……

「!! なんだこりゃーっ!?」

 ルフィは瓦礫や建材が散乱する周りを見回し、ぎょぎょっと目を剥いた。ついさっきまで自分達が駆け上っていた空中回廊が、綺麗さっぱり消えている。

「昇ってきた階段がねェっ!? どうなってんだっ!?」

 

「お、落ちちゃった」人獣形態のチョッパーが蒼褪めた顔で「大勢のゾンビも、ウソップもサンジも、皆一緒に……」

「何が原因なのか分からないわ。本当に突然のことで……」

 埃塗れのロビンも戸惑い気味に説明する。

「私達の後ろを走っていたウソップとサンジは、崩落に巻き込まれてしまったみたい」

 

「なぁにぃ!?」

 ルフィは急いで崩落した際から身を乗り出して眼下を窺うも、立ち込める濃密な粉塵のせいで何も見えない。

 

 顔を上げ、ルフィは2人へ決断を告げた。

「……しょうがねぇ! 俺達だけで先を急ぐぞっ!」

 

「良いの?」

 ロビンの問いかけへ、ルフィは大きく頷く。

「おう。あいつらなら大丈夫だ! 俺達は作戦通りあのデカラッキョをぶっ飛ばす! そうすりゃ皆の影が戻るし、飯も倍にして取り戻せるっ!」

「――分かった。それが一番手っ取り早い解決だもんなっ!」

 チョッパーが頷き、ロビンも首肯した。

 

「行くぞっ!」

 ルフィは2人を率い、メインマスト城砦内へ駆けだした。

 

      ○

 

 濃密な粉塵が立ち込める中、城砦を目指して渡り廊下を駆けていたゾロとフランキーは困惑していた。

 

 突如発生した強烈な震動と衝撃。続いて大量の瓦礫と建材が降り注ぎ、大勢のゾンビ共と一緒にサンジとウソップが落ちてきて。

 

「まあ、落ちてきたこいつらは良いとして……」

 ゾロは頭上を見上げた。先ほどまであった空中回廊が無くなっている。大方、ルフィが暴れまくって崩落させたとかそんなんだろう。

 

「急に現れたこの壁はいったいなんだ?」

 ゾロは視線を前へ向け、首を傾げた。城砦に続く渡り廊下が崩落したかと思えば、行く手を遮る巨壁が発生した。意味が分からん。

 

 衝撃波で乱れたリーゼントを直し終え、フランキーがごんごんと“壁”を叩く。

「ふむ。煉瓦やコンクリとは違ェようだが……」

 

 サンジとウソップが落下の激突衝撃と粉塵吸引にゲホゲホと激しく咳き込みながら、身を起こす。

 

「ちきしょう、いったい何が起きた……っ?!」

 苛立つサンジの隣で、ウソップは“壁”をぶっ壊そうとしているゾロとフランキーにきづき、目を大きく見開いた。

「うわーぁっ! よせよせよせっ! お前らやめろっ!」

 

 ウソップが絶叫する。

「そいつは壁じゃねえっ! ルフィのゾンビだっ!!」

 

「「「なぁにぃっ!?」」」

 両翼と船大工が思わず吃驚を上げると、一陣の風が吹き抜けて粉塵を押し流した。そして、露わになった超巨大ゾンビの姿を目の当たりにし、両翼と船大工は再び驚愕する。

 

「なんだぁ、このデカさはっ!? どっかの大魔王か何かかっ!? 巨人の倍以上あるぞっ!?」

「これが、ルフィだとっ!?」

 愕然唖然茫然の船大工と両翼。彼らの傍で狙撃手が慄然と震える。

 

「もうダメだ……おしまいだぁ……」

 ウソップが伝説の超戦士を前にした戦闘民族の王子みたいなセリフを吐いていると、超巨大ゾンビのオーズが目覚め、首をゴキゴキと鳴らした後。

 

「建物壊れてびっくりしたぁ~俺は海賊王に腐れなる! 出航だぁ~」

 ゾロ達に気付くことなくその場を去っていく。

 

 強烈な震動を伴う足音を奏でながら去る超巨大ゾンビを見送り、ウソップは安堵の息をこぼした。

「助かった……俺達に気づいてなかった……」

 

「ホントにルフィみてェなこと言ってやがった。あの図体にルフィの戦闘力は確かにヤベェな」

 超巨大ゾンビを見送り、ゾロはルフィの強さをよく知る身として危機感を募らせた。得物が2振りしかなく、三刀流の全力を出せぬ今、己にあの大怪物を斬れるか。

 

「あの化物のことは後だ。今はこの渡り廊下の橋が落ちちまった方が問題だ」

 一刻も早くナミを救出したいサンジは、タスクの優先順位を間違わない。

「この有様じゃ向こうへ渡れねェ。急いで迂回路を探さねェと……」

 

 と、そこへフランキーが言った。

「あと30秒くれ。ここの装飾が気に入らねェ」

 

 いつの間にか、フランキーの手で落ちた渡り廊下に新たな橋が掛け直されていた。それどころか装飾まで始めている。

 

「「「もう橋が出来とるっ!?」」」

 驚く少年達にフランキーは得意げに笑った。

「こんだけ瓦礫や木片がありゃあ橋を渡すぐらい訳ねェさ」

 

「応急にしちゃあディティールに凝り過ぎだろ……」

「バッカヤロー、この俺に手抜き仕事やれってのかっ!」

 フランキーがウソップの呆れ気味な感想を聞き咎めている中、

「頼りになるぜ! とにかく助かった、行こうっ!!」

 サンジがいの一番に橋を渡り、即座にゾロが続く。慌てて2人の背を追うウソップとフランキー。

 

 そうしてメインマスト城砦内へ侵入。仄暗い石造りの廊下をがんがん駆け進んでいく。

 彼らは知らない。この先に待ち構える相手がスリラーバーク海賊団随一の曲者“ゴースト・プリンセス”であることを。

 

 一方、待ち構える“ゴースト・プリンセス”も知らない。これから自分が天敵と出逢うことを。

 

     ○

 

 地盤の陥没によって横倒しになるように崩壊したホグバックの豪邸。地面に横たわった最上階の窓からガイコツ男がほうほうの体で這い出した。

「ぅうう……息が、息ができない。私、肺無いんですけど……い、いったい何が……」

 

 ブルックは最上階でサムライゾンビと決闘していたところ、突然の豪邸の倒壊に巻き込まれていた。ひょろひょろの骸骨(スリムボディ)じゃなかったら、今頃は瓦礫によってペシャンコだっただろう。

 

 全身の痛みとこの状況に困惑を覚えながら、ブルックが倒壊した豪邸を見回していると、外壁の瓦礫がズンバラリンと切り裂かれ、サムライゾンビがゆうゆうと現れた。

「ヨホホ……屋敷そのものが倒壊するとは想像の外でした」

 

 霧と粉塵が広がる夜闇の中、動く骸骨と屍が横倒しになった豪邸の瓦礫の上で対峙する。

 

 サムライゾンビはボロボロのブルックへ親しげに笑いかける。

「お互い無事で何より。貴方に死なれては私も困りますからね。ヨホホホ」

 

「こちらとしては貴方が斃れてくれていた方が好都合でしたよ……っ!」

「それは残念。では続きといきますか」

 ブルックの憎まれ口に肩を小さく竦め、サムライゾンビは黒い刀をサーベルのように構える。

「貴方が後生大事にしているそのアフロ。此度こそ私の“矢筈斬り”で切り落としてあげますよ、ヨホホ」

 

「黙れ」

 ブルックは言下に吐き捨てる。明確に怒りを露わにして。

「このアフロの大切さを分からぬお前が、その技の名を口にするな……っ!」

 

 仲間を皆喪い、自身も白骨化して顔も体も失った今、ルンバー海賊団の音楽家ブルックという人間の面影はこのアフロだけだ。海賊団の皆が『ラブーンみたいだと笑っていた』この髪だけが、今や生前の名残。

 

「私が得意とした早斬り技“鎮魂曲(レクイエム)・ラバンドゥロル”……この技を讃え、仲間達がつけてくれた通称こそが鼻唄三丁矢筈斬り。お前のような“ニセモノ”にその名を使う資格があるものかっ!」

 

 仕込み杖を構えたブルックから発せられる闘気と戦意を目の当たりにし、サムライゾンビは枯れた顔貌に喜色を湛えた。

「ヨホホ……その意気や良しっ! 本家を称するならば、私の使う紛い物の技を破ってみなさい!」

 

 骸骨剣士と屍剣士が互いに同じ技を放つべく、揃って踏み出した。

 

 刹那。

 倒壊した屋敷の外壁が沸騰するように爆散し、無数の瓦礫が宙を舞い、大量の粉塵が水柱のように立ち昇る。

 

 何事、とブルックとサムライゾンビが歩みを止めたその時、凄まじい悪臭が漂った。

「うわ、臭っ!! もう鼻ないですけど、臭ぁっ!!」

 ブルックが思わず頭蓋骨の鼻孔を手で覆うと、

 

「あのクソババア、どこ行きやがったっ!?」

 立ち昇る粉塵の中から、全身が真っ黒の化物が現れた。ずたぼろの着衣で肢体を包み、満月色の瞳を殺気でぎらつかせる様は人食いの女妖にしか見えない。

 

 凄絶な悪臭と共に現れた女妖に、

「ぎゃああああ―――――ッ! すっごく怖いオバケェ―――――ッ!?」

「な、なんですかこの化物はっ?!」

 ブルックは思わず悲鳴を上げて腰を抜かし、サムライゾンビも狼狽を隠せない。

 

 女妖ことベアトリーゼはブチギレていた。

 地下処分場を満たした爆発の高熱圧衝撃波を、武装色の覇気で全身を覆うことで何とかやり過ごすも、服はボロ雑巾になるわ、髪はチリチリになるわ。おまけに莫大な土砂と瓦礫の崩落によって危うく生き埋めになりかけた。

 

 そりゃ原作チャートを引っ掻き回そうと“悪いこと”考えたよ? 確かに考えたけども。だからって、だからってお前、ここまで酷い目に遭わされるほど悪いことかっ?! 

 

「出てこい、クソババァッ!! 内臓攻撃(モツ抜き)してぶっ殺してやるっ!」

 戦慄(ドン引き)するブルックと困惑するサムライゾンビを余所に、金眼を爛々と輝かせながら喚き散らすベアトリーゼ。

 

 そこへ、“ゴースト・プリンセス”の相手をウソップに委ねたフランキーとゾロが駆けつけてきた。

 

「この死んだ海獣のケツの穴みてェな悪臭はなんだっ?! 何が起きたっ!?」

 でかい右手で鼻を覆いながら喚くフランキー。

 

「お前は厄介事を起こさなきゃ済まねェのか、ベアトリーゼッ! しかもなんだ、そのきったねェナリは!? お前、いったい今までどこで何やってたっ!?」

 強烈な悪臭に仰々しいほど顔をしかめつつ、ゾロがベアトリーゼへ叱声と詰問を飛ばした、瞬間。

 

「――――――――――――――――――――――――ッ!!」

 再び瓦礫の山が爆散。粉塵の中から、一糸まとわず一毛も生えていない全身しわくちゃの老婆の怪物が、表記不能な絶叫を上げながら現れた。

 

 あまりにもおぞましき姿の怪異のエントリーに、

「うぉおお!? なんじゃこのババアはっ!?」「新手のゾンビかっ!?」 「他の奴らと芸風が違い過ぎンだろっ!?」「ぎゃあああっ!? もっと怖いオバケェッ!!」「なんと醜悪な……っ!」

 驚愕するフランキー。律儀にツッコむゾロ。悲鳴を上げるブルックと動揺するサムライゾンビ。

 

「ごちゃごちゃうるせーっ!! お前ら全員、すっこんでろっ!」

 ベアトリーゼが男共に罵声を浴びせた直後。

 

 三度大きな震動が生じた。強い横揺れによって瓦礫がガラガラと崩れ始め、倒壊した豪邸が再び陥没孔へ落ち始める。

 

「今度はなんだぁっ!!」

 ヤケッパチなフランキーの疑問に答えられる者はいない。




Tips

スリラーバーク・メインマスト
世界最大の帆船の航行を支えるメインマストだから、チョー頑丈。
構造的に脆そうな先端部分だって、オーズが登ってもへっちゃら。

ペローナ
 原作キャラ。
 ゾロ達と遭遇やウソップのネガティブに驚く描写は残念ながらカット。

ベアトリーゼ。
 動くガイコツとゾンビに化物扱いされるオリ主。
 地下で死にかけたり、汚物塗れになりがち。本作品が『砂ぼうず』オマージュだから仕方なきこと。
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