彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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大変お待たせしました。

佐藤東沙さん、狂神父さん、誤字報告ありがとうございます。


206:ゾンビ。ゾンビ。ゾンビ?

 メインマスト城砦の側部に巨大滑車があり、この巨大滑車に掛けられた巨大鎖を操作することで、世界最大の帆船スリラーバークは舵を動かす。

 

 というか、スリラーバークの帆はデカすぎて操帆なんか出来ない。帆布一枚とってもちょっとした街区並みにデカいのだ。こんなもん常人サイズのゾンビ達が一個連隊居たって畳んだり下ろしたり索具を扱ったり、なんて出来やしない。

 

 しかし、巨人の倍以上ある魔人オーズには丁度良いサイズだった。

 ルフィの影をインスコされて夢いっぱいのオーズは、ガラガラと巨大滑車をぶん回してテキトーに舵を切っている。なんたって中身がルフィだ。航法なんて微塵も知らない。

 むしろ『船を操ってる感じ』を味わいたくて、スリラーバークの巨体が揺さぶられるほど急激な舵を切っている。

 

 オーズが上機嫌で船の舵を操っていると、

「そこまでだ、特別ゾンビ・オーズッ!!」

「んー?」

 足元から怒声が届き、オーズが目を向けてみれば。

 

 甲冑を着こんだゾンビの一団が武器を構えていた。

「これ以上の勝手な真似は許さんっ!」

“将軍”ゾンビ達が一斉にオーズへ向かって突撃を開始した、瞬間。フッとオーズの巨躯が姿を消す。

 

「消えたっ!?」「どこだっ!?」「あの図体でなんて俊敏さだっ!」

 重武装のゾンビ達が動揺する中、一体の将軍ゾンビが頭上を見上げ、悲鳴染みた叫び声をあげた。

「上だっ!」

 

“将軍”ゾンビ達が一斉に自らの頭上を見上げれば。そこには全長70メートルの超巨大ゾンビが宙を跳んでいて、

「ゴムゴムのぉガトリングッ!!」

 雄叫びと共に巨大な拳を連打連打連打連打連打連打、連打ッ!!

 

 如何に“将軍”ゾンビ達が伝説的強者の肉体を持っていようと、頑丈な甲冑を着こんでいようと、痛みを一切感じなかろうと、この圧倒的暴力の前では何も意味を持たなかった。

 巨岩染みた拳骨によって、ゾンビ達は一瞬で虫けらのように叩き潰され、殴り砕かれた。如何にゾンビ達が痛みを感じず、影を奪われなければ無力化されないと言っても、限度がある。“器”たる身体を物理的に粉砕されてはどうにもならない。

 

 ずうん、と豪快な着地音と振動を轟かせ、大地に降り立ったオーズが叫ぶ。

「俺の冒険を邪魔すんじゃね~っ!」

 

 その様子を見守っていた兵士ゾンビは、ただでさえ血の気の絶えた顔をさらに蒼くし、大慌てでメインマスト城砦地階の礼拝堂へ飛び込み、結婚式中のアブサロムへ見たままを報告する。

「み、皆まとめて一瞬でペチャンコにされちまいました……っ!!」

 

「ぜ、全滅!? 今さっき出ていったばかりだぞっ!?」

 アブサロムは絶句する。

 

 将軍ゾンビはスリラーバーク海賊団の主戦力。各地から盗み集めた伝説的猛者達の亡骸を、ホグバックがその天才的外科手術で改造を施している。そんな精鋭部隊が一瞬で壊滅?

「バ、バカな……どうなってんだ!? ご主人様の制御が効いてねぇのかっ!?」

 

 祭壇上で神父役のゾンビと、未だ目を覚まさぬ花嫁姿のナミを支える補助役ゾンビが思わず顔を見合わせた。俺達ぁこんなことしててええんか?

 

「と、とにかくこのままじゃ不味いっ! おい、お前っ! 御主人様に――」

 アブサロムが兵士ゾンビにモリアの下へ向かわせるべく命令を出そうとした時。

 

「ナ~~~ミさぁ~~~んっ!! 迎えに来たよぉ~~~っ!!」

 礼拝堂の扉が蹴破られ、金髪グル眉青年が飛び込んできた。

 

 次から次へと押し寄せる厄介事と面倒事に、アブサロムはキレた。

「今度は麦わらの一味かっ!? どいつもこいつもおいらの結婚式を邪魔しやがって!!」

 

 

 と、いうわけで。

 

 

 メインマスト城砦地階の礼拝堂で、怒れるサンジが怒れるアブサロムと戦い始め。

 

 メインマスト城砦下階にあるペローナのフロアでは、驚愕のネガティブ男ウソップが困惑するペローナを追いかけ回し、ペローナを救わんとゾンビ達がウソップを追いかけて。

 

 メインマスト城砦上層部のダンスホールで、高潔な医療倫理を持つチョッパーがホグバックの正体――医療倫理など欠片も持たぬ外道医師振りにブチギレて。

 

 メインマスト城砦特別冷凍室へ単身乗り込んだルフィは、ゲッコー・モリアの許へ辿り着いていた。

 

 つまりまぁ……メタなことを言えば、少年誌(ジャンプ)お約束の主役キャラ達とネームド敵キャラの個別戦が始まった頃だ。

 陥没倒壊したホグバックの豪邸――だった瓦礫の山の上で、全裸の萎れババアゾンビというおぞましすぎる怪異が猛威を振るっていた。

 

 だが、対峙するゾロ達はすぐに悟る。この怪物ババアはマジでヤバいと。

 

 予測困難かつ驚異的な身体能力と素早い運動能力はフランキーの放つ弾幕を容易く掻い潜る。枯れ木のような腕から繰り出される攻撃は凄まじい破壊力を有し、手にした不気味な肉塊はゾロの斬撃を弾くほどの硬度を持っていた。

 しかも、アバラが浮く萎れた身体はベアトリーゼの拳打を打ち込まれても砕けないときた。

 

「なんなんだ、このババアっ!? 他のゾンビと全然違うぞっ!?」

「私が知るわけないだろっ!!」

 怒鳴るゾロと怒鳴り返すベアトリーゼ。

 

「こんな時に喧嘩すんなっ! ってうぉおおっ!?」

 フランキーが疲労と負傷で動けぬブルックを肩に担ぎ、肉胞の爆裂から逃げ回る。

 

 全裸老婆の怪物が肉塊染みた得物を振るう度、元ホグバック邸の瓦礫が爆散し、無数の飛礫をばらまかれ、散弾のようにゾロ達を襲う。

 ゾロは全て切り払い、ベアトリーゼは舞うようにかわし、フランキーは鋼鉄の身体前面で受け止め、

「いたたたたあっ!! 私、当たってます! 当たってますよっ!!」

 フランキーに担がれた状態で瓦礫を浴びるブルックが悲鳴を上げた。

 

 骨と皮だけの萎れた体躯から、およそ信じがたい激烈な豪打を繰り返す怪物ババア。加えて――

「ヨホホホッ! 私のことを忘れてもらっては困りますねっ!」

 周囲に満ちる粉塵の中から、黒刀を握るサムライゾンビが間隙を突いて強襲。峻烈なサーベル術を繰り出した。

 

 ゾロは飛礫を切り払った直後に斬撃を浴びせられるも、危機一髪で受け止めに成功。サムライゾンビと鍔迫り合う。

「あぶねェじゃねェか」

 

「ヨホホホ……っ! ()ったと思いましたが……やりますねェ!」

 サムライゾンビの干からびた顔に喜色が滲む。ちらりと空っぽの眼窩を蠢かせ、全裸老婆の怪物とベアトリーゼの激戦、と戦いの余波から逃げ惑う水色リーゼントとアフロ骸骨を一瞥した。

「彼の怪異。味方とは言い難いですが、敵でなければ充分。利用させていただきますよ! これを卑怯と言われますかな?」

 

「言わねェよ」ゾロは獰猛に口端を吊り上げ「久し振りに色モンじゃねェ剣士と戦えンだ。文句なんかねェ」

 ゾロもまた双眸を巡らせ、ベアトリーゼに向かって叫ぶ。

「ベアトリーゼッ! 俺はこのサムライゾンビを斬るっ! その怪物ババアに邪魔させんなよっ!!」

 

「勝手なこと抜かしよってからにっ!」

 ベアトリーゼは怒鳴り返しつつゾロのリクエストに応えた。剣士達の戦いから怪物ババアを引き離すべく、豪邸の残骸と瓦礫の山を縦横無尽に駆け回る高機動戦闘(ハイベロシティ・コンバット)へ移行。

 

 攻撃が繰り出される度、残骸が砕け崩れ、瓦礫の山が爆発四散。あまりにも暴力的。あまりにも破壊的。あまりにも人外的。もはや女妖と女怪の殺し合いとしか形容できない。

 

「滅茶苦茶やりやがるっ! あれじゃあ援護も出来やしねェ……っ!」

 歯噛みして唸るフランキー。その肩に担がれたブルックは女妖と女怪の激戦ではなく、己の影を宿したサムライゾンビとゾロの剣戟に目を奪われていた。

 

 二刀流で戦うゾロもサーベル術で闘うサムライゾンビも、共に“豪剣”の使い手であり、その剣閃は激烈にして破壊的。互いに必殺の刃を紙一重で潜って薄皮一枚で防ぎ、双方揃って牽制や崩しといった武術のセオリーを無視し、強靭な膂力を駆使した一撃必殺の剣技を叩きつけ合う。

 

 鋼の激突音が幾度も響き、十重二十重に舞い散る火花が夜闇に輝く。陥没倒壊したホグバック邸が斬られ、砕かれ、穿たれていく。

 

「ヨホホホっ! 枯れて久しい体が“躍って”きましたよっ!!」

「抜かせっ!!」

 瞬き一つの隙で命が散るだろう死線に身を置きながら、サムライゾンビは喜々と笑い、ゾロは獰猛な笑みを湛える。双方共に剣鬼の如し。

 

「す、すごい……っ! あのサムライ、私を相手にしている時と全然違う……っ!」

 凄まじき剣闘を前にブルックは唖然とする。サムライゾンビに手加減されていたという事実を知るも、痛悔も屈辱も覚えない。ただただ眼前の剣戟に圧倒された。

 

「あぶねェぞっ!!」

 そこへ、フランキーの鋭い警告が飛んだ。ベアトリーゼと老婆によって破壊されたホグバック邸の尖塔が飛来してくる。

 

 豪快な風切り音を引きながら迫る大きな尖塔。されど2人の剣士は一歩も引かず、

「七十二煩悩鳳ッ!!」「酒樽舞曲(ポルカ)・ルミーズッ!!」

 それどころか2匹の剣鬼は落下してくる尖塔を剣技で払い除け、瓦礫の上を割れ砕けながら滑っていく尖塔へ飛び乗り、闘い続ける。

 

 不安定極まる足場にあって、剣鬼達の太刀筋は微塵も翳らない。むしろ、より強く、より鋭く、より烈しくなった、その時。

 

「――――――――――――――――――――ッ!!」

 全裸老婆の怪異が放つおぞましき戦叫が大気中の電磁気を発狂させ、雷電が乱れ舞う。

 

「うぉおおっ!?」「うわっ?! 眩しいっ! 私、もう目が無いですけどぉっ!!」

 夜闇を引き裂く熾烈な雷光を浴び、フランキーとブルックの口から悲鳴染みた吃驚がこぼれた。闇に慣れた目が生理反応を起こして眩む、その(きわ)

 

「一刀流、飛竜……」「鼻唄三丁……」

 ロロノア・ゾロとサムライゾンビの剣技が交錯する。

「火焔ッ!!」「矢筈斬りッ!!」

 

―――― 斬 ――――

 

 瓦礫の山に激突して砕け止まる尖塔。瓦礫の山へ落ちて大の字になったゾロ。

 そして、停止した尖塔からゾロを見下ろすサムライゾンビは、呵々と笑う。

 斬られた傷から生じた炎に巻かれながら。

 

「――御美事。この秋水、貴方が主なら本望でしょう」

 サムライゾンビは黒刀を鞘に納めてゾロへ投げ渡し、炎に呑まれて焼け崩れていく。

「この、侍の体に敗北を与えてしまうとは……心苦しい……」

 

 慙愧の念を呟いた侍の骸へ、ゾロは上体を起こしながら告げた。

「心身ともにあってこその剣士。“お前が”生きた時代に会いたかったよ」

 

 瞬間、灰燼に帰していく骸から影が勢いよく飛び出し、ブルックの下へ戻った。

「も……もっ! もっ!! もどったぁあああっ!! 私に影が……戻ったぁっ!!」

 大喝采を上げるブルックを余所に、ゾロは受け取った黒刀を肩に担ぎ、燃え尽きていく剣豪の骸へ言葉を贈る。

「刀は貰うが……勝負は無かったことにしようぜ、ワノ国の侍」

 ゾロが戦いの余韻を嗜み、ブルックが影を取り戻した喜びを噛みしめた。ところへ。

 

「良い空気吸ってる場合じゃねえぞっ! アレを見ろっ!」

 フランキーが2人へ険しい声を発した。ゾロとブルックがフランキーのデカい手が指差す方向へ顔を向けてみれば。

 

 滅茶苦茶な高速戦闘を繰り広げていたベアトリーゼと怪物ババアは、いつの間にか戦いの舞台を超巨大ゾンビが崩落させた渡り廊下に、いや、壁面を壊しながらメインマスト城砦の外壁を駆け跳び登っている。

「無茶苦茶やってやがるな」

 ゾロが自分のことを棚に上げて呟いた直後。

 

「出ェてこぉ~~~~いっ!!!! 麦わらの一味ぃ~~~~~っ!!」

 

 影と肉体が完全に馴染んだ特別(スペシャル)ゾンビ“魔人”オーズが、麦わらの一味を打倒すべく暴れ始めた。

 

    ○

 

“魔人”オーズは征く。

 メインマスト城砦を豪快に破壊しながら、オーズは征く。

 

 特別冷凍室をぶっ壊し、ダンスホールを崩落させ、ペローナの居住フロアを破砕し、礼拝堂を踏み抜き、壁を大きく大きくぶち抜いて中庭へ飛び出した。

 途中、チョッパーとロビンに敗れたホグバックをうっかり踏み潰してしまったが、そんな細かいことは気にしない。

 御主人様ゲッコー・モリアの命を果たすべく、オーズは征く。

 

「出ェてこぉ~~~~いっ!!!! 麦わらの一味ぃ~~~~~っ!!」

 激烈な雄叫びを上げる超巨大ゾンビ。立ち込める粉塵。メインマスト城砦から脱兎のごとく逃げていくゾンビの群れ。

 さながら大怪獣映画染みた様相を呈する中。

 

 超巨大ゾンビに名指しされた麦わらの一味は――

 

 空中庭園染みた大渡り廊下で、長鼻の狙撃手はいつものように怯え喚き。チビトナカイの船医は船長の安危を案じ。美人考古学者は冷静に戦況を察し。

 

 礼拝堂から中庭へ蹴りだされ、コックは美人航海士救出を邪魔されて怒り。

 

 ホグバック邸の残骸の上で、船大工は圧倒的巨体を前に息を飲み、アフロ骸骨は悲鳴を上げ。大業物『秋水』を得て、再び三刀を振るえるようになったゾロが獰猛に口端を歪める。

 

 城砦内で、肝心要の船長は逃げるゲッコー・モリアを追って駆け回っていて。

 

 そして、いまだ一味の役職定まらぬ“血浴”は城砦外壁面にぶら下がりながら、怪物ババアとの戦いを妨げられ、キレた。

「邪魔すんじゃねェよ、この木偶のボーがッ!!」

 

 ベアトリーゼはプラズマジェットによる高速ロケットジャンプで一息に“魔人”の顔面前まで飛翔。そして、その悪鬼染みた面構えに向かって漆黒の右拳を叩き込む。

 

 ず ど ん っ !

 

 高密度の武装色の覇気を宿した鉄拳がオーズの顔面へ叩き込まれ、全長70メートルの超巨体がメインマスト城砦内へ倒れ込んだ。城砦の建材が砕け、瓦礫が飛散し、粉塵が噴出する。

 

「流石」と親友の勇姿に誇らしげなロビンの隣で、「マジかよ」とウソップが目をひん剥いて呟き、チョッパーがぽかんと口を開けている。

 超巨大ゾンビをワンパンで殴り倒したという事実に、フランキーとブルックが絶句。

 サンジは超巨大体躯が倒れた際に生じた衝撃波を浴び、薙ぎ倒される。

 ゾロは力の差を見せられたようで悔しげに唸る。

 

 なお、城砦内でモリアを追い回していたルフィが衝撃波に巻き込まれ、ふっ飛ばされた模様。

 

 オーズを殴り倒したベアトリーゼが自由落下に移ったところへ、全裸老婆の怪物が壁面から跳躍して襲い掛かってきた。

 叩きつけるように振り下ろされる硬肉塊を右蹴りで払い退け、ベアトリーゼは余勢を駆って身を捻り込みながら、怪物ババアの横っ面へ右拳をぶち込んで地面へ叩き落とす。

 トドメッ!

 追撃すべく、ベアトリーゼが両腕のダマスカスブレードにプラズマをまとわせた、刹那。

 

「やぁ~~~~っったなぁあ~~~~~~~~~~っ!!」

 城砦の巨大破孔から“魔人”が俊敏に飛び出し、

「ごむごむのぉ~ピストルぅ~っ!!」

 拳と呼ぶにはあまりにも巨大な質量がベアトリーゼを直撃した。

 

「ぎゃんっ?!」

 

 その激突で生じたエネルギーの凄まじさたるや、殴り飛ばされたベアトリーゼがスリラーバーク島外壁をぶち抜き、水面を跳ね、船体外皮に突き刺さるほどだった。

 極大なまで暴虐的な一撃と一味の最強格の退場に、麦わらの一味は思わず言葉を失う。

 

「あー痛か……あれ? 痛くねぇなあ」

 顎を撫でながら首を傾げるオーズへ、

 

「テメェ……ルフィッ!! よくも俺のナミさん救出を邪魔した挙句、ベアトリーゼさんをぶっ飛ばしやがったなっ!!」

 グル眉を吊り上げたサンジが怒声を浴びせる。

 

「ルフィ? そいつはおれの敵だ。おれの名前はオーズ。よろしく!」

 律儀に返事をし、オーズは左腕に貼りつけた手配書と眼前のグル眉金髪青年を見比べ、次いで周囲にいる者達を見回し、うん。と頷く。

「お前らが麦わらの一味だなぁ~~っ!」

 

“敵”を把握したオーズは麦わらの面々へ躊躇なく襲い掛かった。

 強烈な蹴り技を繰り出すサンジをぶっ飛ばし、フランキーの銃撃を軽々とかわしてお返しに尖塔の一つを叩きつけてブルック諸共、瓦礫に沈める。ゾロの斬撃に牙を一本斬り飛ばされるも、返礼にゾロを高々と蹴り飛ばす。そして、ウソップ達を渡り廊下ごと叩き落した。

 まるで赤子の手を捻るが如く、麦わらの一味を撃破。

 瓦礫の山に倒れ伏した面々を見回した後、左腕の手配書を確認。

「あとは~麦わらの奴と~オレンジ女と~スーパーヒーローだなぁ~どこだぁ?」

 

 オーズがきょろきょろと周囲を見回しているところへ、全裸老婆の怪物が奇声を上げながらオーズの頭へ肉塊を叩きつけた。まるで獲物を横取りされたことに怒り狂ったように。

 

 だが然して、怪物ババアの豪打を受けても、オーズはけろっとしており、

「なんだぁ~お前ぇ~ゾンビ……? ゾンビかあ? なんか気持ち悪ィなぁ~~」

 むんずと怪物ババアを鷲掴みにして、

「よく分かんねぇ~けどぉ~~邪魔するならぁ~~どっか行け~~~っ!!」

 思いっきり投げ棄てた。

 

 ベアトリーゼをして手こずった全裸老婆の怪物は長大な放物線を描いた末、海に落ちて巨大な水柱を立ち昇らせる。

 怪物ババアは絶叫を上げる。まるで死にたくないと喚き散らすように。しかし、母なる海の力によって体内から影が放散され、抜け殻となった体躯が海底へ没していった。

 呪いと海に底はなく、海は全てを受け容れるがゆえに。

 

      ○

 

「―――っ!」

 船体外皮に突き刺さったまま、意識が飛んでいたベアトリーゼが目を覚ます。受け身を取り損ねて危うく脳挫傷するところだった。

「なんか私だけ散々な目に遭ってる。おかしい。こんなこと許されない」

 

 しかめ面で毒づきつつ、見聞色の覇気を展開。状況を探る。

 城砦中庭で麦わらの一味とオーズが派手に戦い始めていて、城砦内ではナミが雌イノシシゾンビのローラと再会していて、船着き場でペローナがサニー号を盗んで島から脱しようとしていた。

 

 それと――

「あーあ、来ちゃったよ」

 ベアトリーゼがぼやくと同時に、船着き場へ王下七武海“暴君”バーソロミュー・くまが到着した。

 




Tips

個別戦。バトル系漫画のお約束。
 原作では――
 ウソップVSペローナ
 ロビン・チョッパーVSホグバック・シンドリー
 サンジVSアブサロム
 ゾロVSサムライゾンビ
 ルフィVSゲッコー・モリア(初戦)
 本作ではベアトリーゼが絡むゾロVSサムライゾンビだけ描写。

全裸老婆の怪物。
 オリキャラ。
 当初のプロットでは、ゲッコー・モリアかホグバックと絡ませ、なんじゃあこりゃあと盛り上げようと思っていたのだけれど、スリラーバーク編がダレてきたので、退場。
 構成ミスの犠牲者。

ベアトリーゼ。
 オーズにぶっ飛ばされる展開は、銃夢:LOのサチュモド戦のオマージュ。
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