彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
佐藤東沙さん、烏瑠さん、誤字報告ありがとうございます。
ベアトリーゼが船体外皮に突き刺さり、失神していた間まで物語は遡る。
中庭で麦わらの一味を蹴散らした怪物オーズは、残りの“麦わら”と“オレンジ女”と“スーパーヒーロー”を探して、あっちへうろうろ。こっちへうろうろ。メインマスト城砦の壁を砕いて中を覗き込んだり、尖塔をもいで中を窺ったり。
傍迷惑な探し物で絶え間なく轟音と振動が城砦を揺らす中、私達動物ゾンビは敬愛するペローナ様(23歳・独身)を起こしました。
可憐な“ゴースト・プリンセス”ペローナ様は、悪辣な麦わらの一味の長鼻男によって、非道にも昏倒させられていたのです。しかも、傍らにはクマシー隊長とカバ紳士副隊長が倒されていました。あの長鼻野郎っ!
可哀想なペローナ様は意識を取り戻されても『きゃああやめてハンマーッ!』『ゴキブリ嫌いっ! やめてぇいやぁっ!!』と錯乱されています。お労わしや、ペローナ様。……許せません! あの長鼻野郎。必ずぶち殺してやるッ!!
私達がなんとか落ち着かせると、ペローナ様はぱっちりお目々を瞬かせ、大層驚かれました。
無理もありません。ペローナ様のフロアは特別ゾンビ・オーズが暴れ回ったため、大きく損なわれており、そこら中の天井や床が砕け抜け、壁が崩れ開いています。各お部屋の素敵な内装も調度品も、全て台無しです。その御心痛は如何ばかりか。
「な、なんだこの荒れようはっ!? 海賊共の仕業かっ?!」
「海賊達も暴れ回っていますが……これはオーズの暴走による被害ですっ!」「情報ではオーズを取り押さえようとした将軍ゾンビ部隊が、逆に全滅させられたそうですっ!」「未確認ですが、ホグバック様もオーズに踏み潰されたとか」
御下問に私達が答えますと、ペローナ様は一層強く驚かれました。
「なんだとぉ!? それじゃオーズは制御できてねェのかっ!?」
重ねて御下問されましたので、私が代表して質問に答えさせていただきます。
「いえ、それが
ずどーんっ!!
突如巨大な拳が石造りの壁をぶち抜いて現れ、その大質量と大量の飛礫で動物ゾンビ達を薙ぎ払った。
「きゃあああああああああっっ!? オ、オーズっ!?」
ペローナは悲鳴を上げながら物陰へ退避。
直後、壁に空いた大穴からオーズがフロア内を覗き込む。
「女いねぇかぁ~~? どこだぁ~? 女はどこだぁ~~?」
ひぃっ!? とペローナは可憐な細面から血の気を引かせた。
女って……まさか私を狙ってんのかっ!? 飯食って、暴れて、今度は女が欲しくなったってのかっ!?
ゾンビにその手の欲望があるのか?
ないとは言い切れない。
なんせ雌イボイノシシゾンビのローラという前例がある。このローラ、ゾンビとなっても影の持ち主が持っていた強烈な結婚願望と欲望を失わず、一目惚れしたアブサロムを執念深く追い回すストーカーと化していた。
この前例に加え、新聞が麦わらのルフィを高額賞金首の“血浴”と“悪魔の子”を誑し込んだジゴロの如く報じていた。もちろん、これは根拠なき言い掛かりの類なのだが、ペローナには分からない。
だから、ペローナは想像してしまった。
もしもオーズに捕まったら、と。
R18Gな想像がよぎり、ペローナはさぁっと顔を蒼白に染め、ドッと冷汗を流す。
「や、やべェ!! ここに居たらオーズに殺される! 島から逃げるしかねェっ!」
身の危険を覚えたペローナの判断と行動は早かった。
即座に財宝と食料をまとめ、麦わらの一味の海賊船へ積み込み、スリラーバークからの脱出を決断。てきぱきと生き残った動物ゾンビ達へ命令を下す。
そして、自身も旅行バッグに着替えやらぬいぐるみやら大急ぎで詰め込み、船着き場へ向かって駆けだした。
ペローナと動物ゾンビ達が逃亡の支度を進めている頃。
破壊された礼拝堂の奥の空き部屋にて、ナミがクリマタクトで
それはアブサロムが失神中のナミを花嫁衣装へ着替えさせた挙句(つまり一度裸に剥いたということだ)、無理やり契りのキスをしようとしていたことへ対する抵抗であり、何より“友達”の雌イボイノシシゾンビ・ローラを傷つけたことへの制裁だった。
ローラとの友情など身を守るための口先だけの偽り。ローラを丸め込む嘘に過ぎなかった。
けれど、そんな嘘を本気で信じ、友愛の情を示したローラに、ナミは
ナミにはそういうお人好しの甘さがある。ナミにはそういう美しい善良さがある。
ゆえに、ナミは逃げずにアブサロムへ立ち向かい、電撃を叩き込んで、見事にぶっ倒した。
「あれ? 効いた? なんで?」
空中庭園で攻撃を食らわせた時はまったく効かなかったのに……急所に入ったのかしら。
結婚の立ち合いをやらされていた司祭役のゾンビは思う。あの金髪男にあれだけボッコボコにされたところへあんな電撃を浴びれば、さもありなん。
「まぁ……倒せたんなら良いわっ!」
結果良ければ全て良し。ナミは疑問を蹴り飛ばし、倒れたローラの許へ駆け寄って介抱する。
「ローラッ! 大丈夫っ!? しっかりしてっ! ありがとう、私を助けに来てくれて!!」
「何言ってんのナミゾウ……友達じゃない」
「だけど、私……っ! あの時、あんたが怖くて嘘ついたの!」ナミは自罰的な面持ちで「ごめん……っ!! 私、本当は女なのよ!」
「……バカね。知ってるわよ」
ローラは騙されたと怒ったりせず、優しく笑い飛ばした。むくりと大きな体躯を起こし、
「そんなことよりっ! アブ様、今ノーガードじゃないのっ!!」
失神昏倒中のアブサロムを見据え、即座に飛び掛かって身柄を確保。失神中のアブサロムの胸倉を掴んで持ち上げつつ、ナミに告げる。
「ナミゾウ。あんたの仲間“麦わらのルフィ”の影が入った特別ゾンビが今、この島で暴れ回ってるわ。ここから逃げるのよ、今すぐっ!」
「ローラは?」
「もちろん、ここで式を挙げるわよ。誓いのキスをしてね!!」
ナミの問いかけにウィンクを返し、ローラは司祭役のゾンビへ血走った目を向けて吠える。
「オラァ、そこの司祭ィっ! 今すぐ式挙げっぞっ!! 契りのキスの音頭とれやぁっ!!」
「ひぇっ!」司祭役のゾンビがローラの“要請”を断れるはずもなく。
「ローラ。ありがとうっ! お幸せに!」
友人の結婚を祝福し、ナミは奥ゆかしくウェンディングドレスの裾を持ち上げ、駆け出した。
目指すは仲間達の許――の前に宝物庫だ。
「場所は確認済み! これだけ怖い目に遭わされて、手ぶらで帰れますかっての!」
いやはや、まったく頼もしい限り。
○
麦わらの一味の6人――ゾロ。ウソップ。サンジ。チョッパー。ロビン。フランキーが総掛かりで超巨大ゾンビを攻める。
ウソップが特用油星三連発でオーズの右腕をツルッと滑らせ。
フランキーの石柱付き特大ヌンチャクを担いだゾロをサンジが蹴り技で飛翔させ。
宙を跳んだゾロが特大ヌンチャクでオーズの左腕を弾き。
大きく弾かれたオーズの左腕をロビンがハナハナの実の
右腕が滑り、左腕を固められ、バランスを崩しかけたオーズの顎を、フランキーとチョッパーの鉄拳が思いっきりぶっ叩き。
最後に、オーズの重心が掛かった右足をサンジが全力で蹴り払えば。
全長70メートルの超巨大ゾンビがまるで投げ飛ばされたように宙を舞い、頭から落ちた。
天高くまで届く轟音。
島を大きく揺さぶる強震。
砕け崩れる石造りの施設。
吹き抜ける衝撃波に傾げる森の梢。
もうもうと立ち昇る粉塵。
そして、両足を空に向けてひっくり返っている魔人。
「お、お前らコノヤロ~~~~っ! もう怒った! ぶっ飛ばしてやるっ!!!!」
ひっくり返ったまま憤慨する“魔人”オーズ。発せられた怒号に大気がびりびりと揺さぶられ、荒々しく吐き出された呼気が立ち込めた粉塵を吹き飛ばす。が。
「あれっ!? 抜けねェ!? あ、ツノがっ!」
両側頭部から伸びる立派な角が深々と地面に刺さって抜けず、思うように動けない。
瞬間。麦わらの一味の面々はキラーンと目を光らせ、思いっきり人の悪い笑みを浮かべた。そして、動けないオーズの顔に向かって歩み近づいていき――
総 攻 撃 !!
「あぁあああああああああああああああ~~~~~~~~~っ?!」
ドカ! バキ! ボカッ! ゴンッ! ズドン! ドゴンッ! プゥ!
「いぃい加減にしろぉおお―――――――――――――――っ!!」
散々に顔面をボコられたオーズがブチギレ、無理矢理に身を起こす。掘り返された地面が爆ぜ、大量の土砂と瓦礫が宙を舞う。
「撤収――っ!!」
麦わらの一味は悪戯がバレた悪ガキ共のように離脱し、改めてオーズと対峙し直した。
「負けてねェぞ! うはははっ!! こりゃ麦わらがモリアをぶっ飛ばすまでやれそうだな!!」
上機嫌で高笑いするフランキーの隣で、ゾロが手に入れたばかりの黒刀“秋水”を握りこむ。
「なんでルフィを待たなきゃならねェ? 倒しゃあいいだろ」
「俺もルフィを待つ気はねェぞ」サンジが煙草の灰を落としながらゾロへ同意。
「待て待て、オメェら! あのデカブツ野郎はゾンビだぞ!? 塩で浄化する以外に手はねェぞっ!」
意気軒高な両翼を宥めるフランキー。そこへロビンが対案を提案する。
「ゾンビは炎でも浄化出来るみたいだし、ビーゼが戻ってくれば、熱プラズマで燃やせるんじゃない?」
「たしかに通じるかもしれねェが……あれは傍迷惑すぎる」
ゾロの意見にチョッパーがこくこくと勢いよく首肯した。ウソップが顔を引きつらせながら、不安を吐露する。
「……なあ、ベアトリーゼが戻ってきたらよ。さっきぶっ飛ばされたお返しに、プラズマをぶっ放すと思うんだ。それも、この島ごとふっ飛ばしそうなくらい強烈な奴」
物凄くあり得そうな予想に、全員が黙った。実際、空島でスカイピアごとエネルを吹き飛ばそうとした前科がある。エニエスロビー島での暴虐振りも記憶に新しい。
サンジが代表して告げる。
「このデカブツをぶっ倒しちまおう。俺達の身の安全のために」
異論は出なかった。
○
麦わらの一味がなんとも言えぬ理由で超巨大ゾンビ討伐を決意した時。
ペローナと動物ゾンビが出航作業を進める船着き場に、凛々しい怒声が響いた。
「ちょっと、あんたぁっ!!」
何奴っ!? ペローナとゾンビ達が声の出所――外郭壁を見上げれば、純白の花嫁衣装に身を包んだオレンジ髪の美少女が、こちらを強く睥睨していた。
「私の(貰うはずの)財宝をどうするつもりっ! そしてサニー号をッ!!」
ペローナはホッと密やかに安堵する。あのネガッ鼻も一緒だったら……と危惧したが、この女一人なら恐れることは何もない。
「誰かと思えば……アブサロムが御執心の海賊女か。式はもう終わったのか?」
「誰が結婚しますか! あんな変態とっ!!」
オレンジ髪の海賊女ことナミは荒々しく吠えた。正当な憤慨であろう。
「まーた逃げられたのか。本当にマヌケな奴だ」
ペローナは鼻で笑い、手のひらから小さな
「私はお前達の船でこの島を脱出する。それを止める気なら相手してやるぞ、海賊女!」
啖呵を切りながら自身の周りにミニホロの群れを漂わせた、刹那。
何の前兆も前触れなく、突然、大男がペローナの背後に現れた。
『え』
ペローナも、ゾンビ達も、ナミも、影も形も無かった場所へ大男が唐突に出現する、という異常な事態に脳ミソの認識が追いつかず、驚くことさえできない。
は、と我に返ったペローナは大男の正体を認識するや、即座に可憐な顔を強く強張らせる。
「王下七武海、“暴君”バーソロミュー・くまっ!?」
「ええええーっ!?」「モリア様と同じ七武海ぃっ?!」「何しに来やがったんだっ!?」
吃驚を上げ、慌て狼狽えるゾンビ達。外郭壁上のナミも驚きと動揺を隠せない。
「モリアの部下か?」
身長7メートルというゲッコー・モリア同様に破格の体躯を持つ“暴君”は、ペローナを見下ろして、うっそりと問う。
たった一言。口数少ない問い。それだけで船着き場の空気が凄まじいまでの緊張に包まれた。くまの放つ静かな威圧感に圧倒され、ナミもゾンビ達も慄き固まってしまい、身じろぎすらできない。完全に気圧されてしまったペローナは、返事どころか首を縦横に振ることさえできない。
くまは双眸が窺えないほど度の強い眼鏡の位置を修正し、再び問うた。
「旅行するなら、どこへ行きたい?」
「えーっ!? いきなり世間話ィっ!?」
突然フランクな問いへ舵を切ったことに驚愕するゾンビ達。
「りょ、旅行? バカンスなら……暗くて、湿ってて、怨念渦巻く古城のほとりとか……」
呆気にとられたペローナは一瞬、素直に行きたい旅行先を考えてしまったが、すぐ我に返る。
「! ふ……ふっざけやがってっ! 何しに現れたか知らねェが、どうせろくでもねーことだろっ! 丁度良いっ! お前を仕留めて、モリア様への置き土産にしてやるっ!」
相手が王下七武海だろうと恐れることはない。ホロホロの実の力は賞金額が億越えの海賊達にも通じる。ネガティブゴーストのメンタル攻撃で弱らせ、特ホロのカミカゼラップで吹き飛ばしてやるっ!!
「喰ら
ペローナが消えた。
比喩でも修飾でもない。事実だ。何の兆候も先触れもなく、くまがペローナへ向けて右手を小さく振った瞬間、ペローナはフッと消失してしまった。
「? ? ? ?」
ゾンビ達も事態を見守っていたナミも、認識と理解が追いつかない。
「何が起きた?」「ペローナ様はどこ行った?」「え? 消えた?」「……消えたぁっ?!」
理解が追いつき、ゾンビ達は恐慌に駆られて我先と島内へ逃げていく。
「うわぁあああっ!?」「ペローナ様が消されたぁっ!!」「腐れ怖ェえーっ!」「逃げろぉ消されっちまうぞーっ!!」
ゾンビ達が蜘蛛の子を散らすように逃げ去り、船着き場に静けさが訪れた。否、場は依然と息苦しいほどの緊迫感に満ちている。
ナミは瞬きを忘れ、くまを凝視しながら必死に思考を巡らせる。どうやって現れた? どうやってあの娘を消した? 間違いなく悪魔の実の能力。でも、何の能力? どういう能力?
くまは不意に大きな肩越しに背後へ顔を向けた。
「麦わらの一味にはあいつが居たな」
直後。
船体外皮の一角から轟音が響き、巨大な水柱が立ち昇った。
そして、どろんどろんに汚れまくった長身の美女が船着き場へ勢いよく落ちてくる。
四連前転からの捻り込みで着地した“血浴”のベアトリーゼは、名状し難いほど全身が汚れ、ひと嗅ぎで正気を失いそうなほどの悪臭を漂わせていた。
そんなおぞましい悪臭が外郭壁上のナミにも届き、
「うぇっ!? 何なのよ、この臭いッ!? 臭い、いえ、痛いっ! 酷すぎて鼻が痛いっ!」
ナミは即座に鼻元を手で覆い隠しながら、ベアトリーゼへ怒声を浴びせた。
「ベアトリーゼっ! 今度は何をやらかしたのっ!? 怒らないから正直に言いなさいっ!」
「私がやらかしたわけじゃないやいっ!」
ベアトリーゼはナミへ怒鳴り返し、くまにこれ以上ないほどしょぼくれた顔を向ける。
「バーソロミュー・くまさん。あの、一つ相談があるんですが……この汚れと臭い、何とかできませんか……?」
憐れみを禁じ得ないほど酷い格好と物凄く腰の低い請願に、くまは密やかに嘆息して右手をベアトリーゼへ振った。
一瞬でベアトリーゼの全身から汚れと悪臭だけが消え去った。まるで魔法のように。
くんくんと腕や襟口を嗅ぎ、ベアトリーゼはアンニュイ顔に満面の笑みを湛えた。
「お……おおおお~っ! 消えた! ありがとうありがとうっ!」
「……気休めだ。入浴を勧める」くまがうっそりと、けれど、手のかかる娘を相手にするような響きを含んだ忠告をした。
2人のやり取りを窺っていたナミは蜜柑色の瞳を瞬かせ、強い困惑を浮かべる。
「……ねえ、ベアトリーゼ。あんた達って知り合いなの?」
「知り合い……知り合いと言えるのかな? 共通の知人がいて、一回だけ一緒に仕事した、くらいだけど」
ベアトリーゼは顎先に手を添えながら疑問形でナミへ答え、素朴な調子でくまに尋ねる。
「そういや、何しにここへ?」
緊張感に欠くベアトリーゼと不安顔のナミを見回し、
「“血浴”のベアトリーゼ。“泥棒猫”ナミ。お前達は麦わらの一味だな?」
くまはうっそりと反問する。
「モンキー・D・ルフィに兄がいるというのは、本当か?」
「ガープの孫ってのは知ってる。兄貴の有無は知らね」
ベアトリーゼはしれっと応じた。前世の原作知識でもちろんエースとサボのことを知っているけれど、実体験として、ベアトリーゼ自身はルフィから兄弟の話を聞いていないから、この反応が正解。
「……い、いるわよ。エースでしょ。それが何?」
ナミが警戒心を露わにして答えれば、くまは小さく頷いて考え込む。
「な、何よ? 何なの!? ルフィに用なの?! 目的は何?!」
不審なものを感じ取ったナミが腰を引かせつつも、問いを重ねる。が、くまは答えず、沈黙を返すのみ。
「一つだけ答えろ、王下七武海」
何一つ問いに答えないくまへ、ベアトリーゼは冷淡なアンニュイ顔で尋ねる。
「私らがモリアと遭遇、交戦していることを知ったうえでの来訪か?」
瞬間、今の今まで気安く接していたくまへ、絶対零度の殺気を浴びせた。
外郭壁上のナミが本能的な恐怖を刺激され、ひゅっと息を飲む。
冷酷非情な殺気を当てられても、くまは微塵も動じない。大きな体躯を強張らせることもなく自然体のままだ。冷静に思案した末、うっそりと答えた。
「……お前達との出会いは偶然だ。ここにはモリアへ用があってきた」
「そっか。偶然か」
ベアトリーゼは殺気を解くことなく頷き、満月色の瞳を獣のようにキュッと絞りこむ。
「それじゃあさ……偶然、王下七武海ゲッコー・モリアが、麦わらのルフィとその一味に潰されそうなところに出くわして、七武海バーソロミュー・くまはどう動くんだ?」
「何をしようと、俺の自由だ」
くまはうっそりと応じた、直後。パッと姿を消した。
「消えたっ!?」ナミは目を真ん丸にし、慌てて周囲を見回すも、くまの巨躯はどこにも見当たらない。
ベアトリーゼは小さく鼻息をつき、殺気を解いた。チリチリ気味の髪をぼりぼりと掻きながら呟く。
「面倒臭ェ奴」
「……あいつ、絶対ヤバいっ! ルフィや皆に報せないとっ!」
可愛い顔を不安に強張らせたナミの訴えに、ベアトリーゼは頷いた。
「そーだね。とりあえず……シャワー浴びよっかな」
「なんでよっ!!」
ナミのツッコミが船着き場に響いた。
メインマスト城砦の方から届く戦闘騒音が激しさを増していく。
Tips
ペローナ。
原作キャラ。ホロホロの実の能力者。
モリアを慕ってるのか、利得でつるんでるのか、女心は複雑怪奇。
ローラ。
原作キャラ。雌イボイノシシ・ゾンビ。本体はビッグマムの娘。
CV:久川綾。超一流女性声優。初代セーラームーンの水野亜美など多数の有名キャラを演じている人。
ワンピースでは双子のシフォンも演じている。
バーソロミュー・くま
原作キャラ。王下七武海でニキュニキュの実の能力者。
CV:堀秀行。大御所声優。アニメ、ゲーム、吹き替えと多岐に渡って数々の名キャラクターを演じている人。
ワンピースではヴィンスモーク・ジャッジも兼役している。
ベアトリーゼ。
オリ主。
御着替えタイム。