彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
佐藤東沙さん、サトーノ♢金剛石♢さん、烏瑠さん、槙 秀人さん、誤字報告ありがとうございます。
「ルフィくん。どーぉ? きもちぃ~い?」
ベアトリーゼがルフィをマッサージしながら、艶めかしい声色で問う。
「あ~ぅ~~あ~ぅ~~」
チョッパーの医務室のベッドに寝かされたルフィから、弛み切った声がこぼれる。
スリラーバーク海賊団と夜通し戦った疲労から、誰も彼もが丸一日寝込んだ。
特に、大いに“無茶”をして疲労と負傷が蓄積したルフィはなかなか回復しなかった。そこで、チョッパーがドクトリーヌ仕込みの整体を行い、ベアトリーゼもプルプルの実の力で低振動マッサージをし、酷使された筋肉の痛みや緊張をほぐしている。
「なんて羨ましィ……っ!」
「油売ってんなよ! オメーが居なきゃあ準備が進まねーだろ!!」
小麦肌の美女に按摩されるルフィへ嫉妬を隠さないサンジ。その首根っこを掴んでしょっぴいていくウソップ。
今は戦勝の大宴会に向けて準備の真っ最中。大食い揃いの一味に加えて『被害者の会』にも飲食を振る舞うため、コックを遊ばせておく余裕はない。
「あ~ぁ~~」ルフィは体中を揉みほぐされながら「な~~? 俺~~宴が~始まるまでに~~動けるよ~になる~よなぁ~~~?」
寂しんぼなところがあるルフィ君。自分だけ宴に参加できないなんて絶対にイヤだ。
「いざとなったら覚醒剤キメれば、参加できるっしょ」
「そんなもん打つかバカヤローッ!」
とんでもないことを宣う蛮姫を叱責し、船医がぷりぷり怒りながら問い詰める。
「お前、ちょくちょく言うけど、なんなんだ!」
「ウォーロードの軍隊じゃ元気の出るお薬扱いでね。『最前線の兵士の友』とか『クソ地獄で休まず戦い続けられる夢の薬』なんて言われて皆服用してたのよ」
よくある話だ。
軍隊と薬物の関わりは古代まで遡れるほど密接で、化学と薬学が発展した近代以降、最前線の兵士に覚醒剤や神経刺激剤を服用させるようになった。
ベアトリーゼもウォーロードの軍勢に居た頃、この例に漏れなかった。能力者兵士として酷使され、疲弊しきった身体を覚醒剤で無理矢理動かしたことが何度もある。
「あの頃はホントに無茶させられたわ。そりゃ裏切るわ」
ははは~と笑うベアトリーゼ。ドクトル・チョッパーはドン引きである。
「笑えねーよ! とにかく、俺は覚醒剤なんて絶対に許さないからな!!」
「あ~ぁ~~~」
チョッパーの怒声とルフィの弛緩した声が医務室に響く。
そんなこんなの末。
麦わらの一味は『被害者の会』の海賊達と共にどんちゃん騒ぎを始めた。
“なぜか”サニー号に積まれていた大量の食材を用い、サンジが次から次へ御馳走を作る。ウソップとフランキーとチョッパーが海賊達と共に呑んで騒いで踊っていた。ナミは女海賊ローラと仲良くおしゃべり。ロビンはベアトリーゼと共に賑やか過ぎる宴を楽しそうに眺めながら、酒杯を傾ける。ゾロは樽で酒を呷り、呑兵衛達を圧倒していた。
なんとか動けるまで回復したルフィは各卓を回り、肉をがつがつ食い、楽しくおしゃべりし、肉をばくばく食い、笑って踊って、肉をがんがん食い、そうしてピアノを演奏しているブルックの許へ。
ルフィから双子岬の
ひとしきり涙を流した後、ブルックは自身の“宝物”を取りだし、譜面台の傍らに置いた。
「それ、空島のやつだな! たしか……
ピアノの屋根に寝転がりながら、ルフィが興味津々。
「御存じですか。私、ラブーンに会えたらこれを聞かせたいと肌身離さず持ってるんです」
「へえ……何が録音してあるんだ?」ウソップも興味を隠さない。
「唄です」ブルックは慈しむように音貝を見つめ「亡き仲間達が最後に歌い奏でた唄。我々は『明るく楽しく旅を終えた』という、ラブーンへのメッセージです」
ブルックは空っぽの眼窩をルフィに向けて尋ねた。
「今、掛けてもかまいませんか?」
ルフィはニカッと太陽のように笑って快諾する。
「おう、俺も聴きてえっ!!」
かちりと貝の天頂を押せば、貝から生き生きとした『ビンクスの酒』が流れる。
泣く子も笑うルンバー海賊団が
トーンダイヤルの唄とブルックの伴奏に合わせ、麦わらの一味だけでなく海賊達も合唱を始める。影を取り戻した喜びと生きて再び青空を拝めた歓びを込めて。
シー・シャンティの演奏が終わり、ゴキゲンな海賊達がアンコールを要求する中、ブルックは音貝を愛おしそうに白骨の手に取る。
「ルンバー海賊団“最期の大合唱”……暗い暗い霧の海を独り彷徨ったこの50年。何度聴いたことでしょう」
寂しさを紛らわせるために。淋しさを忘れるために。
「独りぼっちの大きな船で、この唄は唯一……私以外の命を感じさせてくれたのです」
ブルックは万感の思いを込めて呟き、
「しかし、今日限り、私は新たな決意を胸にこの音貝を、封印~~~~~っ!!!」
パカッと頭蓋を開けて音貝を収めた。
「「ええええええっ!?」」「なんだそれ、すげえ!」
想像外の収納場所を目の当たりにしてサンジとウソップが吃驚し、面白ギミックにルフィが目を輝かせる。
「辛くない日など無かった。孤独に苛まれなかった時など無かった。希望なんか正直、見えもしなかった。でもね、ルフィさん」
白骨の手を鍵盤の上で踊らせ、ブルックは心の底から思いを叫ぶ。
「私!!! 生きてて良かったぁっ!! 本当にっ! 生きてて良かったっ!! 今日という日がやってきたからっ!!」
うぉおおと歓喜の雄叫びを上げるガイコツ男に、ルフィや麦わらの一味は祝福の微笑みをこぼし、ブルックと同じく絶望を抱きながらも耐え忍んできた『被害者の会』の海賊達が共感して大きく頷く。目元を拭う者も少なくない。
そんなセンシティブな流れをぶった切るように、ブルックは突然冷静になってルフィに尋ねた。
「あ。私、仲間になって良いですか?」
「おう。いいぞ」
ルフィはさらっと認めた。
かくして、念願の音楽家が一味入りし、麦わらの一味は大盛り上がりの大騒ぎ。被害者の会の海賊達もよく分からないが一緒になって騒ぐ。
騒々しく賑やかで楽しい宴は、誰も彼もが酔い潰れるまで続いた。
○
どんちゃん騒ぎの翌日。
朝食後、麦わらの一味は次の航海へ赴くべく支度を始める。
手分けしてサウザンド・サニー号に絡みついたゾンビ蜘蛛の糸を除去したり、ゾンビ達に荒らされた船内の清掃と各種保守点検をしたり。
スゥーパーなサイボーグ船大工のフランキーがいるため、作業の進みはとても早い。身軽なブルックとベアトリーゼがいるため、危険な高所の作業もサクサク進む。
いつものようにルフィとウソップとチョッパーがキャッキャキャッキャと遊びだしたり悪戯したり、サンジとゾロがじゃれあったり。そこへナミがカミナリを落としたり、そんな賑やかな光景を見守るロビンが優しく微笑んでいたり。
サンジがテーブルに昼飯を並べる頃には、サニー号はピッカピカになった。
迎える午後。
ブルックは『被害者の会』へルンバー海賊団の船の譲渡を提案した。曰く自分は麦わらの一味に加わってサニー号へ乗る。ルンバー海賊団の船をスリラーバークに残し、朽ちさせてしまうくらいなら『被害者の会』に使って貰う方がいい。
「あ」ブルックは譲渡の際に生じる“問題”に気付く「でも、そうなりますと船に収めてある仲間の遺骨を移さないといけませんね。このライオンちゃんには積めませんし……」
「サウザンド・サニー号って言えよ」フランキーは指摘しつつ「仲間の骨はこの島の墓場に埋葬したらどうだ? オメェの船を修繕するついでってわけじゃあねェが、墓も建ててやるぜ」
「それ、俺にも手伝わせてくれ!」ウソップが手を挙げた。「ブルックの仲間は勇敢な海の戦士達だった! 立派な墓を建ててやりてえ!!」
ウソップはブルックからルンバー海賊団の“最期の物語”を聞き、大きな敬意を抱いていた。亡き彼らのために一肌脱いでやりたい。
「俺も手伝う!」チョッパーが小さな手をぶんぶん振る。可愛い。
チョッパーは逸話を聞いて尊敬していた天才外科医ホグバックの正体が医療倫理皆無のクソヤローだったことに失望したり、モリアがカゲカゲの実の力で死者の肉体を玩弄していた事実に激怒したりしていた。それだけに、ルンバー海賊団――死を前にしながら
「ありがとうございます。是非、よろしくお願いしますね」
ブルックは少年達の厚意を素直に受け取った。骸骨顔からも伝わる優しい笑顔で謝意を伝える。
「「おう! 任せとけ!」」託されたウソップとチョッパーが嬉しそうに胸を張る。
ウソッチョが張り切っている頃。
疲れがぶり返したのか、ルフィはサニー号の後甲板でお昼寝中。芝生甲板では、ナミが美女2人を駆り出し、ペローナが積み込んだオタカラの大まかな鑑定と仕分けの作業をしていた。
ベリー紙幣や商用金貨や換金用金塊など額が分かり易いものをパーッとやっつけ、次に宝飾品や貴金属を大まかに鑑定。値の参考はウォーターセブンの質屋と美女美少女3人の経験――海賊専門窃盗・詐欺犯と悪党狙いの強盗犯コンビ――が元だった。鑑定が一番厄介な美術品や古物の類は博覧強記なロビンの見識が活かされる。
ナミはマストの足元にあるベンチに腰掛け、帳簿を書きながら、ふと気づく。
「そう言えば、ベアトリーゼもロビンもあまりアクセサリーを付けないけど、何か理由があるの?」
「ドンパチチャンバラで失くしたり壊したりすることを考えるとね」
荒事師のベアトリーゼは小さく肩を竦めて応じ、頑丈な鍵付収納箱(いわゆる宝箱)へ分類したオタカラを詰め込んでいく。
「高価な装飾品は人目を惹くから、避けるようにしてたの」
長く逃亡と潜伏を続けてきたロビンは微苦笑を返し、問い返す。
「ナミもあまり装飾品を付けないわね」
ロビンの指摘にナミは眉を下げて「ベアトリーゼの言い草じゃないけど、行く先々で毎度毎度大騒ぎを起こしたり巻き込まれたりするのよ? 失くすのが怖くて高いアクセサリーなんて付けられないわ」
御説ごもっとも。
「お美しいレディの皆さん。一息ついては如何ですか?」
サンジがいつもの口上と共に、御茶とオヤツを盆に載せて現れる。
礼と共に差し入れを受け取る美女美少女。サンジはオタカラを見回し、ナミへ尋ねる。
「ナミさん、いくらぐらいになりそうなんだい?」
「多少誤差は出るけれど、2億ベリーは固いと思うわ」ナミはカップを口に運ぶ。
「結構な額だな。いや……毎年100隻も襲ってる割には少ない、か?」
サンジの所感にベアトリーゼが注釈を付けるように言った。
「その100隻全てが商船や貨物船ならともかく、海賊船は金を持ってないことがあるからね。略奪の対象としては当たり外れが大きいんだ」
「たしかに」ナミはウォーターセブンを出た時のお寒い懐具合を思い出してぼやく。
ロビンがスリラーバークへ観察するような眼差しを向けた。
「これだけ大きな船に大きな建造物を構えていれば、維持費も相当に高くつくわ。出ていくお金も多かったんじゃないかしら」
世知辛い話をしていると、オヤツの匂いを嗅ぎつけたのか、ルフィがお目覚め。
「何かうまそーな匂いがする! サンジ! 俺にもくれ!!」
「オメェの分は食堂にある。勝手に食え」男に厳しいサンジ。
即座に食堂へ飛び込むルフィ。次いでゾロがやってきた。何やら難しい顔つき。
新たに入手した大業物『秋水』に慣れるべく『鍛錬してくる』と海岸でヤットウしていたのだが。
「ベアトリーゼ。ちょっと良いか?」
「なぁに? デートのお誘い?」
声を掛けられたベアトリーゼが冗談を返せば。
「なんだとッ!? ベアトリーゼさんをデート誘おうなんざ1000年早ェぞ!」
「オメェに用はねェ。出しゃばってくんな、アホコック」
「ンだとマリモッ! オロすぞコラァ!」
両翼がいつものじゃれ合いを始めたところへ、オヤツ皿を抱えた船長が加わる。
「お。ゾローっ! サンジがオヤツ作ってくれたぞ!」
「あっはっは。話が進まねー」
「あんたの戯言が原因でしょーが」
笑うベアトリーゼにナミが軽くチョップを食らわせた。
で。
ゾロは聞こう聞こうと思っていたことをベアトリーゼに尋ねた。
「ルフィがモリアをぶっ倒した時、何をしたんだ?」
「あー! それな! 俺も知りたい! 俺もよく覚えてねーんだ!」
「自分のことだろ。なんで覚えてねーんだよ」
手を上げて主張するルフィ君。隣で呆れ顔のサンジ君。
べトリーゼはカップを手にしながら、説明の言葉を並べていく。
「大雑把に言えば、まずルフィ君へ暗示を掛けてから、振動で体内に熱エネルギーを伝播させた。結果、ルフィ君はその熱エネルギーでゴム風船のように膨張し、収縮時の運動エネルギーに転換。爆縮レンズ効果で……まあ、これは良いか。ともかく、膨れ上がった体が縮む際に生まれる力を、拳に集中させてモリアをぶっ飛ばしたのよ」
きょとんとする少年達。
ちくたくと数秒経ってから、ルフィは頷いた。
「つまり……俺の体に怪奇現象が起きたんだなっ!」
「あんた、怪奇現象で全部納得できると思ってない?」ナミが船長へジト目を向ける。
「お前がいつも使ってる“覇気”とは関係ないのか」
難しい顔つきのままゾロが確認するようにベアトリーゼを質す。
「なるほど。用向きの本題はそれか」
ベアトリーゼは合点がいき、カップを口に運んで唇を湿らせてから、
「前にも言った通り、覇気の体得に必要な正解は千差万別だ。君にとって正しい開花の方法は分からない」
気だるげなアンニュイ顔で淡々と語り、提案する。
「まぁ、それでもあえて試すなら……メンタルの方を磨いてみようか」
「メンタル……精神修行ってことか?」どこか不満げなゾロ。
「そう的外れでもないさ。最強を目指すということは求道行為と然程変わらないからね。精神修養は重要だよ」
不意にベアトリーゼの面差しが変わった。アンニュイな顔つきに冷たい怜悧さが滲む。
「今後は素振り一つするにもダンベル一つ振るにも、深く内観しながらやりなさい。体内で力がどう生じ、どう流れ、どう剣に伝わっていくか、寸分違わず把握しなさい。身体が生み出した力、心が発する熱量を刃へあまさず伝えられるようになりなさい。そのために鍛錬後には静修し、心魂を錬磨しなさい」
普段と全く違う学者然としたベアトリーゼの口調と言葉遣いに戸惑うゾロ。ついでにルフィとサンジも呆気に取られる。
少年達の反応を余所に、ベアトリーゼはゾロへ向けて言葉を続けた。
「最強の頂を目指す志はよし。では、その頂へ君はどう向かう? 屍山血河を築きながら修羅の荒野を突き進むのか。友や仲間と切磋琢磨しながら道を切り拓いていくのか。そして、君の最強とは何か。全てを戮殺しえる存在か。全てを守護しえる存在か。頂へ至る道程は一つではなく、強さの在り方も一つではない」
蛮姫の紡ぐ言葉は若き剣士の思うところだったらしい。ゾロの顔から険が取れ、剣術道場に通っていた頃のような純朴さが漂う。
ベアトリーゼはゾロだけでなく、ルフィとサンジにも向けて、宣う。
「君達は強くなるよ。私よりもずっとね」
予言めいた言葉に、未来の海賊王と両翼がぶるりと背筋を震わせた。なぜ震えたのか、彼ら自身も分からなかったけれど。
奇妙に緊張した雰囲気を、ナミがひっくり返す。
「……あんたって偶に賢くなったりオトナらしくなったりするよね」
「酷い。私はいつだってクールでスマートなオトナの凄腕美人だよ。ね? ロビン」
いつもの雰囲気に戻ったベアトリーゼが、唇をへの字に曲げて親友に同意を求める。も、ロビンは意味深な微笑を湛えてカップを口に運ぶだけ。
「ろ、ろびん? どうして……」予期せぬ親友の反応に動揺するベアトリーゼ。
「ほら。ロビンだって肯定しないじゃない」ナミが意地悪な顔で指摘したなら。
ガガーンと口で擬音を奏で、ベアトリーゼは仰々しく身振り手振りを加えてヨヨヨと嘆き、悲劇のヒロイン気取りの顔つきでロビンの手を取り、演技がかったセリフを並べた。
「……酷い、酷いわッ! 私と育んだ愛は偽りだったの!? 答えて、ロビーナ!」
「……ロビーナ」突然小芝居に巻き込まれて戸惑うロビン。
「なんの小芝居よソレ」くすくすと微苦笑するナミ。
置いてきぼりの男子達は、狐に化かされたような気分に陥っていた。
○
スリラーバークの墓場に大きく立派な新しい墓石が立つ。
ルンバー海賊団の紋である牛の頭骨と海賊船をあつらえた十字架。多くの花が供えられている。
墓石には船員達の名前が刻まれており、碑文に『彼らルンバー海賊団は最期まで明るく楽しく旅をした』と綴られていた。
ブルックは感動に身を震わせ、心から感謝の言葉を告げた。
「素晴らしい~~!! なんて立派なお墓……ありがとうございます! フランキーさん、ウソップさん、チョッパーさん!!」
「いーのよいーのよ。これくらいなんでもねェ」ウハハハと得意げに笑うフランキー。
「俺のデザインの勝利だな!」
「俺、花摘んできた!!」
ウソップとチョッパーもやり遂げた顔だ。
先に船へ戻っていくフランキー達の背中を見送ってから、ブルックは仲間達が眠る墓の前に腰を下ろし、バイオリンを奏で始めた。
素晴らしき仲間達との思い出を振り返りながら奏でられる音色はとても優しく、どこか切ない。
と、ゾロがやってきて折れた良業物『雪走』を墓の傍らに鞘ごと突き立てる。
「ゾロさん」ブルックはバイオリンを下げ「それは?」
「死んだ刀だ。お前の墓の傍に供養させてくれ」
ゾロは共に旅した刀の冥福を祈ってから、ブルックへ告げる。悪戯っぽく口元を和らげて。
「この一味は手ェやくぞ」
「ヨホホホ!! その様ですね! 死ぬ気で頑張りますよ! 私、もう死んでますけど!! ヨホホホ!!」
ブルックは楽しそうに呵々と笑い、仲間の墓を見上げる。
皆。私は新しい仲間達と再び旅へ出ます。旅の果て、皆の想いを込めた唄をラブーンへ必ず届けます。だから、安心して眠ってください。
「さて……船に戻りましょうか。そろそろ小腹も空いてきましたしね! 私、胃が無いですけど! ヨホホホ!!」
冗談好きなアフロ骸骨に苦笑いを返し、ゾロは腰をあげた。
Tips
ルフィ
原作では、くまが能力で痛みと疲労を抽出し、ゾロが代わりに受け取ったから、回復がめっちゃ早かったけれど、拙作では件の出来事が起きなかったので、地道に回復することに。
覚醒剤・神経刺激剤。
賢い皆さんは御存じの通り、日本では違法。使用・所持・売買は重罪。ダメ、絶対。
覇気修行――メントレの勧め。
昨今、一流アスリートの間ではメンタル・トレーニングが常識化している。肉体的な訓練とメントレを重ねることで、脳の働きや心理作用を『最適化』出来るらしい。
ブルック
スカルジョークが非常に難しいので、今後のセリフ回しが悩ましい。
心情描写は独自解釈が多し。異論はあって当然。
ルンバー海賊団の墓。
碑文は独自要素。
原作では、格闘技イベント『プライド』参加選手の名前がアルファベットで羅列されていたとのこと。
ベアトリーゼ。
少年少女をからかうの大好きなアンニュイ系女。