彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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閑話回。


212:怖い女は内緒が得意。

 麦わらの一味は『被害者の会』へ賑々しく別れを告げ、スリラーバークを発つ。

 怪奇の海を脱し、指針の示す海底の楽園を目指して、サウザンド・サニー号が波を越えていく。

 

「ルフィ、本当に良いの? エースのこと」

 ナミがルフィを気遣って尋ねる。

 

 女性海賊ローラが友情と恩の証としてナミへ“母”のビブルカードを分与した際、ルフィが持つ義兄弟エースのビブルカードが縮んでいたことが判明した。

 

 ビブルカードの縮小は本人の生命に危機が迫っている証拠。

 この不吉な兆候に、一味の面々は『エースの安危を確かめに行こう』と口々に提案するが、ルフィは首を横に振った。朗らかな太陽みたくニカッと笑う。

 

「エースなら大丈夫さ。本当にピンチでもいちいち俺に心配されたくねェだろうし、エースは弱ェとこ見せんの大っ嫌いだしな。行ったって俺がどやされるだけさ。エースにはエースの冒険があるんだ!」

 義兄弟の契りを交わしたエースに対し、ルフィは絶対的な信頼を抱いている。エースならどんなピンチも切り抜けられる、とルフィは信じて疑わない。

 

「……そのビブルカードってのは本人が元気になったら、元の大きさに戻るそうだな」

「うん。会うなら紙が元通りになった時に会えば良いさ! そのためにエースはこの紙をくれたんだ!」

 サンジの指摘に首肯を返し、ルフィは力強く、見方によっては頑なに言った。一味の面々も『そこまで言うなら』と船長の決断を受け入れる。

 

 後船楼の二階通路。ベアトリーゼはロビンの隣に立って一味のやり取りを眺め、内心密やかに『まだまだヒヨッコだな』と思う。

 

 麦わらの一味は当然ながら原作知識なんてインチキは持ち合わせていない。しかし、ビブルカードの縮小を『単身とはいえ四皇の大幹部で強力なロギア系能力者が命の危機にある』と認識し、エースが置かれた状況のヤバさを推察して欲しいところ。

 

 だが、ベアトリーゼはルフィ達へ教えない。

 そして、重要な情報を秘して語らないことに、後ろめたさをまったく覚えない。

 

 命の価値が最低価格の土地で生まれ育ったことで、ベアトリーゼは前世の現代日本人的な価値観をとっくに失い、荒事稼業の死生観に染まっている。

 命に優先順位を付けることなんて当たり前。理由があれば、味方であろうと偽り、欺き、騙し、裏切る。殺すことも躊躇しない。

 そんな心の冷酷非情な部分が告げている。

 

 ポートガス・D・エースは原作通り死なせろ、と。

 

 原作では、エースは頂上戦争の“あの場面”で赤犬の見え透いた挑発に乗り、白ひげを始めとする大勢の奮闘、彼らの想い、仲間達の献身的犠牲、全てを無駄にして命を落とす。

 もちろん、エースは同情や憐憫を覚えるべき事情を持つ青年だ。ベアトリーゼとて、彼があのように振る舞った心情を察せられるし、理解も出来る。

 

 しかし、理解できても斟酌する気も慮る気もない。

 エースを助けるため麦わらの一味に危険を冒させるという選択肢は、ベアトリーゼになかった。

 

 ――黄猿やくまに手も足も出ない現状の一味に、情報を与えてルフィだけでなく全員をインペルダウンや頂上戦争へ乗り込ませる? 

 あり得ない。

 

 そんなデカい原作改変を起こして、麦わらの一味全員が無事で済む保証がどこにある? 自分がロビンに深く関わったら、エニエスロビーでオペレーターや新型艦なんてものが現れた。スリラーバークでは意味不明の化け物が登場した。インペルダウン、頂上戦争ではどんなイレギュラーが起きる? 

 

 自分ならともかく、可愛い船長達や大事な親友をそんな危険に晒せない。

 

 そもそも、次のシャボンディ諸島だ。

 ただでさえ、一味離散の大ピンチに陥るイベントが控えている。自分というイレギュラーの存在でどこまで原作と異なる事態が起きるか、想像もつかない。

 

 それに、損得勘定で考えても、再結集まで2年の猶予を得る価値は大きい。その間に自身の”小さな物語”を解決できれば、ルフィ達を人造種族絡みの陰鬱な出来事に関わらせないで済む。

 

 ベアトリーゼはまだ捨てきれていないのだ。

 麦わらの一味が紡ぐ”大きな物語”へ、自身の陰惨な”小さな物語”を含ませない、という悪あがきを。

 

 冷血的な考えを微塵も表に出さず巡らせていると、隣にいたロビンが声を潜めて尋ねてきた。

「ビーゼ。政府の泥棒猫から、ルフィのお兄さんのことで何か聞いてないの?」

 

 ん? 泥棒猫? それはナミちゃんの二つ名では?

「この前の連絡は私じゃなくて、くまに用事の連絡だったからね。ついでにヒューロンの件でいくらかやり取りしたけど、白ひげの二番隊隊長については何も」

 ベアトリーゼはいつも通りのアンニュイ顔でさらりと告げた。親友を欺いても、心に波紋一つ生じない。

「聞くことは出来なくもないけど……政府が関知してなかった場合、余計な情報を与えることになる。ステューシーもプロだ。私が絡んでいても、四皇の大幹部を狩れる好機を得たら躊躇はしないよ」

 

「……事態を悪化させる可能性がわずかでもあるなら、慎重にならざるを得ないわね」

 神秘的な美貌を曇らせるロビン。

 

「まぁじきに新聞で情報が得られるはずだ。エースが事故ではなく事件で危機に陥っているなら、間違いなく大事だろうからね。世経が放っておくはずがない」

 手すりに小癪なお尻を乗せ、ベアトリーゼはアンニュイ顔で口元を緩める。

「今はルフィの決断に委ねよう」

 

 蛮姫の微笑は冷徹な本心を完全に覆い隠していた。

 

       ○

 

 海軍本部マリンフォードの元帥執務室に、世界政府海軍最高司令官の怒声が響く。

「逃げられただとぉ!? 貴様、もっとマシな言い訳をしろ! 上に報告するのは私だぞ!!」

 

 センゴクが報告に出頭した王下七武海“暴君”バーソロミュー・くまを叱り飛ばした直後、応接ソファに腰かけていたガープが野武士のように高笑い。

「ぶわぁっはっはっはっ! 流石はわしの孫!!」

 

「黙っとれ、ガープッ!!」

 再びカミナリを落とし、センゴクは丸眼鏡の奥からくまをぎろりと睨み据えた。

「くま…貴様があの一味を見逃そうと、追撃が止むことはないぞ。奴らは今、ログを辿り自ら“ここ”へ近づいておるのだ」

 

 グランドラインを分かつ赤き土の大陸レッドライン。海賊がここを越えるルートは一つだけ。世界政府の中枢にして天竜人が住まう聖地マリージョア直下の海底。魚人島経由の航路だけだ。畢竟、マリージョア守護の最重要軍事施設たる海軍本部マリンフォード――海軍戦力の豊富な海域へ踏み込むことになる。

 

 海軍元帥に睥睨されても、くまは動じることなく沈黙を保つ。

 

 そんな両者の間に漂う緊張感を、空気を一切読まない老雄が台無しにした。

「あ。わし、新茶持ってきたんじゃった。センゴク、せんべい出せ。くま、お前も一杯飲んでけ」

 センゴクはピキッと青筋を走らせ、三度カミナリを落とした。

「黙っとれ、ガープッ!!」

 

 

 海軍元帥が海軍中将を叱り飛ばしていた頃。

 グランドライン某海域を優雅なロイヤル・クリッパー型豪華客船が悠然と航行していた。

 

 陽光注ぐ最上甲板の会員制テラス。白いパラソルの下。

「“楽園”の海軍諸部隊がマリンフォードへ集結しており、“新世界”の諸部隊からも将官や精鋭が招集されています。各種物資、特に医療品を急ピッチで調達、集積しているようです」

 黒髪の貴婦人がしっとりとした――若い令嬢にも老いた淑女にも聞こえる声で滔々と言葉を編む。

 

 年の頃は成熟した三十代半ば。美女と評するほどの麗貌ではない、ほどほどに整った容姿。しかし、そこはかとなく男を惑わせる色香を漂わせていた。

 優艶な姥桜みたいな貴婦人フラウ・ビマは、テーブルの向かいに座る老紳士へ言葉を続ける。

「海軍は捕縛した“火拳”ポートガス・D・エースを餌に四皇“白ひげ”を釣り出し……本気で潰すつもりです」

 

「ふむ……“白ひげ”の動向は掴めていますか?」

 老紳士が口を開く。

 

 撫でつけられた灰色の髪。完璧に整えられた口髭。糊の効いたシャツとネクタイ。上等な三つ揃えとピカピカの靴。椅子に腰かけた姿勢。ナプキンの折り方。食器の扱い方に料理の食べ方。給仕の接し方。フラウ・ビマに向ける視線。

 全てが洗練され、かつ威厳的だ。

 

 権威という言葉を体現したような老紳士に問われ、フラウ・ビマは首肯し、答える。

「ええ。傘下海賊団の集結が始まっていると報告がありました。白ひげも全力を投入する気です」

 

「なるほど」老紳士は微笑み「末息子を救うため、老いた父は全てを投げ出すのですね。己の命も息子達の命も、己が築き上げてきたものも、一切合切全てを。実に素晴らしい。まさしく愛ですね」

 

 老紳士は丁寧な口調で辛辣な嘲弄を紡ぐ。

 手元に置かれた黒檀の煙草ケースを手に取り、紙巻煙草を一本取りだす。吸い口に金箔があしらわれた煙草をくわえ、金のオイルライターで火を点し、甘い香りの紫煙を嗜む。

 老紳士が紙巻き煙草を呑む間、フラウ・ビマは一言も発さず、微動にしない。

 

 煙草が半分ほど灰になったところで、老紳士は口を開く。

「この潮を見逃すのは惜しいですね」

 

 その言葉を聞いた瞬間。フラウ・ビマの闇夜色の瞳に熱が宿る。

「私にお任せを。必ずや御満足いく成果を御覧いただきます」

 

「貴女の手腕は信頼しています」

 フラウ・ビマの熱意に微苦笑しつつ、老紳士は煙草の灰をクリスタルの灰皿へ落とした。

「ですが、貴女には別件を委ねたい。此度は堪えてください」

 

「残念です」フラウ・ビマは素直に遺憾の意を訴えてから「別件とは何でしょう」

 老紳士は紫煙を嗜み、告げた。

「革命軍の伸張が我々の想定より進んでいます。海軍と白ひげの決戦の結末次第では、彼らの動きが加速するはず。貴女に対応を任せたい」

 

「かしこまりました」

 黒い淑女は恭しく了承する。胸中の闇をついぞ漏らすことなく。

 

      ○

 

 魚人島を目指す麦わらの一味。

 雨上がりの午後。濡れた前甲板が暑気の強い陽光を浴びてテラテラと輝いている。

 

 濡れた操舵席に座り、ナミは自作の大きな海図帳を広げていた。

 これはデカっ鼻海賊バギーなど海賊から盗んだり、アラバスタやウォーターセブンで調達したりした海図をまとめて図帳にしたものだ。いずれも精度的に怪しかったり、不備や不足があったりするけれど、何も無いよりはマシ。

 

 グランドラインは通常のコンパスが役に立たず、また気流海流がデタラメのため船足も安定しない(頻繁に滅茶苦茶速くなったり遅くなったりする)。そのため、グランドラインの気ままな気象と潮に左右されない天体を観測し、自船の位置を把握する必要があった。

 特に海上を大蛇の群れがのたうち回るような遊“蛇”海流の嵐を越えた後は。

 

 そして、六分儀で天測する役目はだいたい狙撃手ウソップか、トビウオライダーで単独航海していたベアトリーゼが担っていた。

 

 観測を終え、ウソップが自信たっぷりに数字を伝える。

「ズレはねェはずだ」

 

「あんたの目を疑ったりしないわよ」

 ナミは赤鉛筆と定規で海図に位置を描き込み、舵輪を握るブルックへ言った。

「ブルック。面舵を4分の1」

 

「ヨホホ! はい、喜んでーっ! おもーかーじ!」

 ブルックは声を弾ませて舵輪を回す。50年の孤独と彷徨から解放され、陽の下で新たな仲間と航海していることが、楽しくて仕方ない。

 

「操帆は?」

「この風なら、しばらくは大丈夫よ」

 ウソップの問いにナミが答えていると、雨水で潤った芝生甲板のハッチが開き、ベアトリーゼが顔を覗かせる。荒れ狂う遊“蛇”海流の踏破後、船内点検を終えたらしい。

「船倉とソルジャーなんちゃらに異常無し」

 

「なんちゃら言うな、ソルジャードックシステムだ! 俺様が精魂込めて作った船だぞッ! あれっぱかしの嵐、屁でもねェぜッ!!」

 フォアマストの足元にあるベンチで、フランキーがガハハと自慢げに笑う。サイボーグ船大工は一足先にエネルギールームや後船楼設備の点検を終えていた。

 

「フランキー。ちょっと良いか? 水回りのことで聞きてェことがある」

 今度は後船楼のドアが開き、サンジがフランキーを呼ぶ。サニー号に乗ってまだ一週間も経っていないため、不慣れなことが多い。

「おう。今行く」

 大きな体を起こし、フランキーが後船楼へ入っていく。

 

 入れ替わりにロビンが後甲板のデッキハウスから出てきた。

「あれだけの嵐でも書架から一冊も落ちてなかったわ。サニーは素晴らしい船ね」

 デッキハウス下階の製図/図書室の主となったロビンが嬉しそうに語る。

 

 今度は男部屋からルフィとチョッパーが釣竿を抱えて現れた。

「嵐の後はチャンスだ! 大物を釣るぞ、チョッパー!」

「おー!」

 

「あ! 俺も交ぜろ!!」ウソップが六分儀を頑丈なケースに収めて駆け出す。

「一番デカいの釣った奴に晩飯のオカズを一品渡すのはどうだ?!」ニシシと笑うルフィ。

「乗った! 後で泣き言いうなよ!」ウソップは受けて立つ。

「それ、デザートは対象外だよな!?」慌てて条件を確認するチョッパー。

 

「いやぁ賑やかで楽しいですねえ! 私、一曲演奏したくなってきました! ヨホホホ!」

 ブルックは骸骨顔に喜色を浮かべて言えば、耳聡く捉えたルソッチョが即応した。

()()れ、ブルック!」「待ってました!」「俺、楽しい曲が良いな!」

 

 アフロ骸骨が奏でるバイオリンの音色に合わせ、釣竿を構えながら3人が歌い、その様子をロビンとベアトリーゼが眺めながら優しく微笑む。

 

 マスト楼で見張り兼筋トレをしていたゾロは、芝生甲板から聞こえてきた音色と歌声に口端を緩め、すぐに気を引き締め直し、鍛錬へ戻る。ベアトリーゼに言われた通り我武者羅に行うのではなく意識を内へ注ぎながら。

 

 ナミは海図帳を閉じて腰をあげ、潮風を浴びる。ハーフアップのお下げがふわりと揺さぶられた。

「んー。気持ちいい風」

 航海は順調だ。

 

 

 

 ――と思うじゃん?

 

 

 

 晩飯が済み、食後の一服を入れる中。ナミが今後の航海について話を始めた。

「とりあえずログが真っ直ぐ下を指し示す辺りまで進んでみましょ。多分、レッドラインまでいくことになると思うけど」

 

「え?」ベアトリーゼは金色の目をぱちくりさせ「レッドライン? なんでレッドラインに行くのさ」

 

「え?」ナミは蜜柑色の瞳を瞬かせ「だって、魚人島ってレッドラインの真下の海底にあるんでしょ?」

 

「え?」ベアトリーゼは怪訝そうに「それ知ってるなら、レッドラインに行く必要ないじゃない」

 

「えっ」ナミはきょとん。

「えっ」ベアトリーゼもきょとん。

 

「待て待て待て。話が嚙み合ってねェぞ」

 コント染みたやり取りにルフィがげらげら笑い始めたところで、見かねたフランキーが割って入り、ベアトリーゼへ問う。

「ベアトリーゼ。お前、魚人島への行き方を知ってんのか?」

 

「知ってるよ」

「知ってるなら言いなさいよ!! なんで黙ってたの!」

 さらっと答えたことにナミが噛みついてくるも、ベアトリーゼは小さく肩を竦めるだけだ。

 

「自信満々に船を進めてるから、てっきりローラに話を聞いてるとばかり。むしろなんで聞いてないの?」

「う、うっかりしてたのよ……」

 ベアトリーゼの切り返しにトーンダウンするナミ。

 

「まぁ良いじゃねーか。リーゼが知ってんならよ」ルフィはニコニコしながら「どーやって魚人島に行くんだ?」

 

 船長の御下問に蛮姫は説明を始めた。

「魚人島へ行くにはまず、シャボンディ諸島へ行く必要がある。そこで船をコーティングしないといけない」

 

「シャボンディ諸島? 島なら魚人島行きのログが上書きされちまわねェか?」

「空島の時みたく、書き換えられる前に出発すりゃ大丈夫だろ。多分」

 ウソップの疑問にゾロが過去の経験を持ち出す。ベアトリーゼは少年達へ説明を続ける。

「や。シャボンディ諸島は正確には島じゃないんだ。島みたいな超巨大植物の集合体に人が住み着いて街を作ってる。だから、ログが上書きされることはないよ」

 

「そうなのかぁ」

 チョッパーが素朴な顔で感心する。可愛い。

「まあ、私は実際に行ったことが無いから、場所は分かんないけどね」

「知らんのかい!」

 ノリの良い面々がツッコミを入れてくるも、ベアトリーゼはそっぽを向いて口笛を吹きだす始末。面の皮が厚い。

 

「ひとまず、話を先に進めましょ」ナミは小さく嘆息して先を促す。「そのシャボンディ諸島でするコーティングっていうのは?」

 

「シャボンディ諸島で特殊な樹脂で船をコーティングしたら潜るんだよ」

「待て。ちょっと待て。潜る?」フランキーが大きな手を上げて「サニーで海ン中へ潜るのか? 海底の魚人島まで?」

 

「そうだよ」

 ベアトリーゼがあまりにも自然に肯定するため、一同はただただ呆気に取られた。

 

 しばしの静寂後。我に返った面々は口々に感想を並べていく。

 

「空の次は海底か。本当に退屈しねェ旅だな」剣士が不敵に口端を曲げた。

「また死ぬような思いするんだろうなぁ……」狙撃手が遠い目で慨嘆する。

 

「水圧でペチャンコになってお魚の餌になるかもしれないわね」考古学者が微笑む。

「楽しそうに怖ェこと言うなよ、ロビン!」船医が半べそ。

 

「流石はグランドライン。途方も無いですね~ヨホホ」音楽家が楽しげに喉を鳴らす。

「コーティング……そんな技術があるとはな。世界は広ェぜ」船大工がニヤリ。

 

「どんな事態になっても、レディ達は俺が絶対に守るからね♡」コックは煩悩塗れの騎士道精神を発揮し。

「コーティングっていくら掛かるのかしら……」航海士が夢も希望もないことを呟く。

 

 そして、船長は太陽のようにニカッと笑う。

「楽しみだなぁ、魚人島!!」

 

 心躍らせる皆を前に、蛮姫はアンニュイ顔に優しい微笑みを湛えた。

「そうだね。楽しみだ」

 

 ――まぁ“今回は”魚人島へ行けないだろうけどね。

 冷淡な内心を微塵も漏らさずに。




Tips

ポートガス・D・エース。
 黒ひげに敗北後、海底監獄インペルダウンに収監中。同階の牢にジンベエがいる。

フラウ・ビマ
 オリキャラ。反政府秘密結社”抗う者達”の女性幹部。
 海軍が白ひげ海賊団と決戦に向けて動いていることを察知。この辺は人や部隊の移動、物資の調達で探り易い。

シャボンディ諸島
 島じゃないからログポースが位置を指さない。
 原作だとシャボンディ諸島の位置を知るエイミーに出会えたけど、出会えなかったら、麦わらの一味はどうやってシャボンディ諸島へ行ったのだろうか・・・

ベアトリーゼ。
 善良でお人好しな麦わらの一味の中に交じったワル。
 一味はカワイイし、親友のロビンは大事。だからこそ、情報を与えない。
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