彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
佐藤東沙さん、烏瑠さん、みえるさん、誤字報告ありがとうございます。
爆発的攻勢を成功させ、
「うそでしょ――」
ナミが声を震わせた。
ルフィもゾロもサンジもギョギョッと目を剥き、ロビンとフランキーが息を呑む。
無理もない。
黒づくめ達はルフィの巨人化鉄拳とゾロの剛剣とサンジの蹴撃を食らわされ、ロビンの能力に超巨大マングローブへ叩きつけられた。ブルックとチョッパーにぶっ飛ばされ、フランキーに追撃の猛弾幕を浴びせられた。
それでも、黒づくめ達は次々と立ち上がる。身体がボロボロになっていても平然と。
刃傷や銃創からどろりとした青黒い液体を流しながら、折れ曲がった手足を気にもかけず、苦悶一つこぼさずに。
何より、
「レッド3。行動不能。回収を待つ」
ベアトリーゼの振動技で上半身を大きく吹き飛ばされた者の残骸の頭が、言葉を発した。
そして、豊満な胸を持つ黒づくめが、破損したゴーグルを覆面ごと剥がし捨てる。
鼻から下は整った女の顔。だが、鼻から上は――何かの器具を装着するためのソケットがいくつもあり、両目は円形ソケットの中に個眼が収まっている。ヌトッとした青黒い液体が鼻と口から伝う。
チョッパーとブルックとウソップが驚愕して喚き散らす。
「なんだよ……あいつらなんだよっ!?」「な……なんですか、なんなんですか、この人達っ!?」「まさか、人間じゃねェのかっ!?」
驚嘆する面々の中、ベアトリーゼが舌打ちする。
――何が
黒づくめ達の異様さに動揺しているところへ、それらは現れた。
「ほいさァ!!」
雄叫びから頭上から響き、大きな影が樹冠から降ってきた。
大質量が落着し、地面が割れ砕ける轟音が響く。立ち込める土煙の中に大きな影が2つと
「どう、なってんだ……」
サンジの口から煙草が落ちた。ある意味では、黒づくめ達の異様な姿よりも麦わらの一味を驚愕させ、戦慄させた。
なぜなら、土煙の中に王下七武海“暴君”バーソロミュー・くまが“2人”立っていた。
そっくりとかいう次元ではない。生き写しだ。顔貌も体躯も帽子も着衣も全てが同じ。
「双子だった……て話じゃねえよな、多分」
息を呑むサンジと麦わらの一味。
彼らはスリラーバークで、くまの力の一端を目の当たりにしていた。
ニキュニキュの実の肉球人間という、思わず脱力しそうな肩書の能力者。が、その強さは破格極まる。『被害者の会』の海賊共を一瞬で蹴散らし、ベアトリーゼの斬撃も超高熱プラズマも弾き飛ばす能力。殺す気満々だったベアトリーゼと渡り合い、手傷一つ負わなかった圧倒的実力。紛うこと無き猛者だ。
そいつが2人? 何の冗談だよ?
それに大鉞を担いだアンコ体形のおかっぱ男も、向こう傷が走る精悍な顔立ちに鋭い双眸、と只者ならぬ雰囲気を発していた。
そんなおかっぱ男が麦わらの一味を視界に捉えつつ、黒づくめ達へ告げる。
「フランマリオンの私兵共はここで退け。こっからはわい達がやる」
「……我々はフランマリオン聖の直属です。海軍に命令権はありません」
胸が豊満な黒づくめが無機質に応える。おかっぱ男は眉間に皺を刻む。
「ああ? お前らはあくまで海軍の手伝い仕事でここに居るんだろ。海軍の
「……少々お待ちください。聖の御意向をお伺いします」
豊満な胸の黒づくめがこめかみとでこの突起物を片手で押さえ、ぶつぶつと独りごち始める。
デカいたんこぶを生やすフランキーが焦れたように吠えた。
「おい! こっち無視して何ごちゃごちゃやってやがる! テメェらはいったいなんなんだ! そっちの“鉞”! なんで同じ姿の王下七武海が2人も居やがる!」
「……人を武器の名前で呼びやがって」
食って掛かるような物言いに、おかっぱ男が不快そうに鼻を鳴らす。
「わいに質問しても無駄だ。お前達に教えることは何もねェし、答える義理も筋もねェ。わいは世界一ガードが固い男……! 口も固いんだ」
「名前くらい名乗れよ!」ウソップがやいやいと言えば。
「言ったはずだ。わいは答えねェ。世界一口の固い男戦桃丸だ」
麦わらの一味は頷く。
「せんとうまるっていうのか」
「……」戦桃丸と名乗ったおかっぱ男はそっぽを向き「今のはわいが自発的に教えてやったんだ。テメェらの質問には答えねェ」
「海軍科学部隊、戦桃丸隊長。通信をつなぎます」
豊満な胸を持つ黒づくめが戦桃丸へ言った。
麦わらの一味は頷く。
「科学部隊の隊長なのか」
「今のはわいが教えたわけじゃねえ」
戦桃丸が不満そうに唇を尖らせると、胸が豊満な黒づくめが男性の声でしゃべり始めた。
『戦桃丸隊長。フランマリオン聖の御決定を伝える。現地派遣したモッズはこれより貴殿と共同任務に当たることを許可する』
「共同?」戦桃丸は怪訝そうに「おい、こっちはお前らに退けと――」
戦桃丸の抗議を無視し、豊満な黒づくめの口から一方的な通告が続く。
『それと、麦わらの一味討伐作戦において、聖より御命令があります。1、“ワタアメ大好き”チョッパー並び“泥棒猫”ナミの身柄を確保し、こちらに引き渡すこと』
「「ええっ!? なんでっ!?」」
指名されたチョッパーとナミが仰天し、
「ふざっけんな!! ナミさんは絶対に渡さねェぞゴルァ!!」「俺は!?」
ブチギレるサンジと、そんなサンジの脛を蹴飛ばすチョッパー。
『2、“鼻唄”ブルックは確実に抹殺すること』
名指しで処刑宣言をされ、ブルックが愕然として狼狽する。
「えええっ!? ちょ……ええっ!? な、なんでですか!? 私、そこまで恨みを買うような覚えないんですけどぉっ!?」
世界規模の大権力から高い殺意をぶつけられ、動揺を隠せないブルックを無視し、通告は続けられた。
『最後に、“血浴”のベアトリーゼ。聖よりお言葉がある。心して拝聴せよ』
皆の目がベアトリーゼへ注がれた直後、
『ぐふふふ……』
女性の顔を持つ黒づくめの口から冒涜的なおぞましい嗤い声が届く。ルフィの顔が反射的に大きく歪む。コイツ……嫌な奴だ。
『ワチキの“箱庭”より飛び出した小さな
ぐふふふと不愉快に笑い、世界貴族の男は告げた。見透かして嘲るように。
『お前は“何を食って”育った? “何を食えば”そのように育つ?』
瞬間、空気が凍てつく。光と泡の中で誰もが思わず動きを止める。
ロビンは碧眼を巡らせて親友の様子を窺い、息を呑んだ。
ベアトリーゼの端正な顔には何もない。怒りも憎しみも恨みも敵意も殺意も。ただ金属的な冷たさを湛え、満月色の瞳の虹彩が細く絞られていた。まるで冷血な女妖のように。
誰一人、微動だに出来ない。麦わらの一味も戦桃丸も人間兵器達も、本能的に気圧されていた。
時が凍りついたような静寂の下、ベアトリーゼはゾッとするほど穏やかで、怖気を覚えるほど静かに、告げた。
「無慈悲という言葉の意味を思い知らせてやる」
『ぐふふ……思ったより美しい声で
族滅の呪詛を嬉しそうに聞き、天竜人は冒涜的邪神みたいな笑い声と共に、
『然れどもこれ以上の会話は無用。ワチキが見たいものはお前の可能性だえ』
告げた。
『期待しているえ。“ワチキの”可愛い
改造人間を中継した通話が終わる。
数瞬の静寂。その後に、
「フフ……フフフ」
ベアトリーゼは笑い始める。柔らかく和やかに。そのあまりの恐ろしさにヤンチャ坊主達は勿論、“怪物”達すら動けない。
ある意味で覇王色の覇気より強烈な恐怖感をまき散らし、蛮姫は誰へともなく微笑む。
「私……今なら誰にでも優しくできそう」
女妖は微笑んだ直後、抑えていた殺気を解放する。
まき散らされる凶悪な殺気に反応し、バッカニア族の複製人間兵器達が手のひらの光学兵器を速射。
王下七武海“暴君”の生き写しみたいな2人の巨漢が放った光線が、麦わらの一味をかすめて廃墟や地面を爆発させる。
「ビームだぁっ!?」「レーザーだとぉっ!?」「どっちだよっ!?」「肉球じゃねえ!?」「スリラーバークで見た奴とは違うのか!?」
目を輝かせるルフィ。目をひん剥くフランキー。ツッコむウソップ。戸惑うサンジとゾロ。
麦わらの一味を驚かせた光学兵器は派手な見た目に反し、威力は手榴弾程度の爆発を起こす程度。戦桃丸が眉間に皺を刻み、吠えた。
「そのしょぼくれた威力はなんだっ!? PX-1、4! 全力で撃てっ!」
活を入れる戦桃丸。しかし、パシフィスタ達の光学兵器攻撃は威力が変わらなかった。
科学者ではない戦桃丸には分からない。
光とは振動と関係性の深い可視放射線であり、また極めて繊細な電磁波である。パシフィスタの光学兵器がプルプルの実の振動人間による妨害的干渉により、照射された瞬間から大幅に減衰し、エネルギーの多くを消散してしまっていたことが、戦桃丸には分からない。
パシフィスタが光学兵器の威力を発揮できぬ間に、フランマリオンの改造人間兵器達が再び麦わらの一味へ襲い掛かった。
「来るぞ!」
ゾロの鋭い声が飛ぶ。
身構える一味。然して金眼の女妖が夜色の髪をなびかせながら、躍り出て――
峻烈な閃光と爆音を放った。
○
目を焼く鮮烈なプラズマ光。内臓まで震えさせる大気鳴動。
吃驚と悲鳴を上げる一味を置き去りにし、ベアトリーゼは作り出した間隙を活かして強襲する。
閃光に眩んだ視界の中で、ルフィ達は見た。しなやかな影が舞う様を。
1人目を周波衝拳で体を上下に吹き飛ばす。
2人目は跳躍前転しながら繰り出した漆黒の回し蹴りに頸椎を砕かれ、脊髄を引きずり出されるように首をもぎ取られた。
反転捻りで宙を舞いながら繰り出されたククリ刀の斬撃を避け、指先から伸ばしたプラズマ爪で3人目を袈裟に引き裂き、黒づくめの隊列を突破。
くまモドキ達とおかっぱ頭へ向けプラズマジェット飛翔。追いすがる黒づくめ達を振り切る。
馬手のパシフィスタが口腔から光線を放ち、弓手のパシフィスタが肉弾戦へ臨む。戦桃丸は大鉞を脇構えし、迫りくる女妖を迎え撃つ。
ベアトリーゼは悪魔の実の能力で光線を減衰消散させ、格闘戦を挑んだパシフィスタの豪打を
続けて馬手のパシフィスタに急迫し、土手っ腹へ電磁加速パンチをぶち込んでぶっ飛ばした。パシフィスタ達を蹴散らし、戦桃丸を強襲する。
「来いやぁっ!!」
野武士のように吠え、戦桃丸が脇構えの大鉞を振り抜く。
ベアトリーゼは跳び箱のように豪快な斬撃を飛び越え、宙返りしながら長い左足を振るい、戦桃丸の側頭部へ蹴りを浴びせる。
高密度の武装色の覇気をまとった足刀と頭蓋が激突し、金属的轟音がつんざく。
「硬い」ベアトリーゼの口から感嘆がこぼれた。
「わいのガードは世界一だっ!」
鼻血を垂らしながら、戦桃丸は己を鼓舞するように叫び、宙を舞うベアトリーゼへ大鉞の連撃を繰り出した。大鉞を枯れ枝の如く軽妙に操り、女妖を斧撃の巴に飲み込む。
しかし、金眼の女妖は重厚な斬撃の豪嵐の中で艶めかしく宙を躍り、艶やかに地を舞い、切っ先をかすらせもしない。
否応なしに実力差を思い知らされ、戦桃丸が喉から呻き声を漏らした間際。
「は?」
天地逆さに宙を浮いていた。一瞬で背後へ回り込まれ、足払いを食らったと認識が追いついたのは、追撃の蹴りを食らい、飛び石のように地面を幾度も跳ね転がってからだった。
衝撃と苦痛に明滅する戦桃丸の視界の中で、大ダメージを被った2体のパシフィスタが、発狂したかのように両手と口腔の光学兵器を乱射していた。モッズ達は仲間の犠牲を委細無視して麦わらの一味と戦闘を続けている。
光と泡の世界、超巨大マングローブの足元。光線が幾筋も走り、爆炎の華が咲き乱れる。爆発音が幾重にも連なり、海賊達の戦叫と死闘の音色が響く。
戦桃丸は大鉞を支えにして激痛に震える体を無理やり立たせ、口腔内の血を吐き捨てた。
「……パシフィスタの実戦試験に来ただけだってのに、とんだ貧乏くじだ」
ベアトリーゼは優雅に振り返り、満月色の双眸を細める。
「殺したつもりだったが……武装色の展開密度と速度は大したもんだな」
「抜かせ」
嘲弄のこもった讃嘆を拒絶し、戦桃丸は血反吐を手に吹きかけて長柄を強く握り込み、鉞を構え直す。
「わいのガードは世界一っ! 簡単に殺れると思うな、“血浴”っ!」
ベアトリーゼが艶美な唇を煩わしげに薄く歪め、犬歯の先を覗かせた。
「邪魔臭ェ奴」
○
麦わらの一味はもはや出し惜しみ一切無しだった。
発狂した如く光線を乱射し、剛腕豪打を繰り出すパシフィスタ。
どれほど傷ついても苦悶一つこぼすことなく戦い続ける昆虫みたいなモッズ。
この人間のような姿をした人間ではない怪物達相手に、余力を残すような戦い方では、勝てない。ここから生き延びることはできない。
ルフィは後のことなど知らぬとばかりに身体的負担の大きな“ギア2”と“ギア3”を駆使し、ゾロとサンジも体力気力を使い果たす勢いで大技を繰り返す。船長と両翼がパシフィスタを相手取る間、ロビンとフランキーとウソップがモッズ達の攻勢を必死に抑え込む。
フランキーは既に内蔵火器の弾薬を使い果たしており、ウソップもカバンの中に収めたパチンコの玉が残り少ない。
モッズ達はナミとチョッパーを執拗に追い回し、ブルックをガチで殺しに掛かっている。
「なんで!」「俺達ばっかり!」「狙うんですかぁあっ!?」
戦闘交響曲にナミとチョッパーとブルックの悲鳴が混ざる。
そして、ベアトリーゼは戦桃丸を一方的にぶちのめしていた。
鋭き黒猫の如き疾風迅雷の機動。虎毛の大猫のような豪打剛撃。灰色の猫又を思わせる妙域の心術。心技体の全てが戦桃丸を凌駕し、猫が鼠を嬲るように追い詰めていく。
だが、戦桃丸は倒れない。全身を血と傷に覆い尽くし、膝をつき、血反吐をぶちまけても、決して鉞を手放さず、何度でも立ち上がる。
「頑丈な奴だな」
ベアトリーゼは頬についた返り血を拭いつつ、強い苛立ちを込めて舌打ちする。
ルフィやゾロなら戦桃丸の不撓不屈振りに好感と敬意を抱くところだろうが、戦いや殺しを作業と見做すベアトリーゼにとっては、ただただ煩わしく疎ましい。
「言ったはずだ。わいのガードは、世界一だ……っ!」
戦桃丸は血で真っ赤に染まった歯を覗かせて不敵に笑う。
一条の青筋を走らせ、ベアトリーゼが一瞬で戦桃丸へ肉薄。大鉞を回し蹴りで払い飛ばし、戦桃丸自慢のガードを
――防御の両腕を千切り飛ばし、内臓を背骨諸共に吹き飛ばしてやる。
が。
必殺の右拳は戦桃丸へ届く寸前で止められた。
突然現れ、蛮姫の拳を止めた男は3メートルの背丈をストライプのスーツで包み、海軍コートをマントのように羽織っている。
「わっしの友達を……これ以上傷つけるのは、やめてもらえるかィ~?」
間延びした調子で語っているものの、色の濃いティアドロップサングラスの奥に控える双眸が確かな怒りを湛えていた。
「遅いぜ、オジキ」戦桃丸は安堵の微苦笑を湛え、片膝をつく。
「ごめんよォ、戦桃丸君。大丈夫かィ?」
海軍大将“黄猿”ボルサリーノはベアトリーゼから視線を外さずに年下の友人を気遣う。
「危うく殺されかけた。ちっと休みてェ」
「良いよ良いよ、休憩してなァ」
ボルサリーノはくたびれ顔の戦桃丸を労い、ベアトリーゼを次いでパシフィスタとモッズ達を相手にしている麦わらの一味を窺う。
「後はわっしが片付けるからさァ」
のんびりとした口調に潜む確信と自信。そして、友人を傷つけられた怒り。
ベアトリーゼは拳を引き、眼前の大男をぎろりと睨み据え、
「ついにお出ましか」
苦々しく毒づく。
「海軍大将“黄猿”」
その発言は麦わらの一味の耳にも届き、動揺が走る。
「海軍大将っ!?」「青雉と同格の奴か……っ!」「この戦況に大将まで加わったら、もう手に負えねェぞっ!?」
ぎゃあぎゃあと慌てふためく麦わらの一味を余所に、ベアトリーゼは思考を働かせる。
――原作ではレイリーがこいつを押さえてくれたけれど、この場に駆けつけてくれるかは分からない。見聞色の覇気を広域展開してみる? いや、こいつを前にして、そんなことをしている余裕はない。
ピカピカの実の光人間。光は波であり粒子であり、電磁波であり、エネルギーである。こいつの“出力”に、私の振動がどこまで
「“血浴”のベアトリーゼ。君に関わる報告書を何度か目にしたよォ……随分とおっかない娘なんだってねェ……」
瞬間。ボルサリーノはベアトリーゼへ光線を放つ。
雷が落ちたような轟音と衝撃波が12番グローブを強く揺さぶり、超巨大樹の頭から大きな枝葉がばらばらと降り注ぎ、地面や樹脂が蒸発して燻ぶる。
パシフィスタの光学兵器とは比べ物にならない圧倒的威力。されど、ベアトリーゼは漆黒の両腕を交差させて光線を防いでいた。
ボルサリーノは怪訝そうに眉根を寄せた。放った光線の威力と目の当たりにした結果が一致しない。
「……おかしいねェ。君ィ……今何をしたんだィ?」
「わざわざ手の内を明かす趣味はない」
ベアトリーゼはボルサリーノへ肉薄し、漆黒の周波衝拳を放つ。大型戦艦すら撃沈し得るほどの覇気と振動を込めた確殺の一撃。
黄猿は能力による回避ではなく武装色の覇気による防御を選び、血浴の必殺拳を撥ね除けた。手に残る鈍い痛みと痺れに、ボルサリーノは眉を大きくひそめた。
――なるほど……こりゃ戦桃丸君には荷が重い相手だァ。
ボルサリーノはサングラスのブリッジを押し上げた。
「やれやれ……ルーキーの海賊団にとんだ怪物が交じってたもんだ」
「化物具合はテメェの方が上だろ」
ベアトリーゼは毒づきながら距離を取り、
「こっからは周りへの配慮無しだ」
麦わらの一味に告げた。
「死んだら運が悪かったと諦めろ」
Tips
フランマリオン聖
オリキャラ。天竜人。
ベアトリーゼを煽りまくる性悪デブ。
パシフィスタ
原作キャラ。バッカニア族のバーソロミュー・くまの複製人間をベースにサイボーグ化した人間兵器。
光学兵器を搭載し、極めて高い身体能力を発揮するも、覇気は使えない模様。
人間を複製量産して兵器化を計画して実行している時点で、ベガパンクは充分にマッドだと思う。
戦桃丸
原作キャラ。非能力者の覇気使い。海軍科学部隊隊長だが、現状では正式な軍籍はもたない。あくまでベガパンクのボディガード。
CVは数々の作品で有名キャラを演じてきたベテラン声優の伊倉一恵。ワンピースではチョッパーの代役を務めたことがある。
代表作は『シティハンター』の槇村香や『三つ目がとおる』の写楽保助など。
猫の妙術。
元ネタは銃夢:LO。出典自体は丹羽十郎左衛門の『田舎荘子』。ネット上で原典が読めるらしい。作者は未確認。
ベアトリーゼ。
キレ過ぎて笑い出した。