彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
傾斜した超巨大マングローブから粉雪のように灰が降り、蛍の大群みたく火の粉が踊る12番グローブ。
「ウソップ、サンジッ!?」「どこ行ったんだぁ――っ!?」
麦わらの一味が消失した2人の名を叫べども、応える声はなく。
「野郎……ッ!」
「ダメよ、ゾロッ!」
ナミの制止を無視し、ゾロはくまへ斬りかかる。負傷と疲弊で無駄な力が抜け、されど仲間を奪われた怒りで気力充実したその斬撃は、おそらくはロロノア・ゾロの現状最高の一刀。
その一撃を、くまは容易くかわす。無慈悲なまでの実力差。だが、ゾロに悔いる暇は与えられず。
ぱん!
「ウソップ、サンジ、ゾロ……みんな、消されちゃった……っ!!」
「うぅ……うぅうううううっ!」
戦慄したナミの悲鳴がつんざき、チョッパーは歯を噛みしめて涙をぼろぼろこぼし、ランブルボールを取り出す。
「これ以上……これ以上、仲間を奪わせないぞっ!!」
過剰投与によって巨獣と化し、発狂暴走状態となったチョッパーは凶悪な戦叫を轟かせる。涎を垂らしながら絶叫し続け、見境なく長大な腕を振るい、拳を叩きつける。
チョッパーは仲間を護るために限界を超えたが、皮肉にもチョッパー自身の暴走により、一味は分散を余儀なくされる。
「きゃあっ!?」
「ナミ!」
混乱の隙を突き、モッズの狙撃手と観測手がナミを取り押さえ、ルフィが慌てて助けに向かおうとした、寸前。
「つっぱり
くまの放った衝撃波にモッズの2人が吹き飛ばされた。
『えっ!?』とナミとルフィが戸惑う直後、くまがパッとレイリーと戦桃丸の傍らに瞬間移動し、さらにモッズの残党を衝撃波で薙ぎ払う。
「テメェ……ッ!! くま公、どういうつもりだっ!!」
「政府が関わらない事例は、おれの自由裁量だ。質問には答えない」
怒鳴る戦桃丸をあしらい、くまはレイリーへ小声で語りかける。
「――――――――――――――」
「……政府に与するお前の言葉を、私に信じろと?」
”冥王”から険しい眼差しを向けられるも、”暴君”は鉄面皮を崩すことなく応じた。
「貴様の自由だ。俺も立場を危ぶめている」
狂獣チョッパーが飛散させた瓦礫の雨に呑まれ、フランキーが倒れた。背負われていたロビンが投げ出される。
くまは再び瞬間移動してフランキー達へ迫る。ブルックが仕込み杖を抜刀して2人を庇う。
「命に代えても、お2人には指一本触れさせませんよっ! あ、私もう死ん」
ぱん!
「くらえ、ストロング・ライトッ!!」
フランキーが怒りの鉄拳を放つも、くまは防ぎも避けもせず平然と受け止め、肉球を備えた右手を振るう。
ぱん!
「うわあああああああああああああああああああああああっ!」
ルフィは悲愴な雄叫びを上げながらギア2を発動させ、くまへ高速突撃する。が、高速エクスパンド・パンチは容易く撥ね退けられ、ルフィ自身も地面へ叩きつけられた。
血を吐きながら身を起こせば、ロビンが助けを求めるように手を伸ばして、
「ルフィ」
ぱん!
眼前で消失するロビン。ルフィがもはや言葉にならぬ悲痛な絶叫を響かせる。
「やめろ! もうやめてくれっ!!」
しかし、くまはルフィの声に応えることなく、暴れ狂う巨獣化チョッパーに向けて、右手を振るう。
ぱん!
「ルフィ! 助けて!!」
くまは涙を流して怯えるナミへ急迫し、左手を振るう。
ぱん!
チョッパーとナミが立て続けに消失し、ルフィだけが残された。
ゾロもナミもウソップもサンジもチョッパーもロビンもフランキーもブルックも、誰もいない。どこにもいない。
樹冠から灰と共に降ってくる戦闘騒音がベアトリーゼの存在を伝えていたが、ルフィは力なくその場に崩れ落ちる。
「ぅ、ぅうう……うぅううううっ!!」
痛悔の念から地面を殴りつける拳に力はなく。無力感と自責の念で地面に頭を打ちつけても、残酷な現実は覆らず。仲間が消えてしまった喪失感と仲間を護れなかった自分自身への失望が、絶望の鎚となってルフィの心を打ちのめす。
「俺は……仲間、一人も……救えないっ!!」
嗚咽と共に慙愧の言葉が溢れ、絶望に苛まれた心が血を流し、双眸から涙が流れる。
くまは黙ったまま、泣き崩れたルフィを見下ろす。鉄面皮に表情はなく。分厚い眼鏡に遮られ、瞳に宿る感情は窺えない。
ルフィが涙に濡れた顔を上げ、仲間を奪った“敵”を見上げる。
くまはルフィへ右手を振り上げた。
「もう二度と会うことはない……さらばだ」
ぱん!
そして、モンキー・D・ルフィもシャボンディ諸島から消失する。
麦わらの一味は完全崩壊した。
○
麦わらの一味が消失して間もなく。
傾いだ超巨大マングローブの樹冠の一部が派手に爆散し、落下してくる枝葉と灰に交じり、2つの影がくま達の許へ落ちてきた。
半裸姿の“血浴”ベアトリーゼが四回転半捻りの末に着地し、疲弊と消耗から片膝をつく。瑞々しい小麦肌のあちこちに擦り傷や火傷が出来ており、汗に煤煙が貼りつき模様を描いている。
海軍大将“黄猿”ボルサリーノは焼け焦げた海軍コートをなびかせながら、スマートに着地。目立った負傷は無いものの、口元から伝う血を拭い取った。
「……こりゃあいったい、何がどうなってるんだィ~……?」
ボルサリーノは周囲を見回した後、ティアドロップサングラスの奥から鋭く険しい目線をレイリーとくまへ注ぐ。
「“冥王”シルバーズ・レイリー。“暴君”バーソロミュー・くま。この場に居てもらっちゃ困る“伝説”に、この場に居ちゃあおかしい王下七武海。それに、綺麗さっぱり消えちまった麦わらの一味。説明はあるんだろうねェ~……?」
「そりゃ私も聴きたいね」
ベアトリーゼはふらつきながら立ち上がり、血に塗れた唾を吐き捨てる。
――イレギュラーはあったけど、ひとまずルフィ達は原作通りの結末を迎えたか。
「……“血浴”。人前に出る恰好じゃねえぞ。何がどうなりゃそんな様になる」
下着姿で恥じらい一つ見せず堂々と振る舞うベアトリーゼを見かね、戦桃丸が指摘する。レイリーも眉間に皺が寄っている。くまは無表情のまま。
「私に露出癖があるみたく言うんじゃねーよ。そこの海軍大将に剥かれたんだ」
ベアトリーゼの悪態を受け、戦桃丸とレイリーとくまがボルサリーノをじろり。
「いや。いやいやいやァ。酷い誤解だ。彼女の格好は戦いで仕方なくだよォ~……わっしはわざと婦女子の服を剥いたりしないって」
ボルサリーノは頭を掻き、恨みがましくベアトリーゼを睨む。
「頼むから人聞きの悪いこと言わないでくれないかィ~……?」
「……これを羽織りたまえ」
「ども」
レイリーがマントを脱いでベアトリーゼに渡し、ベアトリーゼは受け取ったマントを羽織る。下着にマントというのも、痴女っぽいが。
マントを羽織り、ベアトリーゼはぎらつく満月色の双眸をくまへ向ける。
前世の原作知識が穴あき靴下みたいなベアトリーゼは、くまの真意が分からないし、事情を知らない。
――こいつよく分からねェのよね。“暴君”なんて大層な二つ名を付けられる割に、粗暴な振る舞いも言動も無いし。政府の命令に従順なくせに、自身の思惑で動くことも厭わないし。何より、なんでこいつはルフィ達を助けた?
故に本心から質す。
「で? そこの海軍大将閣下の言いようじゃねェけど、どーいうつもり?」
ベアトリーゼだけでなく、ボルサリーノと戦桃丸も、レイリーもくまへ疑念に満ちた眼差しを注いでいる。
くまはベアトリーゼに向き直り、
「……血浴のベアトリーゼ。お前の問いへ答える前に、聞きたいことがある」
うっそりと、だが真剣な声音で質す。
「“麦わら”のルフィとは何者だ?」
その真摯な問いかけに、レイリーもボルサリーノも戦桃丸も沈黙を保ってベアトリーゼの回答を待つ。
そして、問われたベアトリーゼは美麗な曲線を描く腰に両手を置く。
「……人間は自身が主人公の物語を紡ぐ。大抵は個人の小さな物語で完結するが、中には大きな物語を紡ぐ者もいる。彼らの物語は大勢の人生を呑み込み、時に世界を動かす」
ベアトリーゼは学士然とした口調で言葉を並べる。
「たとえば、オハラの考古学者クローバー。この世界に秘された真実を追い求め、最後は自身だけでなく、大勢の仲間やオハラの全住民を巻き込んで命を落とした。まあ、住民の“虐殺”はお前らの仕業だが」
冷たい眼差しを向けられ、ボルサリーノはティアドロップを掛け直す。
大将として海軍の”罪深さ”を十分に知るボルサリーノは、ベアトリーゼの指摘にいちいち揺さぶられたりしない。が、後ろめたさを抱かないほど厚顔無恥でもない。
ベアトリーゼは言葉を続ける。
「たとえば、“革命家”ドラゴンが始めた叛逆の物語は、典型的な“大きな物語”だ。今や革命軍の戦いは世界中へ広がり、大勢の運命を動かしている。良くも悪くも、ね」
ドラゴンが率いる革命軍の一員だったくまは、なるほど。と頷く。確かに、ドラゴンは大きな物語を紡いでいる。世界を天竜人の支配から解放しようという壮大な物語を。
「だが……直近100年で最大の物語は海賊王ゴールド・ロジャーが興した当世、この大海賊時代だ。彼はグランドライン制覇という前人未到の物語を成し遂げ、最期に言葉を遺すことで、全世界のバカ共を海へ駆り立て、世界を動かした」
ベアトリーゼは少しばかり申し訳なさそうにレイリーを窺う。
「貴方を海賊王の物語の登場人物、と扱ってるわけじゃないけど」
「構わんよ。船長を持ち上げるのも、副船長の務めさ」レイリーは鷹揚な苦笑を返す。
肩に積もった灰を払い落し、ベアトリーゼは長広舌を続ける。
「そして、“物語”は時に後継者を生む。たとえば、とある空島の人々達は400年に渡って故郷奪還の物語を紡ぎ続けた。たとえば、オハラの生き残りである私の親友は、クローバーと考古学者が果たせなかった“歴史の真実”を解明しようとしている」
では……、とベアトリーゼは海軍大将と、王下七武海と、元海賊の老雄を順に見回す。
「一時代を築いた気宇壮大な物語には、どんな後継者が相応しい?」
「……麦わらが海賊王の後継者だって言いてェのか? ダグラス・バレットが鬼の跡目と言われたみてェに?」
戦桃丸が懐疑的に問うた。あの麦わら坊主の力は新世界の基準にも達してないように思う。
「私の船長を“あの程度の輩”と同列にしないで欲しいね」
伝説的猛者を一笑に付し、ベアトリーゼは言った。満月色の瞳に奇妙な熱を湛えて。
「麦わらのルフィは正確には物語を継ぐ者じゃない。彼は“必ず”最後の島へ辿り着き、ひと繋ぎの大秘宝を手に入れ……世界最高の“
ベアトリーゼの語った言葉を、ボルサリーノと戦桃丸は『身内に対する過大評価』と呆れ、レイリーは『まるで惚気だな』と微苦笑し、くまは真剣な面持ちでベアトリーゼの言葉を咀嚼して、言った。
「……分かった。回答に感謝する」
「そ。なら、今度はそっちが答える番だ。どーいうつもり?」
ベアトリーゼが改めて問えば、くまはうっそりと答えた。
「……おれも“大きな物語”を信じた。誰もが大笑いしてしまうような、
ベアトリーゼはきょとんと満月色の瞳を無邪気に瞬かせ、次いで、心底楽しそうに笑い始めた。
――ルフィはいつの間にか、王下七武海を誑かしていたらしい。こんな愉快な理由だったとはね。これ、原作通りなのかしら。
笑いながら、脳ミソを物凄い勢いで働かせ始める。
――そういう話なら……くまに飛ばされるより、イレギュラーだと分かってる展開に乗った方が”私向け”っぽいな。
「本気か、くま公」思わず目を見開く戦桃丸。
「――それは通らないよォ……くまァ」
言葉の意味を察し、眉間に皺を刻むボルサリーノ。
「せめて彼女だけでも仕留めなきゃあ海軍の面目は丸潰れ……天竜人に顔向けできんでしょうが」
ティアドロップのブリッジを押し上げ、くまを睨み据えた。次いで、レイリーへ射るように鋭い眼差しを注ぐ。
「邪魔せんでくださいよ、レイリーさん。あんたは勘定外だ」
「こちらとしては、ルフィ君達を助けられなかったのでね。是非とも彼女は守り抜きたいところだ。それに」
レイリーが男性的魅力を滴らせる笑みを浮かべ、諧謔を披露する。
「海兵に追われる美女を救うなんて、海賊にとって得難い機会だろう?」
海軍大将と元海賊が睨み合う。戦桃丸も身構え、くまも重心を動かす。
と。
「投降する」
ベアトリーゼはアンニュイな微笑みを湛えながら、さらりと告げた。
「くまの顔を立てて降ってやるよ、海軍大将」
昼飯のメニューを決めるような気軽さで。
「ただし、私の身柄はフランマリオンへ引き渡せ。まあ、放っておいても向こうが横槍を入れてくるだろうけど」
目を丸くして驚く男衆へニコニコ顔で宣い、ベアトリーゼは密やかに忍び寄っていたモッズの狙撃手と観測手へ呼びかける。
「そうだろ?」
黒づくめ2人は困惑気味に互いの顔を見合わせた後、通信をつないだ。冒涜的邪神みたいな声が傾いだ超巨大樹の足元に響く。
『――ぐふふふ。どういう風の吹き回しだえ?』
「気が変わった」
ベアトリーゼはしれっと告げ、艶然と唇の端を歪める。
「お前とお前の一族をぶち殺すことは確定事項だが……皆殺しにする前にあれこれ聞きたいことがあるのも事実。愉快な気分だから、逢いに行ってやる。もてなせ」
創造主の末裔たる天竜人に対して恐るべき不遜不敬。レイリーは驚きと呆れを浮かべ、ボルサリーノは頭痛を覚えた。くまは一見鉄面皮を保っているが、内心はドン引き。
特に、ベアトリーゼが凄絶に激怒する様を見ていた戦桃丸は、あまりの変わりように戦慄さえ抱いていた。
無礼千万な物言いをされたものの、フランマリオン聖は怒るどころか、愉悦たっぷりの哄笑を返してきた。
『ぐふふふふっ!! ……面白い! 実に面白い!! この展開は予期していなかったえ! しかし』
魂を引きずり出そうとする邪神みたいな声音で、フランマリオン聖は言った。
『我が掌中に入る意味は理解しているえ? お前の肉片一つ血液一滴から心魂に至るまで我が物になるということを正しく分かっているえ?』
「誤解すんな、豚野郎」
ベアトリーゼは豚の尻を蹴飛ばすように嘲罵を返し、そして、ぬけぬけと要求する。
「もてなせ、と言っただろうが。熱いシャワーと清潔な服、上等な飯、それと気持ちの良い寝床を用意しとけ」
戦桃丸はベアトリーゼの正気を疑い、ボルサリーノは目を覆う。レイリーは言葉もない。くまは信じられないものを見るような目を向けていた。
『ぐふふふ……よかろう。大将“黄猿”。話した通りだえ。その娘はワチキの許へ連行させてもらう』
「そりゃあ……」ボルサリーノは渋面を浮かべ、密やかに嘆息して「分かりました」
ぶつりと不躾に通信が切られる。
「本当に……良いのかね?」
困惑を隠せない野郎共を代表してレイリーが問えば、
「大丈夫。適当にもてなしを受けたら、帰りますよ」
ベアトリーゼは男達をさらに困惑させるほどあっけらかんと答えた。
「帰れる訳ねェだろ」戦桃丸は薄気味悪そうにツッコミを入れる。「天竜人の奴隷になったら、能力者だろうが覇気使いだろうが、逃げられやしねェ。お前は自分で死刑よりヒデェ目に遭おうとしてんだよ」
戦桃丸の意見に男衆が無言で同意する。
「さてね。それはどうかな」
ベアトリーゼは妖美に微笑む。満月色の瞳に悪意と策謀の色がありありと浮かんでいる。
この痴女然とした格好の女が何かを――それもろくでもないことを企んでいることは誰に目にも明らかだった。しかし、もはや誰にも止めることはできない。
ボルサリーノは深々と溜息を吐いた。
「この件は赤犬か青雉に任せるべきだったねェ……」
○
海軍大将”黄猿”ボルサリーノが諸々の鬱憤晴らしにシャボンディ諸島内の海賊や犯罪者を片っ端から狩っている頃。
海軍が守る港に停泊中の超豪華客船、その最上級客室の広間にて、シャルリア宮がぴーぴーと吠えていた。
「フランマリオンのおじ様! あの女海賊を渡して欲しいアマスっ!!」
敬愛する父と兄を海賊に半殺しにされた挙句、飼っていた奴隷を奪われ、しかも下手人の海賊達の大半が逃げ去ったとあって、シャルリア宮は御立腹だった。この期に及んでは、唯一捕らえられたという女海賊をこれでもかと嬲り殺さねば、気が済まない。
「ぐふふふ……我が友ロズワードの御息女の頼み事は能う限り聞いてやりたいが……あれは既にワチキの所有物。そなたに渡すわけにはいかんえ」
膨らませた風船に手足を引っ付けたような肥満体の天竜人フランマリオン聖は、実にいやらしい目でシャルリア宮を舐め回すように窺う。
「お金なら払うアマス! お父上様とお兄上様のためにも、どうかお願いアマス!」
フランマリオン聖の下品な目線に耐えつつ、シャルリア宮は食い下がる。治療中の父と兄が意識を取り戻したら、家族三人で仲良く海賊を拷問し、憤懣を解消するために。
「おお。なんと家族思いなこと。ロズワードは娘に恵まれたえ。しかし……」
鋭く不気味な双眸を細め、フランマリオン聖は傍らの金髪美少女奴隷の小振りな乳を揉みながら、下劣な笑みを湛えた。
「やはり望みは叶えてやれんえ、シャルリア宮。……うむ。この機会に学ぶと良い」
「学ぶ? 何をアマスか?」
不快感と不満と憤懣を隠さずに噛みつくように問うシャルリアへ、フランマリオン聖は嗤う。
「さてな……ぐふふふ。お前達、シャルリア宮がお帰りだえ。丁重に見送りをするように」
奴隷達に憤慨するシャルリア宮を退室させ、顔を向けることなく侍従へ問う。
「あれの様子は?」
「聖様の御前へ出すにはあまりにも汚かったので、風呂へ入れております。もちろん、海楼石の錠を付けたまま。湯女役と浴室周辺の警備には手練れとモッズを配しております」
「気を抜かぬように」
フランマリオン聖はいつもの笑みを消し、美少女奴隷を弄びながら続けた。
「あれは存外に賢しらだえ。必ず何かを謀んでおるえ」
「お言葉たしかに。警備を倍にします」
侍従が警備体制を再編するために下がると、フランマリオンは美少女奴隷を弄びながら嗤う。とてもとても楽しそうに。
「対面の時が楽しみだえ」
Tips
麦わらの一味、完全崩壊。
原作と順番は違えど、くまに飛ばされる。ルフィ達の心情描写は省かせていただいた。
バーソロミュー・くま
拙作では、ベアトリーゼとの問答で、自身の決断に確信が強まる。それはそれとして、ベアトリーゼを『理解し難い女』と認識した。
ダグラス・バレット
劇場版キャラクター。元ロジャー海賊団の船員で、『鬼の跡目』と呼ばれた猛者。
現在はインペルダウンに収監中で、ルフィのインペルダウン騒動で脱獄する。
CVはレジェンド声優の磯部勉。
ボルサリーノ、戦桃丸、シルバーズ・レイリー
女蛮族に振り回された人達。特に戦桃丸は『こいつ、頭がおかしい』と認識した。
フランマリオン聖
オリキャラ。意外な展開に御満悦。
シャルリア宮
原作キャラ。パッパとニィニが半殺しにされてブチギレ。フランマリオンに軽くあしらわれてさらにブチギレ。
ベアトリーゼ。
実にろくでもない悪企みしている。
次回を待て。