彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
神無月 刹羅さん、烏瑠さん、uytrewqさん、佐藤東沙さん、アオイ611さん、誤字報告ありがとうございます。
シャボンディ諸島で天竜人暴行事件が起きた翌日。
情報を入手した時、CP0エージェントのステューシーは“歓楽街の女王”として自身の執務室に居た。
報告を受けた際、ステューシーは一瞬、気が遠のいた。我に返ると、たおやかな両手で美麗な顔を覆い、執務机に突っ伏した。メロンみたいな乳房が潰れる。
「勘弁して……」
またしても、麦わらの一味だ。
世界政府加盟国ドラム王国の国王をぶっ飛ばし、王下七武海クロコダイルを潰し、エニエスロビー島を襲撃してCP9を壊滅させ、王下七武海ゲッコー・モリアを倒したかと思ったら、息つく間もなくシャボンディで天竜人を暴行。
情報が正しければ、彼らはグランドライン入りして半年も経たずに、これだけの事件を起こした。
凶悪過ぎる。
――本当に海賊なの? 実は革命軍の精鋭部隊じゃないの?
いや、麦わらの一味はどうでも良い。問題はベアトリーゼが天竜人に、それもよりにもよってフランマリオン聖に囚われたことだ。
色んな意味で嫌な予感しかしない。
ベアトリーゼとは親密と言い切れないけれど淡白でもない仲だから、分かる。
あの子はおそらく何か考え、いや、企んで天竜人へ身を寄せた。それも極めてろくでもない謀に違いない。絶対に酷い事が起きる。
ステューシーは机に突っ伏したまま、ドンドンと机を叩く。
「あの子は本当に……! もうっ! ……もうっ!!」
ともかく動くべきだ。
気を取り直し、ステューシーは椅子から立ち上がった。卓上のベルを鳴らして秘書を呼び、麗らかで冷厳に告げる。
「快速船の用意を。急いで」
細かいことは航海中に考えれば良い。ベアトリーゼが“彼”と同じ悲劇を辿るようなことだけは絶対に回避しなければ。
○
シャボンディ諸島で起きた天竜人暴行事件から三日目。
ルフィはカームベルトの女ヶ島アマゾン・リリーに落着し、感情を爆発させてひとしきり暴れ、キノコをやけ食いした後に昏倒。現地の女系戦闘民族“九蛇”に保護というか捕縛というか、まあ、そんな目に遭っていた。
ナミは白海の人工空島ウェザリアに落ちて気象学者の老人達に保護され。
ウソップはグランドラインのボーイン列島に落下し、植物学者ヘラクレスに保護され。
チョッパーは南の海のトリノ王国に落ち、現地人に捕まってタヌキ鍋にされかけ。
ロビンは東の海の巨大橋梁テキーラウルフに落ち、囚人として労働を強制され。
フランキーはグランドラインのカラクリ島“未来国バルジモア”に落着。とりあえず寒さをしのぐために踊った。
サンジはグランドラインのモモイロ島カマバッカ王国に落下。むくつけきオカマ達に追い回されていた。曰く――『俺は今、地獄にいます』。
ゾロはクライガナ島シッケアール王国跡地。怨念渦巻く古城の傍に落ちて、先に同島へ飛ばされていた“ゴースト・プリンセス”ペローナに拾われた。
ここまでは
異物の女妖のおかげで活躍の場に恵まれなかった彼は、本来落下するはずだったグランドラインの貧困国家を通り過ぎ、別の場所に落ちた。
世界最大にして唯一の完全自由市場。あらゆるものが取引される商人達の楽園。
“マーケット”。その中央広場に落ちた彼の名はブルック。
世にも珍しい動くアフロ骸骨である。
「ここはいったい……?」
「ほ、骨が喋って動いてる!?」
戸惑うブルックを余所に、貪欲貪婪な“マーケット”の人々は、即座に動いた。
「スゲェレアもんだっ!
○
今は九蛇の女達からニョン婆と親しまれ、女帝ハンコックからぞんざいに扱われるこの老婆は、かつてのアマゾン・リリー皇帝グロリオーサ。恋煩いから帝位を捨てて女ヶ島を出奔し、伝説のロックス海賊団に身を置いた女傑の一人であり、レイリーなどと同じく『生き残り』の一人だ。
そんなニョン婆は村外れの山肌に建つ小さな家に暮らしており、夕餉を済ませた後、お気に入りのテラスのカウチに腰かけ、ニュース・クーが落とした新聞に目を通していた。
夜風に乗って九蛇城で催されている宴の賑わいが届いてくる。女達の姦しい喧噪は華やかで実に楽しそうだ。この島でこれほど無邪気な大歓声を聞いたのはいつ以来だろう。
ニョン婆は新聞から顔を上げ、ちらりと城を窺った。
――モンキー・D・ルフィ。不思議ニャ男よ。
この賑々しい夜を生み出した男を思う。
――王下七武海を倒し、政府施設を破壊し、挙句に天竜人を襲う。その所業から無法非道の叛徒かと思うたが、逢ってみれば、ニャんとも懐深き“陽”の者。一日で蛇姫達の凍てついた心を溶かし、島中の女達を魅了してしもうた。まるで――
思索に耽っていると、九蛇の娘マーガレットが件の男モンキー・D・ルフィを連れてきた。
宴を抜け出してきたようだが、2人の様子に男女のアレな雰囲気は一切感じられない。
無理もない。九蛇は完全な女社会。いわば国を挙げて“箱入り”で、男と接したことがある奴は一部の年長者や子持ちだけで、若い娘達は見たことすらないという有様。マーガレットにはルフィと二人きりの逢瀬を楽しむという発想すらなかろう。
なので、ニョン婆は来訪の意図を問う。
「宴の主役を連れてどうしたニョじゃ、マーガレット」
「ルフィが村の女の子達に大人気になっちゃって、収拾がつかなくなっちゃたの」
微苦笑するマーガレットに釣られ、ニョン婆も苦笑をこぼす。
「まぁ、男ニャど珍しいからニョ……相分かった。ゆっくりしていけ」
マーガレットが茶を入れている間、ルフィはニョン婆の傍らに巨大骨付き肉を置き、むしゃむしゃ摘まみながら、尋ねる。
「豆バーさん、また新聞読んでるのか? 新聞好きなんだなー」
「おぬし! “豆”て!!」
とんでもない呼称をする小僧を叱りつつ、ニョン婆は紙面をめくる。
「蛇姫が七武海である以上、世情を知っておかねば不味いからニョう」
「? 七武海? 誰が?」
きょとんとするルフィへ、ニョン婆は訝りつつ、言った。
「だから、蛇姫じゃ」
ルフィは骨付き肉から千切り取った肉片を二つ食べ、ごくりと飲み込んでから、
「えええええええええええええええええええええええええええっ!?」
“また”王下七武海に出くわしていたことにビックリ仰天。
「あ、あいつ、七武海っ!? それじゃスゲェ強いのか!?」
「おぬし、海賊なニョに分からんかったニョか」
「わ、わからんかった」
「新聞ニャど読んどらんニョか」
「おぉ……読んどらん……」
「それに、蛇姫はおぬしの仲間“血浴”と因縁があるニョじゃ。聞いておらんニョか?」
「聞いておらん……」
驚きのあまり鸚鵡返しするルフィ。
仕方ないニョうとニョン婆は物知らずの小僧へ、アマゾン・リリー皇帝ボア・ハンコックが王下七武海“海賊女帝”となった経緯を簡単に聞かせた後――
「おぬし……ちっとは“情報”というもんに関心を持て。世界は絶えず動いておるニョだぞ」
老婆は孫に小言を説くように語り、マーガレットが淹れた茶を持ってきた。一旦、茶を飲んでから、話を再開する。
「おぬしがシャボンディ諸島で天竜人を殴った後、海軍の大捕りもニョで大勢の海賊と悪党が捕縛された。その中には血浴のベアトリーゼの名もある」
「リーゼが!?」ルフィは目を真ん丸に剥き「ほんとかよ、バーサンッ!?」
「写真付きじゃ」
ニョン婆は新聞をルフィへ見せる。マント姿のベアトリーゼが手錠され、海兵達に取り囲まれている写真が確かに掲載されていた。
「リーゼ……捕まっちまったのか……」
ルフィが痛悔に顔を歪ませると、ニョン婆はからかうように小さく笑う。
「まあ、こやつは蛇姫と伍して戦うような女傑じゃ。またぞろ脱走するじゃろうニャ」
「え?」
目を瞬かせるルフィへ、ニョン婆は若かりし頃を思い返し、“尻軽”リンリンが弟のように可愛がっていた大男を脳裏に浮かべる。
「海には偶に居るニョよ。捕まっても容易く脱走脱獄してしまう者がニャ。血浴も確実にその類じゃ。ほれ、この写真を見てみよ。血浴は“笑って”おるじゃろ? 数日後には脱走の記事が載るぞ。間違いない」
「そっか……そうなら安心だ」ルフィは自分へ言い聞かせるように頷く。
「世界情勢にとっては、血浴のことは些事。今一番はこれじゃよ」
新聞を閉じて一面を見せた。
でかでかと記された見出しの文言を認識した瞬間、ルフィはひゅっと息を呑む。
『“火拳”エース、公開処刑』
大きな物語は違えることなく進んでいく。
○
天竜人襲撃事件から四日目。
恋煩いに陥ったボア・ハンコックの協力を得て、ルフィが義兄エースを救出すべく、海底大監獄インペルダウンへ向かっている頃。
海軍本部は上から下まで慌ただしく、海軍元帥センゴクは寝る暇どころか飯を食う時間すらロクにない。海軍最高位なのに、決算期前の中間管理職みたいな有様だ。
各地から招集した海軍戦力を“決戦”に向けて配備したり、指揮系統と連絡線を整備したり、準備物資や装備の確認や支度をしたり、とにかく忙しい。
重要戦力の王下七武海は6人まで招集に成功したが、最後の一人“海侠”ジンベエは招集に反抗し、インペルダウンに収監されている。
ちなみに黄猿がシャボンディ諸島で捕えた賊徒500名の扱いや、天竜人ロズワード一家がぎゃーぎゃーと騒いでいることなんかは、全て部下や他所へ丸投げした。
そこへ、海軍が“白ひげ”の海賊団監視のために送り込んだ通報艦23隻全てが突如として消息を絶ったという緊急報告が届く。
「やられた……っ! エースを収容しているうちはインペルダウンで決戦もあり得るぞ……っ!」
「閣下。決戦の場がインペルダウンになりますと、いろいろ問題が生じます。急ぎエースをマリンフォードへ移すべきでは?」
センゴクは提案した参謀を噛みつきそうな目つきで睨み、
「それが奴の狙いだったらどうする? 既にインペルダウン近海へ救出部隊を派遣していたら、それこそ思うつぼだぞ」
「相応の戦力を送り込めば、如何でしょう? 要は奪われなければ良いのですから。加えて救出部隊を撃退したうえで本島へ移送が成功した場合、白ひげは確実にここへ来るかと」
「――」
しばし黙考して頷く。
「よし、それで行こう。ガープを呼べ!」
もっとも信頼する親友に託そうと考えたセンゴクへ、将校がおずおずと答えた。
「あの、ガープ中将はさきほど私用でお出かけになりました」
「このクソ忙しい時にあの自由人はっ!! すぐに呼び戻せっ! どこに行ったんだ、あいつはっ!!」
部屋の窓を震わせるほどの怒気に参謀達や将校達が思わず身を仰け反らせる中、将校が言った。
「それが、その……インペルダウンです」
「……まだ生きとるのか、エース」
「……ジジイ」
海底大監獄最下層レベル6。陽の光が決して届かぬ冷たく暗い牢獄の底。
祖父と孫の再会は、檻を挟んで剣呑な目線と言葉の交錯で始まった。
ガープは独房の前で胡坐を掻き、海楼石製の大型錠と鉄鎖で拘束された孫を見る。ボロ雑巾のように傷だらけで血塗れ。手当てを受けた形跡は一切ない。
インペルダウンの看守達を張り倒したくなったが、彼らの姿勢も分かる。これから処刑される奴を手当てしても何の意味もない。そもインペルダウンに収監された時点で基本的人権など存在しない。
「お前もルフィも立派な海兵になれと口を酸っぱくして言ってきたんじゃがなぁ……海兵どころか大変なゴロツキになりおって」
ガープがいつものように小言をぼやけば、エースは懐かしそうに口端を緩めた。悲愴な姿と相俟って、酷く切ない。
「何し来たんだよ、ジジイ。不肖の孫を脱獄させに来たわけじゃねェだろ?」
「そんなみっともない真似せんわ。海賊になったんも、こうして捕まって処刑されるのも、お前が自分で決めて、自分で歩んできた人生の結果じゃろうが。腹ぁ括って受け入れろ。泣き言なんぞ抜かす気なら拳骨落とすぞ」
ガープが心底苦りきった顔で突き放すような叱声を浴びせる。
が、エースは『それでこそジジイだ』と満足げに笑い、咳き込んだ。呼吸器系を痛めているのか、咳へ微かに血が混じっていた。
ガープはエースの喀血に気づかぬ振りをし、世間話でもするように言葉を続ける。
「……そうそう。この間、ルフィに会ったんじゃがな。あいつの親父の話をしたんじゃ。父親のことを初めて知って、びびっとったわ」
「……そんなもん、知ろうが知るまいが、迷惑なことに――俺もルフィも世界的大犯罪者の血を引いてんだ。海兵なんてなれる訳ねェ……」
エースの言葉に宿る諦念と達観、それらを上回る激しい怒り。
「俺はよ、ジジイ。大恩あるおふくろの血は誇っても……ろくでもねェ父親の方の血は願い下げだ。何の記憶も恩もねェ……」
血痰を吐き捨て、エースはガープを真っ直ぐに見据えながら、宣う。
「俺のオヤジは白ひげだ」
綴られる孫の心情。ガープは苦い思いを禁じ得ない。
白ひげめ。ガープは内心で忌々しげに毒づく。貴様がしたことはエースに依存先を与えただけだ。
エースは心に壮絶な怒りを――それこそ自分自身さえ焼き消さんばかりに燃え盛る怒りを宿している。その激甚な怒りに心を縛られている。
ガープはエースを縛る憤怒の鎖を千切ってやれなかった。自身を焼く怒りを克服する在り方を伝えてやれなかった。父親を、自分自身を“赦す”強さを育んでやれなかった。
いや、誰にもエースの心を解放できなかった。ルフィにもサボにも、エースが海で出会った仲間にも、白ひげとその“家族”にも、エースの心を本当の意味で癒すことは出来なかった。
エースは得られなかった。自身を焼く怒りを消してくれる出会いを。
エースは恵まれなかった。自身を縛る怒りを打ち破る機会や出来事に。
神とやらがいるなら、面のカタチが変わるまで殴りたい。可愛い孫にこれほどの試練を背負わせたクソッタレをぶっ飛ばしたい。
ガープは瞑目し、大きくゆっくりと深呼吸する。自分を落ち着かせなければ、眼前の檻を叩き壊してエースを救ってしまいかねなかった。
その一線を越えることは、ガープには出来ない。愛する孫と言えど、エース自身が海賊となることを選んだ以上、そのケジメを海兵たる自分が覆すことはできない。
エースも決して受け入れないだろう。
愛する祖父が自分のために海兵としての矜持や信念を捨てて、海軍を裏切って自分を助けるなど、エースは絶対に認められない。そんなことをしたら、エースは死んでもガープを許さないに違いなかった。
ガープは肚に力を入れ、場に漂う冷たい雰囲気を祓うように問う。
「……そうじゃ。エース。お前、カノジョとかおらんのか?」
「――はぁ?」
予想の遥か斜め上を超える問いを投げかけられ、エースは全身の痛みや海楼石の虚脱感も忘れ、年相応の素朴な驚きを浮かべる。脳裏に朱色髪の女性海兵がよぎったが、もちろん口には出さない。彼女は恋人じゃないし。
「なんだよ、急に」
「いや、お前が処刑された後に『実は子供がいました』とかなんて話になったら、わしも困るじゃろ? まさか、方々で“種”を撒いとらんだろうな? 女の子を泣かせるような真似をしとったら、今すぐ拳骨を落とすぞ」
しれっと
「あのクソ野郎と一緒にすんな!」
激しく憤慨する孫を、ガープはげらげらと笑い飛ばした。
まるで、フーシャ村奥の山林内で過ごしていた頃のように。
○
天竜人暴行事件から5日目。
義兄エースが収監された大監獄インペルダウンを目指し、海軍船に潜りこんだルフィが、色恋にのぼせたハンコックに甲斐甲斐しく世話をされている頃。
ようやっと天竜人様御一行を乗せた豪華客船がシャボンディ諸島を発っていた。
「終わらない歌を歌おう~クソッタレの世界のため~終わらない歌を歌おう~全てのクズ共のために~♪」
ベアトリーゼは鼻唄を控えめに口ずさみながら、囚われた船室の窓から表の様子を窺う。
西日が照らす海。マリンフォードから軍属の民間人や海兵の家族を乗せた船団とすれ違う。決戦に備え、非戦闘員の避難退去が進められているようだ。
「なれ合いは好きじゃないから~誤解されてもしょうがない~♪」
――原作通りなら、頂上戦争まであと2日。さて、いつ脱走しようか。
海上で逃げると脱出後が面倒臭いし、没収された荷物の回収や金の調達もあるし、やっぱりレッドポート到着前に逃げて船内に潜伏。到着後はレッドポート内に身を隠す、が最上かしらん。
「終わらない歌を歌おう~一人ぼっちで泣いた夜~終わらない歌を歌おう~……あつかいされた日々~♪」
”大きな物語”前半部のクライマックスーー頂上戦争へ関わる気はない。
エースと白ひげは死ぬ。2人は伝説として語り継がれるだろう。
何の慰めにもなりゃしないが。
窓の外に広がる大海原。水平線の遠い先。水底の監獄に囚われている哀しい青年と、彼を救おうと我武者羅に足掻く少年を思いながら、ベアトリーゼは口ずさむ。
「終わらない歌を歌おう~僕や君や彼らのため~終わらない歌を歌おう~明日には笑えるように~♪」
監視役の女性型モッズ達は鼻唄を口ずさむ蛮姫を見つめていた。
○
老紳士は黒檀の煙草ケースを開き、吸い口に金箔が施された紙巻き煙草を一本抜きとり、金のオイルライターで火を点す。甘い香りの紫煙が緩やかに漂っていった。
「偽神の走狗達は大海賊“白ひげ”と近く衝突する。この戦いは歴史に刻まれる決戦となろう。だが、彼らは忘れている。世界は単純な二項対立で出来ていないことを。善悪正邪の間には中庸があり、白と黒の間には灰色があり、光と闇の間には払暁と薄暮があることを」
灼熱の火種から細く昇る煙。老紳士は微笑む。
「だから、思い出させてやろう。黄昏の影に灰色の意志が潜んでいることを。善悪正邪を超越した意志の力がどんなものか、思い出させてやろう」
老紳士の言葉を聞く者達は燎原の火の如く昂揚し、両目を爛々と輝かせ、口元を大きく歪めた。
海軍が白ひげを倒すべく策略を練り、白ひげが海軍の裏を掻くべく知略を巡らせ、ベアトリーゼが天竜人フランマリオン聖をだまくらかすべく悪知恵を働かせ、ルフィが兄を救うべく事態を引っ掻き回そうとしている時。
偽神の世界支配に“抗う者達”もまた、謀略を講じていた。
Tips
ステューシー
原作キャラ。ただし、ネタバレが拙作開始後だったので、原作設定から乖離多し。
本作の苦労人枠。
麦わらの一味。
概ね、原作通りに飛ばされた。
例外はブルック。
ニョン婆。
原作キャラ。本名グロリオーサ。元アマゾン・リリー皇帝にしてロックス海賊団の一人。
若い頃はウェーブ髪の美女。現在の姿は『何かあった未来』系っぽい。
ゴルゴン三姉妹がマリージョアから脱出後、路頭に迷っていたところを保護して以来、育ての親代わりに面倒を見てきた。が、ハンコックからの扱いは粗雑。
CVは真山亜子。ココロ婆さんやミス・ダブルフィンガーを兼役。
エース
原作キャラ。ルフィの義兄。白ひげ海賊団二番隊隊長。実は両親が共に『D』だった。
内面が非常に複雑かつ繊細な青年。
考察勢によるエースのプロファイリングは読み応えがあるものが多い。
CVはレジェンド古川登志夫。ハーメルン読者なら説明の必要はあるまい。
ガープ
原作キャラ。ルフィとエースのジッジ。海軍中将。
いつも豪放磊落にしているが、苦悩が多そう。
朱色髪の女海兵
イスカ少尉のこと。エースが主人公のスピンオフ小説に登場したヒロイン。エースと惹かれ合う描写があったりなかったり。
ベアトリーゼ。
軽警備刑務所の囚人みたいな生活中。
終わらない歌
ブルーハーツの代表曲の一つ。