彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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お待たせしました。

佐藤東沙さん、独偽竜さん、龍華樹さん、みえるさん、誤字報告ありがとうございます。


238:大配食堂の講演会

 周囲の卓をネームドが埋める中、ベアトリーゼは急いで料理を食べ進めていく。

 一刻も早く食べ終えてこの場からズラからねば、大変なことになる。

 なんせ右隣の卓には、ベアトリーゼをよく知るガープとつるがいるのだ。

 

 ボディコン女中佐――なんとつるの孫娘らしい――孔雀は敬愛する祖母と幼い頃から知る“おじいちゃん”のガープと楽しげに言葉を交わしている。大英雄を前にした“王子”ことプリンス・グルス大佐はどこか浮かれ気味で、パンクな女性将官――ドール中将が苦笑いをこぼしていた。

 

 楽しい会食中のガープとつるは今のところ、ベアトリーゼに気付いていない。流石の2人も億越え賞金首が海軍本部で図々しく昼飯を食っているとは思っていなかった。

 

 腹を空かせた犬のように素早く、しかし注意を引かぬよう将校らしく上品に、ベアトリーゼは料理を片付けていき、〆の杏仁豆腐をやっつけようとした、その時。

「ねえ、おばあちゃん。レッドポート事変の報告書って私達も閲覧できる?」

 ボディコン中佐が“大参謀”に問うた。

 

 杏仁豆腐に差し込んだレンゲが止まる。ベアトリーゼは杏仁豆腐をゆっくりとすくい取って口へ運びつつ、聞き耳を立てた。

 

「なんだい、藪から棒に」

 訝るつるへ、ラッパー紛いな青年大佐が孔雀に代わって語る。

「レッドポート事変は世界貴族が殺害された大事件だ。なのに、あの襲撃犯達の正体も、こちらの側で戦っていた単眼ゴーグルの黒い兵士達についても、あの日に放送された映像以上のことが何も分からないままだ。気になりますよ」

「あたしも知りたいね」ドール中将が尻馬に乗り「この一週間、何度も会議を重ねてきたけど、あの件に関しちゃ全然情報が無い」

 

「それだけデリケートな案件ってことだよ。分かるだろう」

 つるがドールに厳しい目を向けるも、ドールは引かない。

「“きな臭い”情勢なのは承知してるよ、おつるさん。だからこそ、情報が欲しいんだ。“黒腕”ゼファーと遊撃隊の精鋭を真正面から相手取るような奴らに、事前情報一切無しで挑むなんてロックに過ぎるだろ」

 

「聞かれたところで、答えられることは多くない」

 ガープは骨付き肉を手に取り、がぶりと食らいついて咀嚼した後、自分へ視線を注ぐ若者達へ言った。

「レッドポートを襲った半人半馬の巨人に薄気味悪い仮面を被った黒服の魚人と手長足長。連中がどこの誰なのかは、わしらも分からん。元々政府に強い恨みを抱いていた連中が頂上戦争に便乗したのか、それとも“奴ら”の兵隊なのか……」

 

「奴ら?」好奇心を剥き出しにする若手二人。

「噂を聞いたことくらいあるだろう? “抗う者達”。そう呼ばれる反政府秘密結社だよ。誰も実体も実像も知らない。本当の組織名すらわからない。けれど、実在する。そういう都市伝説みたいな存在だった」

 つるは難しい顔で語り、

「これまで連中は自身の存在を誇示するようなことをまずしなかった。表舞台に姿を見せず、常に世界の陰から謀略の糸を垂らし、歴史の裏で暗躍してきた。先の頂上戦争のように声明を発したことなんて、私が知る限り一度も無かったはずだよ」

 茶を口に運んでのどを潤す。

「ガープが言った通り、あの半人半馬の巨人達が、“抗う者達”の正規員なのか、連中に支援された集団なのか、そこから調べなきゃならない」

 

「あの単眼ゴーグルの方は? あいつら海軍なんですか?」

 ラッパーモドキの青年大佐が敬意を込めた口調で老兵達に問えば。ガープが瞬く間に平らげた骨付き肉の骨を皿に置く。

「ありゃフランマリオンの兵隊じゃろ」

 

「フランマリオンって天竜人の? 天竜人が私兵を囲ってるなんて聞いたこと無いけど……」

 目をパチクリさせる大参謀の孫娘。可憐だ……

「フランマリオン聖はいろいろと異例だからね」

「ありゃクズ共の中でも方向違いのクズじゃ。関わらん方がええぞ」

「こんな人の多いところで問題発言しないでくれよ、ガープ中将」

 渋面を作る大参謀。さらりと悪態を吐く英雄。ドール中将がお気持ち表明。

 

 ベアトリーゼは顔に巻いた包帯の下で眉を大きく下げた。

 どうやら実のある話は聞けそうにない。この場からズラかるとしよう。残っていた杏仁豆腐を手早く片付けるべく、レンゲを口元へ運ぼうとした矢先。

 

「ここ、座らせてもらうよ」

 卓の向かい側に、ぼさぼさ頭のノッポ――海軍本部大将“青雉”クザンが料理を山盛りした盆と共に着いた。

 

 ベアトリーゼは思う。

 オメェまで出てくんのかよ。

 

 海軍大将が現れたことに周囲の将兵が困惑したり緊張したりする中、隣の席からつるが小言を投げかけてきた。

「こんなところで何してんだい。飯なんか食ってないで仕事しな」

「酷いよ、おつるさん」クザンはショボン顔を作って「何かとダラけがちな俺が昼寝返上で仕事してるんだよ? 飯くらいゆっくり食わせてよ……」

「普段の行いじゃな」

「何笑ってるんだい、ガープ。コイツのダラけ癖はあんたの悪影響だろ」

 ガハハと高笑いするも、お叱りを受けてしまうガープ。

「おばあちゃんに掛かったら大将もガープも形無しだね」と誇らしげな孔雀。

 ははは~。

 

 やり取りを見守っていた周囲が和やかに笑う。が、ベアトリーゼは包帯の下でドン引きしていた。

 笑えない。全然笑えない。

 

 あ。

 

 不意に蛮姫と青雉の目が合い、

「ん?」

 クザンは向かいに座る包帯面の女少佐をまじまじと見つめ、言った。

「……その金色の目。獣っぽくてよく似合ってるね」

 ウォーターセブンで遭遇した時と同じ発言。意図は明らかだ。

 

 バレた。

 ベアトリーゼの最も冷徹な部分が“切り替えスイッチ”に指を掛け、瞬間的に演算する。

 全方位ネームド。隣にレジェンド2人。正面に最強戦力。

 実力による突破と脱出は……無理か。

 

“切り替えスイッチ”から指を離し、ベアトリーゼはゆっくりと椅子の背もたれに体を預け、長い脚を組み、左手を空けて卓に置く。

 クザンは誤ることなく意図を読み取り、小さく鼻息をついた。

「さっきさ」“青雉”クザンは山盛りの飯を突きながら「資料保管庫から連絡があってね。特別資料保管庫に入りたがってる包帯面の女性少佐のことを、教えてくれたのよ」

 じろり、と正面の素っ頓狂を見据える。

「ソナン兄妹について知りたいんだって?」

 

「ソナン兄妹? 誰?」

「知らないな」

 左隣の卓で元催眠術師と鉄拳男が首を傾げると、2人の上司であるヒナ大佐が簡潔に説明する。優等生な海兵であるヒナ大佐は海軍史にも相応に明るい。

「大昔に世界政府へ挑んだ能力者の兄妹よ。政府直轄領や加盟国に甚大な被害をもたらしたと言われているわ。今では“忘れられた”人間よ」

 

 周囲の耳目が集まる雰囲気に内心げんなりしつつ、ベアトリーゼは口を開く。

「……閣下。ソナン兄妹の軍勢について御存じですか?」

 

「あんまり。説明してくれる?」

 海軍大将に促され、包帯面の女少佐は学士のような口調で語り始めた。

 

 ――ソナン兄妹、兄ソナン・イタルはシクシクの実の能力者で、妹ソナン・ノリンはオペオペの実の能力者でした。2人は能力を駆使し、人造種族ヒューロンを開発・量産しました。この人造種族ヒューロンは高い身体能力と環境適応能力を有し、極限環境下の過酷な状況でも高い生残性を発揮したそうです。

 ソナン兄妹討伐の過程で、ヒューロンの生産プラントは完全に破壊され、既存のヒューロンも全て処分されました。このヒューロン処分は徹底され、時の天竜人フランマリオン家が研究用として確保したものも五老星の命によって廃棄されました。

 

 長広舌を一旦止め、コップの水で喉を潤してから再開する。

「ですが、当時の処分を逃れ、裏社会へ流出したヒューロンの標本や資料が存在し、今も取引されていることが分かりました。これが良からぬ動機を持つ者達の手に渡った場合、世界の潜在的脅威となるでしょう。捜索と調査が必要です」

 

 クザンはいつの間にか山盛り料理を平らげ、食後の茶を啜りつつ、頷く。

「その潜在的脅威とやらに立ち向かうため、ソナン兄妹の情報が要るのね」

 

「より正確に言えば、彼らと行動を共にした同志や彼らの戦いを支援した協力者、彼らの縁者や故郷などの情報です。その中に現在の状況へつながる手掛かりがあるはずですので」

「興味深いね」

 湯呑を置き、クザンは少しばかり思案顔を作り、改めて問う。

「色々詳しそうだけど、先のレッドポートで暴れた連中の情報も持ってる?」

 

 大将の言葉を聞いた周囲が関心を強める。包帯面の少佐は内心で悪態を吐きつつ、諧謔を込めて応えた。

「例の都市伝説的な秘密結社に最も詳しい者はパンゲア城の方々でしょう。それと、フランマリオン聖様も色々御存じかと」

「そっちはおっかないから近づきたくないねえ……」

 青雉のぼやきに周囲が同意するように渋面をこさえた。

 

 ベアトリーゼは『水を向けてみるか』と話のベクトルを変える。

「レッドポートを襲ったテロリスト達……噂通り秘密結社“抗う者達”だったと仮定した場合、最大の問題は“我々”海軍が連中について流言飛語以上の情報を持っていない、ということです。これでは能動的に動けません」

 

 背後でTボーン大佐達が『確かに』というように首を縦に振った。

 

「これほど社会の深部に身を潜めた脅威が相手の場合、各基地の担当海域におけるサーチ&デストロイや住民懐柔といった従来の手法はまず効果がありません」

「別案があるのかい?」新世界で基地司令を勤めるドール中将が興味を向けてきた。

 

「専従の合同任務部隊(タスクフォース)が必要でしょう。情報を収集し分析する諜報員と分析官。物証や痕跡を辿る捜査官。そして、実効力たる海兵。規模は機動性と即応性を考慮して高速巡洋艦に収まる程度が望ましいかと」

 

「各機関から専門家を集めた合同部隊か……話をまとめるだけでかなりの時間が掛かるなぁ」

「そうか? センゴクに言えば何とかなるんじゃろ」

「海軍最高司令官を便利屋みたいに言うんじゃないよ」

 難渋顔を作るクザン。あっけらかんと首を傾げるガープ。ぼやくつる。

 

「簡単に進められる話ではないと思いますが、海上治安戦略を見直す機会になると思います」

 ベアトリーゼは論文を発表する研究者のような佇まいで言葉を紡いでいく。

「規模の大小、危険度の優劣を問わず海賊を片っ端から取り締まるこれまでの戦略は、これほど海賊志望者が多い時世では意味がありません。木っ端海賊は言うに及ばず、大物海賊を苦労して討伐してもすぐに代わりが台頭します。

 実際、白ひげを始末しても、クズ共は大人しくなるどころかお祭り騒ぎです」

 あまりにも苦みの濃い真実をズバリと指摘され、周囲が思わず唸る。

 

「では、どうすればええ? なんぞ案はあるか?」

 むっすり顔のガープが尋ねてきて、ベアトリーゼは控えめに肩を竦める。

「東の海を参考にすればよろしいのでは? クズ共は最弱と笑っていますが、我々にしてみれば、最も成功した海です。同じことを他の海でもやれば良いかと」

「……出来ないから困ってるんだよなぁ」

 海軍大将の慨嘆に周囲も同意するように再び唸った。

 

 東の海で出来たことも、西と南北の海、グランドラインの前後では通じない。

 西は五大ファミリーが牛耳り、加盟国が海軍の動きを妨げる始末。

 北は歴史的経緯から戦火が絶えず、海賊以前の問題だらけだ。

 南は直近の二十年、反政府反海軍テロ組織や革命軍による暴力が絶えない。

 グランドラインはいわずもがな。特に新世界側は実質的に海賊達の海と化している。

 

 ベアトリーゼはどこか他人事のように語る。

「革命軍やレッドポートを襲ったバカ共の片棒を持つ気は一切ありませんし、政府を批判する気もありませんけれど……海賊になりたがるアホ共がこんなにも多い世界の在り方こそ、原因だと思います」

 

 うーむ。と優秀な海兵達がまるで難問を課された学生みたく揃って唸る。

 つるが大配食堂の壁時計を一瞥し、ぱん、と軽く柏手を打つ。

「そこの少佐の楽しい講演会はここまで。さっさと飯を片付けて午後の勤務にお戻り」

 

 おっしゃ、乗り切った! ベアトリーゼは内心で自画自賛する。流石はクールでスマートな私! ペラを回しても凄腕ですわ! ダハハ!

 

「予想外に有意義なランチだったなぁ」

 クザンはしみじみと呟き、包帯面の少佐へ意地悪な半笑いを浮かべた。

「さっき言ってた合同部隊の件。“言い出しっぺの君”からもうちょっと詳しく聞きたいから、執務室に付き合ってよ」

 

「それは私も同席させてもらおうか。“いろいろ”聞きたいからね」

 つるが包帯面の少佐へ鋭い眼差しを向ける。どうやら“お気づき”のご様子。

「ほう。面白そうじゃな。わしも参加しよう」

 ガープが口元を不敵に歪め、包帯面の少佐を見据える。どうやら“お分かり”のご様子。

 

 ベアトリーゼは包帯の下でげんなり顔を浮かべた。

 ちくせう。

 

       ○

 

 活気と倦怠が入り混じった昼下がり。再建中の海軍本部。三大将の一角“青雉”の執務室。マホガニー製執務机の前の床。

 高額賞金首“血浴”のベアトリーゼが正座させられている。

 

 なぜか。

 “大参謀”つるが入室するなり『まずそこへ正座しな』と超絶コワイ表情と声音で告げたからだ。

 その迫力と威圧感たるや、ベアトリーゼが身を仰け反らして怯み、ガープをして冷汗を掻きながら『悪いこと言わんから従っとけ』と促すほどで、クザンなど若かりし教育隊時代を思い出して背筋を伸ばしていた。

 

 つるは執務机に腰を預け、正座中の小娘を睥睨した。

「まったく呆れるよ。無茶苦茶な娘だと思っていたけれど、ここまでとはね」

「たしかに。ここまで図々しい真似をした奴はおらんな」とガープが苦笑い。

 クザンは以前目を通した報告書を思い出す。あんたの亡くなった方の孫――エースは海軍基地に忍び込んで似たようなことしたらしいですけど。

 

 ベアトリーゼは教師に説教されている不良少女みたいな不貞腐れ顔を返す。

「別に何か悪さしたわけでもないんだし、飯くらい食っても良いじゃん」

 

「厚かましいこと言ってんじゃないよ」

 舌打ちし、つるは腕組みした右手に持つ軍籍手帳を一瞥した。

「ゼレ・マルハレータ少佐? 軍籍手帳も制服も本物じゃないか。いったいどこで調達したんだか」

 

「イージス・ゼロのエージェントと仲良くしてるみたいだし、軍籍手帳や制服はその線でしょ多分」

 当人ではなくクザンが指摘し、図星を突かれて唇を尖らせるベアトリーゼを横目にしつつ、言葉を紡ぐ。

「正直、そこが一番謎なのよね。なんでイージス・ゼロと仲良しなのよ? お前は政府と海軍を毛嫌いしてたはずだ。西の海に居た頃はサイファー・ポールの現場要員を何人も血祭りに上げてたよな? 先のエニエスロビーじゃニコ・ロビンを取り戻すためにどんだけ殺したことか。なのに、イージス・ゼロと組んで金獅子を潰し、レッドポートじゃ海軍と天竜人を助けてテロリストを倒してる」

 

「色々あるんだよ。女の事情を根掘り葉掘り聞こうとすんな」

「これは取り調べなんだから根掘り葉掘り聞くに決まってるだろう、このスットコドッコイ」

 悪態を吐く小娘に小言を浴びせ、つるはこれ見よがしに溜息を吐き、じろり。

「食堂で言ってたことはどこまで真実なんだい?」

 

「全部本当だよ」

 ベアトリーゼは正座したまま小さく肩を竦めた。

「“一身上の理由”からソナン兄妹の情報が要る。“抗う者達”については何も知らないし、分からない。海軍に関しては私見を“控えめ”に述べただけだ。あれは気を遣って話したんだぞ」

 

「海軍の努力を無意味と評したことが? 大した気遣いだな」

 クザンは幾度目になるか分からないぼやきをこぼし、ガープが不快そうに鼻を鳴らし、つるが酷い渋面を作った。

 

「気遣いが伝わらないって哀しい」

 嫌味っぽく嘯き、ベアトリーゼは正座したまま続けた。

「まあ、食堂で捕縛しなかったそちらの“善意”に感謝して忠告しようか。情報が欲しいならマーケットの古狸に聞け。おそらくあいつが一番“物知り”だ」

 

 つるが片眉を上げ、呆れた眼差しをベアトリーゼへ注ぐ。

「“ジョージ”? あんた、あいつともつながりがあるのかい」

「望んで出来たコネじゃない」ベアトリーゼは溜息を吐き「昔、あんたらに捕まったのも、あいつが描いた青写真のせいだし……しがらみがなかったら、とっくにぶっ殺してる」

「難儀な奴じゃな」苦笑いをこぼすガープ。

 

「あんたほどじゃないよ」

 ベアトリーゼはガープに向き直ると、居住まいを正し、両手を膝に置いて頭を下げた。

「遅ればせながら……エースのことは残念でした。心からお悔やみを申し上げます」

 これまでの蓮っ葉な態度と打って変わり、美しく丁寧な礼儀作法を披露する。思わず目をパチクリさせる大将と2人の老中将。

 

「……心遣いは貰っておく」

 ガープも礼節に則って哀悼の意を受け取り、いくらか態度を和らげて尋ねた。

「お前はエースと関わりがあったんか?」

 

「思い出話を出来るような関わりは無い」

 ベアトリーゼは少し考え込み、ぽつりと。

「思えば、あの坊主が海へ出た頃くらいからだったな。ややこしい話と関わりだしたのは」

 

「どういう意味だい?」

 つるの質問に答えず、ベアトリーゼは黙して考え込み……

「気づけば、魑魅魍魎、百鬼夜行と関わってばかりだ。フランマリオン。ヒューロン。抗う者達。モッズ。この間はパシフィスタ。次はなんだ? 人造悪魔の実か? 能力者モドキ共と戦えってか?」

 ぶちぶちと愚痴っていると、ふと気づく。海軍将官達が酷い渋面を浮かべていた。

「何?」

 

 三人は顔を見合わせ、クザンが深い溜息をこぼしてから、代表して質す。

「なんで最高機密の事を知ってんの」

 

 ベアトリーゼはきょとんとした後、これ以上ないほど人の悪い微笑を浮かべた。

「交渉しようじゃないか」




Tips

海軍の皆さん。
 皆キャラ再現が難しい。辛い。
 孔雀と王子は出したものの活かせず。無念。

サーチ&デストロイ
 ベトナム戦争やアフガニスタン戦争で米軍が実施した戦術。
 航空偵察と特殊部隊の長距離偵察で敵や拠点を捕捉し、空爆と機動強襲で潰すというストロング・スタイルな戦術。有効性や妥当性が議論の的にされがち。

タスクフォース。
 元々はアメリカ海軍用語。ビジネス用語や警察用語にも登場する。
 最近では『特定目的を解決するための専従チーム』という意味合いが強い。

人造悪魔の実。
 ベガパンクが研究開発していたが、望む完成度に達しなかったため放棄された。
 が、シーザーが半端な出来の『SMILE』、その原料『SAD』の開発製造に成功している。
 ちなみにシーザーは現在、封鎖されたパンクハザート島に潜伏している。

ベアトリーゼ
 ピンチ時に小賢しくペラを回すのは『砂ぼうず』の第1部でよく見られた描写。
 
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