彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
夜闇を迎えたマリンフォード。三日月形の湾が月光を浴び、波間を煌めかせている。
“大参謀”つる中将の戦隊旗艦。士官食堂でつると戦隊幹部の女将校達とゲストが夕餉を摂っていた。
ゲストは2人。
1人はつるの孫で海軍中佐の孔雀。以前はつるの戦隊に籍を置いていたが、特殊部隊に転属が決まっており、再編成後に“新世界”のG14基地へ駐留することが決まっている。
もう1人はつい先ほどまで顔と右腕に包帯を巻いていた女性少佐。今は包帯を外し、小麦肌のアンニュイ顔を晒しており、戦隊幹部達と孔雀の顔を強張らせている原因だった。
女の名前は“血浴”のベアトリーゼ。
数年前、マーケット沖でつるの戦隊と交戦し、多くの死傷者を生んだ凶悪犯である。
「故なくとも殺し殺される商売してるんだから、“あれっぱかしのこと”で恨むなよ」
図々しく宣うベアトリーゼに、戦隊幹部の女傑達が額に青筋を走らせた。何人かは腰を浮かせかけ、孔雀も戦意を隠さない。
「おやめ」つるがぴしゃりと告げる。「食事中は行儀良く、礼儀正しく振るまいな。淑女らしくね」
「でも、おばあちゃんっ! こいつは――」
「孔雀」つるは厳しい声を発して孫娘の口を噤ませ「“こういう奴”との関わり方を学ぶ良い機会だ。有意義に使いな」
「私は教材かよ。まぁ良いけど」
ベアトリーゼは小さく肩を竦め、悪戯っぽく口端を歪めた。
「そだ。海軍淑女歴の長い貴女はこういう席で、どうやって場を和ませる? 手本を見せて欲しいね」
「あんた、生意気で可愛いね」孔雀がベアトリーゼを睨み「おばあちゃんに無礼なことを言うその口を矯正して、もっと可愛くしてやろうか?」
「乗せられるんじゃないよ、孔雀。今のはあんたをからかったんだ」
つるは孔雀を窘め、ベアトリーゼを真っ直ぐ見据えた。
「あんたも煽るようなことを言うんじゃない。良い子だからおやめ」
「良い子ぉ? ……やれやれ。分かった。分かりました。慎むよ」
ベアトリーゼは降参するように小さく両手を挙げ、
「仕方ない。まずは私が鉄板のネタを披露しよう」
満月色の瞳を巡らせて周囲を窺い、にんまり。
「バッタの話だ」
で。食事は進み――
夕餉が淑女達の胃袋に消え、卓に食後の紅茶と珈琲が並ぶ。
卓を囲む雰囲気は一抹の緊張感を残しつつも、和んだものとなっていた。ベアトリーゼはやはりバッタの話は鉄板だなと自画自賛しながら珈琲を口に運んでいると、つるがおもむろに切り出した。
「あんたは世界の裏事情に通じてる。そこで聞きたいんだけど――」
つるが慎重に言葉を選びながら口にした問いかけに、ベアトリーゼは片眉を上げる。
「カキカキの実? 記憶や人格を操作する能力者? 悪党の名前はそこそこ知ってるけれど、その悪魔の実や能力者には覚えがないな。そいつはどんな悪さしたの?」
「……この間のレッドポートの件に関わってる。おそらくあの事件の
「ああ」ベアトリーゼは合点がいったと首肯して「“抗う者達”ね。情報は無いよ。あいつらは“正しい”秘密結社だもん」
「正しい? 秘密結社に正誤があるのかい?」
祖母と同じような言葉遣いをする孔雀が訝れば。
「どんな組織も金、物資、人を必要とする。そしてこれらを集めるためには、組織の“評判”が重要になる。たとえば、革命軍。世界政府と海軍に仇なす連中だが、連中は完全に身を隠すことが出来ない。看板を立てて名を売り、評判を広めないと組織を維持するための金や物や人を得られないからだ」
学士然として語り、しかもその様子が妙にしっくりくる蛮姫に、孔雀と戦隊幹部達が呆気に取られる。先ほど馬鹿話をしていた奴と同じ人物とは思えない。
そんな周囲を余所に、ベアトリーゼは淡々と言葉を編み続ける。
「しかし、純粋な秘密結社は違う。連中が最優先することは組織の秘匿性だ。“抗う者達”が数百年に渡って尻尾の端すら掴ませてない事実を考慮すると、連中の金と物と人を集める手段や保秘のシステムは非常に高度で洗練されたものだろう。組織としての完成度は海軍や政府より高いかもな」
解説の締め方に苦虫を噛んだような顔を作る女傑達。孔雀もどこか不満顔だが、つるはさして気にした様子を見せない。海軍や政府の欠点をうんざりするほど知っているから、当然といえば当然だった。
「奴らの影を踏むなら、そこかな。それほどの秘匿性を実現し得る条件を逆算的に類推して……いや、その手のやり方で辿りつけるなら、あの腹黒古狸が辿り着いていてもおかしくないか。なら、打てる手は――」
不意にベアトリーゼは言葉を切った。
「何よ、急に黙り込んで」
孔雀や幹部達が怪訝そうに注視するも、ベアトリーゼは沈思黙考する。
世界の影の深淵に潜む秘密結社を引きずり出す方法は? 用心深い獲物をどうやって狩る? 臆病なほど慎重な獲物をどうやって釣る?
罠に掛ける。その一択だ。
では、奴らを罠に掛ける餌は?
抗う者達が決して無視できず、危険を冒してでも手を出したくなる餌。連中の幹部が出張るほど魅力的な餌なら、なお良し。
まず頂上戦争のような世界政府や海軍に深い傷を負わせる機会。
だが、そんな機会はそうそう用意できないし、失敗した時の損失が大きすぎる。投機どころか博奕だ。これはない。
次善にして確実性が高い餌は、技術情報だろう。
奴らはフランマリオンの人体改造技術を有していたし、レッドポート事変でパシフィスタを“攫って”いった点から、奴らのテクノロジーに対する関心の強さは証明されている。
しかし、フランマリオン家の私有技術や政府が巨額を投資しているベガパンクの技術は、餌としてコストが高すぎる。
最も懐が痛まず、効果の高い餌は――
天竜人の血を含むヴィンデ系統の交雑種にして、オリジン・ヒューロンの肉体を移植されたイレギュラー。
最適な餌は――私だ。
ベアトリーゼは内心で毒づく。
“ジョージ”は本物の諜報屋だ。ステューシーに慮って私を利用しないとか、そんなぬるい真似を絶対にしない。既に青写真を描いていると見做すべきだ。
……冗談じゃねーぞ。ステューシーならともかく、なんであの腹黒狸に利用されなきゃいけねーんだよ。
対策がいるな。それも迅速に。
方針を決定してふっと小さく息を吐き、ベアトリーゼは怪訝顔の面々へ微笑んだ。
「お腹いっぱいで眠くなってきた。先に休ませてもらえる?」
あまりにもあからさまな言い草に孔雀と幹部達が呆気に取られ、つるは眉間に皺を刻む。
「休みたいなら、腹に隠したことを吐いてからにしな。隠し事をされたままじゃ私らの夢見が悪くなる」
「お忘れかしら」
ベアトリーゼは演技がかった調子で宣う。
「私は海軍が大嫌いなお尋ね者ですのよ、中将閣下。なんでもかんでも教えて差し上げる義理も道理もございませんわ」
○
翌日。
孔雀と王子の監視付きで包帯面の女少佐が特別保管庫の閲覧室へ入室すると、先客の隻腕の老雄と傍らの美人副官が顔を上げ――
ゼファーは包帯面の女少佐を一瞥し、大きな左手で眉間を押さえて深々と嘆息を吐く。傍らの美人副官アインが包帯面の少佐を睨みながら腰の得物へ手を伸ばす。
「……説明してくれ」
「はい、閣下。大将“青雉”閣下は『海上治安戦略の一環、みたいな感じのもの』とおっしゃっていました。なお、これはセンゴク元帥とガープ中将、つる中将の承認を得ております」
ラッパー紛いな恰好の青年大佐が丁寧に答えると、
「あいつらはいったい何を考えてるんだ……」
ゼファーは思わずぼやき、ついで包帯面の女少佐に扮する高額指名手配犯へ問う。
「お前もいったい何を考えてるんだ……?」
「ぶらり旅の途中でちょっと寄ってみたら、こうなった」
しれっと嘯くベアトリーゼ。
傍らの王子が頭を振り、孔雀が『余計なことを言うんじゃないよ』とベアトリーゼを叱り、アインはキチガイを見るような目を向けた。
ゼファーは再び溜息を吐いた。
「度し難い」
そうして機密資料の開示が始まるが、ベアトリーゼは内容の書き取りやメモ取りを禁じられた。全て覚えろ、というわけだ。
小賢しい嫌がらせしよってからに。ベアトリーゼは鼻息をつき、資料の山を冷ややかに見据えた。
親友のニコ・ロビンが記憶術を駆使し、かつて故郷に存在した『全知の樹』図書館の蔵書の内容をほぼ全て暗記し、これまで見聞きした情報を何一つ忘れていないように、ベアトリーゼも相応の暗記術を扱える。
ただまあ、一番肝心な原作記憶が虫食いだらけで補填のしようもないのだが。
ともあれ、ベアトリーゼは資料の山を登り始める。片っ端から速読して情報の取捨をし、覚えるべきことだけ頭に収めていく。
妙に慣れた手際に王子と孔雀とアインが怪訝顔を作るが、ゼファーは気に留めず老眼鏡の位置を修正しつつ、ファーム21の資料を読み進めていく。
閲覧室にページがめくられる音色と万年筆が紙面を走る音色。
王子と孔雀も手持ち無沙汰を慰めるため、ベアトリーゼに倣ってソナン兄妹の資料に目を通していて、
「酷ェな」
王子ことプリンス・グルス大佐が思わず呟き、孔雀も正義感のままに唾棄する。
「こいつらはクズだね」
資料に記載されたソナン・イタルとソナン・ノリンの兄妹が行った所業は、凄まじい。
政府直轄領や加盟国を襲撃し、大勢を拉致誘拐して虐待目的の拷問や残虐な人体実験を繰り返したり、市町村規模や艦船単位の無差別大量殺戮を重ねたり。
その凶行の数々を端的に表すなら、“邪悪”以外にない。
「まあ、海軍の立場から見ればな」
ベアトリーゼの相槌が気に入らなかったのか、孔雀は噛みつくように言った。
「どんな立場なら、こいつらの残忍な凶行を肯定できるっていうんだい」
「この世界を憎み怨んでる奴らの立場」
さらりと答え、ベアトリーゼはどこか呆れ気味に特別保管庫の方を見た。
「私としては、これほど被害を生んだ凶悪事件が今では誰も知らない、てことの方が薄ら恐ろしい。いったい今までどれだけの出来事が歴史の闇に葬られてきたんだか」
蛮姫の言葉に釣られ、若い三人も特別保管庫へ目線を向ける。単に古い機密情報を収めた場所という認識だったが、今は悪夢が封じ込められているような錯覚を抱く。
「保管庫に収められているものはただの紙切れじゃない」
ベアトリーゼは淡々と語る。
「一枚一枚が海軍の歩んできた道程の記録であり、海兵達の勇気と献身の記憶だ。歴史の果てに忘却されてしまった先人達の名は、もはや墓碑とここにある資料にしか残されていない。この紙束こそ海兵達が確かに生き、世界秩序と正義のために戦い、血を流してきた唯一の証拠。この紙切れを隠蔽するということは海兵の犠牲から意味を奪うことだ」
海軍への嫌悪と軽蔑を公言してはばからない女が保管庫に収蔵された資料の“価値”を述べる。しかも偽りなき深慮を込めて。
若い三人の海兵が戸惑いつつも神妙な面持ちを作る中、ゼファーは資料から顔を上げずに言葉を編んだ。
「お前の言いたいことは分かる。だが、全てを公開すれば良いものでもない。世の中には語り継がれるべきではない物語もある」
「賛成だ。忘れ去られた方が良い物語や存在してはいけない物語は確かにある」
自らのルーツの物語を脳裏に浮かべ、ベアトリーゼは小さく首肯した。次いで、ゼファーが読み解く資料へ目線を向ける。
「それも語られるべきではない物語の類?」
「当時の上層部はそう考えたようだが、これは語り継ぐべきだった物語だ」
ゼファーは老眼鏡を外し、目元を揉む。そして、蛮姫へ問うた。
「参考までに聞く。お前が仮に他人の記憶や意識を操れる能力者だとして、政府直轄領を武装蜂起にさせるとしたら、どうやる?」
「んー? それ昨日、大参謀閣下から聞いたな。カキカキの実だっけ? あんた、抗う者達絡みの件を調べてんのか」
「……」ゼファーは眉間を押さえて唸る。「部外秘だろう……おつるちゃん」
「そっちの事情はどうでも良いけど……でもまあ、あんたには私の友達が世話になったし、お答えしようか」
ベアトリーゼは椅子の背もたれに体を預け、しばし考えた後、案を口にする。
「あんたの提示した条件で直轄領を武装蜂起させるなら、医者として潜り込む」
「医者?」アインは眉をひそめて「その理由は?」
「定期健診とか伝染病予防とか適当な口実で現地の警備兵や奴隷達に接触できる。能力の発動を任意に出来るなら、それこそ全ての警備兵と奴隷に仕込みを入れられるだろ」
考え込むゼファーへ、ベアトリーゼは他人事のように続ける。
「もしも、私のアイデア通りなら、犯人が島を訪れた時期は事件発生時の大分前だろうな。で、事件後は死んだことになっているだろ。秘匿性を重視する秘密結社だ。疑いが向けられることを避けるはずだ」
「悪知恵が働く奴だな」プリンス・グルス大佐が嫌そうに顔をしかめる。
「でもさ」孔雀は小首を傾げ「政府が奴隷のために医者を呼んで検診や治療をさせるかね? あいつらなら使い潰して代わりを調達するだけじゃないか?」
「その辺りはもっと情報が無いと何とも言えないな」と小さく肩を竦めるベアトリーゼ。
「ふむ」
ゼファーは老眼鏡を掛け直し、別の資料を探して手に取る。直轄領の入出島記録だ。ページをめくっていく。
「どうですか、先生」
アインがゼファーの手元を覗き込んだ、その時。
目当てのページはのどぴったりに切り取られていた。切断面の具合から切り取られた時期はかなり前だろう。
切断面が伝える深刻な事実に、王子と孔雀、アインが息を呑む。ゼファーは厳めしい顔を険しく歪めた。
「……どうやら、俺が今まで戦ってきた相手と勝手が違うようだ」
「800年に渡って存在する由緒正しい秘密結社だぞ。海賊やゴロツキと一緒にしちゃあ、失礼ってもんさ」
ベアトリーゼはくすくすと楽しげに笑い、
「本気で“抗う者達”へ挑む気なら、まずはマーケットの古狸に会え。センゴクを説得して専従の合同任務部隊を編成しろ。そして、腹を括れ」
冷徹な面持ちで厳粛に告げた。
「相手は魑魅魍魎の群れだ。人間同士の牧歌的な殺し合いじゃ済まない」
○
空が朱に染まる美しい夕暮れ。
包帯面の女性少佐が臨時船着き場へ向かって歩いていく。傍らにボディコン女性中佐と一歩後ろにラッパーモドキの青年大佐が付き添っている。
隣を歩く孔雀が難しい顔つきで口を開いた。
「閲覧室で言ったこと……どこまで本気なんだい?」
「中佐殿。いずれの内容のことでしょう?」
海軍軍人になり切った高額賞金首が丁寧に反問すると、老女傑の孫娘は唇を尖らせながら、言った。
「報告書が海兵達の献身と勇気の記憶や確かに存在した証拠だって宣ったこと。あれはどこまで本気で言ったことなの?」
誠に遺憾ながら、あの言葉は孔雀の、王子の心に少なからず響いた。
「正直に述べただけです。自分はたしかにこの組織へ強い負の感情を抱いておりますし、場合によっては侮蔑も罵倒も惜しみませんが……敬意を払うに値する個々人の存在まで否定しておりませんので」
ゼレ・マルハレータと称する包帯面の少佐は淡白に答え、ゴツゴツと荒れた石畳を歩み進む。戸惑いを濃くする2人の佐官へ、尋ねる。
「お二方は特殊部隊へ配属されているようですが……まだブラックオプスの経験はないでしょう?」
図星を突かれ、孔雀も王子も咄嗟に言葉が出ない。
2人は海軍特殊部隊SWORDだが、もっぱら役割は広い自由裁量権を持つ最精鋭、ぐらいのもので、特殊部隊が重用されるブラックオプス――高度機密任務や非公式の不正規戦、もっと露骨に言えば汚れ仕事――に従事したことは、まだ無かった。というより、発足して間がないSWORDの隊員で特殊任務に従事しているものは、実質的に“隊長”と彼の直属隊員だけだ。
「なんで、そう思う」王子が一歩前を歩くベアトリーゼの背へ問う。
「ブラックオプスに従事している人間にしては、君らは目が綺麗すぎる」
プロの荒事師はからかうように答え、ふと足を止めた。戦禍の傷痕が生々しい広場の西端へ顔を向けた。そこには海軍の伝説的軍艦オックス・ロイズの鐘が置かれている。
「出立前にオックス・ベルを見たいんだけど、いいかな?」
「? なんでだい?」
「せっかく来たんだから、観光名所は見ておかないとね」
しれっと真顔で嘯くベアトリーゼ。孔雀は尻を蹴っ飛ばしてやろうかと本気で検討した。
○
「お孫さんは君があれに気をかけていることが不満なようだ」
ゼファーは窓辺に立ち、オリアス広場の西端へ向かって歩いていく包帯面の少佐を眺める。
「あんたの副官もだろ」
つるは応接卓で紅茶を嗜みながら切り返した。
なぜガープやつる、ゼファーが凶悪犯“血浴”を気に掛けるような振舞いを見せるのか。なぜ大勢の海兵を殺した“悪”を問答無用で倒してしまわないのか。
それは孔雀やアインがずっと抱いていた疑問であり、ベアトリーゼに対する反感の根源だった。
答えは簡単だ。
軍服の袖に腕を通して数十年の彼らは、知っているからだ。
海軍の正義が絶対ではないことも。海軍が数多くの過ちや罪を犯してきたことも。海軍を嫌い、憎み、怨む者にも道理があることも。
ゆえに、彼らは“血浴”の蛮姫を許容することは無くとも、一方的に断罪しない。
そして、軍歴の長い彼らは知っている。
立場や価値観や思考がまったく異なる相手と関わる必要性を。
「孔雀は幼い頃から今まで周りが海軍の人間ばかりだった。“血浴”は視野を広げ、学びを得るのに丁度良い」
「あの曲者を教材にするとは、可愛い孫娘相手にも厳しいな」
つるの見解に、長く教鞭を取ってきたゼファーが微笑む。
「教育の場に身を置く気があるなら、センゴクへ推薦するぞ」
「戯言を抜かすんじゃあないよ」
美しく老いを重ねた顔を嫌そうにしかめ、つるは表情を引き締め、戦友を質す。
「“ジョージ”と会うんだね?」
「ああ。今のままでは敵の尻尾どころか抜け落ちた毛すら掴めん。それにまあ、善意で忠告された。善意は受け取るべきだろう?」
視界の先、包帯面の少佐が広場の西端に鎮座する神聖な鐘へ触れ、つるの孫娘がついにその尻を蹴飛ばしていた。
「善意の主はとんだ曲者だが」
Tips
孔雀
原作キャラ。ムチムチの実の調教人間。つるの孫娘で拙作の作中時間ではまだ中佐。
原作でキャラの深堀がされていないので、本作の描写は独自解釈と独自設定。
ベアトリーゼが気に食わない。
王子
原作キャラ。本名はプリンス・グルス。
出したはいいものの扱いどころがない。
海軍のジジババ。
原作キャラ達。ベアトリーゼに対する姿勢は、ちょっと無理があるだろうか。異論は認める。
ベアトリーゼ。
オリ主。諜報戦の餌にされる可能性に気付き、ドン引き。
アインと孔雀に嫌われている。
長々とした説明回の海軍本部巡りはここまで。そろそろ3D2Y編に入るやで。