彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
連休前ぐらいから色々あって時間が取れず……
ふふふさん、佐藤東沙さん、kurouさん、烏瑠さん、誤字報告ありがとうございます。
リュウグウ王国と元王下七武海“海侠”ジンベエの合意を得た後、長くて退屈な細部の詰め合いを終え、締結を翌日に備えた前夜。
万国の女王がホールケーキアイランドの王宮で17女と18女の双子を睥睨していた。
「政略結婚はしねェだと……?」
ビッグマムは自身の望み通りに事が進まなかったため、凶相を大きく歪める。その様は魔王そのものだ。
玉座の間が女王の怒気に満ち、子女達は畏怖に震え、日頃姦しい調度品や内装のホーミーズ達が口を堅く噤む。
双子の姉ガレットは生唾を呑み込み、震えだしそうな膝に力を込めて報告を続ける。
「でも、それ以外は全て要求通りよ、ママ。毎月の菓子10トン上納に楽園から新世界へ向かう海賊達の迎撃。それに、海侠ジンベエと魚人海賊団がウチの傘下に入るわ」
双子の妹ポワールが竦む肚に力を込め、報告に接ぎ穂を加えていく。
「しかも、だよ。ママ。ジンベエは万国までママに親子盃を受けに来る。これを御茶会に合わせれば、世界に四皇ビッグマムに元王下七武海が服属したことを示せるわ。プラリネを魚人島の王子と結婚させるよりも大きいと思うの」
娘達の報告を聞き、四皇“ビッグマム”シャーロット・リンリンはしばし考える。自儘で気分屋なところが大きいけれど、ビッグマムは決して愚鈍でも暗愚でもない。
「……確かに話自体のまとまりは悪くねェ」
ビッグマムは玉座の傍らに置かれたサイドテーブルの菓子を鷲掴みし、口に運ぶ。魂を付与された菓子達が歓喜や恐怖の叫びを上げながら、咀嚼されていく。
騒がしい菓子を呑み込み、双眸を鋭く細めた。
「だが、結婚抜きじゃ、魚人共がオレに従う証が立たねェ」
世界最強の女海賊“ビッグマム”シャーロット・リンリンが歩んできた人生を考えれば、『血は水より濃い』という哲学を抱くことはむべなるかな。
ダメか、と双子が顔を蒼くする中、報告の場に立ち会っていた長女コンポートが横から母へ語りかける。
「ママ。魚人島の戦力や魚人海賊団は“自分の国も守り切れない程度の力しかない”んだよ。一方で、レッドポートのテロみたく死ぬことを前提に滅茶苦茶やる魚人達もいる。ワタシはプラリネとそんな連中の王子が結婚したら、結びつきが強くなりすぎると思うんだよねぇ」
反論に近い意見を寄こした長女をぎろりと睨みつける。怒鳴りつけようかとも思ったが、長女の語った内容は無視できなかった。
ビッグマムは高価な指輪で飾った厳めしい指で、こめかみを揉みながら思案する。
利用するために縄張りへ組み込むのであって、その逆ではない。自身と組織の名と面目を潰さない程度には守ってやるが、それ以上は迷惑でしかない。
それに、レッドポート事変の黒い魚人達。手足が千切れ、ハラワタを引きずりながら戦う様は“味方なら”頼もしいことこの上ない。が、あの凶暴と狂猛で自分へ歯向かってきたら、かなり鬱陶しい。
長女の言葉通り、適度な距離があった方が好都合かもしれなかった。
「それに、だよ。ママ」コンポートは思案中の母へ追撃に出る「お茶会の場で、元王下七武海が膝をついてママから親子盃を受ける光景は、ママの名声と威徳を大いに広めると思うんだけどねえ」
「……」
ビッグマムは賑やかな菓子を食らいながら、元王下七武海という“トロフィー”と政略結婚を秤にかけ、半人魚の娘プラリネの価値を考慮する。
大海賊ビッグマムは良くも悪くも“海賊”だ。望みは手段を問わず叶えようとし、欲しいものは何が何でも手に入れようとする性質だ。故に政略結婚を実現し、魚人島も“トロフィー”も手に入れたい。しかし、手に入れた後に面倒や厄介が伴うと分かっているなら……
ビッグマムは三度ほど騒々しい菓子を食らってから、
「……いいだろう。お前達の提案通り政略結婚無しだ。ただし」
ぎろりと双子の娘を睨み据えた。
「ジンベエにはオレへ頭を下げに必ず来させろ。いいな?」
「分かったわ、ママ」「絶対に連れてくるわ、ママ」
即座に了承する双子。首に縄を付けてでも、と心のメモ帳に書き込む。
「それはそうと……今回もお土産はあるんだろうねえ?」
「もちろんよ、ママ」「魚人島の美味しいお菓子をたくさん持って来たわ、ママ」
母の恫喝染みた諮問に即答し、ガレットとポワールが合図をする。と、ドアが開かれて菓子を山盛りした台車が三台も入室してきた。
大怪獣ババアは相好を崩し、上機嫌で喝采を上げる。
「マンママンマッ! 流石は我が子達だ! ちゃんと分かってるねえっ! マ~ハハハッ!!」
玉座の間で母が舌鼓を打っている頃。
「実際のところ、よくまとまってる」
ペロスペローは双子の部下であるテカテカマッチョおじさんのシュラスコが提出した報告書に目を通しながら、頷く。
「ガレットとポワールは良い仕事をした。外部の手を借りたことは減点だがな……ペロリン♪」
「“血浴”のベアトリーゼか。得体の知れねェ女だ」
万国の大蔵大臣――組織の金庫番を務める15男シャーロット・ノアゼットが、報告書から顔を上げ、長兄へ進言する。
「ペロス兄。ああいういう奴は利用できても、信用は出来ねェ。ガレットとポワールには深入りさせねェよう注意しておくべきだ」
上向きに弧を描く大きなリーゼントと豊かな顎髭、左目の傷が特徴的な弟の意見に、
「あぁそうだな。2人には釘を刺しておこう」ペロスペローは首肯を返して「ここからが本番だ。盟約を結んでそれまでじゃねェ。きっちり回して盟約に実効力を持たせないと意味がない……ペロリン♪」
「ネックは菓子10トンであるからして。この材料と現物のやり取りは、骨であるからして」
万国の運輸大臣を担う12男シャーロット・ヌストルテが言った。
二角帽とカイゼル鬚に二頭身と、チェス戎兵と見間違えそうな姿の兄に、ノアゼットが豊かな顎髭を弄りながら小首を傾げた。
「魚人達にやらせりゃあ良いだろ?」
「いや、海賊共と魚人島の双方へ睨みを利かせるためにも、定期便をやり取りしたい。それに魚人島の菓子10トンは俺達の手で確実に移送するべきだ。“面倒”を起こさないためにもな……ペロリン♪」
移送に問題が起きた時、責任を先方に押しつけて終わり、ならば移送は魚人達に任せた方が好都合なのだけれど、食い煩いが起きる可能性を考えれば、自分達の手で確実に運ぶ方がマシだ。なんせ最恐の母は老いを重ねるにつれ、食い煩いの頻度が増している。
長兄の意見と言外の懸念を読み取り、ノアゼットは頭の中で素早く銭勘定を行う。
「そうなると……鮮度と品質を落とさない移送設備を持った大型船が必要だ。どうせなら菓子と原材料以外も運べる余裕が欲しいな。貿易を兼ねるなら、しっかり利益が出るようにしねェともったいねェ」
「ヌストルテ。条件に合う船はあるか?」
長兄に水を向けられたヌストルテはカイゼル鬚の先端を弄りつつ、頭の中で船のリストを参照し、答えた。
「タマゴ男爵に貸与している大型船なら、条件に適うであるからして」
「なら、今後の魚人島のやりとりはタマゴ男爵に委ねよう。あいつなら下手を打つこともない……ペロリン♪」
「お菓子工場の建設はどうする? 急ぎの仕事だが……魚人達に任せるか?」
15番目の弟の質問に、長男は首を横に振る。
「来月の初回上納を確実にするためには、こちらで手配した方が良い。物でも人でも必要なものはブリュレの鏡世界を通じて魚人島へ送り込む」
「ブリュレ姉も大変だからして」
ヌストルテが微苦笑をこぼし、釣られてノアゼットも苦笑いを浮かべた。ペロスペローは背もたれに体を預け、右手を伸ばして紅茶のカップを掴む。
「期せずして“大事業”になっちまったな。カタクリやダイフク達が戦線を支えている間に片を付けるぞ……ペロリン♪」
頷く弟達を確認し、ペロスペローはカップを口に運んだ。
○
右にリュウグウ王国。タイヨウの海賊団。
左にビッグマム海賊団。万国。
翌日。竜宮城の玉座の間。用意された御影石の長卓に四枚の最高級紙とペンが置かれている。
いよいよ両者の秘密外交が結ばれようとしていた。
公に発表されること。
ビッグマム海賊団が魚人島を縄張りに組み込むこと。元王下七武海“海侠”ジンベエとタイヨウの海賊団がビッグマム海賊団の傘下に加わること。
秘されること。
リュウグウ王国とビッグマム海賊団および万国が同盟関係を結び、安全保障と通商で互恵関係を築くこと。
この盟約の履行条件として、リュウグウ王国は毎月10トンの名菓を上納し、万国はリュウグウ王国と交易して名菓の原料を納入。名菓の移送はビッグマム海賊団が行い、海中航行時はタイヨウの海賊団が警護につく。
また、ギョバリーヒルズにビッグマム海賊団の面々が逗留する屋敷を用意することも加えられた。これは屋敷内に大型の鏡を設置し、ブリュレの能力で海賊団を緊急展開可能とするためだ。
「では、異論がなければ契約書にサインをお願いします」
ビジネスウーマンな装いのベアトリーゼもといコンサルタントのビーさんに促され、リュウグウ王国ネプチューン王、タイヨウの海賊団船長ジンベエ、ビッグマム海賊団船長名代ポワール、万国使節代表バター大臣ガレットが、四枚の契約書にサインを書き込んでいく。
ビーはいずこかから用意した革製のカバーに契約書を納め、それぞれへ渡していった。
「この四枚の紙片はただの紙片ではありません。皆様の名誉と皆様の背後にある大勢の運命を左右する誓約の証です。ゆめゆめ軽んじること無きように」
ネプチューン王とジンベエは眉間に深い皺を刻み、王に代わって契約書を預かった左大臣が内心で嘆息し、右大臣が臍を噛む。ガレットは勝ち誇ったように冷笑し、ポワールはギザ歯を覗かせて薄く笑う。
悲喜こもごも。
「……盟約成立を喜び、ささやかな宴を催すじゃもん」ちっとも喜んでいるようには見えない王は続けて「客人達よ。害する気はないゆえ、慌てぬでほしい」
『?』双子を始め、ビッグマム側が訝る中、使節団がシャボンで包まれた。そして、玉座の間に注水される。
謀られたと慌てる面々を余所に、ビーは控えめな微苦笑を讃える。気に食わない相手にもきっちりと“おもてなし”か。
玉座の間が海水で満たされると、見目麗しい人魚の女給達がシャボンで包まれた料理の膳を次々と運び込み、客人達のシャボン内へ並べていく。そして――
「この盟約が繁栄と幸福をもたらすことを祈って、乾杯」
王の挨拶と共にグラスが掲げられ、ささやかな宴が始まる。
膳を彩る見事な美食。芳醇な美酒。歌い、奏で、舞う美しい人魚達。ささやかどころか実に素晴らしい宴だった。
しかし、宴の客達は全く盛り上がらない。リュウグウ王国とビッグマム側は決して交わることがなく、それぞれで会話と食事を進めている。挙句、リュウグウ王国側は誰も彼もがむっすりとした面持ちを浮かべており、ビッグマム側も何やら今後のことをひそひそと密談していた。
冷蔵庫の中みたく冷え切った雰囲気に人魚達の笑顔もどこか強張り気味だ。
例外は自称コンサルタントだけだった。上機嫌に美食と美酒、人魚達の舞踏と音曲を楽しみ、思う。
こりゃ浦島太郎も時を忘れて入り浸るわ。
「血浴の……失礼。コンサルタント殿。少し良いだろうか」
フカボシ王子が酒瓶を手にやってきた。それも大いに難しげな面持ちで。
……面倒な話の予感、と内心でぼやくビー。そんな蛮姫の心情を察することなく、フカボシ王子はまず一献とビーのグラスに酒を注ぐ。
「王子殿下に酌をして頂けて光栄ですわ」
自称コンサルタントは折り目正しく微笑み、礼儀として酒杯を半分ほど空けた。
フカボシはどこか挑むような口調で用向きを告げる。
「貴女は種族融和と異種族共存には相互の理解と尊重が必要だと語った。どうすれば我々が陸の理解と尊重を得られるか、貴方の考えを伺いたい」
反感が尻尾を出していたけれど、無理もない。伊達眼鏡をかける自称コンサル女は彼が尊敬する亡き母の理想を『叶わない』と断じたのだから。
フカボシ王子の諮問に、リュウグウ王国側が一斉に表情を硬くした。常識で考えれば、止めに入るべきなのだろうが、誰もがビーの回答を待つ。
ガレットとポワールの双子も興味深そうに成り行きを見守る。
そして、挑発染みた質問を投げかけられた当人は、酷く気分を害していた。美酒美食に美しい人魚達の舞踊歌曲を堪能しているところに、この野暮な話。げんなりである。
面倒臭ェガキだな。ビーは自身より二つ三つほど年下のフカボシ王子を伊達眼鏡越しに一瞥し、控えめに鼻息をつく。
――よござんしょ。このスマートでアカデミックな才媛たる私が、この“失敗国家”について語って差し上げますか。
仮面を取るように伊達眼鏡を外して胸元に差し、ベアトリーゼは満月色の瞳をフカボシ王子へ向けた。
「私個人の見解を述べるなら、種族融和や異種族共存など出来ないと断言する。陸側の認識や価値観、これまでの歴史的経緯とは別の理由からだ」
これまでと違って非礼かつ冷淡な口調で語り、くつくつと喉を鳴らす。まるで獲物を嘲る女妖のように。
眉目を険しく歪めるリュウグウ王国勢の先頭に立ち、フカボシ王子は質す。
「我々魚人側に理由があると?」
「違う。魚人という種族ではなく、リュウグウ王国という国家が欠陥だらけだからだ」
子猫を踏みつけるような声音で、ベアトリーゼはさらりと告げる。
「――」自分達が原因と言われ、フカボシ王子を始めとするリュウグウ王国勢がビキッと顔を不快感で歪めた。
「あぁぁあ……」「アンタ、また……」
ぼやく双子を余所に、ベアトリーゼは教師が説くように言葉を紡いでいく。
「リュウグウ王国が世界政府に加盟してから200年。王国政府は陸の差別と迫害が継続していることを認識しながら、加盟諸国や世界政府に状況の解決や改善を求める外交活動を一度もしていない。それどころか、陸の諸国と一つも国交を結べず、世界政府へ海上移住の根回しもしていない。やってきたことは海底までやってくるアホ共との交流と、亡き王妃陛下の署名集めだけ。無能にもほどがある」
無能と断じられたナマズな左大臣や文官達が額に青筋を浮かべつつも、歯噛みして怒りを堪える。陸の差別や迫害を口実に外交活動をおざなりにしてきたことは事実だからだ。
酒杯を傾けてから、ベアトリーゼは怒れる魚人達を冷たくせせら笑う。
「こんな有様であんたらが一方的に海上進出したら、陸は十中八九、魚人による“侵略”と受け止めるぞ」
「侵略、だと」
想像すらしたことがない指摘だったのだろう。リュウグウ王国勢もジンベエも呆気にとられた。
「もっとも……侵略者として恐れられるなら、まだ“マシ”だ」
そんな魚人達の頬を張るように、ベアトリーゼは辛辣な言葉を並べていく。
「リュウグウ王国は独力で海賊から魚人島を守れないにもかかわらず、国防体制も軍備も明確に改めてこなかった。それどころか陸の海賊に庇護してもらう体たらくだ。挙句に拉致誘拐された同胞を黙殺し、陸は酷いと嘆くだけときた。そんな様で大海賊時代真っ最中の海上へ移住しよう? 王妃からして頭ン中が満開のお花畑かよ」
王国政府と王国軍、ついには亡きオトヒメ王妃まで嘲り罵る”意見”に、玉座の間は怒気と殺気と敵意と反感で満ちた。一触即発の緊迫感に呑まれたのか、舞踊と歌曲が止まった。人魚達が怖がりながら玉座の間の端へそそくさと逃げていく。
激発寸前の雰囲気の中、ベアトリーゼは酒でのどを潤し、冷たい目つきでネプチューン王を始めとする王国要人達――統治者と施政者達を見回す。
「そもそも、あんたらは外へ目を向けている場合じゃないだろ」
「どういう意味じゃもん」
ネプチューン王が直感的に不吉なものを抱きながらも、女妖へ問えば。
「先のレッドポート事変。あの凶悪なテロ事件には数多くの魚人が参加していた。天竜人を戮殺し、陸の人間を虐殺する中継映像や報道を目にした陸の人間は少なからず、魚人を恐れるようになった」
「あやつらはこの国の民かどうか、まだ分かっておらん」
ジンベエの言葉にベアトリーゼは首を横に振る。
「関係ない。あんたらが陸の人間をひとまとめに見ているように、陸も魚人をひとまとめに見ている。そして、“魚人達も”同様に認識する」
ベアトリーゼは金色の瞳を細め、
「あの過激思想に感化される者は必ず現れる。長きに渡る差別と迫害。大海賊時代前後から激化した海賊被害。それに、国民の敬愛を集めていたオトヒメ王妃の暗殺。陸へ怒りや恐れ、憎しみや怨みを持つ者がいくらでもいる。彼らは間違いなくあのテロを支持する。既に王国内のサイレントマジョリティと化していても驚かないな」
唇の端を大きく歪めた。鋭い犬歯が覗く。
「何より、旧魚人街とかいうスラムの負け犬共が真っ先にあの過激思想へ飛びつく。惨めな現状に対する鬱憤晴らしのために」
否定の言葉を吐けない魚人達へ、女妖は悪意的微笑を向けた。
「あんたらはもう選択を迫られている。過激派が増える前に弾圧して現状を維持するか。過激派が暴発しないよう方針転換を図るか。いずれにせよ、痛みが伴う苦渋の決断をしなくてはならない。ここで日和った舵取りをすれば、良くてクーデター、悪ければ内戦になる。大袈裟に言ってるんじゃないぞ。歴史的に裏付けされた必然だ」
陸の女妖が指摘した魚人島の“内”の脅威論と恐るべき可能性。王や大臣達は顔から血の気を引かせ、ジンベエとアラディンも絶句する。
ガレットとポワールは『やっぱりプラリネを結婚させなくて正解だった』と確信した。
重苦しい沈黙が支配する中、ベアトリーゼはぐいっと酒杯を干し、青い顔で立ち尽くすフカボシ王子へ告げる。
「どうしたら相互の理解と尊重を得られるかと聞いたな? 施政者として義務を果たせ。統治者として責任を果たせ。亡き母の理想を叶えたいなら見たくない現実を直視しろ。甘ったれた泣き言を吐かず、世界の理不尽と不条理に立ち向かえ」
――事が原作通りに進むなら、2年後にルフィ達が来島するまで何も好転しねェだろうけどな。
ベアトリーゼは冷淡な気分で鼻を鳴らし、
「ところで……」
慄然としている魚人と人魚達へ尋ねた。
「催しはもう終わりなの?」
Tips
ビッグマム
原作キャラ。ワンピ世界最強の女海賊。というか、怪獣ババア。
拙作では娘達の説得と損得勘定によって、政略結婚を断念した。
ペロスペロー
原作キャラ。ビッグマムの長男。
弟達と共に魚人島での”事業”に取り掛かる。
シャーロット・ノアゼット
原作キャラ。ビッグマムの15男。実質的にはネームドモブ。
万国の大蔵大臣とのこと。
CVは山本圭一郎。名門青二プロの実力派バイプレイヤー。
ワンピースでは海軍大佐ベリーグッドを兼役。
シャーロット・ヌストルテ
原作キャラ。ビッグマムの12男。実質的にはネームドモブ。
万国の運輸大臣とのこと。
CVは粗忽屋西神戸店、という名の中井和哉氏。聞けば一発で分かる。
ベアトリーゼ
作中で指摘した内容は読者の皆さんから頂いた御意見を参考にしました。
リュウグウ王国に手厳しいことを言い続けているけれど、別に反感が有るわけではない。