彼女が麦わらの一味に加わるまでの話   作:スカイロブスター

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前回、誤字報告の御礼を失念していたので――
MAXIMさん、凶禍さん、ハクオロさん、誤字報告ありがとうございます。


26:まあまあの茶飲み話。

 アクア・ラグナ後の後始末も一段落がついた頃。

 ガレーラカンパニー女子事務員ビーに扮するベアトリーゼが書類の山を社長執務室へ届けに来て、しれっとティータイムの御相伴に与る。

 

 応接セットにイケメン社長と美人秘書と女子事務員が座り、

「んー……美味し」

 ビーが上品な仕草で紅茶を嗜み、幸せそうに吐息をこぼす。

 

 アイスバーグは控えめに微苦笑した。

「ンマー……そうしてると豚のケツに腕を突っ込む女にゃあ見えねェなあ」

「アイスバーグさん。セクハラです」とカリファ。

「ンマー!?」アイスバーグは目を瞬かせて「悪かったな、ビー」

 

「や、別に構わないスけど……ちょっと豚のケツに腕を突っ込んだくらいで、皆ネタにし過ぎでしょ」

 ビーが小首を傾げれば、

「「えぇ……」」

 アイスバーグとカリファが揃って引いた。

 

「ビー。豚のケツに腕を突っ込むなんてのは全然“ちょっと”じゃねェぞ」

「ええ。そうですよ、ビーさん。控えめに言って、頭がおかしいです」

 社長と秘書から指摘されても、ビーはさして気にした様子もなく話を切り替えた。

「そうだ。豚で思い出した。結局、あのボンクラ共は不起訴で終わったらしいスね」

 

「ああ。強盗犯つっても未遂だし、主犯格の野郎は高跳びしちまったからな。厳重注意処分で済ませたそうだ」

 ビーとアイスバーグのやり取りを聞きつつ、カリファはカップを口に運ぶ。そうしないと溜息がこぼれそうだったからだ。

 

 アクア・ラグナ後の後始末時、地下水道調査で出くわした強盗未遂犯(ボンクラ)共は、返り血塗れの女子事務員ビーに凄まれ、あっさりとゲロった。

 換金所の保管庫へ地下から侵入し、金やお宝を盗み出す計画のこと。そのために地下通路の地図や進入路掘削道具や搬出用小型舟艇を用意していたこと。『先輩のイトコの知り合い』なる人物が地図を提供したこと。

 

 そして、件の『先輩のイトコの知り合い』なる主犯格はアイスバーグが言った通り、既に姿を消しており、素性も正体も定かではない。

 カリファ達は本命の任務を優先し、『先輩ry』の追跡調査を行わないことにしたが、なんともスッキリしない話ではある。

 

「それにしても換金所を狙うとは……随分と大胆な犯行を企てたものですね」

「道理ではある。銀行より換金所の方が金目の物を貯め込んでるからな」

 カリファの呟きにアイスバーグが合いの手を入れる。

 

 ウォーターセブン島に船舶の建造や整備/修理を依頼する連中は、手形や紙幣だけでなく商取引用金塊や金貨を用いることが多く、換金所で現金化する。それに、銀行で扱わない換金可能な宝飾品やら美術品やらなんやらも持ち込まれるため、いきおい換金所の保管庫はオタカラがたっぷり、というわけだ。

 

「そういやぁ……換金所の保管庫には『世界がひっくり返るようなオタカラ』が眠ってるンスよね、ボス?」

 ビーが色の濃いサングラスの位置を修正しつつ言った。

 

 カリファは眼鏡の奥で目を大きく瞬かせる。『世界がひっくり返るようなオタカラ』なんて初耳だった。ビーがプルトンのことを知っているとは考え難いから、古代兵器の設計図のことはないだろうけれど、なんとも気になる単語ではないか。

 

「世界がひっくり返るようなオタカラ……とはなんです? 初耳ですけど」

 演技と本心の交じり合った声音でカリファがビーとアイスバーグへ尋ねる。

 

「換金所の保管庫にあるのはそんな大層なもんじゃあ」

 アイスバーグが説明しようとしたところへ、

「まあまあ、ボス。いきなり正解を言っちゃあ盛り上がりに欠けるっしょ」

 ビーは人を食ったような笑みを浮かべ、カリファへ問う。

「カリファは世界がひっくり返るようなオタカラと聞いて何を思い浮かべる?」

 

 古代兵器の設計図を捜索しているエージェントにとっては、内心でドキリとさせられる口頭試問。

 カリファはカップを口に運び、紅茶と共に舌打ちしたい気分を飲み込む。

「そうですね……今の世相を鑑みるなら、何か強力な異能を持つ悪魔の実とか、でしょうか」

 焦点を外しつつも武力や軍事力を示唆し、アイスバーグの反応をさりげなく盗み見る。が、やはりこの程度で隙を見せたりしない。普段通りに平静のままだ。

 

「悪魔の実かぁ。目の付け所は悪くねーけど大造船会社の社長秘書なら、もちっとテクニカルな見解を返して欲しかったな」

 ビーは口端を緩めつつ話を続け、

「この問題の肝は、そもそも『世界がひっくり返る』ってのが“何を意味するか”だ」

 口調こそ雑なままだが、普段のヤンキー娘染みた様子と違って妙に教養を感じさせた。

「たとえば、海列車だって世界をひっくり返したと言える。実際、ウォーターセブン一帯を激変させたからな。これがカームベルトやレッドラインを越えて世界中を自由に往来できる乗り物が出来たら、どうなる?」

 

「なるほど」カリファはビーの言いたいことを理解し「世界がひっくり返りますね」

「人間を不老長寿に出来る薬、使っても減らない燃料、後は砂漠や永久凍土でも育つ麦とかな。世界を根底から激変させるだろーな」

「たしかに」

 カリファはビーに相槌を返しながら、ふと思う。

 

 世界秩序を守るため、強力無比な古代兵器プルトンの設計図を回収して政府の手で管理する、という理屈は体制側の人間として理解できるし、納得もできる。

 だが、世界から飢えを無くしたいという100パーセントの善意からどんな環境でも育つ穀物を開発する人間が現れた時、世界政府はその人物をどう扱うだろう。もしも、世界秩序を乱す危険人物として排除するなら……世界から飢餓を撲滅しようとした善意の人間を排除することが、正義と言えるのだろうか?

 

 身の丈不相応なことを考えていると実感し、カリファは強引に意識を切り替えた。

「でも、そんな革命的なものが換金所の保管庫にあるんですか? こう言ってはなんですけれど、換金所はつまるところ身代の大きな質屋みたいなものでしょう? 世界をひっくり返せるようなものを換金物として取り扱えるとは思えません」

 

「ンマー……流石はカリファ。賢察だ」

 アイスバーグが柔らかく微笑み、

「ビーが大げさに話を膨らましちまったが、換金所の保管庫にあるもんはそう大層なものじゃあねェよ。あるのは」

 さらりと言った。

 

「ただの設計図だ。とても古い船のな」

 

 !? カリファは危うく口に含んだ紅茶を吹き出しそうになった。

 もちろん、アイスバーグがこんな茶飲み話の中で古代兵器の設計図について触れる訳がない。それは重々承知している。

 アイスバーグという男は聡明で隙が無い。数カ月に渡る調査と捜査でも、アイスバーグの周辺に設計図の気配すら見られず、本当に古代兵器の設計図を所有しているのかと疑いたくなるほどだった。

 

 が、理性で分かっていても感情的に反応が生じそうになる。

 カリファは内心の動揺を巧妙に隠しつつ、情報収集の機会を逃すまいと話に食いつく。

「設計図とはどういうことでしょう? 教えてください、アイスバーグさん」

 

「ンマー……構わねェが、がっかりするなよ?」

 そう前置きし、アイスバーグは語り始めた。

「まず説明しておく。古い船の設計図なんてのは歴史的や技術的な資料として価値はあるが、それ以上の価値はねェ。技術は日進月歩しているからな。最先端の秘匿技術も10年で誰もが知っている枯れた技術に成り果てちまう」

 

 ビーは茶菓子をぼりぼりと齧りながら、カリファは真剣な面持ちで耳を傾ける。

「換金所の保管庫にある古い船の設計図も、そんなもんだ。製作された当時は海軍も海賊も目の色変えて欲しがった代物だったろうが、今となっちゃあ時代遅れの技術を基に描かれた設計図に過ぎねェ。歴史的資料以外に価値がねェんだ」

 

「あー……“そういうこと”なんですね」

 カリファの端正な顔が曇った。予想はしていたことではあったものの、実際に期待していたものと大きく違えば、生理現象のように落胆に近い気分を抱いてしまう。

 

 逆に、カリファがある意味で期待通りな反応を見せたことで、ビーは悪戯が成功したような笑顔をこぼす。

「その辺のことを換金所の担当者がよく分かってなかったらしくてな。その古い船の設計図を結構な額で引き取っちまったらしい。売却しても元金を取り戻せねェってんで、以来、換金所は戒めのために件の設計図を保管してあるんだとさ」

 

「……ビーさんは私をからかうために大げさな言い回しをしたんですね」

「茶飲み話にゃあ丁度良かったろ」

 けらけらと笑うビーに、カリファは唇を尖らせて『紛らわしい話をして』と内心で毒づく。

 

「ンマー……件の設計図は俺が勉強用に買い取ってもよかったんだが」

 アイスバーグは書棚へ目線を向けた。

 

 超一流の造船技師で船大工であるアイスバーグは現場から遠のいた今も、忙しい生活の合間に勉強や研究を欠かしていない。書棚には技術書や学術書、工学的な論文がたくさん並んでいて、船舶史や技術史などの本も少なくない。中には俗にいう古代や中近世の時代に用いられていた古い船の設計図もあった。

「ウールヴヘジンの設計図は既に持っていたんでな」

 

「え。ウールヴヘジンですか? あの?」

 予期せぬ名詞の登場に、カリファは再び目を瞬かせた。

「何それ? なんかの食べ物?」とすっとぼけたことを抜かすビー。

 

「大昔に北の海で暴れ回った海賊団です。当時としては異例なほど高性能な船を使っていたとか」

 精確には違うけれど、とカリファは内心で呟く。

 

 諜報員養成機関で優等生だったカリファは、座学で学んだことをしっかり覚えている。

 ウールヴヘジンは海賊団などという生易しい存在ではない。数百年に渡って複数の島嶼を実効支配し続けた海上大軍閥だ。北の海の歴史によれば、世界政府の海軍と北の海の政府加盟国による連合軍が数度の『北伐』を実施し、ようやく滅ぼしたという。

 

「往時なら天井知らずの値がついたろうが、今じゃあ一部の物好きが欲しがる程度のもんさ」

 アイスバーグが苦笑気味に語るも、カリファは微かに眉を下げた。

「そうは仰いますけど、場所によっては公文書館で大切に管理されるような資料ですよ? 市長選で社にも御自宅にも不特定多数の往来がありますし、選挙期間中までは金庫なりにしまわれるか、どこかに預けられては?」

 

 それは善意の忠告であり、同時にスパイとしての意識誘導。

「ンマー……そこまで気を付けなくても良いと思うが……まあ、せっかくの忠告だ。考えておこう」

 アイスバーグは思慮深く答えつつ、壁時計を一瞥した。

「さて、そろそろ仕事に戻るか。ビー、オメェもだ」

「へーい」

 ビーは腰を上げた。その物憂げな様子はまるで別人のようだった。

 

      ○

 

『美食の町プッチ』にも美食とは無縁の店がある。

 その場末も場末の安酒場では、重症の飲兵衛達がアフタヌーンティー代わりに安酒を呷っている。そんなアル中共の吹き溜まりに、2人はいた。

 

「カス共を利用する策はローコストで悪くなかったし、それなりに上手くいってたンだぜ?」

 つい先頃まで『先輩のイトコの知り合い』と呼ばれていた男がぼやく。

 

『賞金額3200万:“ブラウントゥース”・ライリー。これまでの罪状は詐欺、恐喝、犯罪教唆に武装強盗。暴行傷害と殺人』

 中肉中背の四十路男で歯が汚い。装いもそこらの貧乏チンピラに毛が生えたような安物で、これ以上ないほど胡散臭かった。

 

 ライリーはビールをゴブゴブと呷り、下品なゲップを吐く。

「まさか自然災害で失敗に終わるとは……この俺の目をもってしても見抜けなかったぜ」

 

「元からオメェの節穴で見抜けるもんなんかありゃしねえだろパープリン。俺は最初(はな)っから上手くいくなんて欠片も思ってなかったぜノータリン。予想通りの結末過ぎて欠伸も出ねえわスカタン」

 鋭い目つきのイケオジがライリーを口汚く罵った。

 

『賞金額8800万ベリー:“ナーリー”ジンノ。罪状は多数の武装強盗と暴行傷害と殺人。公共物や私有財産への重篤な破壊行為』

 さながら格闘ゲームのキャラクターみたいな肉体美の持ち主で、芸術的な体躯を示すように半袖ワイシャツのボタンを全開し、ハーフパンツを穿いていた。やけにツルツルスベスベお肌の腕や腹には多彩な刺青が施してある。

 

「オツムの足りねえオメェに黒幕(フィクサー)なんぞ出来る訳ねえんだよマヌケ」

 アロハシャツの胸ポケットから紙巻煙草を取り出し、ジンノはオイルライターで火を点けた。臭いの強い紫煙が広がっていく。

「なんだよ。ジンノだって前の仕事(ヤマ)で下手打ったじゃねえかよ」

 不満顔のライリーが言い返せば。

 

 片眉を上げたジンノがもうもう煙を吐き出し、

「生意気な口を叩くじゃねえかウスラトンカチ」

 ゴッと拳が肉を打つ鈍い音が響いた。

 

 ライリーのへし折られた鼻からダバダバと血が流れる。バイオレンスの突然発生にも周囲の客は誰も気にしない。場末の安酒場だ。この程度の暴力など見物する価値もない。

「いってェなぁ。ちっとは加減しろよ」

 ライリーはぶつくさと文句をこぼして曲がった鼻筋を直し、鼻の両穴に紙ナプキンを突っ込む。血混じりの痰を吐き捨てた後、

「それで、頭目(ジャグマーカー)はこのヤマをどうするって?」

 何事もなかったように話を再開し、肴のナッツを齧り始める。

 

「打ち切りはしねェとよ。オメェのヘマは織り込み済みっつうことだボケナス」

 短くなった煙草を空いた料理皿で揉み消し、ジンノは新たな煙草をくわえて火を点けた。

「ただ開錠屋(ボックスマン)の手当てがつかなくなったらしくてな。計画を少し延期するらしい」

 

「保管庫の扉なんざ俺らで破れるだろ」

「俺らがやったら保管庫の中身までふっ飛ばしちまうだろオタンチン」

 ゴンッとライリーの頭を小突き、ジンノは煙草を吹かす。

「具体的にゃあ……ウォーターセブンで市長選が行われる頃だろうな」

「なんでそんな時期に? 選挙で街中が騒がしいぞ」

「その騒がしさに紛れて仕掛けるんだろうが、このアホンダラが」

 ジンノがゴンッと再びライリーの頭を引っ叩く。

 

「チャカポコチャカポコ人の頭をぶっ叩くんじゃねえよっ! ぶち殺すぞっ!」

 流石にライリーも腰を浮かせて憤慨するが、ジンノも鼻で嗤って腰を上げた。

「やってみろや、脳ミソ空っぽのアンポンタンッ!!」

 

 後はお決まりの喧嘩祭り。

 騒ぎを聞きつけた官憲が姿を見せた時には、ライリーとジンノはとっくに姿を消していた。店の修理費用はおろか飯代すら置いていかずに。

 

     ○

 

 王下七武海の大海賊サー・クロコダイルは帷幄に謀を巡らせるタイプの男だ。むろん海賊らしく暴力を行使することも厭わない。

 スナスナの実という強力な自然系悪魔の実の能力者であり、若くしてグランドライン後半“新世界”に乗り込んだこともある。その末に四皇の筆頭格白ひげに戦いを挑み、痛恨の敗北を喫したが、この敗北がクロコダイルという男をより危険に、より狡猾に変えていた。

 

 グランドライン前半“楽園”の某所――

 この日、クロコダイルは部下達の前で大海賊らしい冷酷さを披露していた。

 

 海賊。山賊。群盗。強盗団。マフィア。ギャング。少人数の犯罪者グループあるいは一匹狼。刑務所内の囚人集団。これらのワル共には共通の鉄則がある。

 密告者や裏切り者を決して許さないということだ。

 楽に殺す者は少数派で、大多数派は程度の差はあれど必ず拷問にかける。密告者がどのような運命を辿るか周囲に示すために。中には密告者当人だけでは済まさず、親兄弟姉妹に伴侶子供、果ては親族や恋人友人まで対象にする者もいる。

 

 クロコダイルは過剰な暴力を好まない。

 ただし、善性ゆえではなく無駄を嫌う合理性からであり、冷酷や残忍ではないことを意味しない。

 

 実際、この日クロコダイルが部下達へ披露した密告者の処刑手法は残忍極まる。

 スナスナの実の能力は体を砂に変化させることができ、また砂を自在に操ることが出来、砂嵐すら起こせる。加えて、触れたものの水分を吸収することが可能。木に触れればおがくずに。分厚い岩盤も砂山に変えてしまうし、人間を一瞬でミイラにすることさえ出来る。

 そして、人間の脱水症状には精神錯乱や発狂も含まれる。

 

 この恐るべき能力を用い、クロコダイルは密告者をゆっくりと干していった。

 部下達はまじまじと見せられた。人間が干からびながら狂い壊れていく様を。

 

 クロコダイルは密告者が錯乱し、芋虫のように呻き悶えもがく状態に陥ると、能力の行使を止めた。

「くたばるまでこのまま放置しておけ」

 

 葉巻に火を点け、クロコダイルが紫煙を吐きながら踵を返した時、狂死寸前の密告者が虚空に向かってブツブツと呻く。

みみみみ、みた。おおれ、おれれみた。ああ、あ、あ、あれ、あの、ああの、あのおん、おんおんな、おんな、ににににこ、にこ、にころびろびろろびん

 

 ぴたり、とクロコダイルは足を止めて肩越しに密告者を窺った。

「今、このネズミ野郎は何と言った?」

 慄然として震えあがっていた部下達は困惑を返すのみ。

 

 クロコダイルは舌打ちと共に部下達を一瞥し、密告者へ再び歩み寄って踏みつけた。

「もう一度歌ってみろ」

お、れれお、みみたみた。おおおんな、おんおんおんな、に、に、にいいこにころろろろびん

 密告者は腫れあがった舌と閉塞し掛けている喉から言葉を紡ぐ。

 

 

「にこ、ろびん、みた」

 

 

 クロコダイルは足を除け、部下へ命じた。

「このネズミをまともにしゃべれるよう手当てしてから、ニコ・ロビンについて聞き出せ。失敗したらテメェらもコイツと同じ目に遭わせる」

 

 かつて新世界へ踏みこみ、海賊の皇帝達へ戦いを挑んだ男は知っている。

 この世界には秘された歴史があり、失われた言葉で隠された歴史が刻まれた石が存在することを。隠蔽された歴史の真実を明かさんとして考古学者達が島ごと滅ぼされたことを。

 

 王下七武海として政府の飼い犬になった男は知っている。

 この世界に強力無比な古代兵器が存在することを。『悪魔の子』が失われた言葉を操れる唯一の存在であることを。

 

 強烈な野心を秘めた危険な男は知っていたのだ。




Tips
ウールヴヘジン
オリ設定。元ネタは銃夢:火星戦記に登場する宇宙海賊の残党軍閥。
 銃夢の原作では、宇宙海賊の軍勢が4度に渡って火星を襲い、この戦争が火星18大公時代を終焉させる一因となった。
 本作では、かつて北の海に存在した海上軍閥という設定。

”ブラウントゥース”・ライリー
オリキャラ。胡散臭い中年チンピラ。能力者かどうかは続きを待て。

”ナーリー”・ジンノ
オリキャラ。暴力的なイケオジ。
能力者かどうかは作中にヒントを出してある。

サー・クロコダイル
 原作キャラ。一部の人が大好きなワニさん。
 原作ではニコ・ロビンが24歳の時に出会い、秘密結社バロックワークスを立ち上げる。

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