彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
ベアトリーゼは前世の学識を用いてプルプルの実の力を操っている。
ミクロレベルの精密な操作で振動による物理現象――振動波や電磁気を生み出して機動や破壊を行い、はては催眠音波まで放つ。
一見すればまさに魔法のようだけれど、その実は物理法則や科学的原理に従った結果を生み出しているに過ぎない。乱暴なことを言えば、プルプルの実でなくとも、超高性能な振動発生機器でも同様のことが出来るだろう。たとえば、ベガパンクが科学技術で黄猿の熱光線を再現したように。
つまり、ベアトリーゼはプルプルの実という悪魔の――ドクター・ベガパンクが指摘したところの不自然、不条理な異能の力を“完全に”行使しているとは言い難い。
頂上戦争で白ひげが行使したグラグラの実――プルプルの実と同系統の能力――の力はどう見ても振動の範疇を超えていた。空間を掴んで島を傾けるとかどういうこったい。
では、プルプルの実の、ミクロな振動で生み出せる不自然、不条理なこととは何か? 粒子単位で世界に干渉し得る異能の、科学的真理ではなく概念的な、もっと露骨に言えば、空想的な使用とは何か?
ここでベアトリーゼはアカデミックなバルバロイだ。前世で修めた高等教育の学識や知見、地球世界科学の先入観が悪魔の実のデタラメな発現性を妨げる。
故に、ベアトリーゼが志向するプルプルの実の“概念的運用”は、前世の知見と学識を土台にした思考によって検討される。
たとえば――
プルプルの実の振動は素粒子を振動操作できるのか。量子を恣意的に振るわせることが可能なのか。『力』や『場』に『弦』、『膜』など物理学の理論や仮説の単位に干渉できるのか。さらにいえば『時間』や『次元』を振るわせられるのか。
「とはいえ、出来る使えると実戦運用に能うかは別問題だ」
ベアトリーゼは不気味な昆虫面のハイテクヘルメットの中で薄く笑い、バーンディ・ワールドを見据える。
「精々利用させてもらいましょーか」
○
バーンディ・ワールドはベアトリーゼが評したような異能と覇気頼りの二流、ではない。
その程度の男が修羅の庭たる“新世界”で好き放題に暴れ続けられるわけもない。ましてや、彼が現役だった30年以上前は若き日のロジャーや世界を震撼させたロックス、現在の四皇や大物海賊達が鎬を削っていて、海軍もセンゴクやゼファー、ガープにつるといった英傑達が精力的に戦っていたのだ。
そのうえで、現実は突きつける。
大海賊“破壊者”バーンディ・ワールドは、“血浴”のベアトリーゼに対し、白兵格闘戦において及ばないと。
極寒の深夜。霙混じりの強風が吹き荒れ、暴れ狂う荒波に揺れる巨船の甲板上。
蛮姫が舞うように悪鬼を嬲っている。
身体の線を隠そうともしないタイトな潜水服と相俟って、死線上で躍る蛮姫の姿は官能的で艶めかしく、美しい。
バーンディの速度を倍加させた高速機動攻撃を、しゅるりしゅるりと滑らかな躍動で艶麗にかわし。
バーンディの破壊力を倍加させた破壊的拳打や激烈な衝撃波を、颯爽とした駆動で美麗に避け。
“破壊者”の細かく迅速な連打乱撃も激しく猛烈な豪打剛撃も、蛮姫はかすめることなく全てを掻い潜る。
そして、あらゆる姿勢から鋭い反撃をバーンディの巨躯へ突き刺していく。宙返りしながらこめかみや顎、喉を打ち込み、長身を捻らせながら肝臓や腎臓、みぞおちに爪先や踵を叩き込む。
異能も覇気も使わずただ機甲術の技を以って、悪鬼を嬲り弄び痛めつける。残酷に。されど優艶に。
あまりにも一方的な戦いを目の当たりにし、孔雀は息を呑む。シャボンディ行きの船上で自分を弄んだ時と全く違う。それでいて、今も“本気”を出していない。孔雀は彼我の実力差を否応なく理解し、悔しさのあまり唇を強く噛んだ。
「があああああああああああああああああああああああああああっ!!」
“破壊者”が口から血と共に獣染みた怒号を吐き出した。
歴戦の大海賊は眼前の小娘が“手抜き”していることを分かっていた。腰の得物を抜かず、覇気も使わず、ただ小癪な武術で自分を翻弄している。かつて“破壊者”と世界を慄かせた自分を愚弄している。
バーンディ・ワールドはこのような屈辱を断固として受け入れられない。怒りという感情が限界まで膨張する。激情の暴圧に眼球の微細血管が爆ぜ、白目が深紅に染まる。
もはや後先のことなど、どうでも良い。この女だけは。この女郎だけは。ここで、必ず、殺す。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
バーンディ・ワールドは戦叫を上げ、持ちうる全ての戦闘力と闘争の経験を発揮する。
モアモアの実の力と体術を用い、嵐の夜空へ高々と飛び上がる。両腰からフリントロック風連発拳銃を抜く。巨砲が消えて“血浴”が立つ船首甲板へ向け、両手の拳銃を撃つ。
「肉片になりやがれっ!!」
強い風浪の音色に激しいピストルビートが交じった。
高速連射で放たれた拳銃弾の大群がモアモアの実の力で瞬く間に巨大化していく。10倍。30倍。50倍。80倍。100倍。
平均的な54口径フリントロック弾が、一瞬で人類史上最大の火砲80センチ列車砲ドーラの砲弾より巨大に化けた。そんな列車砲弾よりデカい弾が、しかも全てが実体弾の超巨大な弾丸の大群が雨霰と降り注ぐ。
ベアトリーゼは弾幕散布界の只中に立ったまま、武装色の覇気で包んだ右手の中で電磁場を振動させて熱プラズマを作り出した。プラズマはイオンサイクロトロン共鳴加熱で指数関数的に熱量を激増させていく。
それは今や海軍内に周知された“血浴”の大量破壊技。超高熱プラズマ爆撃。
「退避ィ―――――――――――――――っ!!」
巨大弾の嵐と破滅の炎雷を目の当たりにし、プリンスは喉が張り裂けんばかりに叫びながら、グニョグニョの実の力を発動。自身が放出しえる限界まで粘土を絞りだし、部下達を護るためにシェルターを構築する。血塗れで横たわっていたビンズも重傷で動けぬ隊員達を守るべく、巨大成長させた植物で掩体を作る。
指揮官や強者の務め。戦友に対する献身と忠誠。誇るべき海軍の伝統。
そんな高潔な海兵精神を嘲うが如く、物理的な『力』が激突した。
煌々と輝く炎雷が炸裂し、激甚な閃光が深夜の闇を吹き飛ばす。超高炎熱で融解蒸散した巨大弾の群れが爆散した。高熱圧衝撃波が極寒の大気を膨張させ、エネルギーの暴虐的放散を生む。船体に張りついていた氷塊が一瞬で融解して蒸発する。
小島じみた巨船グローセアデ号もまた、破壊を被る。
高熱圧衝撃波を浴びた船体上部構造――中央塔が傾ぎ、建物が倒壊し崩落し、大量の植木は枝葉が燃え上がり幹からへし折れる。船体両側にある“植木鉢”を繋ぐ連絡橋が崩落し、巨大弾の焼けた弾片が飛散し、そこかしこを延焼させた。
アインが失神から意識を取り戻した時、衝撃波に打ちのめされたせいか、息が出来ず激しく咳き込む。生理現象として涙が溢れ、視界が歪む。鼓膜が破けたのか耳鳴りが酷く、周囲の音がやけに遠い。
巨船を覆う粉塵と蒸気と火の粉が強風に拭われていく中、アインは周囲を見回す。延焼の炎が照らす船首甲板は惨憺たる有様。されどプリンスとビンズの必死の働きで隊員達は皆、恐怖の大爆発を生き延びている。
隣で孔雀が茫然と女の子座りし、何かを見つめている。アインは孔雀の目線を追い、見た。そして、戦慄する。
悪鬼の如き形相の“破壊者”が100メートルはあろうかという巨大鉄槌を船首甲板へ振り下ろしていた。
○
昆虫面のヘルメットの中で、ベアトリーゼは薄く笑う。
殴って蹴って追い込んで追い詰めて、ようやくバーンディがいい塩梅の攻撃を繰り出してきた。
風切り音を引きながら迫る超巨大鉄槌。高運動エネルギーを保有した大質量の鋼鉄の塊。ベアトリーゼは純血ヒューロンの左腕に覇気を集中させ、狂気的な博奕に挑み――
特に何も起きず鉄槌にぶっ潰され、鎚頭諸共に甲板下へ埋まった。
「えええええええええっ!!??」
激戦を注視していたプリンス達が目ん玉をひん剥いて驚愕し、吃驚を上げる。今まで一方的にバーンディを殴る蹴るし、巨大弾の嵐をこともなげに吹き飛ばした女妖が、突然、何の芸もなく巨大ハンマーにぶっ潰されたのだから、そりゃ驚く。孔雀とアインは美貌を放り投げた驚き顔を作り、殴ったバーンディ本人さえ『えぇ……』と困惑している。
もっとも、いつまでも暢気に驚いていられない。
超巨大鉄槌が思いっきり叩きつけられたのだ。“植木鉢”から伸びる船首部がくの字に折れ曲がって海面から浮かび上がり、荒波の荷重が加わってすぐさま屈折部が破断した。浮かび上がった船首部が再び水面へ落ち、孔雀を始め突撃班の隊員達が激しい衝撃と揺れに転げまわる。
船体からもげた船首部の揺れが落ち着き始めた直後、ドガンッと甲板の一角が蹴り抜かれ、ベアトリーゼが姿を見せる。汚れてはいたものの、身体のどこも怪我しておらず、ハイテクな装備や装具も壊れていない。どうやら武装色の覇気か何かで防御には成功したらしい。
甲板に戻ったベアトリーゼは「おかしいなぁ……」と首を傾げつつ、左手を握ったり開いたりを繰り返し、警戒を強めるバーンディへ言った。
「今のもう一回やってくれない?」
「テメェ、舐めてんのかぁっ!!」
バーンディは怒号を挙げながら超巨大ハンマーを横薙ぎに振るう。
「死ねェええええええええええええっ!!」
風切り音をうならせる鎚頭の恐ろしさたるや、倒壊してくる大型建築物の如し。
ベアトリーゼは今度こそと構えた。概念を実現し、想像を発現するべく意識を集中させ、神経を研ぎ澄まし、体内を巡る覇気を練り、異能を緻密に操る。
迫りくる超巨大鉄槌。
二度目の正直。ベアトリーゼは左拳を繰り出して――
特に何も起きずぶっ飛ばされ、“植木鉢”側の破断面へ吹っ飛んでいった。
「なにやってんだぁあああああっ!!!」
プリンスを始めとする突撃班の兵士達が罵倒するように叫ぶ。孔雀とアインはもはや開いた口が塞がらない。
バーンディは超巨大鉄槌を握りながらプルプルと怒りに震えていた。死闘の最中、自分は命懸けで戦っているのに、突然相手が“舐めプ”を始めれば、そらそうなるよ。
しかも、
「おっかしいなあ、おっかしいなあ」と呟きつつ、ベアトリーゼが破断面から平然と姿を見せ、船首部甲板へ飛び戻る。
昆虫面ヘルメットは壊れることなく、身体の線を隠さないタイトな潜水服は破けもせず。常人なら圧潰して即死する攻撃が直撃しているのに、けろっと戻ってきやがる。
素人目にも“手抜き”は明らか。これは酷い。
「なんなんだ……っ!!」バーンディは脳の血管がはち切れそうなほどブチギレながら「テメェはいったいなんなんだっ!!!」
怒号を浴びた当人は意に介すこともなく、うーんうーんと唸りながら何か思案している。
「具体的なイメージを作りきれてないのか……? いうて標準模型でも説明できない現象なわけだし……アトラス実験のシミュレーターイメージを参考にするか……? いや、目指すところは別なわけだし……」
「俺 を 無 視 す る ん じ ゃ あ ね ぇ っ !!」
憤怒の蒸気をまといながら、バーンディが埒外な小娘へ超巨大鉄槌を叩きつける。
超巨大鎚頭が女蛮族を直撃する寸前、ベアトリーゼが左掌底打を振り抜いた。
轟音。
蛮姫は三度吹き飛ばされ、荒れ果てた甲板上を勢いよく転がっていく。
しかし、此度は差異がある。ベアトリーゼを直撃した超巨大鎚頭の打面に、スプーンでくり抜かれたような半真球状の小さな穴が空いていた。そして、数瞬の後、宙からスプーンで抉り取ったみたいな半真球状の小さな鉄塊が現れ、甲板の端に落ちた。
バーンディもプリンスや孔雀達も、相撃で生じた破片程度に思い、気に留めない。
だが、不気味な昆虫面の蛮姫は三度無傷で上体を起こした後、げらげらと風音を掻き消すように大笑いし始めた。
「あははははははっ! マジかーっ! マージかぁっ!! あははっ!!」
まるで奇蹟的なビックリドッキリ体験を味わったような笑い声。周囲が怪訝そうに困惑するも、ベアトリーゼは無視して笑い続ける。
蛮姫は腹を抱えて笑い続け、しまいにはゲホゲホと咳き込む。不気味なバイザーを開け、笑いすぎて溢れた涙を拭い、深呼吸して息を整えた。
「はー……この世界はほんとーに“私の”常識が通じないわ。“向こう”の物理屋達が見たら発狂するな。いや、新しい玩具を見つけた子供みたく昂奮するか。喜びすぎて
怪訝顔の周囲を無視してひとしきり笑い、ベアトリーゼはフッとくたびれた嘆息をこぼした。
「とはいえ……すっげェ疲れたわ……や。飢餓感も凄いな……概念的運用ってのはそういうことなのかしらん」
「テメェ、何を言ってやがるっ!?」獣のように喚き散らすバーンディ。
「分数の割り算も解けなそうな奴に理論物理学を説明するのって無駄じゃない?」
ベアトリーゼは億劫そうに立ち上がり、面倒臭そうに嘯いた。
「このアバズレァッ! とことん人を舐め腐りやがってェっ!!」
バーンディは激昂してハンマーを放り出し、再び拳銃を抜いて連射する。
モアモアの実の力で巨大化した拳銃弾の群れが迫りくるも、ベアトリーゼは酷寒の夜風に晒す小麦肌の細面を疎ましげに曇らせた。
……自身の運動エネルギーと物体の質量を倍加出来る能力、か。字面通りの扱い方でも確かに強力だ。けれど、使い方に芸がない。同じパラミシア系として、鶏冠ジジイほどの練達さもなく、ルフィやロビンのような工夫もないし、ドクトルや幽霊娘みたいな特異性にも欠く。
「お前は怪物として二流だよ」
満月色の瞳をアンニュイに細め、ヘルメットのバイザーを閉じた。不気味な複眼が起動光を走らせる。
超高速振動を乗せた右手のわずかな挙動で衝撃波を作り、その衝撃波に乗る形で背中、腰、両足からプラズマジェットを放出。超加速の暴力的荷重で血液が背面へ偏り、骨が軋み、肉がひしゃげる。
音の壁がぶち破られる轟音と大気が爆ぜた衝撃波が甲板上に広がり、海兵達が悲鳴を上げた時には、ベアトリーゼは既に大質量の弾幕を置き去りにし、バーンディの眼前に肉薄。身を捻りこみながら長い脚を鞭のように走らせていた。
六式の嵐脚が児戯に思えるほどの運動エネルギーを乗せた蛮姫の蹴撃。
バーンディは被弾を覚悟し、回避ではなく防御を決断。丸太のように筋骨隆々の両腕を交差させ、武装色の覇気を展開する。
女妖の足蹴と破壊者の豪腕が激突し、エネルギーが爆ぜる。同時に、標的を外した巨大弾の群れが船体を破砕しながら貫通し、水面に巨大な水柱を幾本も立ち昇らせる。
アインは激しい揺れと崩壊する船首部の上から、見た。
爆撃みたいな蹴撃で吹き飛ばされたバーンディが船体中央塔に激突し、中央塔が傾ぎ倒れていくところを。
中央塔の頑健な外壁へ深々とめり込んだバーンディは、明滅する意識の中で疑問を抱く。
なぜ武装色の覇気で塗り固めた両腕が、折れた骨が皮膚を突き破るほど激しく損壊しているのか。
なぜ“破壊者”たる己がベトンの塊に身を沈めているのか。なぜ全身の感覚がないのか。
バーンディが疑問の答えを認識するより早く、痛覚が回復するより速く、損傷した肺や切傷を負った口腔、破裂した鼻腔内血管の血を吐き出すより先に、蛮姫はバーンディへ肉薄し、漆黒の左拳を繰り出していた。
不鮮明な意識の中で、バーンディは迫る女妖を睨み据えながら呪詛を吐く。
クソアバズレめ、最初から最後まで俺を舐め腐りやが――
○
赤色灯が照らす保管庫。天井に空いた大穴。大穴の真下に積もった中央塔と船体と保管庫の天井の瓦礫。船内各所から戦闘騒音が聞こえていたが、勢いは随分と弱い。既に掃討戦の段階へ入ったのだろう。
融解した霙の雨水が注ぎ込んでくる大穴の下。ベアトリーゼは瓦礫の上に立ち、ヘルメットのバイザーを上げた。官能的に唇を細め、フッと息を吐く。
足元では、
「頑丈さだけは一流だな」
ベアトリーゼはバーンディの陥没骨折して赤黒く晴れ上がった顔をゴミのように蹴り、横を向かせる。ごぼりと口と鼻から大量の血がこぼれ、呼吸が再開する。いずれにせよ、手当てが間に合わなければ死ぬかもしれない。
まあ、こいつがどうなろうとどうでも良い。どの途、生かすか殺すかは海軍次第だ。
冷たい雨水を浴びながら、ベアトリーゼはゆっくりと周囲を見回していく。片眉を上げた。
波浪対策にがっつりと固定された鋼鉄製のラック。絶対にラックから落下しないよう入念に封印された大量の強化ガラスケース。赤い不活性液の中に収まるダチョウの卵大の石。
反応兵器に匹敵するエネルギーを持つダイナ岩。
それと、ラックの空っぽの部分に収められた時限爆弾。
「……ん? んんん?」
ベアトリーゼはカチカチとアナログ時計がカウントを進める様を見つめ、小首を傾げる。
この数のダイナ岩が起爆すれば、水爆並みの爆発を起こすだろう。当然、グローセアデ号も船上に居る全ての人間も木っ端微塵だ。
海兵達を道連れに自決?
満月色の瞳を足元で死にかけている大男へ向け、眉をひそめる。
ないな。脱獄してすぐさま世界政府へ喧嘩を売るほどガンギマってるコイツならともかく、他の連中まで自爆する覚悟はない。
どがん、と船尾の方からひときわ大きな爆発音が届く。見聞色の覇気を即応展開。
船尾甲板の格納庫が吹っ飛び、バカデカいウミガメが荒れ狂う海へ飛び込む様が見えた。強化ガラスか何かで覆われた甲羅内に誰か乗っている。ワンピース世界にありがちな動物的乗り物らしい。
ま、問題はそこではなく、去り行くウミガメの甲羅の中にあるダイナ岩のケースだろう。
「……ふむ。退職金と隠滅の一挙両得か」
呟いた直後。天井の大穴から孔雀とアインが飛び降りてきて、大量のダイナ岩のケースにぎょっとする。
「やぁ。お2人さん。悪い報せがある」
ベアトリーゼは身を横にずらし、驚く2人へラックにある時限爆弾を見せた。
「あと1分ちょいでこの大量のダイナ岩が爆発する」
「「―――――――――ッ!」」
孔雀とアインはムンクの『叫び』みたいな顔になった。
Tips
バーンディ・ワールド
アニオリキャラ。
モアモアの実の能力者。アニメの描写から天竜人を殺害した可能性があるらしい。
バカデカいウミガメの乗り物。
オリ設定。
ダイナ岩をいくつか持ち逃げした奴がいる。
ベアトリーゼ
オリ主。
バーンディ相手に舐めプを繰り返し、”きっかけ”を得た。
何を得たのかは追々。