彼女が麦わらの一味に加わるまでの話 作:スカイロブスター
nullpointさん、佐藤東沙さん、烏瑠さん、誤字報告ありがとうございます。
時計の針をひと月ほど前まで戻す。
グランドライン後半“新世界”某島。
傷だらけのテーブル。葉巻の吸い殻が山になった灰皿。安いバーボンとグラス。灰皿から溢れた灰とグラスからこぼれた酒に汚れた世界経済新聞。
そして、年代物のログポースには『ラフテル』と刻まれている。
「本物か?」
「さあな」
投げやりに応じ、ブエナ・フェスタは葉巻を吹かす。
「大衆は真実なんて気にしねェ。信じたいものだけを信じ、見たいものだけを見る。そして熱狂する」
齢70を過ぎているとは思えぬほど若々しい容貌。生々しいほどギラつく精気。
「熱狂……そう熱狂だ。その熱狂の辿り着く極致が戦争だ。俺はそう考えてきたが……見せられちまった。戦争をはるかにしのぐ熱狂を。全世界が熱狂し、新たな時代が生まれる様を」
紫煙を肴に安酒を呷り、フェスタはくつくつと自嘲的に喉を鳴らして、
「ロジャーの奴は処刑台の上で幾つか言葉を並べただけで、全世界を熱狂させやがった」
すっと真顔に戻り、対面の相手ではなく虚空を睨みながら言葉を編む。
「なぜだ? なぜ“宝探し”如きに、これほど世界は熱狂した?」
口調は卓の向かいに座る相手の答えを求めたものではなかった。
「俺はずっと考えてきた。ずうっとな。なぜなぜなぜ……そして、どうすればロジャー以上の祭りを起こせるか。どうすればロジャーの起こしたこの大海賊時代を覆すようなデカい祭りを起こせるか」
フェスタは卓上の汚い新聞の紙面へ、冷淡で無機質な目線を向ける。
「以前の俺なら、より大きな戦争を、もっと大きな戦争を起こそうと躍起になっただろう。頭と心の弱い連中を踊らせ、無能な政府や加盟国に能天気な海軍を惑わせてな。しかし、頂上戦争やレッドポート事変なんてド派手な“祭り”をやられちまった後だ。それに近頃はあちこちで革命軍が良い“祭り”を催してる。そこらの島や海域を丸焼きにする程度の“祭り”じゃあ世界は揺らぎもしねェ」
汚れた世界経済新聞に掲載されている記事は頂上戦争とレッドポート事変。革命軍の動き。
「なら、どうする?」
「もちろん、祭りをやるのさ」
対面の相手に問われ、ブエナ・フェスタは獰猛に口端を歪める。卓上の新聞を乱暴に持ち上げた。酒瓶やグラス、灰皿が卓から転げ落ちるも、無視して紙面を勢いよくめくり――
「この小娘が祭りの“カギ”だ」
世界経済新聞の文化欄に掲載された“新世界”の歌姫ウタの記事を示した。
「ウタウタの実の能力、いや“魔王”の方が目的か」
「分かってねェなぁ。ま、素人じゃ無理もねェか」
祭り屋にあからさまな嘲罵を返され、向かいの相手がムッと顔を強張らせた。
「では、一流のアイデアを拝聴させてもらおうか」
「聴衆を一瞬で仮想世界に引き込むウタウタの実の能力も、危険で知られる魔王も、この娘の本当の価値に比べりゃあ、オマケみてェなもんさ」
怪訝顔をこさえた相手にしたり顔を返し、
「俺がこの小娘を上手く利用し、その真価を発揮させりゃあ……」
フェスタは悪魔のように嗤う。
「世界が熱狂するぜ」
・・・
・・
・
そして、現在。
ウタウタの実が構築する仮想世界ウタワールド。
常ならば、ウタが自ら作詞作曲した歌曲の世界観に合わせて構築され、招じ入れられた人々の意識や魂はまさに夢幻の如き世界を体験する――のだが、この日、作り上げられたウタワールドはいつもと違う。
人食い道化に強力な催眠術を掛けられ、自発的意思を持たないウタには夢幻の世界を構築する創造性を発揮できない。
仄かに明るく仄かに暗い灰色の空間に様々なフラグメントが浮かび、漂っている。
それはカニやフナムシが蠢く岩岸の欠片。紅葉に染まった木々が生い茂る岬の一部。氷雪に彩られた桟橋の切れ端。多肉植物の上をサソリが歩く乾いた荒野の一片。
それは幼き日の歌姫が麦わら帽子の少年と共に冒険したフーシャ村の灯台。歌姫が人生の半分を過ごしたエレジアの街並みの一部や建物の一端。海底で見た珊瑚で出来た街の切片。春島の小片。夏島の切片。秋島の破片。冬島の断片。
大中小様々なフラグメントの間を、誰も乗っていないレッドディーバ号が逆立ちしてふわふわと漂い、鯨達や魚達が翔け、海鳥達が泳ぎ、獣達が流されている。
そんな歌姫の記憶のフラグメントが漂う寂静の虚構世界に、無数の人々が招じ入れられ、欠片と同じく宙を漂っていた。
異様な世界と我が身の異変に困惑し、戸惑い、恐れ、怯え、憂い、不安を抱く人々はデルタ島で、あるいは電伝虫の放送を通じて歌姫の絶唱を耳にした海賊や無辜の一般人。祭り屋に与して大祭を視聴していた闇世界の帝王達や新世界の大海賊、その仲間達。潜入員を通じて監視していた海軍や諜報機関、世界政府に加盟国の関係者。聖地マリージョアの天竜人。世界へ挑む革命軍や世界の影に潜む秘密結社の反逆者。
そして――
「うぉおおお!? いったい何がどーなってやがるぅー!?」
左腕が義手の肥満体大男が宙をぷかぷかと浮かびながら喚く。百獣海賊団“大看板”クイーンは歌って踊れる超デブである。彼は海賊大祭のライブを電伝虫で視聴し、自身のシング&ダンスのパフォーマンスの参考にしようとしていた。
「な、なんなんだこれはっ!?」
足が非常に長い美女――ビッグマム海賊団“将星”シャーロット・スムージーは状況がさっぱり分からない。同父姉妹達と前線へ向けて航海中、電伝虫が混線して勝手に音楽を流し始めたと思えば、謎の異界を漂っていた。そりゃ混乱する。
なお、両者とその周囲は突如意識喪失してぶっ倒れたため、関係者一同が大騒動になっている。さらに言っておくと、慌てて医者や看護士を搔き集めるビッグマム海賊団に対し、百獣海賊団は『このままクイーンを仕留めたら出世できるのでは?』なんて企む連中もいたりした。世知辛い。
「凄い体験だっ! スクープだっ!!」
「お前のそれはもうビョーキやねん」
足の下から頭の上へ流れていく馬車を見上げ、新聞王モルガンズがはしゃぐ。隣で闇金王ル・フェルドが溜息を吐いた。
「一体何がどうなっているえ~っ!?」「訳が分からないアマス~っ!?」
無数の瓦礫やガラクタと共に漂う天竜人達が喚き散らし、
「ダメだ、覇気も能力も使えない」「能力者が創り出した仮想世界内だ。現実世界のようにはいかんのだろう」
海兵や政府機関員達があれやこれやと試し、
「なるほど……聞きしに勝る能力ですね」
黒い淑女が一般人達に紛れて密やかに小さく鼻息をつき、
「電伝虫越しに音を聞いただけでこれか。いったいどれほどの人間が囚われたのやら」
注意深く周囲を見回しつつ、“マーケット”の古狸が思案顔を作る。
不意に、灰色の空間に引きずり込まれた大群衆の耳朶を、小さな拍手が打つ。人々の目が拍手の発生源へ向けられた。
ひときわ大きな岩の断片の上、老人が傍らに紅白髪の少女を侍らせ、哄笑を上げながら拍手を繰り返している。
老人、と表するにはゾッとするほど若々しい生気に溢れている。鳥の巣みたいな髪に白髪は目立たず、鋭い双眸は抜き身の刃みたいにぎらついていた。
ブエナ・フェスタは拍手を止め、ウタワールドに引きずり込まれた人々へ呼びかける。
「“真の祭り”へようこそ、観客諸君っ!!」
警戒と困惑と不安の眼差しを一身に集めながら椅子から立ち上がり、茫洋と侍るウタの細い腰に手を回した。
「そう怖がるこたぁねェ。諸君にゃあこれから、世界最高の歌姫が歌う特別な歌を聴いてもらうだけさ」
フェスタがニチャアと嗤った、刹那。
「お嬢から離れろ、下衆ッ!」「くたばれクソヤロウッ!!」「挽肉にしてやる!!」
困惑と不安と恐れを抱く群衆の中から、ウタの護衛頭とヤンキー女と埒外女がフェスタに向かって突撃していく。完全激昂した彼女達は気合の雄叫びなど上げない。無言で絶対殺意の刃を振り上げながら迫り―
「おお、怖い怖い」
おどけるフェスタがウタの腰を撫でれば、
「La――――――――――――――♪」
歌姫が一声を発した直後、三人の女戦士達が二頭身のマスコット人形に成り果てた。当然、手に握られていた得物はすっぽ抜けて宙を漂う。
「! いったい何が」「ここはウタウタの実の能力者が築いた仮想世界だ。あらゆるものが能力者の意のままにされてしまう!」「抵抗しようとしても無駄ってことか……っ!」
海軍や海賊などの有識者による解説セリフが飛び交う中、
「さぁ祭りの始まりだッ!! ウタ、こいつらに聞かせてやれっ!」
フェスタはウタの尻を撫でながら、より邪悪な笑みを湛えて宣う。
「熱狂の歌を!!」
瞬間、海軍の精鋭達と海賊の猛者達は一斉にウタへ襲い掛かる。理性では『ここでは歌姫に勝てない』と分かりながらも、動かずにはいられなかった。彼ら彼女らは本能的に察してしまったから。祭り屋の命令通りに歌姫が歌ったら、恐ろしいことになると。
「無駄なことを……だが」
殺到してくる海兵と海賊を前に、フェスタは訳知り顔で嘯いた。
「恐怖に駆られることもまた、熱狂だ」
○
デルタ島の円形湖を舞台にした戦闘交響曲は激しさを増していくが、デルタ島討伐任務艦隊の艦砲による大合奏は不意に止む。
大群衆が折り重なるように倒れた海賊大祭のメイン会場にて、蛮姫と人食い道化が対峙していた。
「巫女について調べている過程で、いくつか分かったことがあるバネ」
「あ?」道化をぶち殺す“機”を図っていた蛮姫が、怪訝そうに片眉を挙げる。
ヒンメル・モロネヴは被催眠状態の歌姫を後生大事に抱き寄せつつ、言葉を編む。
「巫女は能力の効果について、観客を楽しませることしか考えていなかったようだけれども……巫女の歌を聞いた者は前向きな人間になったり、精神的に強くなったりしたケースが確認されたバネ~」
「ウタのライブが自己啓発セミナーみてェだって言いてェのか?」
「誰もそんなこと言ってないバネ」
予想以上に酷いたとえを返され、人食い道化は眉を大きく下げた。
「ウタウタの実の能力で構築される仮想世界とその世界内の体験は、観衆に強く深い催眠療法的効果をもたらすバネ」
「……お前らの狙いはウタの能力を用いて観衆の潜在意識に恣意的変容を与えること、いや、お前らが望むように“洗脳”することか」
「ヒョホホホ。お嬢さんは見かけと違って意外とインテリのようバネ。しかし、“洗脳”ではなく“夢を与える”と言って欲しいところバネ~。ヒョホホホ」
ベアトリーゼが打てば鳴るように返すと、より強くニタニタと嗤う。
「この島と世界各地にいる観客を“洗脳”して、またぞろどこかで戦争を起こそうってわけか」
「たしかに戦争“も”起きるバネ。でも、本当の狙いはちょぉっと違うバネェ~」
眉間に苛立ちの皺を刻む蛮姫へ、人食い道化は思わせぶりに言葉を綴る。
「この島に集まった5万人の観衆はその大部分がおまけに過ぎないバネ。重要なのは電伝虫を通じてこの島の祭りを視聴している全世界の人々……特に世界貴族に政府の高官、加盟国の王や貴族、海軍やサイファーポールの高級幹部に指揮官。四皇を含めた大海賊とその幹部、闇社会の帝王、表社会の要人達、そしてこの祭りを記事にしたい世界中の報道関係者達バネ。賢いお嬢さんならば、聞いたことがあるかなぁ? いわゆる『
戦争仕掛け人がウタの能力を使って狙う獲物としては生々しすぎる。
ターゲットの意味を理解し、ベアトリーゼは満月色の瞳が獣のように絞られた。殺意が収斂される。
「……ウタに何をさせる気だ」
人食い道化は大きな口の両端を限界まで吊り上げ、
「夢を与えるのだよ、お嬢さん」
魂を奪い取ろうとする悪魔のように笑った。
「巫女の歌を用いて第一階層の深層心理に熱狂の夢を刻み込み、大衆を熱狂の渦へ導かせるバネ。彼らに導かれ、人々は出自の貴賎も人柄の善悪も暮らしの貧富も関係なく熱狂し、この世界は否応なく変わり
ベアトリーゼは怒気が引いていく。高波が襲う前の潮のように。
……なるほど。
こいつらはくっだらねェ目的のために、ウタを利用するだけでは飽き足らず、ウタの想いと夢を穢し、ウタのこれまで培ってきた努力を愚弄し、ウタという人間を根底から侮辱し、ウタの心を踏み躙ったわけだ。なるほどなぁ。私の友達をそこまで貶めるか。
ふ ざ け や が っ て 。
不意に、激戦の円形湖から砲弾が飛来してくる。ベッジの放った砲撃をバレットが撥ね飛ばしたもののようだ。意識不明の群衆で満たされたメイン会場を直撃したら、どれほどの犠牲が出るだろう。
だが、その懸念は現実化しない。
蛮姫が右腕を振るえば、空中で峻烈なプラズマ光が走り、砲弾が融解し、爆散消滅した。
強烈な衝撃波が戦闘と艦砲が立ち昇らせた戦塵と黒煙を吹き払う。残光が溶けていく中、蛮姫は愕然としている道化へ告げた。
ゾッとするほど静かで、鮮明に。
「殺す」
○
「全艦、砲撃中止完了しました」
デルタ島討伐任務艦隊の司令にされたプロディ中将は電伝虫に報告する、と。
『ウタウタの実の能力は能力者が解除しなければ、仮想世界内に取り込まれた聴衆の自我が解放されないっ! 能力者が死んだ場合は永遠に、だ! 同能力者がいる同島への無差別攻撃、および同能力者への加害は厳禁っ! 違反した場合、貴官も貴官の部下も非常に不味い状況へ陥るぞ!!』
政府高官が海軍本部の頭を飛び越して脅迫同然の通告をしてきた。プロディ中将は周囲の目を忘れ、げんなり顔を作る。
「はっ! 小官も全ての部下も肝に銘じ、任務を完璧に遂行しますっ!」
『当たり前のことをわざわざ宣うなっ! とにかく、ウタウタの実の能力者を速やかに確保し、万難を排して天竜人の皆様を安全かつ無事に解放しろっ! 良いなっ!!』
「はっ! 必ず!」
通信が切られ、プロディ中将は毛虫を見たような顔で舌打ちする。
「マリージョアの事務屋め、現場の状況も知らんと好き勝手抜かしよってからに」
嫌厭顔の老将がじろりと艦隊首席参謀へ目を向けた。
「状況は報告通りです。これだけ砲弾を撃ち込んでも、島から反撃はおろか逃げ出す者はボート一艘ありません。島の中央で起きている戦闘を除き、何も反応ありません。推測になりますが、おそらく島内の大部分がウタウタの実の能力下にあります」
プロディの渋面が濃くなった。しかし、首席参謀の言葉はまだ続く。
「それと、島の中央で起きている戦闘ですが……インペルダウンから脱走したダグラス・バレットが関与している可能性があります」
「―――」
呆気にとられた後、プロディは口いっぱいに苦虫を詰め込まれたような顔で毒づく。
「クソッタレめっ! 魔女の婆さんの呪いかっ!?」
アンガーマネジメントをするように大きく深呼吸し、歴戦の将官らしく冷徹な顔つきに切り替えた。
「この状況から足抜けする方法は?」
司令と他の幹部達から注目されつつ、首席参謀は秀でた頭を存分に駆使する。
「段取りが大きく狂いますが……作戦を“チリトリ”に切り替えましょう。各艦の陸戦隊を強襲上陸させ、昏倒中の海賊やロクデナシ達を捕縛、一般人を保護します」
「ダグラス・バレットはどうする? 前回は奴を捕縛するためにバスターコールを必要としたぞ」
「科学班評価戦隊があります。彼らは対能力者装備が充実しています。ダグラス・バレットや超新星達を相手取れるでしょう。
それに現状の最優先標的はダグラス・バレットではなく、歌姫ウタです。評価戦隊にバレットや超新星の相手をさせて時間を稼ぎ、その間にウタを確保。その後、後退して艦砲にて島を焼き払う」
「それでは評価戦隊が大きな損害を被る」
「連中は元々消耗品です。全滅も勘定のうちですよ」
首席参謀は官僚的冷淡さで嘯き、貧乏くじを引かされ続けている老将を見据えた。
「後は閣下の御判断次第です」
プロディ中将は先ほどまでとは別の渋面を浮かべ、思案する。経験豊富な歴戦の海軍将官といえど、あからさまに将兵を使い捨てる決断は難しい。たとえ、その部隊が海軍刑務所から出向した者達で編成されるワケアリ部隊だとしても。
――――――――ッ!!!!!!
その時、島の空で峻烈な閃光と轟音がつんざき、爆発が起きた。強烈な衝撃波が島から昇る戦塵と爆煙を吹き払い、沖に展開する艦隊を大きく揺さぶった。
激しく揺られる軍艦の甲板上で、海軍将兵達の顔が引きつる。
「おい。今の……エニエスロビーやレッドポート事変で確認された“アレ”にそっくりだったぞ。まさか、居るのか? あそこに」
「わ、分かりません! “血浴”がデルタ島にいるかどうか、肯定する情報も否定する情報も我々は持ち合わせておりません!」
「分からないで済むかっ! ダグラス・バレットだけでも厄介だというのに、加えて“血浴”なんて冗談じゃないぞっ!?」
ぎゃあぎゃあと喚く幹部や参謀達を、プロディ中将が拳を卓に叩きつけて黙らせた。しん、と指揮所が静まり返り、プロディ中将は苦りきった顔で決断を言葉にして吐き出す。
「科学班評価戦隊をデルタ島内へ強行突入させ、各艦の陸戦隊を同島各港へ強襲上陸だ! 同部隊がダグラス・バレット、“血浴”のベアトリーゼを牽制している間にウタウタの実の能力者“歌姫”ウタの身柄を確保だっ! なお、歌姫ウタを殺傷することは厳禁っ! 無傷で捕らえろっ! これに違反する者は厳罰に処す! 陸戦隊全将兵に徹底させろっ!」
プロディ中将は軍事的冷酷さを湛え、吠えた。
「作戦開始ッ!!」
○
無数の様々なフラグメントが漂う虚無的ウタワールドの中、二頭身マスコット人形化された海兵や海賊達が為すすべなく宙に浮き、大群衆は怯え竦み、恐れ慄いて動けなかった。天竜人や王侯貴族が無駄に喚き散らしているけれど、もちろん何の役にも立たない。
抵抗と妨害を試みた者達を無力化し、歌姫がいよいよ熱狂の歌を唱えようとしたその間際。
鋭いギターサウンドがウタワールド内を駆け抜けた。
「気に入りません。気に入りませんねェ……」
逆さになって漂う船の残骸。その船底竜骨の上に立つ長身のアフロ骸骨が鮫型六弦琴を抱えながら、フェスタを睨み据え、吐き捨てる。
「うら若き乙女を恣に操るその性根が、気に入りません。素晴らしい歌手であるお嬢さんに、そんな心も
“ソウルキング”ブルックはピックを振るって一音を響かせ、ビッとウタを指差し、
「お嬢さん」
シリアスに宣う。
「パンツ見せてもらってよろしいですか?」
大群衆と人形化された者達は心を一つにして思う。
なんでだよ!
Tips
ブエナ・フェスタの狙い。
従来のように局所的な戦争を起こすのではなく、ウタの能力と歌で全世界の『第一階層』を洗脳し、マリージョアからグランドライン、四海まで全ての場所で、全ての勢力に戦争や紛争、内乱、内戦を引き起こさせようとしている。
ネタ元は伊藤計劃の傑作『虐殺器官』。
海軍
マリージョアでライブを視聴していた天竜人の一部がウタワールドに囚われ、失神昏倒し、大騒動。デルタ島討伐任務の作戦計画も大きく狂うことに。
”ソウルキング”ブルック。
原作主役の一人。CVはレジェンド声優のチョー。
真の対バンが始まる。
ベアトリーゼ
オリ主。
キレちまったよ。